凛として時雨 『トキニ雨#12』

Filed under: LIVE REPORT — タグ: — LUCK'A @ 2009.08.22

トキニ雨#12
2009.07.25(Sat)
@日比谷野外大音楽堂
w / THE BACK HORN

ここ数年の間、ステージの大なり小なりを交え、何度も凛として時雨のステージを観てきたが、実は彼らを屋外で観るのは初めてであった。彼らの最近の大きなステージで伺わせる、密室性を活かしたクオリティの高い音像やライティングによる演出が、この青天井の野外で、どのように響き、伝わってくるのか? ある種それも楽しみで向かった、この日の日比谷野音。
今回は彼ら企画の2マン・ライヴ・シリーズの「トキニ雨」の第12回目。対バンは、THE BACK HORNだ。同じ激ロックを放ちながらも、片や全身を使ったパフォーマンスを見せるTHE BACK HORNと、片やほぼアクションなしの演奏と歌だけで感情を伝え切る凛として時雨の対象性も、この日の僕の興味をひいた。

「トキニ雨」中、今回は最大のステージの広さとキャパシティを誇る日比谷野外音楽堂。とは言え、今回も見事にチケットは早期ソールドアウト。立見席までお客さんがビッシリだ。先攻のTHE BACK HORNのステージが始まる直前に会場入りするも、既に場内の物販には長い列。Tーシャツ、タオル、トートバッグ、新種携帯ストラップ等、前回の「last A moment」ツアーのグッズ一式を制作した我がLUCK’Aとしても、この長蛇は誇らしい。”このぶんだとBACK HORNが始まっても、この列がしばらくは続きそうだな…”と思いながら、指定の席に着く。

前日までのぐずついた天気がウソのように晴れ渡り、蝉まで鳴き出す、夏本番であったこの日。まずは夕暮れ時のちょうど涼しくなり始めたタイミングでの登場とあいなったTHE BACK HORNが、激しさや抒情性を上手くコンパクトにパッケージした、インパクト大なライヴを展開していく。まるで暑い中に熱いものを食べ、発汗により涼しくなるがごとく、激と抒情が野音中に響き渡る。1時間に渡る激闘を繰り広げてきた彼らのステージが終わる頃には、すっかり陽は沈み、ひぐらしも良い具合に鳴き出す。

待つことしばし。いつもの幾つものベル音がコラージュされたSEに乗って、白色のライトで浮かび上がったステージに、3人のメンバーが登場する。TKのギターがノイジ―に音の壁を作り出し、ピエールのタイトで一音一音が響いてくるドラミングが空間を突き刺す。1曲目は「想像のSecurity」だ。345のコーラスもリレーション的に入り、曲のラストに向けて暴発的に発光していくさまに一曲目から、”これだよ、これ!!”的な気持ちになる。ピエールによるスティック・カウントにより、間髪置かず印象的なギターリフが会場内に響き渡る。2曲目にはニューアルバム『just A moment』の頭を飾った「ハカイヨノユメ」。ピエールも一打ごとにスティックを回しながら叩き始める。この曲では345もTKとのリレーションでボーカルを聴かせる。深いエコー感の中、時折り現れるヒステリックなシャウトがカオスに会場に響き渡り、ステージから放射されているはずなのに、ステージに吸い込まれるような不思議な感覚に襲われる。
曲が終わるとTKがボソッと「凛として時雨です」と一言。その後、3曲目の「knife vacation」が始まる。激しいサウンドの中、まどろむような歌い方と、TKと345のハーモニーの甘さがたまらない曲だ。と思っていたら、間奏ではピエールの2バスのドラミングが炸裂。雰囲気を一瞬にして一変させる。姿が見えないほどのスモークが彼らを包み、そこに浮かびあがって見える姿がなんとも神秘的だ。4曲目は345の歌い出しから始まった「秋の気配のアルペジオ」。ライトも今までの白色メインから赤を基調にしたものに変わる。そして、345のベースのノイジ―なリフレインとTKのギターがパラレルでドリーミーなアルペジオが会場に響き渡り、ピエールが放つ4つ打ちと16のリズムに野音中から無数のコブシが上がり、タテノリが一斉に場内を占拠する。5曲目は、”みんな待ってました!!”の「DISCO FLIGHT」だ。間奏部でのギターソロとラストに向かうTKのシャウトの連射は相変わらず聴く者をゾクッとさせる。ピエールによるアウトロの2バスの怒涛の攻勢が会場中をカオスに持ち込む。
続いて、TKがテレキャスターからアコギに持ち替え、座わり、ギターを爪弾き出すと、ニューアルバム収録の「Tremolo + A」が始まる。アコギによるクリスピーさが、先程までのノイジ―さとは対照的な雰囲気を作り出す。スパニッシュ・ギターのように情熱的に、クラシカルギターのように技巧的且つ様式美たっぷりに、アルペジオではあくまでも抒情的にと、ギターを弾き分けるTKが印象的であった。そして、再びお馴染みのテレキャスターにギターを持ち直し、345のベースな不穏なループと共に、会場に不穏な雰囲気が現れ出す。こちらもニューアルバムからのナンバー「mib126」だ。今までの曲に比べ、TKのギターも音数少なく、ピエールのドラムも手数が少ない…と思いきや、そこから急転。激情とサディスティックな世界へと会場もろとも引き込む。

ここでようやく本格的なMC。いつものごとくメンバーや会場の期待と失笑を一身に背負い、悠々とピエールがドラム位置で立ち、マイクを握る。コミカルなMCが先ほどまでの張りつめた緊張感を上手くほぐす。とは言え、毎度ほぐし過ぎにはご用心。この日も、あわや「アブナイ人が居ます」と通報されそうなギリギリのMCが炸裂していた(笑)。まっ、いつものようなヤバいコール&レスポンスを控えた辺りは野音ならではの配慮か(笑)?

ここからは後半戦。逆に先程までのMCが夢だったかのように、再び会場をストイックな空間に強引に誘引する。後半もまずはニューアルバムからのナンバー「JPOP Xfile」から。サビのストレートになるところが気持ち良いナンバーだ。この曲の登場に野音中が呼応し、アウトロの目まぐるしい展開にも、会場全体がぴったりとついてくる。そして、曲のイントロが鳴らされるやいなや一層会場が盛り上がる。続いては「Telecastic fake show」だ。疾走感のある曲の登場に会場中の加速度も上がる。静寂も間に交えつつも、TKのギターが自らそれを音の壁でプチ壊すさまは鳥肌ものだ。そのまま更に性急的なナンバー「nakano kill you」に突入。”待ってました!!”とばかりに会場中がスパークする。
ラスト1曲に突入する前に、345がピエールのガイドにて、たどたどしく今後の告知が発せられる。
そして、ラストはもはやお馴染みの、静寂から激動へのカタルシスへの流れが、まるで人の心の奔流を伺わせる「傍観」。今までステージから発せられてきた音楽性とはある種正反対な柔らかく優しい歌から始まりながらも、中間部から突如、雄大に広大に、それでいてひどく寒々しく、TKの放つ歌が心に突き刺さる。圧巻と孤高、そしてフィードバックを残し彼らはステージを後にした。

風が強かったこともあり、若干、音が風に流され、残念なところもあった、この日の彼ら。実は僕は凛として時雨のライヴは、ホールで観たいと常々思っている。当然、ライヴ・バンドなのでオール・スタンディングがベストなのは分かる。しかし、今の彼らの音響へのこだわりやライティングも含めた完璧な演出には、やはり天井の高いホールが似合うし、更によく伝わってくると思う。集団で観ていながらも、どこか一対一的に投げかけてくる彼らの音楽性をキチンと受け取るためにも、一度、天井の高い椅子ありのコンサート・ホールで観てみたいものだ。

レポート by 池田スカオ和宏


【グッズ】

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【セットリスト】
M-1.想像のSecurity
M-2.ハカイヨノユメ
M-3.knife vacation
M-4.秋の気配のアルペジオ
M-5.DISCO FLIGHT
M-6.Tremolo+A
M-7.mib126
M-8.JPOP Xfile
M-9.Telecastic fake show
M-10.nakano kill you
M-11.傍観


【MEMBER】
Vo.&G. TK Toru
Vo.&Ba. 345 Miyoko
Dr. ピエール中野 Masatoshi Nakano


【プロフィール】
鋭く変態的な曲、ツインボーカルから生まれる切なく切り裂くようなメロディは唯一無二。そのサディスティカルに尖った音の中に共存するポップな一面が、中毒性を生み、まるで楽器の如く放たれるその歌声は、鼓膜の中を不安定なバランスで突き破り、時に見せる冷たく透明な歌声が記憶の中に入り込む、3ピーズ・バンド。
2002年 埼玉にて結成。その後、メンバーチェンジを経て現メンバー編成となる。2004年3月初の全国ツアーを経て、DEMO音源を2000枚以上売り上げる。 2005年11月 自身のレーベル「中野Records」を立ち上げ、待望の1st album「#4」(ナンバーフォー)を全国リリース。2006年7月 2nd Mini Album「Feeling your UFO」を発売。9月28日から全国ツアー「NAKANO Inspiration」が始まり、全国18箇所を回り各所大成功をおさめ、11月11日ツアーファイナル渋谷AXはソールドアウトを記録する。2008年4月、1stシングル「Telecastic fake show」をリリース。オリコンシングルチャート初登場17位を記録。5月からは全国9箇所に渡るワンマンライヴツアー「FIGHTING G」敢行。各地でソールドアウトを記録。大盛況収める。
この夏は、各地夏フェスに参戦。10月28日からは、全国23箇所にてワンマンライヴツアー「P-Rhythm Autumn」を行い全個所大盛況。
2008年12月、1曲16分+写真集のセカンドシングル「moment A rhythm」をリリース。2009年5月 サードフルアルバム『just A moment』をリリース。 それを引っ提げ、5月21日~「凛として時雨TOUR 2009 last A moment」を全国11箇所で敢行。大成功に収める。


【NEW ITEM】
3rd FULL ALBUM
『just A moment』
AICL-2014
¥2,800(tax-in)
NOW ON SALE

1. ハカイヨノユメ
2. Hysteric phase show
3. Tremolo+A
4. JPOP Xfile
5. a 7days wonder
6. a over die
7. Telecastic fake show
8. seacret cm
9. moment A rhythm (short ver.)
10. mib126


【LIVE SCHEDULE】
GO GO ROCK CITY 2009

2009.8.12.
新潟市産業振興センター
w / 浅井健一 / GO!GO!7188 / サンボマスター / ストレイテナー / Dragon Ash / The BirthdayROCKだぜ!2009

2009.8.22.
Zepp Fukuoka
w / andymori / サカナクション / NICO Touches the Walls / フジファブリック / MO’SOME TONEBENDER

LIQUIDROOM 5TH ANNIVERSARY
2009.8.31.
LIQUIDROOM
w / ZAZEN BOYS

凛として時雨 TOUR 2009 “Tornado Z”

2009.11.3.
Zepp Nagoya

2009.11.13.
Zepp Sapporo

2009.11.15.
Zepp Sendai

2009.11.22.
Zepp Osaka

2009.11.23.
Zepp Fukuoka

2009.11.29.
Zepp Tokyo


【ARTIST HOMEPAGE】

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