BIGMAMA “Roclassick”release tour 2010-2011 グランドファイナル
BIGMAMA
“Roclassick”release tour 2010-2011 グランドファイナル
2011.3.30(Wed)
@SHIBUYA-AX
やはり、なんと言ってもこの日の自分的な最大のハイライトは、本編後半に入りプレイされた「かくれんぼ」~「ダイヤモンドリング」の流れに尽きる。
片や「隠れてなんかいないででておいで」と歌われる「かくれんぼ」。片や「空が青を呼び戻す」と歌われる「ダイヤモンドリング」。この2曲の流れが、3/11の震災以降約3週間、未だ自粛ムード色濃い中、あえてライヴを行うことで、音楽を通して精一杯伝えられる彼らのアティテュードやメッセージ、我々への活力のように僕には思えた。
”これからは人それぞれにこの震災の、いや、この停滞気味の日本への復興へと動き出そうよ!”と響いた「かくれんぼ」。そして、日食をモチーフに歌われる「ダイヤモンドリング」では、一度は月によって隠れてしまった光が再び蘇っていくロマンティックな例えが、”もうすぐまた陽がよみがえり、光が降り注ぐよ”と響いた。ホント、この2連発には、”そうだ!””そうなんだ!”と、かなり鼓舞させられた。
かくいう我がラッカも彼らのワンマンは、昨年クリスマスの九段会館での弦カルテットを交えたスペシャルライヴ以来。伝え聞く、「アトラクションなしのバンドスタイルのみで、あのクラシックとロックの融合を体現してみせてくれている」の体感を楽しみに、ツアーのグランドファイナルの会場である渋谷AXに向かった。
今回、我がラッカは、新Tシャツのデザインと制作、この日用に特別に銀箔でプリントされた今回のツアーTシャツ(デザインもラッカ)を、グッズのニューアイテムに加えさせてもらった。
バロックや宮廷音楽がザワついた会場に厳かに、優雅に流れている。ステージの後方上部には、『Roclassick』のジャケット内にも使われていた7枚7曲分の絵画が飾られている。
会場のBGMが交響曲に代わっていき、それが徐々に荒々しさを増していく。スッと場内の灯りが落ち、お馴染みのSEが流れると、フロア前部の密集度が上がる。青白く浮かび上がったステージに、5人のメンバーが現れ、各人、ドラムのリアドの方を向きスタンバイ。満員のフロアと共に音が放たれる一瞬を待つ。
リアドのスネアのロールと共に、バイオリンの東出が優雅にロッキンにヴィヴァルディの四季中「春」を奏でる。1曲目は九段会館同様「走れエロス」だ。ダイナミックなバンドサウンドの上、所々でバイオリンによる「春」を挟み、クラシカルな雰囲気とロック的ダイナミズムの融合を図る。途中のテンポアップでは場内も熱狂。途中には会場に大合唱を引き起こし、1曲目からステージとフロアとのアライアンスを見せる。同曲の最後の東出のバイオリンとギターの柿沼のライトハンド奏法の競演が会場を沸かす。その雰囲気を引き継ぎながらも、そこにスリリングさと哀愁さを加えるように、次の「虹を食べたアイリス」にイン。同曲の間には作品同様ベートヴェンの「運命」も織り込まれ、それが場内の高揚感をアップさせる。安井も愛器の5弦ベースを指弾きで、サウンドの根底から支える。続いて柿沼のライトハンドから「Paper-craft」に突入。雄大で壮大なイントロが場内の興奮度を引き上げる。サビの4つ打ち部では場内もパッと明るくなり、フロアに多幸感が満ちる。そして、金井の歌とギターから始まった「Gum Eraser」では、サビのテンポアップがフロアからの呼応を生み、早くもあちらこちらでクラウドサーフが起こる。
ここで金井が「今日はツアーのグランドファイナル。ここにいるみなさんで最高の夜にしましょう」とMC。次の「テレーゼのため息」に入ると、ワウを効かせた柿沼のギターと、ファンキーでグル―ヴィーな安井のベースによるラテンとカウパンクノリの融合にフロアの情熱が加わる。そして、柿沼のギターが前曲の雰囲気を切り裂き、次の「Slepping Beauty」にイン。サビでは哀愁性も炸裂。それが場内に更なる熱狂を呼び起こし、多くのクラウドサーフを生んでいた。加速度を更に上げるが如く、次の「Accelerate」に突入すると、リアドの激走2ビートが場内の興奮度を更にアップさせる。そして、続く「CPX」には、場内も”待ってました!”と楽曲に飛びつく。間には柿沼と東出のソロの競演が場内を感嘆させていた。
ここで金井がMC。「今日という日に僕たちを選んでくれてありがとう。僕らなりの精一杯で演っていく」と力強く頼もしい宣誓。
ミディアムなギターイントロが流れ出し、ここで聴かせる切ないナンバー「英雄を抱いてマリアは眠る」に。この曲をメロディ楽器として引っ張るのは、安井のベースだ。バイオリンの東出もキーボードに移り、ハープシコード風の音色でバッハ「フーガト短調」の旋律を織り交ぜる。そして、その厳かな雰囲気を打ち破るように、金井と柿沼のギターリフのリレーションから入った「”MISSION 481″」では、安井も超絶プレイを披露。それを受け、メンバー各人がそれぞれのソロを持ち回る。「I Don’t Need a Time Machine」では、金井、柿沼の刻むギターカッティングの上、東出がバイオリンソロを泳ぎ回らす。そこからノンストップでインした「Neverland」では、2ビートと疾走感が場内を走り回るり、場内も掻き回す。ギターソロでは、柿沼もステージ前方までせり出しプレイ。よりフロア前方の密度を濃くする。
いよいよ来ましたハイライトその1。激走の3段活用といわんばかりに、BIGMAMA流にアレンジされたハチャトゥリアンの「剣の舞」が、プレイを繰り返す毎に段々とスピード感を上げ披露。速度が上る毎に、会場のモッシュピットも回転のスピードを上げていく。そして、「この度は、このツアー最速でお送りします」と金井。それを呼び声に、一際速い「剣の舞」が、場内に、”これでもついてこれるか!”と煽る。いや~、それにしても速い! リアドのバスドラなんて、もはや地響き状態。しかも、こんなに激速ながらも、シッカリと「剣の舞」として聴かせているところには脱帽だ。
若干のインターバルを挟み、金井の歌い出しとメンバーたちによるハーモニーづけから入った、ミディアムナンバー「I’m Standing on the Scaffold」が、場内にロマンティックで切ない気持ちを広げていく。同曲ではさっきまで一心不乱に曲に合わせて乗りまくっていた会場も聴き入り状態に。ラストに向かうに連れ、切なさが会場を支配していくかのように、場内に楽曲が染み渡っていく。聴かせる歌は続く。次の「『それはきっと天使が長く勤まらない理由』」では、金井もウィスパーを織り交ぜたボーカルで会場を浸らせ、柿沼のボーカルとのコンビネーションとリレーションを楽しませる。
金井の歌い出しと共に始まった「かくれんぼ」では、場内の沸点も一気に上昇。バイオリンによるブレイブ感のあるダイナミックな旋律が場内に雄大さと活力を与える。場内のライトが全開の際には、みんなが幸せそうに一緒に歌っているを確認できた。所々で見られるモッシュピットも、次の「ダイヤモンドリング」では更にその輪を大きくし、回転の速度を上げていく。原曲よりも更にどっしりとダイナミズムも増し、ロマンティックさも増大していた。
ここで金井によるMCが。
「今日ここでライヴを行ったのは、自分の音楽を信じていたし、みなさんに会いたかったから」と、ここまでの迷いの経緯を告げる。「しかし、今回の敢行を決定づけたのは、やはり、みんなからの後押しがあってのこと」と加える。そして、今年の母の日には、ベネフィットライヴを渋谷ライヴハウス、ラママで昼夜2回回しで行うことを告知。加え、今年のクリスマスのスペシャルライヴは、被災地方面で行う予定であることも伝える。
そして、「今日はこの場所を選んでくれてありがとう。新しい曲を用意したんで、聴いて下さい」と、新曲をプレイ。2ビートと8ビートを活かし、雄大なバイオリンのイントロも印象的な同曲。コーラスも豊かな、切なくも胸をキュンとさせるナンバーだ。
「ラスト2曲は悔いのないように」と金井。「荒狂曲“シンセカイ”」が放たれる。ホルストの「新世界」をブレイブ感溢れ、カッコ良く仕上げた同曲。金井と柿沼のボーカルのリレーションとツインボーカル性が眼前まで迫ってくる。ラストの「計算高いシンデレラ」では、場内のライトも全開。みんな楽しく笑顔で大合唱だ。ここではパッヘッベル「カノン」がとてつもない雄大さを持って壮大に広がっていく。そして、場内にラララのハミングの感動的な大合唱が。みんな、”この時が永遠に続いたらよいのに…”、と歌いながら真剣に思ったことだろう。
ここからはアンコール。安井はラッカがデザインした最新Tシャツを着てくれてい
る。
ここで金井から、「みんなで一緒に歌いたくて作った曲」と、まだタイトルのついていない新曲が会場に鳴らされる。フロアタムを活かした、ドッシリとしたダイナミズム感を有した同曲。確かにみんな一緒にウォーウォーシンガロングしている。
「今日は僕らの出発だと思っている。もっと曲を作って、もっとライヴを演っていきます」と金井。続く「the cookie crumbles」が、会場に大合唱とクラップ、そして、無数のクラウドサーフを起こす。
ダブルアンコールにも応えてくれた彼ら。今から4年前、以前のラインナップでの最後のライヴがこの渋谷のAXで、当時憧れ交じりで、「いつかここでワンマンを演ろう」と誓ったことが、今実現していることの感激を伝える。そして、その4年前のAXで最後に演った「little cloud 」が、この日も最後に鳴らされる。ラストの激速2ビートメロディックナンバーが場内に最後の一嵐を巻き起こし、彼らはステージを去った。
客電が点き、出口に向かう時に色々と考えた。そして、ダブルアンコールの際に金井が語った、4年前のステージと、それが今へと繋がっている喜びと実感についてをふと思い出した。
4年前のこの渋谷AXでのステージを降りる際、きっと彼らは、目の前に横たわっているメンバーチェンジという事実に、また一からやり直さなくてはいけない徒労感、ちょっとした絶望感、そして、先の見えない不安に苛まれていたことだろう。しかし、遠く先にある光を信じ、彼らの背中を押してくれるシンパと共に突き進んで行った結果、この日のステージへと繋がっていたことを、この日、実感していたにちがいない。その4年という日が、短かったのか?長かったのか?は分からない。しかし、光を信じ、一緒に歩いてくれる仲間がいて、背中を押してくれる友がいれば、きっとそれはアッと言う間だったのではないだろうか。そして、そのことが僕には、今回の震災と復興への道のりとダブって見えてならない。
”うつむいてばかりいないで、出ておいで。再び陽は昇り、光は降り注ぐから”と、改めてBIGMAMAから教わった気がした。ガンバルぞ~!!
Report : 池田スカオ和宏
「マジ!スカえもん」です!!トレードマークは「MAJI印用品」特製の黄色いパーカーにリュックです。
ライブ終了後の楽屋やステージ裏側からの光景を、僕の視点でお伝えしていく第8回目。
今回はBIGMAMAの2011年3月30日の渋谷AXのライヴ直後のメンバーを直撃します。
媒体の方、スタッフ、バンド仲間、友人等々、うわーっ、凄い人だな。
メンバーも一人ひとり色々な人と談笑していて、なかなか入りこめそうにないな…。
おっ、あそこに金井君が居るゾ。
よし、突撃!!
まずは、恒例の名刺とシールを…。
金井「おおっ! もらっちゃっていいんですか?」
スカえもん「もちろんですよ。今年からは、このキャラで売っていくので(笑)。くれぐれも捨てないでね(笑)」
金井「もちろんですよ。次のインタビューまで大切に取っておきますね」
スカえもん「マジ!?感激だなぁ。次の取材時には、本当に持っているか?チェックするから(笑)」
金井「(笑)。」
スカえもん「それにしてもアンコールで演った新曲は、BIGMAMAにしては珍しくシンガロングなタイプでしたね。みんな早くも一緒にウォーウォー歌ってましたよ」
金井「いやー、嬉しいな。みんなで歌える曲を作りたかったんですよ。客任せの歌で、すみません(笑)」
スカえもん「いやいや。みんな力強く楽しく歌ってましたよ」
金井「これからもっとブラッシュアップして、もっとみんなで歌える歌になれるといいなぁ」
スカえもん「楽しみにしています!!」
【SET LIST】
01. 走れエロス
02. 虹を食べたアイリス
03. Paper-craft
04. Gum Eraser
05. テレーゼのため息
06. Slepping Beauty
07. Accelerate
08. CPX
09. 英雄を抱いてマリアは眠る
10. “MISSION 481”
11. I Don’t Need a Time Machine
12. Neverland
13. ツルギが無い
14. I’m Standing on the Scaffold
15.『それはきっと天使が長く勤まらない理由』
16. かくれんぼ
17. ダイヤモンドリング
18.新曲
19. 荒狂曲“シンセカイ”
20. 計算高いシンデレラ
アンコール 1
01. 新曲
02. the cookie crumbles
アンコール 2
01. little cloud
【MEMBER】
Vo.&G. 金井政人
G. 柿沼広也
B. 安井英人
Dr. リアド偉武
Strings東出真緒
【PROFILE】
2006年7月、UKPROJECT内RX-RECORDSにて1st MINI ALBUM『Short Films』を発表。新人としては異例の10000枚以上のセ-ルスを記録。
同年10月、メンバ-の脱退により一時活動を休止。
2007年2月、恵比寿LIQUID ROOMにて新メンバ-、安井英人(bass)東出真緒(strings)を迎え活動を再開。
2007年6月、新生BIGMAMAとして、1st SINGLE「BOYS DON’T FLY」を発表。9月にはワンコイン受注生産限定2nd SINGLE「Neverland」を発売。12月には1st FULL ALBUM『Love and Leave』を発表。18000枚以上のスマッシュヒットを記録する。
2008年、リリ-スツア-は軒並みソ-ルドアウトが続出し、4月13日のツア-ファイナル新宿LOFTまで、大盛況で幕を閉じた。その夏には、ROCK IN JAPAN FES.2008、SUMMER SONIC08などの国内大規模野外フェスにも多数出演。その勢いを留める事無く、9月、3rd SINGLE「Weekly Fairy Tale」をリリ-ス。オリコンインディ-ズチャ-ト1位、シングルチャ-ト43位を獲得する。
2009年11月、3rd ALBUM『and yet, it moves ~正しい地球の廻し方~』リリ-ス。
2010年10月、4th ALBUM『Roclassick』をリリース。同月より、全国ツアー「”Roclassick”release tour 2010-2011 ~母と行く、魅惑の新世界の旅~」を敢行。各地を熱狂の渦に巻き込む。12月25日、同ツアーのスペシャルをストリングスを交え、九段会館にて敢行。
2011年3月30日、同ツアーのクラウンドファイナルを渋谷AXにて行い、大成功に収める。
【NEW ITEM】
4th ALBUM
『Roclassick』
RX-039
¥2,100(Tax in)
NOW ON SALE
【RX RECORDS】
M-1.走れエロス (ヴィヴァルディ『春』)
M-2.虹を食べたアイリス (ベートーヴェン『運命』)
M-3.テレーゼのため息 (ベートーヴェン『エリーゼのために』)
M-4.英雄を抱いてマリアは眠る (バッハ『フーガト短調』他)
M-5.ツルギが無い (ハチャトゥリアン『剣の舞』)
M-6.荒狂曲“シンセカイ” (ドヴォルザーク『交響曲第9番”新世界より”』)
M-7.計算高いシンデレラ (パッヘルベル『カノン』)
【LIVE SCHEDULE】
http://bigmama-web.com/#/schedule/