SEBASTIAN X ワンマンライブ

Filed under: LIVE REPORT — タグ: — LUCK'A @ 2010.09.02

セバスチャンX ワンマンライブ 2010.08.21(Sat)@吉祥寺WARP

SEBASTIAN X ワンマンライブ
2010.8.21(Sat)
@吉祥寺WARP

 この日はセバスチャンXの初ワンマンライヴ。場所は彼らがまだコピーバンドを演っていた頃からお世話になっていたという吉祥寺WARPだ。なんでも結成時に店長と「初めてのワンマンライヴは、ここでやる」との約束を果たしてのことらしい。有言実行でよろし。当の店長は、「こんなにも早くワンマンが実現するとは!?」と驚いていたという。この日のチケットは発売日にソールドアウト。当日の場内は超満員だ。
 我がラッカ制作のセバスチャンTシャツも今回で3種目。象形文字T快活/平凡Tに、続き今回は8/5発売のニューアルバム『僕らのファンタジー』のジャケットにちなみ、通称「ユニコーンT」を制作した。既に場内ではそのTシャツを着ている人も多数見受けられる。嬉しい!!

セバスチャンX ワンマンライブ グッズ写真

 場内BGMの音量が多少大きくなると同時に照明の明度が徐々に落ちていく。ミラーボールが怪しげな光を場内に回転しながら放ち、高揚感を煽る。そんな中、特にSEもなくフラリとボーカル真夏を除くメンバーがステージに現れる。ウォーミングアップを始め、デモンストレーション的に各人が思い思いに音を出し始める。そんな中、地声で「こんばんわ!!」と真夏(永原真夏)が勢いよく登場。「東京は久しぶりですけど、元気でやってましたか?こちらはやってましたよ!じゃあ、ワンマンライヴいってみましょう!!」と、今度はマイクを通し、続ける。そのままアイリッシュトラッドmeets三拍子なナンバー「フェスティバル」に突入。1曲目を飾るにはぴったりの、これから大海原に漕ぎ出して行かんとばかりのナンバーに、この日の船員でもあるオーディエンスたちも同乗を始める。ベースの飯田は早くもアクションたっぷりで動き回り弾き、身振り手振りを交え歌を伝える真夏の歌声も、ノリ良く伸びやかに場内奥まで響き渡っている。一緒に旅に出たくなるナンバーは続く。2曲目は「夏の王様」だ。変拍子ながら、それを難解に感じさせない、分りやすく伝わりやすく、歌い、プレイするところはさすが。会場を太陽と共に夏まっただ中のパレードへと惹き込む。思わず裸になっちゃいたくなるナンバーが続けられる、次の「DUB湯」では、銭湯の壁に描かれたダイナミックで汗ばんだ壁画がドーンと思い浮かんでくる。同曲での気持ち良さと心地良さはさながら入浴時のごとし。会場中が命の洗濯だ。

セバスチャンX ワンマンライブ写真

 ニューアルバムから立て続けに3曲プレイされるとMCが入る。「今日は長いんで、みなさん体調には気をつけて。今日は懐かしい曲も何曲か演ります」と真夏。続いての「高速眼鏡図鑑」と「世界のガッシャーン」がメドレー的にプレイされる。ディストーションギター音もベースで掛け持ち、ノイジ―に動き豊かに引き倒す飯田(飯田裕)。緩急激静が交互に飛び出す「高速眼鏡図鑑」から「世界のガッシャーン」に移ると、歩里(工藤歩里)のキーボードもエレガントさを交え、楽曲にさまざまな色彩を加える。同曲では日本の土着的な祭り的要素が上手いブレンドを見せ、文字通り、老若男女がフロアで踊り、妙な一体感や連帯感が生まれゆく。そして、ジャングルビートがドラムの沖山(沖山良太)から叩き出され、次の「ASO」へとスムーズイン。真夏もコブシの効いた歌い方へとチェンジし、会場がサバトから盆踊りへと一変する。日本のズンドコビートながらキチンと腰に来るのは、そこに彼らなりにファンキーな要素を練り込んであるから。祭り特有の生命力が会場に満ちてくる。そして、そのまま「サファイアに告ぐ」に突入すると、勢いとノリ、程良いドライヴ感に会場が惹き込まれる。歩里のキーボードもパンピンにハネる。かと思えば、高みに連れて行ってくれるミディアムで美しいブリッジを挟み、真夏の歌声のデリケートさや高音部を引き立て、ファンタジー性を織り交ぜながらも、ラストは怒涛のなだれ込み。いやー、目まぐるしい(笑)。

セバスチャンX ワンマンライブ写真

 ここでのMC担当は沖山。ワンマンが出来た感無量さを、はぁはぁ、ぜぇぜぇ交じりに懸命に伝える(笑)。続けて「みなさん、暑いので汗かいたらTシャツ買って帰ってね」と嬉しい宣伝も(笑)。そして会場後部からのステージの見にくさを配慮し、真夏が自作のお立ち台を用意。後の人にも見えやすいように歌い始める。その際に気づいたのだが、今回の彼女の衣装のユニコーンTシャツは自身でアレンジを加えたもの。丈をちょっと短くし、リブの部分は深く自分で挟みを入れていた。
 
 ライヴに戻る。まずは「この曲が報われて嬉しい」との真夏の言葉の後プレイされた自主制作の頃のナンバー「祝日」。歩里のエレガントなピアノ音と、沖山、飯田のリズム隊による、躍動感のあるビートの上、日常と牧歌性の心情の交じった歌が届けられる。続いてはバンド版オーケストレーションから入った「新世界によろしく」。牧歌性とズンズン進んで行く感じ、ロンド観が会場を愉快に引き回す。後半になると沖山のドラムの手数も増え、歩里のキーボードの優雅さやワイドさも増していく。

セバスチャンX ワンマンライブ写真 130014

 ここでMC。真夏が歩里のキーボードを指し、「当初は一段だったキーボードも今は三段になった」と感慨深く伝える。とは言え、自身のことは、「Tシャツの丈を切り過ぎて、なんか体操選手みたい」と場内を和ます。
 ここからはしっとりとした聴き浸るゾーンへ。まずはピアノをバックに歌い出した<セバスチャン的ソウル・バラッド>とも言える「ハムレット」。途中からバンドが加わるも、その直接的な世界観は変わらず。「ようこそ君を待ってたのさ」のフレーズがこの日の一人一人の無二感を歌っているように響く。聞かせ、浸らせ、自身を映し出す歌は続く。次はノンストップで「永遠のラスト・ワルツ」に突入。新しい、知らない、だけど本当は美しい世界へと感動も交え誘う同曲ではラストに向かうに連れダイナミズムも増加。大きな包容力が会場を包みゆく。スケールの大きな歌は続く。ドラムのシャッフルのリズムに乗って歌い出された「若き日々よ」では、より感情移入が増し、歌われる。間にはあえて、”この地球には、クルーエルな部分もあるんだよ”と伝えるが如く、カオスな面もインサート。飯田もノイジ―にベースを引き倒す。会場中が、”儚くも、汚くも、美しいこの世界よありがとう!”と心で伝える。逆にこの地球の、この世界の良いところが明るく躍動的に歌と演奏で描かれたのが次の「GOODMORNING ORCHESTRA」。同曲の生命力とバイタリティが会場全体を踊りへと誘う。ホント、生きていて、この地球に生まれて良かったと思わせてくれるナンバーの連発に、会場全体がほっこりさせられる。

セバスチャンX ワンマンライブ写真

 「アッと言う間だった」と真夏。10月からツアーを行うこと、そのファイナルが11月27日に新宿MARZにて行われることを沖山が続ける。残り2曲は”最後まで惹き込まん!!”とばかりにノリの良いナンバーが立て続けに飛び出す。まず「世界の果てまで連れてって!」では、飯田も音と共に楽しげに弾むようなアクションを交え、一層動き回り、歩里のキーボードも無尽に飛び回り、跳ねまわる。なんだか宇宙船に一緒に同乗し、本当に世界の果てまで向かっている気分だ。そして、本編ラストは「食卓の賛歌」。「ご飯と君は同じ。毎日だって飽きずに食べられるから」「生きるしかないよ。諦めなよ」と歌われる同曲。うーん、なんという説得力のある真理だ。この身近感、この真理感。お仕着せや真摯な説得力ではなく、真理や事実としての説得力。それをキッチリと分りやすく、”そうだ!!”と思える気持ちと共にキッチリと伝える。それこそがセバスチャン最大の魅力なのだ。

 ここからはアンコール。沖山が物販の宣伝を。新作のユニコーンTの宣伝の後、客席からは「買ったよ~」の声が。思わず声の主を探しちゃったよ(笑)。
 真夏の「これからも良い音楽を出来たらいいなとの思いを込めて」の言葉の後、会場がワンダフル感に満ち、その名も「ワンダフルワールド」がプレイされる。ライヴならではのアヴァンギャルドさを交えながらも、キチンとグルーヴをキープする演奏陣。真夏も腕を大旋回させながら歌っている。

セバスチャンX ワンマンライブ写真130021

 そして、ダブル・アンコールにも応えてくれた彼ら。「ライヴでは今日しか演らない」との嬉しい宣言と共に、2ndアルバムのボーナストラック「宮地くん」が始まる。普段は楽器を用いない真夏も特別にブルースハープを取り出し吹き始める。レゲエの心地よい裏打ちのリズムの上、私信のような悠久感溢れる歌がうたわれる。歌い進めるうちに、その私信がいつの間にか会場全体の歌へと変わっていく。ステージも会場もみんな満足そう。

 爽快、痛快、愉快、明快、軽快…。なんか、セバスチャンXの歌やライヴには、下側に<快>がつく熟語が似合う。特に今日はそれを強く思った。<下側に快がつく熟語>には、さっぱりしていて、潔くって、サクッとしつつも、キチンと情も持っていて、それでいて真理を漂わせるイメージがある。そんな<下側に快がつく熟語>を、これからも彼らのライヴを見る度に発見出来たらと思う。10月からはニューミニアルバム『僕らのファンタジー』を引っ提げ、全国ツアーを行うという。さぁ、みなさんも一緒にセバスチャンXのライヴで<下側に快がつく熟語>を探しに行こう!!

セバスチャンX ワンマンライブ写真12679
ライヴ直後のボーカル真夏

Report : 池田スカオ和宏


【SET LIST】

1.フェスティバル
2.夏の王様
3.DUB湯
4.高速眼鏡図鑑
5.世界のガッシャーン
6.ASO
7.サファイアに告ぐ
8.祝日
9.新世界によろしく
10.ハムレット
11.永遠のラスト・ワルツ
12.若き日々よ
13.GOODMORNING ORCHESTRA
14.世界の果てまで連れてって!
15.食卓の賛歌
Encore
En-1.ワンダフルワールド
WEn-2.宮地くん


【MEMBER】

セバスチャンX アーティスト写真SEBASTIAN X(セバスチャン・エックス)
L to R
沖山良太(Dr.)
永原真夏(Vo.)
飯田裕(B.)
工藤歩里(Key.)


【PROFILE】

08年2月結成の4人組。08年6月初ライブを行なう。その後ハイペースなライブ活動を展開。
08年8月に完全自主制作盤『LIFE VS LIFE』リリース。新世代的な独特の切り口と文学性が魅力のVo.永原真夏の歌詞とギターレスとは思えない様々な/極端な楽曲の世界観が話題に。
グッチャグッチャだけどパワフルで唄心が伝わる、なんだか凄いことになってるインパクト大のパフォーマンスも相俟って、ライブハウス・シーンでも一際目立ちまくっている存在に。
09年11月6日、1stミニアルバム『ワンダフル・ワールド』をリリース。
2010年に入り、更に勢力的にライヴを展開し、VINTAGE LEAGUE 全国ツアーに参加。5月には大型ロック・フェス『ROCKS TOKYO』にも参加。
10年8月4日には2ndミニアルバム『僕らのファンタジー』をリリース。8月21日には初のワンマンライヴを敢行。チケットは即日ソールドアウトの大盛況を収める。10月から「『僕らのファンタジー』リリース記念 寄り添って! ユニコーン ツアー」を全国各地にて行う。人気急上昇中の4人組ロックバンド。


【PACKAGE ITEM】

2nd Mini Album
『僕らのファンタジー』
RDCA-1017
¥1,700(Tax in)
NOW ON SALE

<収録曲>
1. フェスティバル
2. 世界の果てまで連れてって!
3. 夏の王様
4 .DUB湯
5. サファイアに告ぐ
6. ハムレット
7. 永遠のラスト・ワルツ
8. GOODMORNING ORCHESTRA
9. 宮地くん(CDのみ収録のボーナストラック)


【LIVE INFORMATION】

http://sebastianx.info/live/


【ARTIST HOMEPAGE】

http://sebastianx.info/
http://www.myspace.com/sebastianx2008
http://twitter.com/sebastianx.jp

【LUCKON】を開く 【LUCK'A PLANET】を開く
aquarifa PLAYBUTTON 発売中” title= LOVEHUMAN

ENTRIES

LIVE REPORT」カテゴリの記事

ARCHIVES

TAGS

SEARCH