Spitz in SUMMER 2013

Filed under: LIVE REPORT — タグ: , — LUCK'A @ 2013.09.29

Spitz in SUMMER 2013


ニューアルバム『小さな生き物』、オリコンウィークリーチャートアルバム第1位獲得!!

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スピッツの3年ぶり14枚目のオリジナルアルバム『小さな生き物』が9月11日に発売されました。やはり多くの方が待望していたのでしょう。その週のオリコンのアルバムチャートでは第1位を記録しました。デラックスエディション 完全数量限定生産盤(SHM-CD + 2Blu-ray、SHM-CD + 2DVD)、期間限定盤(SHM-CD + 2Blu-ray、SHM-CD + 2DVD)、通常盤、アナログ盤の計6形態でのリリースされた今回。これまで以上に多彩で、様々なことに挑戦している、隠されたメッセージや今伝えるべきことに満ちた全13曲となっています。これまでにないほど身近に感じ、3.11以後の自身やそれを取り巻く環境の変化、大切なものや守らなくてはいけないものに改めて気づかされた、聴いているうちに自己を問いかけ、言い聞かせるかのような1枚のように思えました。まだ、お持ちでない方がおられましたら是非。ホント素晴らしいアルバムです。
詳細は INFORMATION


ショルダー&レコードバッグ初登場!!
スピッツは今夏、下記のイベントやフェスで熱いライヴを繰り広げました。そして、我がLUCK’A Inc.も、各地で販売されたサマーグッズ全てのデザインと制作に携わらせていただきました。

ロックのほそ道
8/13(火) 岩手県民会館 大ホール
8/15(木) 仙台サンプラザホール

MONSTER baSH 2013
8/24(土) 国営讃岐まんのう公園 (香川県仲多度郡まんのう町)

ロックロックこんにちは!Ver.17 ~五・七・五~
8/29(木)・30(金) Zepp Namba (OSAKA)

「スピッツの過去に制作してきたものを掘り下げると同時に、従来のファンはもとより、新たに広がった若いファン層にも届くようなデザインを考える上で、スピッツの“ロックバンド”という面をバランスよく前に出そうという方向にしました。なので、多少のエッジ感がデザインを通して感じていただけると思います。Tシャツのカラーリングも夏らしく構成してみました!」マーチャンカトー

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「ロゴTシャツの方は、スピッツのロゴをTシャツで着やすい形に組み替え、キャンパス地に絵の具を塗ったような背景と組み合わせたデザインにしてみました。そして、SUMMER Tシャツ(ネイビー)の方は、「小さな生き物を少し意識したデザインになっています。原始的な生き物(生物が細胞レベルで“小さな”頃からいる)であるクラゲをコラージュしています。透明感のある姿からは“水”を、ふわふわと漂う姿からは“旅”(進化)を連想してデザインしました」LUCKON GRAPHICS

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「アイテムに関しても、定番もの以外はウェットティッシュとモバイルポーチを作成しました。ウェットティッシュの方は、遊び心のあるボトル型にしています。またモバイルポーチは、弊社のオリジナルのコインケースの素材を使っての変形型のポーチを、スピッツのオリジナルとして提案させてもらいました。こちらはスマートフォンやカードも入り、水にも強い素材を使っており、夏フェスのグッズとしても重宝されるものが出来たかなと」マーチャンカトー

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スピッツ 横浜サンセット2013
ここ数年行ってきたスピッツの夏のイベント『新木場サンセット』が、今年は場所を新木場STUDIO COASTから、この横浜・赤レンガパーク野外特設会場に移し、『スピッツ 横浜サンセット2013』と題され開催されました。単独での野外ライヴとしては実に16年振り。関東圏での野外単独ライヴとしては、初となった今回のイベント。そんな待望のライヴであることもあり、会場の赤レンガパークには早くから、グッズの購入も含め、彼らのライヴを心待ちにしている人々で溢れていました。

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「たった1日のプレミアム感最大の野外での単独ライヴということで、その分、プレッシャーも大きかったですが、燃えましたね(笑)」マ―チャンカトー

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「好評をいただいたボーダーTシャツは表裏全面プリントで、相当こだわりました。サイズに応じてキチンと図版の大きさも調整してます」マーチャンカトー

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「横浜・赤レンガ倉庫の“レンガ”とサンセットを組み合わせたデザインです。夕日が水面に映っている様子ですが、水面に反射した光がレンガのようになっています。また、ボーダーTシャツの方は、横浜赤レンガ倉庫での野外ライヴということで、この日の素敵なライヴをいつまでも思い出せるように、ボーダーを水平線に見立てつつ、会場近場から見える横浜固有の景色をポイントでレイアウトしました」LUCKON GRAPHICS

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「夏の野外を意識して作りました。これはリストバンドとしてもペットボトルのフォルダーとしても使えるんですけど、それが伝わりづらい懸念があったんで、パッケージをあえてペットボトル型の台紙にしました。カップの方は、あえてコアなファン層に向けて作りました。本物志向とアウトドアの2面性を持っているアイテムです。色も他にも色々とありましたが、この5色に決定しました。このホーローじゃないと出せない風合いや、一つ一つに味があり、メンバーさんも気に入って下さっているようなので嬉しいです」マーチャンカトー

ガチャガチャ(全7種のうちどれか一つ入り)
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「正直ガチャガチャの中身が一番大変でした(笑)。過去にも実施したことがあったと聞いたので、種類もあえて一色1アイテムで7種類提案させてもらいました。一回の値段に見合ったもので、カプセルに入るもの、過去作ったことのない多くの人に満足していただけるものを探し出すのは大変でした。中でもボトルのキャップは、せっかくボトルドレッサーがあったんで、それにリンクさせたものや、あと、カラビナはSpitzのSの文字と実際に使用できるものが出来たのは良かったかなと」マーチャンカトー

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「デザイナー含め、社内総出でアイデアを出し合ったこともあり、みんなで作り上げた意識が高いです。そんな機会を頂けたことに、ほんと感謝をしたいです。当日も会場限定グッズは全て早い段階で完売だったようだし、私自身グッズを求めて下さるお客さまの長蛇の列を目の当たりにし、心踊らされ、そしてスピッツのステージを見ながら、いろんなものが込みあげてきて目頭が熱くなりました」マーチャンカトー

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いよいよ今秋、待望の全国53公演『SPITZ JAMBOREE TOUR 2013-2014 “小さな生き物”』スタート
11月1日からは待望の全国53公演のツアーがスタートします。ニューアルバム『小さな生き物』を引っ提げての今回のツアー。今回も彼ららしく、全国津々浦々を細かく回り、みなさんに「歌」が届けられることでしょう。
新曲たちがどのように私たちに直に届き、響いてくるのか、今からワクワクしますね。

『SPITZ JAMBOREE TOUR 2013-2014 “小さな生き物”』2013年
11月1日(金) 千葉県 市川市文化会館
11月5日(火) 群馬県 ベイシア文化ホール
11月7日(木) 栃木県 宇都宮市文化会館
11月11日(月)、12日(火) 宮城県 仙台サンプラザホール
11月14日(木) 福島県 いわき芸術文化交流館アリオス 大ホール
11月18日(月) 新潟県 新潟県民会館
11月23日(土・祝)、24日(日) 北海道 ニトリ文化ホール
12月2日(月) 香川県 アルファあなぶきホール(香川県県民ホール)
12月4日(水)、5日(木) 広島県 広島文化学園HBGホール(広島市文化交流会館)
12月14日(土) 兵庫県 神戸国際会館こくさいホール
12月16日(月)、17日(火) 大阪府 フェスティバルホール
12月23日(月・祝) 三重県 三重県文化会館
12月25日(水)、26日(木) 愛知県 名古屋センチュリーホール

2014年
1月25日(土) 静岡県 静岡市民文化会館 大ホール
1月30日(木)、31日(金)東京都 NHKホール
2月3日(月) 神奈川県 相模女子大学グリーンホール
2月8日(土)、9日(日) 福岡県 福岡サンパレス
2月11日(火・祝) 長崎県 長崎ブリックホール
2月17日(月)、18日(火) 埼玉県 大宮ソニックシティホール
2月22日(土) 和歌山県 和歌山県民文化会館大ホール
2月24日(月)、25日(火) 大阪府 オリックス劇場(旧大阪厚生年金会館)
3月4日(火) 山口県 下関市民会館大ホール
3月6日(木) 岡山県 倉敷市民会館
3月8日(土) 鳥取県 とりぎん文化会館 梨花ホール
3月13日(木)、14日(金) 東京都 Zepp Tokyo
3月18日(火)、19日(水) 大阪府 Zepp Namba(OSAKA)
3月28日(金) 宮崎県 宮崎市民文化ホール
3月29日(土) 鹿児島県 鹿児島市民文化ホール第一
3月31日(月) 福岡県 Zepp Fukuoka
4月5日(土) 長野県 ホクト文化ホール(長野県県民文化会館)
4月11日(金) 沖縄県 沖縄コンベンション劇場
4月12日(土) 沖縄県 ミュージックタウン音市場
4月20日(日) 北海道 北見市民会館
4月22日(火) 北海道 苫小牧市民会館大ホール
4月23日(水) 北海道 Zepp Sapporo
4月28日(月) 石川県 金沢歌劇座
4月30日(水) 愛知県 Zepp Nagoya
5月6日(火・祝) 青森県 リンクステーションホール青森(青森市文化会館)
5月8日(木) 秋田県 秋田県民会館
5月15日(木) 滋賀県 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール大ホール
5月17日(土) 愛媛県 松山市民会館
5月19日(月) 高知県 高知県立県民文化ホールオレンジホール


スピッツが野外の横浜で味わわせてくれた素晴らしいひと時
スピッツ
スピッツ 横浜サンセット2013
2013.9.14@横浜・赤レンガパーク野外特設会場

規模やスケール、動員を含め、スピッツのいつものワンマンを拡大化したライヴに表層は留めながらも、シチュエーションや選曲の特別性も手伝い、終始この日ならではのスペシャルさに満ちていたライヴであった。と同時に、どんなに会場やステージが広くとも、どんなに遠くでプレイされ歌われようが、スピッツの歌の数々は、常に我々に真っ直ぐ届き、身近に居続けてくれるものばかりであることを改めて実感した一夜であった。

ここ数年行ってきたスピッツの夏のイベント『新木場サンセット』が、今年は場所を新木場STUDIO COASTから、この横浜・赤レンガパーク野外特設会場に移し、『スピッツ 横浜サンセット2013』と題され開催された。単独での野外ライヴとしては、1997年8月に岩手の小岩井農場にて開催された『THE GREAT JAMBOREE ’97 IN KOIWAI “みちのく夕焼け兄弟”』以来実に16年振り。関東圏での野外単独ライヴとしては、意外にも初となる。そんな待望のライヴであることもあり、チケットは早期にソールドアウト。オールスタンディングの場内に集まった老若男女に、彼らが国民的なロックバンドであることを改めて実感する。
そんな偉大なロックバンドのグッズ制作案件が、我がLUCK’A Inc.代表のカトーに舞い降りてきた。それを受け、この夏よりスタッフ総出でニューグッズのプロデュース&デザイン制作を敢行。この夏多く出演したイベント時に販売されたグッズや、この『スピッツ 横浜サンセット2013』に於いても、即完売となったプレミアムグッズをはじめ、長蛇の列になったガチャガチャアイテムも含め、当日販売された全てのグッズに携わらせてもらった。

ステージのバックには、今回のイベントロゴを真ん中に、ランプ、金魚、イカリ、赤い靴、スワンといったスパンコールで出来たバックドロップたちが風に揺れ、キラキラとした流れを作り出している。ランプ、金魚はニューアルバムのリリックにも出てくるし、イカリや赤い靴は、港・横浜だからかな…。なんてことを少し涼しさの混じり出した夕刻帯。海からの適度な潮風を浴びながら考えていた。

左右の巨大スクリーンにステージに上がるメンバーの姿が映し出された。みんな”行くぞ!”といった面持ちだ。
ステージに上がった各人がスタンバイに入る。ベースの田村明浩は、なんと今回のグッズでもある横浜の街をイメージした、ボーダーTシャツを着てくれているではないか。
ミディアムテンポの「恋のうた」から始まった、この日。てっきり掴み力の高い勢いのあるナンバーからの開始を予想していたのだが、逆にその裏切りが嬉しい。”先は長いんだし、ゆっくりマイペースでやっていくよ”とでも言うかのように、大らかな気持ちに浸らせてくれた同曲。ボーカル&ギターの草野マサムネもギターを持たずにハンドマイクスタイルで片手にはシェイカーを持ちリズムを刻み、ギターの三輪テツヤのアルペジオギターの上、まずはステージの馴染みや広さ、観客の多さや会場の広さを確認し、ゆっくりと奥まで届けるように同曲を会場の隅々にまで染み渡らせていく。

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草野がギターを持ち、2曲目の「涙がキラリ☆」に入ると、溢れんばかりのダイナミズムが会場全体に広がっていく。まるで1曲目で届けるべく広さを把握し、次曲でパーッと一気に奥まで届けにかかるような流れだ。「♪心と心をつないでる かすかな光♪」のリリックが、ことさら力強く響く。3曲目の「みそか」に入ると、ロックバンド・スピッツの真骨頂が魅せつけられる。三輪のディストーションギターと田村のダウンピッキングのベースがオーディエンスの心をグイッとステージへと惹きつける。同曲を機に加速されていくライヴ。特にサビの疾走部分では会場も合わせてライドオン。早くも田村はアクティブに広いステージを無尽に走り回りプレイしている。同曲ラストの目玉は、やはりドラムス﨑山龍男のツインペダルキック。彼の連打するバスドラが会場に地響きを起こす。

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ここでMC。「後の方の人、見えますか?」と手を振る草野。遅れて返ってくる後ろからの歓声と、その怒涛さに、改めて会場の広さと観客の多さ、このライヴへの待望さを体感する。「今日は暑かったけど、パワーを残してますか? 最後まで精一杯やりますのでよろしく」と草野が結ぶ。

再びライヴに入ると、涼風のようなポップさが会場に呼び込まれる。続く「ハチミツ」は、間には会場のお約束とも言える手拍子が楽曲の演出の一つを担っていき、スネアにアクセントをつけた﨑山の弾んだドラミングが牧歌さを高めていく。

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続いてはニューアルバム『小さな生き物』から「僕はきっと旅に出る」。サポートキーボードのクジヒロコの鍵盤によるイントロから入った同曲に、﨑山がダイナミックスを加えていく。正直、この曲を演るとしたらラストの方だろうと勝手に予想していたのだが、この序盤での登場には逆に、この日の彼らからのこれからへの決意表明みたいなものも感じた。
クジのオルガンがノスタルジーを引き連れてくる。次曲はこの時期にぴったりの「夏が終わる」だ。20年も前の曲なのだが、このシチュエーションも手伝い、逆に今だからこその瑞々しさを感じた。三輪のファンキーなギターカッティングが会場にゆったりと横揺れを起こす。リリックの「♪暑すぎた夏が終わる 音もたてずに♪」がまさに今の時期にジャストリンク。同曲と共に、みんなが特別に暑かったこの夏を振り返り、来るべき秋へと思いを馳せていく。
草野のギターと歌い出しから始まった次の「小さな生き物」もニューアルバムからの楽曲。ライヴでプレイされるのは初だ。歌われる密かな決意や意志が会場の想いと同化していく。クジがホルンのような音を演出的に楽曲に交える辺りもアルバムを上手く踏襲していた。

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ここでは三輪がMC。「だいぶ暗くなったなぁ。どうなん、スピッツは? こんな横浜のロマンティックさに合ってる?」と尋ねつつも、キャラクターよろしく「どうせ独りで来たんだろう?」と愛情の込もった毒舌をそこに加える。その後、草野にMCをタッチ。彼が先日スピッツがプロモーションの為、慣れないテレビ出演したことに言及。最後は「暑かったら遠慮なく避難できるところで聴いて下さい。そこまで届くように歌いますから」と力強く締める。

ライヴに戻る。続いての「さらさら」もニューアルバムからのナンバー。ナイスビューな景色感のあるサウンドと、グイッと僕らの手をつかんでくれるような歌詞がたまらない。「♪まだ続くと信じてる 朝が来るって信じてる 悲しみは忘れないまま♪」の歌詞がグイッと会場中の気持ちや想いを背負っていく。
続いては草野のクリスピーなアコギのストロークから始まった「ルキンフォー」。8分の6拍子のリズムのダイナミズムが会場中にゆったりと広がっていく。三輪のギターアルペジオやソロが夜空に吸い込まれていく。ドラムマシンというよりはリズムボックスといった趣きのチープな打ち込みドラミングから始まった「運命の人」では、草野のアコギと歌で始まりながらも、1番のサビではバンドサウンドが加わり、楽曲の描く景色に色を加えていく。サビのリリックの「♪神様~♪」のフレーズでは一斉に周りの電気が落ち、一瞬幻想状態に包まれ、そこから再び色を取り戻していくようにパーッと明るくなっていき、そのさまは感動的な名場面の一つとなった。

それにしても、この日はストレートに歌も演奏も届いてきた。今年私は、他にもこの会場で幾つかのライヴを観たのだが、どれも浜風に流されて音が流れてしまっていた。しかしこの日は違った。何か特殊な音響設備でもあったのか? それとも彼らの歌の真摯性によるものが強いのか? どの曲も一切風に流されずに私の胸元までストレートに飛び込んできた。

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話をライヴに戻す。ニューアルバムからのナンバー「りありてぃ」は、草野のエレキのロングトーンサスティーンから始まった。新作の中でもことさらロックバンド・スピッツを感じさせた同曲。三輪のソリッドなダウンカッティングも冴え、繰り出される疾走感に会場中が前のめりになっていく。また、同曲ではライティングも目まぐるしくムービング。ことさら楽曲の持つ疾走感を身体と目で体感させてくれる。
「バンドを組んで26年。こんなに広い所で出来て光栄です。いい場所だし。横浜は好きです」と草野。
ライヴに戻ると、ニューアルバムからの「ランプ」に入る。アコギとオルガンが中心のアレンジを楽しませてくれた同曲。ロマンティックな雰囲気に、会いたい人への愛しい気持ちが広がっていく。
「ちょっと古めの曲を聴いてもらいます」と、3rdアルバムから「アパート」が放たれる。同曲では草野もブルースハープを用い、ノスタルジーさにことさらの哀愁性を寄与していく。
左右の巨大なビジョンに、この日の美しい月がアップで映し出される。望遠で映し出されたその月は、クレーターまではっきり見えるほど。そしてこの演出を受け、次曲の「月に帰る」が歌われる。この曲も古く、収録アルバムは1stだ。バックライトに幻想的に浮かび上がるステージ上から放たれた同曲。空間系のエフェクトを効かせた三輪のギターソロもやけにロマンティックで夢幻的だ。

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「チェリー」のイントロが現れると、これまで以上に会場が沸く。硬質な田村のベースとタイトな﨑山のドラミング。ジャングリー気味な三輪のギターが会場の気持ちをグイッとステージへと近づかせる。もちろんサビは大合唱。漏れず私も大声で歌った。
「ここから徐々に熱くなっていてもいいかな?」と草野。とはいえ、続く「ついて来い」をあえて小声で伝えるのがいかにも彼ららしい。

ここからは後半戦。盛り上がりナンバーが連射される。シンセのミニマルなイントロから入った「渚」では、ゆったりと日没と再びの陽の出を味わわせてくれ、更にライヴを疾走させた「恋する凡人」、そして彼らのライヴの盛り上がり必至ナンバー「8823」「メモリーズ・カスタム」の連射は、幾つものハイライトシーンを生んでいった。特にリズム隊が躍動感を引き出し、その上に乗ったソリッドなギターカッティングや、田村のプレイしながらのハイジャンプが観ている者の高揚に更に火をつけた「8823」、田村のスラップベースやライヴならではのグルーヴやインプロビゼーションで会場中をグイグイ惹き込んでいった「メモリーズ・カスタム」では、ロックバンド・スピッツが炸裂。各楽曲に合わせて無数のコブシがステージに寄せられた。そして本編ラストでは三輪もアコギに持ち替え、牧歌的な「海を見に行こう」を披露。一旦彼らはステージを降りた。

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アンコールは3曲。まずは、ブレイブなイントロに会場が沸く、彼らの決意表明や所信表明であり、今でも全く色あせない「ヒバリのこころ」が、この大会場に高らか且つ誇らしげに響き渡っていく。

ここでMC。このシーンでは5人が一人づつしゃべる。まずは田村が、同時刻にここから程ない距離にある横浜スタジアムで演っているASIAN KUNG-FU GENERATIONに向かって、会場と共に拍手を送った後、昨今のメディア出演の際にマイブームを聞かれ、スピッツや音楽以外あまり他に趣味がないことに気づき困ったことを告白。しかし、それだけ音楽やスピッツが彼の人生を大きく占めていることをキチンと示す。また三輪は、「気持ち良くやらせてもらいました」と、この日を振り返り、あと、そこから目を凝らせば見える「ヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテル」の上に飾ってある羽根の生えた女神像の存在を教えてくれる。続いての﨑山は、実はこのライヴの実施が決まり今春一度下見に来、その際、この会場に隣接している赤レンガ倉庫内で食べたフルーツポンチが凄く美味しかったことを報告。しかし、続くクジが、「夏の終わりにスピッツと一緒に出来て良かった」と語り際、﨑山が食べた美味しい食べ物は、実はワッフルであったことを暴露。最後は草野が「ホント楽しい夜になりました」と締め、実は次曲で、これまでの自身の14枚のアルバム全てからの楽曲がプレイされていたことを教示。軽快なギターカッティングも印象的だった「ベビーフェイス」に入る。そしてラストは、<ダイナミックでワイルドなロックバンド・スピッツ>を誇示するかのように「夢追い虫」が歌われ、5人はステージを降りた。
次の瞬間、ステージ上空にはイベントの終了を慈しむように無数の打ち上げ花火が上げられ、それを見上げながら、彼らのライヴが終了したこと、そして2013年の夏が終わったことを、すこしひんやりとし出した外気と共に実感したのだった。

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時間にして2時間。正直このような大規模なワンマンライヴの中では、短い時間の部類に入るかもしれない。しかしそこには、アッと言う間だったとの感受はあったが、物足りなさは全くなかった。いや、むしろ終演後はこれ以上ない充足感が身体を包んでいた。
アンコールも入れて23曲。確かにこれまでのアルバムから満遍なくやったというスペシャリティや久々に演った曲、打ち上げ花火等はあったが、それ以外は大きな仕掛けやゲスト、サプライズ的な催しもなく、セットリストにしても、代表曲というよりは、ファンの間やライヴで人気の高い曲といった程度で、特に代表曲やヒット曲のオンパレードで占めたわけでもない。しかし振り返ると、そこで放たれたのは、この日この場所で聴きたかった曲や、この時期にしか聴けなかったり似合わなかったりする曲ばかり。その証拠に現れる曲、現れる曲に、”待ってました!””この曲が聴きたかった!!””この曲が聞けるとは!?”を連発している自分が居た。しかしそれを思ったのは、何も私だけではなかったようで、曲が現れる度に会場中から上がる、”待ってました!!”の感嘆や歓声、そして驚喜が、皆も同じ気持ちであることを示してくれていた。
特殊感や仰々しさは一切現さずとも、特別感やおもてなしでいっぱいだった、このワンナイトライヴ。会場をあとにする集まった老若男女の満足気な表情が、この日の特別感と充足感に満ちていたライヴを物語っていた。
Report : 池田スカオ和宏


【SETLIST】

1. 恋のうた
2. 涙がキラリ☆
3. みそか
4. ハチミツ
5. 僕はきっと旅に出る
6. 夏が終わる
7. 小さな生き物
8. さらさら
9. ルキンフォー
10. 運命の人
11. りありてぃ
12. ランプ
13. アパート
14. 月に帰る
15. チェリー
16. 渚
17. 恋する凡人
18. 8823
19. メモリーズ・カスタム
20. 海を見に行こう
Encore
En-1. ヒバリのこころ
En-2. ベビーフェイス
En-3. 夢追い虫


INFORMATION

【MEMBER】

picka.lucka.jp12_love_artistVo.& G. 草野マサムネ
G. 三輪テツヤ
B. 田村明浩
Dr. 﨑山龍男
That Evening Support
Key. クジヒロコ


【BIOGRAPHY】

1987年夏、結成。ライヴ開始。着実にファンを増やしていく。
1990年3月インディーズの「ミストラル」より初の6曲入りCD『ヒバリのこころ』リリース。
1991年3月、シングル『ヒバリのこころ』、アルバム『スピッツ』でメジャーデビュー。6月、初の東・名・阪ツアーを敢行。11月、初の全国ツアーを敢行。
1995年3月?4月『SPITZ JAMBOREE TOUR ’95 “春” 』渋谷公会堂、大阪厚生年金会館大ホール他、全国6ヶ所にて実施。4月、11枚目のシングル「ロビンソン」発売。超ビッグヒットとなりロングセラーを記録する。
1996年1月、フジテレビ系ドラマ「白線流し」の主題歌として、1994年発表の「空も飛べるはず」が起用され、再びヒット・チャートにランク・インする。
以後、これまでに38枚のシングル、14枚のオリジナルアルバムを発表。最新シングルは2013年5月発売の「さらさら / 僕はきっと旅に出る」、最新アルバムは同年9月発売の『小さな生き物』。
2013年9月には、実に16年ぶり、首都圏では初となる大型野外ワンマンライヴ『スピッツ 横浜サンセット2013』を横浜・赤レンガパーク特設ステージにて敢行。大成功を収める。
2013年11月1日~全国ツアー『SPITZ JAMBOREE TOUR 2013-2014 “小さな生き物”』がスタート。


【NEW ITEM】

NEW ALBUM
『小さな生き物』
NOW ON SALE
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SECOND FULL ALBUM
通常盤
UPCH-1946 ¥3,059 (tax in)

デラックスエディション <3 DISCS> 完全数量限定生産盤
SHM-CD + 2Blu-ray:UPCH-9887 ¥6,890 (tax in)
SHM-CD + 2DVD:UPCH-9888 ¥5,880 (tax in)

期間限定盤<2 DISCS>
●SHM-CD + Blu-ray:UPCH-9889 ¥3,980 (tax in)
●SHM-CD + DVD:UPCH-9890 ¥3,480 (tax in)

【アナログ盤】
PDJJ-1044/5 ¥3,900 (tax in)
*こちらは11月1日より開始となる全国ツアー『SPITZ JAMBOREE TOUR 2013-2014 “小さな生き物”』の会場と、ユニバーサルミュージックのWEB SITEのみの販売となります。

★それぞれの内容詳細は、http://picka.lucka.jp/wp-content/uploads/ad/pdf/spitz_pr.pdf をご覧ください。

<通常盤収録曲>
1.未来コオロギ
2.小さな生き物
3.りありてぃ
4.ランプ
5.オパビニア
6.さらさら
7.野生のポルカ
8.scat
9.エンドロールには早すぎる
10.遠吠えシャッフル
11.スワン
12.潮騒ちゃん
13.僕はきっと旅に出る


【ARIST HOME PAGE】

http://spitz.r-s.co.jp/

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