おとぎ話『「FAIRYTALE」レコ発ツアーファイナル・ワンマン・ライヴ』

Filed under: LIVE REPORT — タグ: — LUCK'A @ 2010.05.15

おとぎ話『「FAIRYTALE」レコ発ツアーファイナル・ワンマン・ライヴ』4.17(Sat)@渋谷クラブクアトロ

おとぎ話
『「FAIRYTALE」レコ発ツアーファイナル・ワンマン・ライヴ』
4.17(Sat)
@渋谷クラブクアトロ

 THE SMITH、THE WHO、T.REX等々、次から次へとまるで50歳ぐらいのロック好きのiPodの中身のような曲たちがフロアを温めている(笑)。今日は久しぶりのおとぎ話の東京でのワンマンライブ。下北沢でのワンマンを一度挟むが、場所は去年の5/31のワンマンと同じ渋谷クラブクアトロだ。同じ場所ながら明らかに前回よりお客さんの期待値も高そうな空気感が会場にみなぎっている。
 1月20日に発売になったニューアルバム『FAIRYTALE』で伺えた、甘酸っぱい青春性たっぷりの音楽性から、テーマにしろサウンドにしろ大きくなったスケール感と、暗さや重さも含めたディープさ等、あのワイドさや奥行きがステージ上からどのように放たれるのかも興味の一つにはあった、この日のライヴ。結果から言うと、彼らはあの作品で見せた<一皮剥けた感>をシッカリと、全編に渡りステージから発していた。

 今回も我がラッカは彼らの物販を全面制作。Tシャツやら缶バッヂ風ミラーやらステッカーシートにタオルの2枚組セットと色々と作らせてもらった。もちろん打ち合わせは我社で、メンバーの馬鹿話が飛び交う中でだったのだが…(笑)。

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 まるで開演を告げる内ベルのように、アンプやそのヘッドの上に乗せられたLEDの電飾が一つひとつ燈され、幻想的な点滅がステージに満ちる。BGMもフェードアウトし、リンゴ・スターの「GOOD NIGHT」のSEが場内に流れると、発光したステージにメンバーが登場。ボーカル&ギターの有馬がステージの前にまるで守り神のように、小さな人形を置き、ドラムの前越がデモンストレーション的にドラムを叩き、そこにベースの風間、ギターの牛尾のメンバーたちがインプロ的に音を乗せる。「こんばんわ。おとぎ話です」と有馬。そんな中からドッシリとした8ビートナンバー「妖精」が現れる。間に、これからの<おとぎ話劇場>の主人公たちを紹介するかのように、各メンバー紹介も織り込まれる。2曲目の「I Like Sports」に突入すると、牛尾のギターソロも冴えわたり、サビの部分でステージがパーッと発光する。後半のテンポアップの箇所では会場も一気に高揚感を上げる。その高揚した気持ちをそのままに、聴き覚えのあるイントロが会場に響き渡る。3曲目は「ネオンBOYS」だ。もちろんサビの部分は会場中のクラップ入りの大合唱付き。早くも会場が笑みと一体感でいっぱいになる。ノンストップでベースの風間のベースラインから入った「HOPE」。おとき話的キンキーサウンドとも言える同曲は、途中でアヴァンギャルドな有馬と牛尾のギターソロを交え、ライヴならではの変則的なアレンジを魅せ、スピンオフ感を醸し出す。続いての「BLUE BLUE」では、ムーディでロマンティックな世界が聴き手を包む。この曲では有馬もシアトリカルな仕草で歌の世界観を歌唱以外でも演出。ロマンティックな雰囲気の中、牛尾のギターフレーズやソロが会場に響き渡り、有馬の描く歌世界に会場中がうっとりと浸り聴く。MCも無く、ノンストップでライヴは進行していく。次の「コトバとコトバ」が始まると、スイートで甘酸っぱい雰囲気が会場中に満ち、お客さんが各々自分の好きなコトバと、それを今晩にでも改めて愛しい人に伝えようかを思い浮かべる。

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 しばしチューニングタイムを挟み、風間のベースラインとライドを上手く活かした前越のドラムの上、有馬の歌う「好きだよ。僕はいつまで君を守ってやれるかな?」の刹那感が同居した「You」が始まる。この曲では、きっと会場中の多くが、愛しい人と一緒に自転車に乗っている自分を想像したことだろう。そして、「東京では初めて演る曲です」の有馬の一言のあとプレイされたのは、フラワーカンパニーズの代表曲「深夜高速」のカバー。ラストに向かうに連れ、ワイド感が増すそのバンド・アレンジと、メランコリックとセンチメンタルな成分は彼らならでは。作品同様、しっかりと<おとぎ話節>の混じったカバーとなっていた。有馬がアコギに持ち替え、弾き語りから曲に入った「泣きだしそう」。途中からの前越のタンバリンと風間、牛尾が順に入り、徐々にバンド・サウンドの骨格を生んでいく。
 「今まで対バンした全てのバンドマンに捧げます」との有馬の一言のあと放たれたのは「Super Star」。途中暴発するかのように牛尾のギターソロが70年代ギターヒーロー然としたアクション付きで炸裂する。スーパースターとの劇的な出会いに期待と感謝、そして、<スーパースターになっているいつの日かの自分>に会場中に思いを馳せさせた。

おとぎ話_IMG0307_4.17(Sat)@渋谷クラブクアトロ

 「ずっと音楽が友達だと思ってきたけど、実は音楽を共有するみんなが友達だったことに気ついた」そんな特別な気持ちを乗せて歌われた「White Song」。”この地平線がまだ見ぬ君に届いていればいいな”と歌われる同曲。「ありがとう」との有馬の叫びが会場中に感動の共有を生む。次の「俺たちに明日はない」では、後半ジワジワと光を取り戻して行くようなライヴアレンジに、最後はとてつもない高みへと会場中を誘う。
前曲の雰囲気をパッと変えるような明るい曲がここで飛び出す。最近ライヴ会場のみで手売りされているシングル「科学くん」だ。そのジャケットを飾っている前越がドラマティックなドラミングを聴かせる。そして、そこからノンストップで「Night Swimming」に突入。ロマンティックでスイート、それでいてセンチメントな歌の登場に、途中でミラーボールも回り出し、幻想的な雰囲気を演出する。「子供たちに捧げます」と有馬。続いてはカウパンクビートも交えたポップナンバー「こどものブギー」だ。そして、始業チャイム風のイントロが響き渡ると、会場中が甘酸っぱい気持ちでいっぱいになる。続いての「青春」では、キュンとした雰囲気の中、「おとぎ話はみんなのバンドです」との有馬の力強い一言が突き刺さる。ラストのハミングでは会場中が大合唱。幸せな雰囲気に包まれる。
「EVERYDAY 単純 前へ!」のメッセージと疾走ビート、略して「E.T.M.」が始まると会場中からコブシが上がり、会場がより前へと押し寄せる。勢いのあるナンバーは続く。「BOY’S BEAT」では、勢いがありながらもダンサブル性のある曲に会場中が踊る。そして、その勢いを止めたくなかったのだろう。”盛り上がる気持ちが抑えられない!!”とばかりに、ここで急遽セットリストにない「GALAXY」がインサートされる。この曲では牛尾お得意の大車輪奏法がも飛び出す。気分はすっかりピート・タウンゼントだ。客席からの手拍子の中、「Festival Express」が始まる。「あの日の約束をいつか手にするまでは 僕らは止まらないだろう」の力強い歌詞に、”そうだ、泣いてなんかいられない!!”と会場中が同調する。本編ラストはしっとりとした雰囲気が会場内を包んだ「とびらをあける」。前越から感謝の意を込めてポケット菓子(有馬のお父さんの差し入れ)が客席に投げ込まれた。

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 ここからはアンコール。まずは明るく、今日から彼女になる女子心が歌われた「ハートのうた」がプレイされる。ウキウキとした気持ちになる曲に、会場中も明るくなる。そして、有馬がハンドマイクに持ち替え歌った「クラシック」と弾んだ曲は続く。そして、ミッドテンポの歌に聴き入るオーディエンスの姿も印象的だった「ロードムービー」では、牛尾のボトルネックが会場に響く。新曲「DEAD」が飛び出すと、ダイナミズム感溢れるサウンドに、「ひとりぼっちの夜を壊してくれるならいいな」のフレーズが会場の一人ひとりに刺さる。続いて、I Wanna Your Boyfriend感が会場をいっぱいにした「BOYS DON’T CRY」。「Fun Club」では、会場に更なる一体感を生み、大団円ながら、ラストの怒涛性が最後に会場を惹き込む。で、本来はここで一度引っ込むはずであったのだが、先程ファンが演って欲しいとリクエストをした「パレード」をボーナスでプレイ。この嬉しいサプライズに会場も大盛り上がり。そう、おとぎ話のパレードは今後も続いていくのだ。

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 そして、ダブル・アンコール。みんなの心に青空を描かせ、広がられた「ファンファーレ」。そして正真正銘のラストは、有馬のアコギの弾き語りに、会場中が手拍子と大合唱で応えた「SMILE」。中盤からはバンド・サウンドが加わり、歌世界の景色感や背景感を確立した。

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 全部で29曲。通常のバンドなら3時間は超えるであろう、このセットを、彼らは時間にして2時間半という誠に飽きさせずしかも大いなる満足感を持って、ゲストや飛び道具、過度な演出が全くナシに展開してみせた。以前見られたナアナアなところも、ダラけたところも、MCや各人のキャラに頼るところもなく、<あくまでも音楽で勝負!!><これが今の自分たちの本質だ!!>、そんなネイキッドさを見せつけられた気がした。と語ると、いかにもストイックで真摯なイメージを持たれるかもしれない。しかし、そこにはキチンとした楽しさやポップ感といった彼ららしさを残してのことだ。これこそが、この去年と同じ会場ながら決定的に違っていたところなのだろう。<ライヴバンド・おとぎ話>を改めて感じた一夜であった、この日のライヴ。昨年の同じ場所よりも数段大きく彼らの姿が映ったことを、最後に付け加えておきたい。

Live Report : 池田スカオ和宏


【SET LIST】
M-1 妖精
M-2  I Like Sports
M-3 ネオンBOYS
M-4 HOPE
M-5 BLUE BLUE
M-6 コトバとコトバ
M-7 You
M-8 深夜高速
M-9 泣きだしそう
M-10 Super Star
M-11 White Song
M-12 俺たちに明日はない
M-13 科学くん
M-14 Night Swimming
M-15 こどものブギー
M-16 青春
M-17 E.T.M.
M-18 BOY’S BEAT
M-19 GALAXY
M-20 Festival Express
M-21 とびらをあける
Encore
En-1 ハートのうた
En-2 クラシック
En-3 ロードムービー
En-4 DEAD
En-5 BOYS DON’T CRY
En-6 Fun Club
En-7 パレード
DOUBLE Encore
W-En-1 ファンファーレ
W-En-2 SMILE


【MEMBER】
おとぎ話_アーティスト写真_2010
有馬和樹(Vo.& Gr.) 81年生まれ 横浜市出身
風間洋隆(B.) 81年生まれ 新潟県三条市出身
牛尾健太(G.&Cho.) 83年生まれ 広島市南区出身
前越啓輔(Dr.&Cho.) 81年生まれ 石川県白山市(旧松任市)出身


【PROFILE】
2000年春、全ての作詞作曲を手がける有馬(vo,天然パーマ,横浜出身)が明治学院大学
で出会った風間君(b,新潟出身)と「おとぎ話」を結成。その後、牛尾君(g、広島出身)、前越君(dr,石川出身)が加入。
東京のオルタナの総本山的な東高円寺UFO CLUBを中心にライブ活動をしていたが、
勇気を出して銀杏BOYZの峯田さんに渡したデモテープがきっかけとなり、
2005年7月、銀杏BOYZの世界ツアーいわきclubSONICで夢の狂演。
それから満を持して2007年1月1stシングル「KIDS / クラッシュ」、9月1stアルバム「SALE」をリリース。
11月に行われた、おとぎ話初のワンマンライブ@下北沢CLUB Queはチケット完売。大盛況の内に終わる。
大阪での夏フェス「RUSH BALL07」、東京幕張での「カウントダウンジャパン07/08」への出演などでも話題を集める。
2008年3月名曲SMILEの収録された「Hello Goodbye ep.」リリース。
2008年10月2ndアルバム『理由なき反抗』をリリース。
12月 幕張カウントダウンジャパン08/09出演
2009年5月「青春GALAXY E.P.」リリース。リリースツアーを、東京渋谷クラブクアトロ、・名古屋アポロシアター・大阪十三ファンダンゴで開催。
2010年1月20日3rdアルバム『FAIRYTALE』発売。
2月3rd album「FAIRYTALE」レコ発ツアースタート。4月17日渋谷クアトロでの2度目のワンマンライヴを成功させる。
POPの端っこにいながら、ROCKのド真ん中」を目指して、今日も元気に演奏中。つづく…..


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おとぎ話「Fairytale」
3rd Album
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M-1. WHITE SONG
M-2. ファンファーレ
M-3. 妖精
M-4. E. T. M.
M-5. コトバとコトバ
M-6. I LIKE SPORTS
M-7. 泣きだしそう
M-8. superstar
M-9. ハートのうた
M-10. こどものブギー
M-11. BOY’S BEAT
M-12. ロードムービー
M-13. 青春 (naked)


【LIVE SCHEDULE】
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【ARTIST HOMEPAGE】
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