Fated Lyeno『get over trials』Release Tour関東Final

Filed under: LIVE REPORT — タグ: — LUCK'A @ 2010.07.15

Fated Lyeno
「『get over trials』Release Tour関東Final」
2010/06/30(wed)
@新宿LOFT

 Fated Lyeno(フェイテッドライノ)を初めて観たのは、今年2月16日の渋谷BOXXでのイベント・ライヴ。5月12日に発売された彼らの1st MINI ALBUM『get over trials』のジャケットデザインを我がラッカで手掛けたこともあり、その挨拶&陣中見舞いがてら、スタッフ一堂で足を運んだ際になる。その日のライヴは、多少の気負いがありながらも、全体的な勢いや熱意、激しさが前面に表れたものであった。
先に彼らと我がラッカの付き合いを述べておくと。今回の1st MINI ALBUM『get over trials』のジャケット周りのアートワーク全般やチラシやポスターのデザインを始め、今回のツアーTシャツも制作させてもらった。
そんな連帯感を胸に、再び一堂で足を運んだ今作のレコ発ツアーの関東ファイナル(関西ファイナルは7/9の大阪心斎橋・新神楽)。前回観たライブから4ヵ月半。彼らの魅力である、さまざまな音楽性がブレンドされ、それが表情豊かに昇華。歌やサウンドとして現れていた今回のミニアルバムの各楽曲は、全国20ヶ所にも及ぶ全国ツアーを経、どのような様相を見せてくれるのだろうか?その雄姿に期待し、6月30日、新宿ロフトに向かった。

初音源ながらタワーレコードインディーズチャートで初登場5位を記録し、各方面から評価も高い、あの盤の帯のキャッチ「高揚感溢れるサウンドの中、フッと見せる甘美。アンサンブル・パンク・バンド登場!!」は、僭越ながらこの僕が書かせてもらった。そして、それは今年の頭に初めて聴かせてもらった彼らの各楽曲が引き出させた言葉だった。そして、この日も多少の緊張や気負いがあったのだろうが、彼らの魅力やスキルの高さ、楽曲のクオリティの高さ、そして、何よりもそれをキチンと再現できる技巧を持っていることを、初見の人も含め、この日会場に居た多くの人にアピールできていたように思う。正直、課題もあったが、それを上回る収穫も多かった。そんなライヴであった。

 SEとして荘厳なピアノが流れ出し、転換中のステージを隠すスクリーンが上がると、ドラムの前で円陣を組む3人の姿が現れる。そして、それぞれのフォーメーションにつくと、そのSEをかき消すようにデモンストレーション的に3人が音を鳴らし出す。そして、ボーカル&ギターのBANから「こんばんわ。Fated Lyenoです。挨拶はあと回しに、まずは1曲聴いて下さい」との挨拶と同時に、ミニアルバムの冒頭を飾っていた「count」が放たれる。疾走と激走、めまぐるしく手数の多い展開と、間に4ビートでジャジーな部分を挟み、それをトリガーに後半の激走へのなだれ込む。その展開に鳥肌が立つ。ブームマイクを最大限まで上げ、それを垂直に折り曲げ、スタンドマイク並の高さでの配置で歌うBAN。彼のテレキャスターのシングルコイルならではの音色と、そこからエフェクター類を経てORANGEのアンプから出される、ふくよかな厚みと温かさを交えて放たれる音も特徴的だ。そして、間髪置かず「weed」に突入。複雑なイントロから裏打ちのスカ、そして激走&哀愁の2ビートメロディックへとなだれ込み、複雑なキメやクイを難なくスムーズに決める3者。ベースのフクシマのジャズベと指弾きが、躍動感はもとより、微妙なニュアンスの下の部分を交え、伝える。この段階で、最初は様子見だった他のバンド目当てで訪れた初見の人たちも、”おっ、これは!?”と興味を示し、ステージに引き寄せられるようにフロアに集まってくる。

 ここでチューニングタイム。今までの激動の反動のように、会場全体がシーンとし、次のアクションを待つ。ここで、先にチューニング終えたベースのフクシマが「和歌山から来たFated Lyenoです。~~東京盛り上がっていきましょう。お前らの心のドアを思いっきり開けてやるゼ!」とのMCの後、目まぐるしいながらも、所々どこか哀愁性を醸し出している「door」がプレイされる。ミディアムで聞かせ、浸らせるナチュラルでウォームなギターカッティングと動きのあるベースラインから始まるも、中盤よりグイグイとシフトアップし、加速を上げていく同曲。その展開にはお客さんもついていくのが大変だ(笑)。

ここでドラムの44tasukuがMC。今日がツアーの関東ファイナルであることを告げ、物販の告知もする。BANが「バラードをここで」と続け、アルバムの中でも壮大でスケール感たっぷりに展開されていた「any colors」が登場する。この曲の特徴もバラード一辺倒とならないところ。ウォームな歌い出しに、フムフムなんて感じで聴いていたら、各人が壮絶な超絶演奏を時折織り混ぜる。再びミディアムに戻ると、そこからはダイナミックにワイドにスケール感のある懐の深い音楽性へとフロアを誘う。楽曲後半にはスケール感たっぷりに、徐々に陽が昇っていくかのような情景を会場中に広げ、その様相はある種、感動的ですらあった。
 そして、チューニング中に何気なくサルサのリズムを刻み続ける44tasuku。そこから躍動感とファンキーさのあるイントロに入り、<ラストはノリノリな曲でおさらば>とばかりに、「will be back」がプレイされる。複雑なリズムを44tasukuが叩き出し、そこにフクシマのベースが躍動感とダンサブルさを加え、その上をBANのギターがナチュラルでウォーミーな音色の複雑なカッティングを効かせ、全体的に切なさを帯びながらも、会場中に楽園感をもたらす。と、それとはカウンター的にやってくるサビでのストレートさに、会場の温度もグッと上がる。ここにくるとフロントの2人も突如スイッチが入ったかのように激しいアクションを見せ、ラストまでグイグイと自分たちの世界観に引き込んでいく。

全体的には、<その成長や進化をしかと見せてもらった>、そんなライヴであった。バンドはライヴを重ね、一体感や連帯感を深め、楽曲もライヴを通し変化し、成長していく。今後も進化、成長を繰り返していくであろう彼らと、その楽曲たち。今度会う時は更に育まれていることだろう。それらがどのように育まれていくのか?それが今からとても楽しみだ。

Report : 池田スカオ和宏


【SET LIST】

1.count
2.weed
3.door
4.any colors
5.will be back


【MEMBER】

L→R
Dr. 44tasuku
B.&Vo. フクシマテツヤ
Vo.&G. BAN


【PROFILE】

2008年4月結成。同年8月初ライブ2009年1月に自主制作盤1st single「EVER SINCE YOU WERE BORN」(現在は廃盤)をリリース。3月リリースレコ発ツアー実施。2010年4月に国内最大級のパンクロックコンピレーション盤シリーズ「PUNK ROCK SOUNDTRACKS Vol.8」に参加し、2010年5月1st MINI ALBUM『get over trials』をリリース。タワーレコードの全店PUSHアイテム「タワレコメン」5月度に選ばれる。関西テレビ「ミュージャック」5月度エンディングテーマ、TVKテレビ「Mutoma」5月度オープニング、エンディングテーマに選ばれ、各メディアから大型新人バンドとして注目される。同月には約20箇所リリースツアーを敢行。成功に収める。


【NEW ITEM】

1st MINI ALBUM
『get over trials』
RCSP-0021
¥1,785(Tax in)
【suplex music / sputniklab inc,】
NOW ON SALE

M-1. count
M-2. other side
M-3. will be back
M-4. any colors
M-5. weed 6.door


【LIVE SCHEDULE】

http://ip.tosp.co.jp/i.asp?I=fated_s


【ARIST HOMEPAGE】

http://tosp.co.jp/i.asp?I=fated_lyeno

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