セカイイチ リリース記念ワンマンライブ『Road to「Step On」』
セカイイチ
リリース記念ワンマンライブ
『Road to 「Step On」』
2010.10.13(Wed)
@渋谷 O-West
いやー、待ったよ、待った。この日はセカイイチのワンマンライヴ。この2年近く何度となくイベントや企画ライヴでの彼らは観てきたのだが、ワンマンとなると実に1年5ヵ月ぶり。まさに今夜は混じりっけなしの100%ジューシーな彼らを堪能出来るってわけだ。
結論から言うと、この日の彼らは現時点とこの先の光明さや明白さを示唆しつつ、今再び地にしっかりと両足をつけ、来たるべくジャイアントステップへの準備の万端性。そして何よりもロックバンド/ソウルフルバンドとして歌い続け、プレイし続け、伝え続け、届け続ける所存を新ためて高らかに宣言してくれた。それはライブの終始、プレイした楽曲の端々から感じられる開放感や自由度、そして、ことある毎に感じ取れた<やっぱり俺たちはこれでいいんだ!!間違ってない感>からも表れていた。
かく言う我がラッカは、この日に備え、「ワンマンライヴ限定 STEP ON Tシャツ」「丸型地球儀ハンドタオル」そして「ティータンブラー」とグッズも気合いを入れて作成。しかも、Tシャツのデザインは我ラッカが担当した。当然、この日は社をあげて応援。大挙して会場の渋谷O-WESTに入った。
ファンキーでフィーリ―ディスコなオープニングSEに乗り、まずは吉澤、中内、泉が登場。続いて、岩崎も両腕を上げながら、”ウッシャ―!!”と気合い充分でステージに現れる。フォーメーションに着くもしばし。会場中にこれから繰り出される第一音を待つワクワク感が満ち、その期待を裏切ることなく、アコギのクリスピーなストロークと岩崎の歌い出しから「あかり」が始まる。置くこと数小節。そこにバンド・サウンドが加わると、楽曲に更なる哀愁感と躍動感、そして生命力が加わる。1曲目からこの先の多分な光明を早くも確信する。「やってきたぜ、セカイイチのワンマンライヴだ!今日は最後まで楽しんで下さい!!」と岩崎。その後の「イェーーーイ!!」のシャウトを呼び声に、再び楽曲に戻るところはのっけから鳥肌もの。ラストに向かうに連れ、吉澤のドラミングが楽曲に躍動感を加えていく。ノンストップで泉のベースソロ、そしてその後のコール&レスポンスが会場をしっかりと温める。スピーディにメンバー紹介をキメ、岩崎と中内のギターのリレーションと共に「Jaipur Town」に突入すると会場がパーッと明るくなる。もちろんサビではいつもの如く、Jaipur Townの大コーラス。<白熱>って言葉がぴったりのヒートアップさを見せる。そのまま泉のベースのダウンピッキングから力強くズンズン進むが如く「カプセル」にイン。歌われる”5年後、10年後”の自分に思いを馳せながらも、結局この曲のビートの前では成す術もなく無心にノリまくる自分がいる。ギターソロを交えた中内のプレイもワイルドでダイナミック。彼らのダンサブルさももちろん良いけど、8ビートで疾走感たっぷりのサウンドも、これはこれでまたグッとくる。
ここでMC。「素敵でバカなお客さんたちが集まって嬉しい」と岩崎。もちろん、これは褒め言葉だ。いきなりラッカ制作のタンブラーでステージドリンクを飲み始める。「奈落の底まで突き落すので、最後までよろしく(笑)。今日は1曲1曲珠玉の曲を用意してきたぜ」と、次の「あたりまえの空」を始める。ギターと歌とで始まった同曲。当たり前に思えていた景色が特別な景色へと変わる瞬間を垣間見れた気がした。ラストに向けジワジワと広がっていく景色と、アウトロでの中内のギターソロと穏やかな高揚感が心地良い。続いて吉澤が4つ打ち16でつなぎ、岩崎、中内のミュートの効いたツインギターカッティングの中、「モナカ」が始まる。オリジナルよりサイケ度もアップした同曲。吉澤のスネアのアタックも気持ち良く、岩崎、中内のエフェクティブで不穏なギターの上、泉のベースも泳ぎ回っている。この曲のダンサブルさにミラーボールも回り出し、会場をファンタスティックなダンスホールへと一変させる。
岩崎の優しい歌い出しとアコギのアルペジオ、そこにバンドサウンドが加わり、次の「ぷれぜんと」では会場中に優しい気持ちが満ちる。”伝えたいことは一つだけ。愛しているよ”のフレーズがいつも以上にジーンとくる。中内のギターソロも優しいながらもワイルドに会場いっぱいに染み込んでいく。ここでニューシングルから「才能と解放」をプレイ。”いいじゃん、それで”と謳われるその真意が、けっして投げやりや諦めではなく、<それで充分じゃん><それでばっちりだよ><誰が何と言おうと、お前はお前だよ>と言ってくれているように響く。間の岩崎と泉の息の合ったユニゾンリフに加え、それに乗ってくる中内のギターリフも見どころ。会場もにこやかに満面の笑みを浮かべている。
ここで岩崎が「新曲があるというのは活性化されて嬉しい」とMC。「ワンマンだし、せっかくだからメンバーをもっと知って欲しい」と言う間もなく、プレイを待ちきれなくなった中内がギターのカッティングを始め、それに合わせてジャムが始まる。そのまま各人のソロも交えたメンバー紹介へ。最後に岩崎の番がくると、ソウルフルにシャウトを決め、フェイク交じりで熱唱。そのまま「You Gotta Love」へ。同曲の歌詞じゃないが、オレンジの暖色系の光が柔らかく優しく会場を包んでいく。中内のギターソロもメローにシティポップス然と会場に広がっていく。そんな雰囲気を保ったまま、次曲の「勇気の花」に突入。中内のギターが空間をワイルドに広げ、吉澤のドラムもタイトにサウンドに安心感と安堵感を加える。会場に勇気の花が徐々に咲いていく。それはラストに向けドンドン開花し、最後には見事に大輪の花を咲かせてくれた。
続いて、岩崎のギターが暗闇を力強く切り裂くように響き、そこにワウを利かせた中内のギターが不穏に絡む。ここで「合言葉」がライヴならではのアレンジにて登場する。泉のベースに会場も腰を揺らせる。ハイライトは何と言っても、会場中の「アアア〜」の大コーラス。しかも、まさか2階席まで執拗にイジられるとは…。いじわる~。覚えとけよ(笑)。「アアア〜」の会場中の大合唱は続く。それに乗せ岩崎がアドリブで、「お正月」のメロディに合わせ「も~い~くつね~ると、Step Onの発売日」と歌う(笑)。会場もステージも共に満面の笑みを浮かべる。そんな中、ステージ上のフロント3人が肩を組み始め、客席も自然と周りの人と肩を組み出す。
ここでMC。『機動戦士ガンダム』の登場人物のモノマネ大会が始まる。岩崎はシャア、中内はアムロ、ナント、吉澤までが実物を知らないにも関わらずハロのマネをし、似てるんだか、似てないんだか…。泉にいたっては、グフに乗っていたランバラル大尉だ。渋ぅ~。そして、ここで泉から続けて、今度のアルバム中1曲をディレクションしてくれる人を募集することが告げられる。その提案にはお客さんも驚愕。いやー、ありえない嬉しい企画だ。僕も応募しようかな…(笑)。
そして、その告知という大役を終えた(笑)、泉の高速ダウンピッキングと岩崎の性急的なギターカッティングのリレーションから「グレース・ケリー」にイン。勢いと疾走感のある曲の登場に会場中がライドオンする。サビのストレートになるところが気持ち良い。中間部はジャンクでノイジー、アヴァンギャルドなところを挟み、再びテーマに戻るところなんざ憎いほどカッコイイ。続いて、「井の中の世界」で会場中をスモーキーに惹き込んでいく。まさに歌詞じゃないが、”自分で作った限界なんて超えていけ!!”だ。会場もステージも一緒になって超えていく。そのまま「RAIN/THAT/SOMETHING」に突入。通常よりも更にスリリングで不穏な中、サビの部分では逆にコントラスト的にパッとした明るさと出会う。そのサビでの開放感と開けた感じは最高だ。もちろん、この曲のサビの部分では会場中も大合唱だ。
ここからはまさにロックバンド、セカイイチの面目躍如。フリーキーでアヴァンギャルド、それでいてインナーワ-ルドを味あわせてくれるナンバー「Oil Shock」に突入する。中内のギターが70年代のギターヒーローよろしく豪快にワイルドにギターソロとリフを放ち、泉、吉澤のリズム隊はガッツリと攻める。ワイルドさが全面に出た曲は続く。「New Pop Song Order」だ。怒濤のモーターサイクル・ナンバーの登場に客席前方の密度も一層上がる。途中、中内もディレイやトレモロのツマミを手でコントロール。それらが合わさり場内にカオスが生まれる。ラストの「Step On」に入る前に、「ジジイになるまで音楽を演っていきたいと本気で思ってる。音楽でこの気持ちを届けられたらいいんです。諦めたくないものがあるんだ。諦めなくてもいいんでしょ?それを手に入れるまで、おれたちは辞めません。心配しないでついて来て下さい。おれたちがお前たちを連れて行ってやるから」との岩崎から素晴らしい一言が。その渾身の言葉からその思いを歌にしたかのような11月3日発売の新曲「Step On」が力強く響き渡る。彼らの曲の中でもとりわけスケールが大きく、ジワジワと広がり、その想いや気持ちが力強い確信へと変化していく素敵な歌だ。まさにこの1年の彼らの心境や今の気持ち、これからの夢や思いが詰まった曲に会場中も同調する。ホント、よくこの曲に辿り着いた!!心からそう思う。うーっ、なんだか凄く元気が出てきたゾ!!!
ここからはアンコール。まずは泉がラッカ制作のこのワンマン用のTシャツを着、ニュー丸型ハンドタオルの告知をしてくれる。ありがとう!!
「昔の曲も演っとこうかい」と岩崎。インディーズ時代からの代表曲「聞いてますか お月様?」がここで現れる。まるで月から力をもらうがごとく、会場中も心の中で一緒に歌う。
ここでMC。「今日はホンマにええ気分にさせてくれてありがとう」と泉。続けて岩崎が「最後におれたちがお前たちを愛してやまない証拠の曲を演るよ」と、メジャーデビュー時代からの大切な曲「石コロブ」が放たれる。”おおっ、この曲の発表時、僕は彼らに初めてインタビューしたんだった…”。初心表明のようでありながらも、今だからこそリアリティと実感を持って響いてくる同曲に、何故かここまでの彼らの道のりがオーバーラップする。ギターを弾いて自分のために歌ってた歌や、誰かのために歌っていた歌が、いつの間にか、時間を経て、みんなの心の中で、<私の歌>へと成長していたことに改めて気づかされた。
プレイしている者と、それを受け止める者の間で確実に育まれてきた彼らの歌たち。当たり前ながら<歌は人の心の中で成長していくものなんだな…>と、改めてこの日のセカイイチのライヴを見て思った。
変わらないもの。変えられないもの…。
最新曲「Step On」と5年前の新曲「石コロブ」。この二つを並べ、なんかそんな言葉が導き出てきた。成長と発展を、時と共に繰り返してきたセカイイチ。その変わらないもの、変えられないものが、鍛えられ、磨かれ、ろ過され、精製され、いつしかそれらはかけがえのない<セカイイチらしさ>として、気高く結晶化されていく。きっと彼らは、この最新曲「Step On」と共に、<次なるセカイイチらしさ>を探す新しい旅に出る。さぁ、今後も我々は彼らのその旅の良き同伴人であり続けようではないか!!
Report : 池田スカオ和宏
【SET LIST】
1.あかり
2.Jaipur Town
3.カプセル
4.あたりまえの空
5.モナカ
6.ぷれぜんと
7.才能と解放
8.You Gotta Love
9.勇気の花
10.合言葉
11.グレース・ケリー
12.井の中の世界
13.RAIN/THAT/SOMETHING
14.Oil Shock
15.New Pop Song Order
16.Step On
Encore
En-1.聞いてますか お月様?
En-2.石コロブ
【MEMBER】
L→R
Bass 泉 健太郎
Vocal&Guitar 岩崎 慧
Guitar&Chorus 中内 正之
Drums 吉澤 響
【PROFILE】
2001年8月、ソロ活動をしていた真性唄歌いの岩崎が、前々から惚れ込んでいたドラマー吉澤を誘い結成。アコギボーカルとドラムという縦一列形態にてライヴを始める。
2002年10月、中内加入。4ピース体制となる。2003年3月、泉加入。現体制となる。
同年12月、デビュー・アルバム『今日あの橋の向こうまで』をインディーズよりリリース。
2005年4月、トイズ・ファクトリーより2nd シングル「石コロブ」を発売。メジャーデビューを果たす。同年5月、1stアルバム『淡い赤ときれいな青と』を発売。
2006年6月、2ndアルバム『art in the EartH』発売。
2007年11月、 3rd アルバム『世界で一番嫌いなこと』発売。
2009年2月、4thアルバム『セカイイチ』発売。4月〜5月 “Top Of The World Tour” 大阪・名古屋・東京でのワンマンライブを含む、全国7ヶ所にて開催。
2010年3月〜4月 自主企画イベント”光風動春” 大阪・仙台・名古屋・東京にて開催。11月 tearbridge recordsより、ニューシングル「Step On」を発売。
【NEW ITEM】
NEW SINGLE
「Step On」
NFCD-27290
¥1,200(Tax in)
2010.11.3 ON SALE
【tearbridge records】
M-1. Step On
M-2. グレース・ケリー
M-3. ベンチ
M-4. 才能と解放
【LIVE SCHEDULE】
http://www.sekaiichi.jp/live/live-sekaiichi/