キドリキドリはKidoriKidoriに

Filed under: LIVE REPORT — タグ: , — LUCK'A @ 2013.11.02

キドリキドリはKidoriKidoriに


キドリキドリはKidoriKidoriに
おさらい、その1
 関西では初のライヴとなった、6月5日の心斎橋Pangeaでのワンマンライブ後、バンド表記を「キドリキドリ」から「Kidori Kidori」へと変えた彼ら。
その理由を、ボーカル&ギターのマッシュは、自身のブログで「我々の中で気持ちを新たに頑張りたい、今よりもっともっと頑張っていきたいという気持ちを込めて、それなら心機一転、表記を変えようということになりました。最近、キドリキドリ改めKidori Kidoriのメンバーの意識が凄く高まってきていて、このままキドリキドリとしてやっても構わないけど、より拍車をかけて高めれば、もっと良い音楽が作れるようになると思いました。
 でも、根本的にメンバーが変わるわけでも音楽性がガラっと変わるわけでもなく、Kidori Kidoriもキドリキドリも基本は同じです。ただ、内に秘めたる炎というか、僕らはギラギラと呼びますが、それがより増した状態にある、ということです」と語っていました。
 表記も変え、ますますバンド内の気運も高まっている彼らの今後に期待大ですね。


『El Blanco』のジャケットは...
picka.lucka.jp14_kidori_jacketおさらい、その2
 Kidori Kidoriは、この7月10日に1stミニアルバム『El Blanco』をリリースしました。スペイン語で「白」の意味を持つ今回のタイトル。改名以降の真新しい彼らを感じるには充分な充実した作品内容でした。そんな今作のジャケット/ブックレットのデザインは、LUCKON GRAPHICSのKawamoto Uが担当しました。このデザインについての本人のコメントは、http://picka.lucka.jp/3536 に掲載。是非ご覧ください。

LUCKON GRAPHICS HP
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このツアーより加わったニューグッズたち
今回のKidori Kidori “El Blanco” Release Tourから、2種の彼らのニューグッズが販売開始されました。ツアー初日の8月4日の京都nanoから販売を開始した「おばけ雲タオル」と、ロングセラーを続けている「おばけTシャツ」の新色として、9月20日の渋谷o-nestより販売開始されたメランジレッドです。

「このタオルのデザインは秀逸だと思います。いわゆるタオルのデザインとしてしっかりと作られたものなので。あと彼らが一番最初に作ったもので、未だにロングランを続けているTシャツの新色が今回出ました。こちらは彼らと付き合い出した頃に作ったものの別色なんですけど。今回制作するにあたって、当時の色々なことを思い出しましたね」(マーチャンカトー)

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そして、おさらい、その3。
彼らの現在販売しているグッズの一覧と、9月20日のグッズ売り場の写真です。みなさんは幾つ持っていますか? うーん、全て欲しくなっちゃいますね。

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LUCK’A WARKS
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"Kidori Kidoriのまともなイベント vol.3"開催
予習 その1
来年1月15日にキドリキドリ主催のイベント”Kidori Kidoriのまともなイベント”の第3回目が心斎橋 Pangeaで開催されます。過去の第1回・第2回ともにチケット完売を記録している人気のイベントなので、みなさんチケットはお早目に。

“Kidori Kidoriのまともなイベント vol.3”
2014.01.15 (wed) @心斎橋 Pangea
Act. Kidori Kidori and more
open 18:30 / start 19:30
adv ¥2,300 / door ¥2,800 (+1D)


Kidori Kidoriが魅せた、秘めたるラディカルスピリッツ
Kidori Kidori
“El Blanco” Release Tour
W / Sawagi、STOROBOY
2013.9.20 @ Shibuya O-nest

 いつもKidori Kidoriのライヴを観たり、作品を聴く度に思う。彼らに全くの予備知識がない人が、彼らの音楽に接した時、どこの国の人が演っている音楽だと思うだろうか?はたまた、それが日本人が演っている音楽と聞いて、その人たちは、どのような感想を持つだろうか?
 明らかに欧米ロックの洗礼を受けながらも、それだけではないメロディセンスや歌唱。例えば、英語詞ならば普通はもう少し、ふわっと流れるところがあったりもするが、その歌われる言葉は、どれも硬質でキビキビとしている。オリエンタルなところもあれば、カリブ~プエルトリコを彷彿させたり、ポルトガルやスペインといったイベリア半島系のメロディセンスも感じる。まっ、本人たちに全く意識はないだろうが、なんか他のJ-ROCKにはない不思議な無国籍具合があるのだ。それは彼らのニューミニアルバム『El Blanco』からも強く感じられた。

 その『El Blanco』のリリースタイミングよりバンド表記を「キドリキドリ」から「Kidori Kidori」へ変えた彼ら。この意図に関してボーカル&ギターのマッシュは、「意味は特になく、気分で」と語っていた。とは言え、作品を追うごとにカッティングエッジになっていき、歌詞もよりメッセージ性を帯び、とんがり、その鋭角度を増している彼らの場合、やはり、よりシャープな印象を受けるKidori Kidoriの表記の方が、今のバンドのスタンスや勢いを表せている気がする。

 8月4日の京都nanoからスタートした今回の『”El Blanco” Release Tour』は、7月10日発売の上述の新作ミニアルバム『El Blanco』を発売して行われてきたもの。「一度、物事を白紙に戻して、Kidori Kidoriとして新たなキャリアをスタートさせるべくつけたタイトル」とボーカル&ギターのマッシュがブログで語っていた通り、スペイン語で「白」の意味を持つ今作のタイトルよろしく、このツアーもある意味、今までとは違った新鮮味を持って臨んだにちがいない。そんな中でも、ラスト3回の東名阪のツアーは、より特別な思いで臨んだと見受けられ、渋谷でのSawagi、STOROBOYとの共演を始め、名古屋ではSHISHAMO、大阪ではCharisma.comをゲストに迎え、ある意味、異種格闘的な対バンと己の音楽性をぶつけ合う形がそれらを物語っているようにも映った。

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 私がこの日、会場に着くと、残念ながらトップのSTOROBOYは既に終わっており、2番手のSawagiがセッティングを行っているところであった。このSawagiも実は古くから我がラッカでタオル等のグッズを制作させてもらっているグループだ。
 この日も終始、血沸き肉躍るライヴを展開してくれた彼ら。いきなり日本独特の土着性にエレクトロの要素を交えたオリジナリティ溢れるサウンドで会場を楽しそうに躍らせるところから、この日のライブは入った。ほぼノンストップで進んでいくそのライブは、ポリリズムなギターが印象的なナンバーやフュージョンmeetsレイビーなナンバー等を放出。フロアごと身体を揺らしたり、踊ったり、ジャンプしたりさせられる。そんな中、”おっ?!”と思ったのが、ラグタイムピアノ~ブギヴギから入ったナンバーであった。同曲では繊細な部分からダイナミズムなところまで、一つの大きなストーリーを思い浮かばせる展開を披露。流麗なピアノから始まり、インしたラスト曲では、オーディエンスたちのタオルも大旋回。文字通りフロアを大騒ぎさせた30分であった。

 ドラムが上手(かみて)内側向きにセッティングされ、Kidori Kidoriのサインボードが赤く灯される。次はいよいよKidori Kidoriだ。
 手拍子に乗り、ドラム&コーラスの川元直樹、ベース&コーラスのンヌゥ、そしてマッシュの順に3人がステージに現れる。川元がドラム椅子の上に乗り、フロアの手拍子を更に煽る。マッシュがブースターを踏み、フィードバック音を作り出す。加えシャウトと3人によるデモンストレーションがライヴ開始のイントロデュースを務める。ミニアルバム『El Blanco』のレコ発ライヴということもあり、同作品からの曲をほとんどやりながらも、これまでの作品からの現時点でのべスト的な内容で臨んできた、この日。ホラー気味のスリリングでサイコなギターリフが狂乱を誘った1曲目の「The Song Of New Age Rock’n’Roll」から、フロアを躍らせにかかる。1stアルバムの1曲目を飾っていた同曲が、この日のライヴの口火を切ると、続いての「2010」では、バスドラを踏みながら川元がスティックでフロアを扇動していき、ベースのンヌゥがグルーヴィーにベースラインを運んでいく。そのンヌゥの硬質なベースのダウンピッキングから入った、次曲の「浮世ヴェイナ―」は2nd アルバムからのナンバー。川元のリズムキープの上をまるで泳ぐように、独特のフロウでマッシュが歌う。

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 「今日は集まってくれてありがとう。大阪のKidori Kidoriです。よろしく」と、”大阪発”をアピール。MCを短く切り上げると、すかさず「○○病院」に入る。ようやくここで最新ニューミニアルバムからのナンバーが飛び出すと、マッシュのギターリフに合わせ場内からもクラップが起こる。マッシュの性急的なボーカルに、それとは対照的なポップで軽やかなンヌゥ、川元の2人によるコーラスが、強張った曲にマイルドさとポップさを寄与していく。続いて比較的ミディアムな、こちらも最新作からのナンバー「Mourning In The Morning」を挟み、ここらは穏やかなゾーンが続く…と思いきや、「Finaly Find」では、穏やかに入りながらも、牧歌的→エモ→牧歌的→エモと楽曲を目まぐるしく変化させていく。しかもスムーズに。そして、会場をグイグイと高見に誘った「Nerd In The Room」がすかさず連射されていく。

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 ここでツアーを振り返るMCと、ラッカ制作のTシャツに新色が加わったという物販の告知が挟まり、ライヴは中盤戦へ。
「ミュージシャンにとっても、みなさんにとっても生きづらい世の中ですね。って曲をやります」とマッシュ。「This Ocean Is Killing Me」に入る。メローでディメンションの効いたメロディアスなアルペジオに乗せ、秘めていた気持ちや想いが同曲の広がりに合わせ、ブワッと会場の隅々にまで浸透していく。
 続いてはアグレッシヴなレゲエナンバー「Paperhouse」。ミューアルバムの中でもいささか白眉だった楽曲が、ここで飛び出す。ダウンビートのカッティングこそないが、リズム隊はダビーなレゲエビートを育んでいく。元々レベルソングであるレゲエを、あえてアグレッシヴ&オフェンシング感たっぷりに伝えるのがいかにも彼ららしい。間にはハードロック的インプロビゼーションも魅せ、場内の高揚がグンと引き上げられていく。

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 ここからは後半戦。盛り上がりナンバーの連発が場内をグイグイと引っ張っていく。「HHH」ではサビに合わせてのフロアの呼応を目の当たりにし、フランジャーの効いたカオスなマッシュのギターに、ドライヴ感のあるンヌゥのベース。前のめりな性急的なリズムが場内の緊張感を走り出す方向へと転換させた「Silly」、同曲ではマッシュもエキサイトして「渋谷~!!!」とシャウト。どことなくクールで押し通してきた中、感情を抑えきれず自然と言葉が溢れ出てきてたかのような瞬間を見た。

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 そして、これまたニューアルバムからの白眉ナンバー「Watch Out!!!」が飛び出し、スカナンバーの登場に会場中でステップ&ストンプの嵐が巻き起こる。続いて、再びライヴを走り出させた「Say Hello!(I’m not a slave)」、そこからノンストップで繋がれた「Everytime I See You」では、グワっと一気にアドレナリンも大分泌。クライマックスに向け、ライブは沸点を迎える。そして、ラストは「一番ハートの込もった曲を演って帰ります」との宣言通り、疾走感のある「NUKE?」が飛び出し、フロアではクラウドサーフやモッシュといったラウドロックさながらの熱狂的な光景が繰り広げられた。
 あえてアンコールをしないと事前に宣言していたとおり、彼らはステージを降り、長い再登場のリクエストを受けながらも、3人は再びステージに現れることはなかった。

 過激な格好をしなくても、荒がったことや好戦的な歌を歌わずとも、充分にとんがったラディカルさを感じる今のKidori Kidori。本当のレベルミュージックというのは、もしかしたら彼らのような音楽性なのかもしれない…と、彼らのライブ中、何度も思った。

 
Report 池田スカオ和宏


【SETLIST】

1.The Song Of New Age Rock’n’Roll
2.2010
3.浮世ヴェイナ―
4.○○病院
5.Mourning In The Morning
6.Finaly Find
7.Nerd In The Room
8.This Ocean Is Killing Me
9.Paperhouse
10.HHH
11.Silly
12.Watch Out!!!
13.Say Hello!(I’m not a slave)
14.Everytime I See You
15.NUKE?


INFORMATION

【MEMBER】

KidoriKidori

【MEMBER】

Vox&G. マッシュ
B.&Cho. ンヌゥ
Dr.&Cho. 川元直樹


【PROFILE】

UKロック、パンク、ハードコア、ジャズ、ファンク、プログレ、テクノ、J-POP、さらにはワールドまで、一見バラバラともとれる音楽性を見事に昇華し、独自の音楽として再構築した楽曲は、地元大阪にとどまらず全国規模でも話題になり、要注目バンドとして急速に認知を広めている。
超英文学的に世の中への批判を散りばめた歌詞を早口に歌い上げるイギリスはウェールズ出身のギターボーカル、ニコニコ動画にて10万回も再生されたほどのテクニックを持つガチヲタニートベーシスト、そしてオニギリ大好き好青年ドラムによるスリーピースバンド。
バンド名は村上春樹作『ねじまき鳥クロニクル』から。
2008年9月より本格的に活動を開始し、2011年7月に初の全国流通盤となる『El Primero』を自主レーベル「Polka Dot records」よりリリースし、各地でロングセールスとなる。
2012年8月に待望の2nd Album『La Primera』をリリース。
2013年7月、Mini Album『El Blanco』をリリース。
底知れぬ音楽への探究心と、進化を見せつける作品となる。
脈々と時代ごとに受け継がれてきた英語のロックを、2010年代で担っていく重要な存在となるにちがいない。


【NEW ITEM】

NEW MINI ALBUM
『El Blanco』
PDRD-1003
¥1,500 (tax in)
[Polka Dot records / HIP LAND MUSIC]
2013.07.10 release

01. Watch Out!!!
02. Silly
03. Paperhouse
04. Mourning In The Morning
05. ◯◯病院
06. I Laid Down


【ARTIST HOMEPAGE】

http://kidorikidori.jp/


【LIVE INFORMATION】

http://kidorikidori.jp/live/

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