HIGH LINE RECORDS 10th Anniversary『10年目の夏』

Filed under: LIVE REPORT — タグ: — LUCK'A @ 2008.03.08

「HIGH LINE RECORDS 10th Anniversary『10年目の夏』」
7月16日(祝) @ZEPP TOKYO
出演 : UNION SQUARE GARDEN、hare-braind unity、LOST IN TIME、BUMP OF CHICKEN、LUNKHEAD、FULLARMER、POLYSICS


◆東京は下北沢にある、音楽発信源的CD/レコード・ショップ「ハイライン・レコード」。東京のみならず、全国の音楽好きやバンドマン/アーティスト達が常に集い、まるで友人の家に遊びに来たかの様なフレンドリーで温かい店鋪の雰囲気の中、個性溢れる音楽や一家言ある音楽達が所狭しと並び、常に次のシーンの発信や提案を担ってきた、このショップが今年めでたくも10周年を迎え、それを記念したイベントが、7月16日東京・青海にあるZEPP東京にて、ショップ所縁のバンド達を集めて行われた。


かく言う僕も個人的には、このハイラインレコードには開店当時から非常にお世話になっており。委託のCD-Rやカセットのチェック&購入はもちろん、”何をお店で推しているか?”を影ながらチェック。色々と勉強させてもらっていたクチで。そんなハイラインと本格的に付き合い出したのは、もうかれこれ5年ぐらい前。『WHAT’S INN誌』内に当時あったハイライン・レコードのコーナーに掲載する為、『BECK』の作者のハロルド作石さんのインタビューに、現店長のワタナベヒロコさんと一緒に行った時からで。その後も、当時僕が面倒を見ていたバンド、「自由人(現PhilHarmoUniQue)」の作品を「ハイライン・ディスク」でリリースしてもらったり、ヒロコさんと一緒に名古屋まで行ったり、たまに一緒に呑んだりと、諸々お付き合いさせてもらっている。
で、我LUCK’Aのマーチャンダイズ部門の加藤も、これまたかなりこのハイラインさんには所縁があって。そんな事もあり、今回、そのハイライン・レコードの10周年をお祝するかの様なライヴ・イベント、「HIGH LINE RECORDS 10th Anniversary『10年目の夏』」の物販用のオフィシャルT-シャツのデザイン&制作を、我がLUCK’Aが任され、制作はもちろんの事、当然、我々も祝福も込めて、このイベントに参戦。遅ればせながら今回、そのレポートをお送りさせていただく事となった。

3日前までの進路予想では、もろにイベント時に大型の台風5号に直撃される懸念もあった、7月の3連休の最終日&海の日の7月16日。そんな台風も前日までに無事通過。焦る気持ちを押さえながら、会場に向かうも電車トラブルの為、会場についたのは16時20分頃。16時10分頃からプレイを始めていたという、今回のオープニングアクトであり、今話題の新人3ピース・ロック・バンド、UNION SQUARE GARDENが既にプレイしている中、会場入り。ちょっと高めで特徴/個性のあるボーカルが放つ歌声と独特の歌詞世界観。”ちょっとドラムキットが小さいんじゃ?”と思わせる大柄な体躯から叩き出される、時にアグレッシヴで、時にハネるリズムを自在に操るドラム。エキセントリックな動きと目を剥く様な表情の演奏スタイルから生み出されるベースによるグルーヴィ−さ。ストップ&ゴーや変則性を交え、3ピースながら、それを感じさせない音楽性の膨らみやテクニック、そして楽曲の持つ表情は、広いステージを楽しそうに動き回っていた姿と共に、かなり印象的に映った。プレイ時間の短さなんて、なんのその。初見の人が多いながら、きっと沢山のファンを掴んだに違いない。

続いて、お馴染みのアンプの上に置かれた小型のミラーボールと暗転後のプライマル・スクリームのSEに乗って、2番手のhare-brained unityが登場。ディメンションきらびやかなギターと4つ打ちのディスコ感と8ビートの躍動感を巧みに織り交ぜ、まさにミクロからマクロまでを表現。ワイドに、ゆっくりと広がって行く至福感と、そこここに散りばめられた刹那感の同居は、まさに「DISCO&DANCE」。「トップバッターはイベントの流れを作るのが役割」との力強いMCと共に、既に会場中を一体感に包み込む。新曲「Daylight」に於いても、まだ作品としては発売してないながら、かなりの好反応。切なさと力強さ、そして16分が生み出すダンサブルさは、まさにミラーボール&ギャラクシー。M-5.のインスト曲「Clap!」では、まるで歌が乗っているかの様なドラマティックさも披露。途中、今回のDJを務めた「大仏ブラザース」もハイライン・レコードのフラッグを持ち、登場。ステージをメンバー共々盛り上げる。そして、ラストは、このイベントやハイラインへの10周年の感謝&祝福の意味も込めて、彼らがインディーの頃に出していた曲「ハルカ」をプレイ。その姿に、なんか”恩返し”感を感じていたのは、きっと僕だけじゃなかったはず。

3番手は、黒いシャツに黒のパンツのギター&ボーカルの海北、これまた黒のシャツに黒のパンツ、そしてこっちは黒のハットをかぶった、ドラムの源ちゃん(大岡)が登場。いつもの大型ステージとは違い、キーボード抜きの4人のスタイルで、よりソリッドでタイトな演奏を聴かせてくれた、LOST IN TIME。2本のシングルコイルのギターがシャープで鋭角な音を放ち、それに呼応する骨太なリズム隊。疾走感のある曲でスタートし、途中ダンサブルな曲、胸を締めつける聴き手に響き/染みわたる曲とプレイ。4曲目には、初心に戻るかのように、1stアルバムから、「約束」をプレイ。あの頃よりも若く、猛々しく映った、この楽曲は、聴いているうちに、忘れてしまう事、忘れない事、忘れられない事、忘れちゃいけない事が、次々と思い出され、頭の中をぐるぐると駆け回っていた。途中、野太い男っぷりたっぷりの源ちゃんの歌声も混じる「鼓動」や、ラストはまるで何かを思い出したり、確認したりするかの様に歌われる「ココロノウタ」で締め。いつものセットより全体的に勢いがギュッと凝縮されたかの様なステージを味合わせてくれた。

続いて、まさかまさか、あの有名な登場SEが会場に響き渡り、それを聴き、驚いたファンがステージに目がけて殺到する。そう、今回のスペシャル・ゲスト・バンド、BUMP OF CHICKENの登場だ。このトップシークレット的なサプライズに、会場中が驚喜。すっかり忘れていたが、ハイラインが運営するレーベル「ハイライン・レコーズ」の第一弾アーティストでもあった彼ら。約1年3ヶ月ぶりのステージとなった、今回。直井、増川はともにロングショーツを履き、聴かせる曲、スリリングな曲、アップテンポな曲、そして、誰もが知っているあの曲と、どの曲でも会場中が大合唱。途中、このハイラインの10周年を祝うMCや、このイベントにずっと出たいと思っていた旨を MCを通じて告白。ラストは、やはり定番となっている、あの曲を。常に彼らのライヴのレパートリーからははずされる事の無い、この歌も、この日ばかりは、いつも以上に「俺達はここから始まったんだ!!」的な想いが込められている様に響いた。

ハイライン所縁のバンド達の出演はまだまだ続く。続いては、LUNKHEADの登場。頭の「HEAT BEATER」からライトハンドのイントロ&ドライヴ感のある、ソリッドなロックを展開。間髪入れず、いつも以上に「体温」をエモーショナルにプレイ。そして、この時期、聴きたくなるしっとりとした楽曲「
夏の匂い」。特にこの曲でのボーカルだけになる部分は、説得力があり、ヒシヒシ感がより伝わってきた。間、委託カセットをハイラインに置いてもらっていた頃の想い出等を世話になった感謝も込めたMCも交え、後半戦はまさに怒濤とも言える盛り上がりチューンのオンパレード。ボーカルの小高も感極まってドラムのフロアタムを叩いたり、ベースの合田がコール&レスポンスでオーディエンスを煽ったりと、まさにこれでもかと言わんばかりのグイグイと引き込むステージングを披露。ギターのきらびやかさとリズム隊の爆音っぷりによる、”凄いステージだったなぁ…”というインパクト&印象的な、渾身のステージを見せつけてくれた。

続いては、SEも無く、フラフラっと現れ、自分達のパートに着くや否や、各人独自のスタイルにてプレイを開始。その演奏が始まるやいなや、その超絶テクニックっぷりと、インストながら、半ばウムを言わせぬ説得力のあるプレイに”凄い…”との驚嘆の声を上げるしかなかった、スーパーユニット、FULLARMER。歪み切ったベースと、メロディ楽器でもあるベースというツインベースが織り成すグルーヴに、タイトだけど重い、手数の多い爆音&超絶ドラム。堀江( from ストレイテナー)による、時にミニマルで時にたゆたう様な浮遊感漂うキーボード。発表したばかりの2ndアルバム「ZION」を中心に、強弱や緩急、静動やアンサンブルを駆使した、計算と偶然性の同居した、暴力的で凶暴なんだけど、どこか存在する安らぎや、感動性や叙情性をも感じさせてくれるステージを展開。まさに彼らの世界観に嫌が応にも吸い込まれつつ、演奏がピタッと終わると同時に訪れる静けさ。彼らがステージを去った後に残ったのは、凄かったとの印象と驚嘆のため息だけだった。

そして、ラストは飾るのは、奇しくも彼らも今年結成10周年を迎えたポリシックスが登場。初期衝動を10 年間貫き通した彼らならではの美学は今や日本のみならず欧米でも人気高。ホイッスルによるお馴染みの「P!」を頭に5曲を立続けに怒濤のごとくプレイ。お客さんも”待ってました!!”とばかりに大盛り上がり。それに負けじとステージのギター&ボーカルのハヤシ君も、体も使えば頭も使う、初めて観た人も直ぐに覚え、彼らの楽曲世界に引き込む、この誘引力とバイタリティはさすが。「おめでトイス」のMCの後、ユニホームの袖も取り、いよいよ後半戦に突入の合図と共に、まさに会場中が大ノリの一体感の中、くり出されるコール&レスポンスの嵐。半ば強引ながら、最後には虜にしてしまうステージングは流石。今まで出演してきたバンドには無かった、まさに逆ベクトルの突き抜けた楽しさとエンタテインメント性がそこには満ちていた。アンコールでは、インディーズ時代の曲をあえてプレイ。もちろん、10年の歳月を隔てた「PLUS CHICKER」は、当時とは比べ物にならないぐらいビルドアップ。
まさに最前列から最後尾までを完全に乗らせたステージを展開した彼らを観終わった後。つくづく、”ハイライン・レコードは常に情報を発信し続けてきたお店なんだな…”と改めて認識。”今後も公私共に色々とおつき合いしていけたら良いな…”という気持ちでいっぱいになったのでした。
最後に。
「ハイライン・レコードさん、10周年おめでとうございます。これからも常に、世の音楽の良き発信源で居続けて下さい」。

(Text by 池田スカオ和宏)

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