おとぎ話 『「青春GALAXYツアー」ファイナル』
おとぎ話
『「青春GALAXYツアー」ファイナル』
5.31(Sun)
@渋谷クラブクアトロ
5/20発売の3枚目のシングル「青春 GALAXY ep.」をリリースしたばかりのおとぎ話。そこから間髪置かず5/23からは、名古屋、大阪、東京と発売記念ツアーを行った。短期間ながら濃厚な今回のツアーは、どの会場も終始フロアに笑顔に満ちていたと聞く。そして、待ちに待った東京でのワンマンライヴ。前回の新宿ロフトより、今回はさらにキャパもステージの大きさもスケールアップして、渋谷クラブクアトロに登場だ。グッズの制作で早くも1年半以上も二人三脚で付き合いをさせてもらっている我がラッカは、今回も当ツアー用の限定T-シャツ、大型缶バッヂの制作全般を携わった。
細野晴臣のエキゾチックなナンバーを始め、無国籍で良い雰囲気の場内BGMが高揚感を煽るものへとシフトし、段々と場内にメンバー登場の期待度が上がっていく。
客電が落とされ、真っ暗になった場内に、アンプの上に置かれたLED群が一塊づつファンタジーな点滅を始める。場内にドリーミンなSEが流れ出し、雰囲気はさしずめ「おとぎ話の世界」だ。そのSEに乗り、有馬、風間、前越、牛尾の順にメンバー各人が一人ひとり感謝の意を表すように、挨拶をしながらステージに現れる。顔に赤いラメを一文字につけたボーカル&ギターの有馬はシャツの胸に「GALAXY」の大型バッヂをつけ、ベースの風間はサスペンダーに微妙に丈の短いズボン。ギターの牛尾はタイトなジャケットを着こなし、ドラムの前越にいたっては王冠をつけている(笑)。うーん、シュール&ファンタジー!!
「おとぎ話の世界に身をゆだねてください」とは有馬の一発目のMC。そこから有馬弾き語りによる「とびらをあける」からこの日のワンマンはスタートした。通常ライヴでは締め的にプレイされることが多いこの曲からのスタートに少々意表をつかれながらも、悲しげだけど、”また明日”感を有したトボトボとした歌声に耳を傾ける。心の中で一緒に歌うがごとく聴き入る会場と、次の一音の発しを眈眈と待つステージ上のメンバー。続いて風間のファットなベースラインから「YOU」にガツンと突入。〈おとぎ話の世界の幕開け〉を宣言するように4つの楽器からそれぞれの音が思いっきり放たれる。前越のドラミングがファンタジーさにダイナミズムを加え、ベースの風間もお馴染みの足踏みでリズムをとるプレイを始める。おっと、牛尾得意のブリティッシュ・ギター・ヒーローばりのアクションが本日早くも飛び出した。続いて、「new song」がプレイされると、それまでのドリーミーさにキラキラとしたポップ感が加わる。
ここで一度目のMC。本日の動員にヒヤヒヤしていたこと。フタを開けると、お客さんも沢山入ってホッとしたことを感謝の意も含め伝える。そして、「風間くんにひとこと言いたいです」とのMCの後、前越の力強いカウントに乗り「ハローグッバイ」が始まる。ミディアムだがダイナミックなビートと前越によるコーラスも良い感じ。牛尾もギターアンプの前でフィードバックを生んだ後、カッコよくギターソロに突入する。この歌にある「夢の続きを2人で見るのさ」のフレーズに会場中もうなづく。そのままモータウンビートでつなぎ、歌詞を一部「渋谷」に変えた「NIGHT SWIMMING」に突入する。牛尾のハーモニーと前越の追いかけるコーラスも入り曲にアクセントがつく。加え、ライヴならではの怒涛のワイルドさと広がりがうかがえる間奏部には身体もゾクゾク。ラストに向かうに連れ、美しさと永遠性に満ちていくこの曲に、幸せ感に満ちていく自分と出会う。
ここで二度目のMC。有馬による自虐的なトークが場内に苦笑を誘う。
その後、「みんなのテーマソング」との有馬のイントロデュースに続き、お客さんの手拍子に乗り「ネオンBOYS」が始まる。作品より勢いとワイルドさが増し、よりBOYS度もアップ。みんなこの上ない楽しそうな表情で一緒に歌っている。もちろんサビの部分では手拍子&大合唱だ。破天荒で性急的なナンバーは続く。次は「クラッシュ」だ。破れかぶれのハチャメチャさは保ちながらも、数年前に比べ、かなり整った印象を受けた本日のプレイ。風間の指の動きも多くなり、牛尾の180度開脚弾きも飛び出す。彼らの一動一動に会場が沸く。そのままノンストップで前越の力強いフロアタムが打ち鳴らされると「HOPE」に突入する。タイトルとは裏腹に間にはカオスと怒涛性を交えた、おとぎ話のレパートリーの中でも重い部分やドロッとした面がうかがえる同曲に男子ファンが色めき立つ。加えて、間奏部では倍にスピードアップし、その度に会場中の興奮度も上昇していく。
そして、その後、急きょステージ上で決めたのであろう。当初のセットリストにはなかった「理由なき反抗」が始まる。さらなるシフトアップとスピーディでストレートなナンバーの登場に場内の温度もグッと上がり、コブシも無数に上がる。
ここで有馬がギターを置いて、買ったばかりのPCでYouTubeの大好きなシガー・ロスのMVを見まくっており、その中でメンバーがラメをつけていたのに感化され、自身も本日はラメをつけてみたことを報告。加えて、おとぎ話はニルバーナに憧れ始めたが、気づいたらこんなバンドになっていたことを告白。まったく笑顔に絶え間のないバンドだ(笑)。
珍しく有馬がギターを置き、そのまま「クラシック」をシング。ギターなしだとちょっと手持ち無沙汰なのも可愛い(笑)。風間、前越のリズム隊がドッシリとした2拍子を生み出し、間奏では有馬もピアニカによるソロを披露。その音色がよりセンチメンタルさを誘っていた。続いて、風間の不穏なベースラインと前越のライドを活かしたシャッフルから新曲『コトバとコトバ』に入る。センチメンタル性に富みながらも、徐々に明るさを帯びていく雰囲気がグッドな同曲。「君のために歌を歌うよ」「僕の好きな言葉、それは君。僕の好きな言葉、それは君の話す声」のサビに感動する。なんと間接的であり、直接的なラブソングなんだろう!! そして、「みんなの好きな曲を演ります」のMC後、「SMILE」に入る。サビの演奏から入り、そのままイントロにインするライブならではのアレンジが映える。サビでの大合唱は、まぎれもなくおとぎ話の歌がみんなの歌になった瞬間だ。
ここでMC。有馬が行き当たりばったりで「おとぎ話のルール」について語る(笑)。「おとぎ話の世界観に飛び込んでくること」と上手く着地をつけたところで、突如チューニングに入り、ノンマイクの風間がMCをつなぐことに。世間話で一生懸命につなぐも、それを半ば途中でカットインするようにチューニングの終わった有馬が「boys don’t cry」のサビをギター弾き語り風に歌い出す。一瞬”あれっ!?”と思いつつ、そこからいつものスタイルにイン。シフトアップ&ダウンを上手く使い、ジラせるアレンジもニクい。そこからおとぎ話中最もシニカルでカオス、そして温度差の激しいナンバー「火星」が登場する。ファストでカオスかと思うと、ワルツで幸せという目まぐるしくもアッと終わるナンバーだ。
再び有馬がギターを置き「星に届く感じで歌うので、グッとくる感じでみんな聴いてほしい」との前口上の次にディズニーの「星に願いを」のカバーをプレイ。ロッカバラード風にアレンジされた同曲を、感情移入たっぷりで、且つ大きな声で歌う有馬。途中からムーディーにミラーボールも回り出し、悔しいが一瞬ロマンティックな気分に陥ってしまう。
グッとロマンティックな気持ちにさせた後は、「ロックバンドなんて結局明日はないんです」のMCの後、「俺達に明日は無い」が飛び出す。みんながあの日あの頃の自分を投影するようにじっと聴き入っている。ブレイクでの風間のベースラインも楽曲に良いメリハリを加える。間には各メンバーの紹介を交えつつも、ラストに向け、ジワジワとワイドに広がっていくところはこの楽曲のハイライトだ。そして、その雰囲気を打ち破るように、有馬のギターと共に「KIDS」が飛び出す。ラストのサビではみんな手拍子をしながら大合唱。感情と感涙があふれる。
「みんながおとぎ話にこんなライヴをさせた。みんなに拍手。みんな有馬学級の生徒です」と感動的な有馬のMCの後、今回のシングル「GALAXY」をプレイ。作品よりアグレッシヴさとたくましさが増した同曲の登場に、会場中が”待ったました!!”の呼応を送る。センチメンタルさと男らしさが同居したナンバーに会場も大興奮。会場中が一体化した感動的なシーンだ。
一度はけたメンバーが学生服に着替えて再登場。上だけが学ラン、下のズボンはそのままのアンバランスさも愛しい(笑)。<この曲の間は写メールを撮っても良い>との本人許可が下り、みんな一斉に携帯を取り出し、メンバーを写し始める。サビのフレーズにある「ランランラン」の会場中のハーモニーを呼び声に、今回のE.P.収録の「青春」が始まる。青春まっただ中の人も、かつて青春だった人も、各々がその青春を思い出し、取り戻した瞬間を見た。ラストはみんなで大合唱。この日最大の至福感に包まれる。
本編ラストは、”おれたちはライヴバンドだ!!”と言わんばかりに、ここまでたどり着いた感たっぷりのナンバー「FESTIVAL EXPRESS」が始まる。この日ばかりは自分に向けて歌い、うなずきながらプレイしていたに違いないメンバー各人。この曲に、”これからも行くゼ!”感を感じたのは僕だけではないはず。そう、おとぎ話のエクスプレスはどこまでも続くのだ。
ここからはアンコール。
「じっくり聴いてほしい」との有馬のMCに続き、牛尾のアルペジオに乗って、ラヴ&ピース、ちょっとのサッドも感じる新曲「WHITE SONG」が始まる。”すべてを聴き逃すまい”と会場中が聴き入る。空や地平線の向こうに思いを馳せさせてくれる非常に良い曲だ。アンコール2曲目は打って変わって性急的なナンバー「パレード」。この楽曲の登場に会場中が大興奮する。前越が手数の多いドラムを叩き、牛尾もアンプカバーのに上に乗りプレイ。後半のテンポが倍になるところはもう誰にも止められない。会場中も渾身の力を込めて呼応する。そして、正真正銘のラストは、お馴染みの「FUNCLUB」。<興奮の上書き>とばかりにフロア前方の密度もグッと上がる。牛尾のアクションやプレイも激しくなり、風間も飄々と弾きながらも非常にうれしそうな表情を見せる。前越も渾身の力を込めて叩いている。クライマックスに相応しい阿鼻叫喚、愛と感動、そして笑顔のオンパレードだ。あっ、有馬は感激のあまり最後は客席に飛び込んじゃった。
客出しのBGMはTHE SMITHSの「ASK」。その時フッと、牛尾のズボンの後ポケットにグラジオラスの花が数本刺さっていたのを思い出して、ニャっとさせられた。そして、”いつ使うんだろう?”と、楽しみにしていたステージで有馬の後ろで鎮座すましていた赤く、色々なメッセージがペイントしてあったアコギは一度も使われることがなかったことも付記しておきたい。
この日のセットが全てが終り、幸せそうな笑顔でフロアを後にするお客さんたち。みんな満面で”楽しんだ!”という表情だ。あんなにも泣き虫でセンチメンタルでノスタルジックな曲ばかり演ったのに、この楽しげで嬉しい気持ちにさせられたのはなぜだろう? いや、それがおとぎ話のマジックなのだ。ほら、小さい頃、カボチャが馬車に変わる物語を聞かせてもらったじゃない? それと同じ。その証拠に、おとぎ話のライヴが終わり、会場の外に出たとたん、フッと夢から覚めて、現実に戻った感じになったでしょう? そう、彼らはまさにライヴを通し、我々に「おどき話」を体現させてくれるのだ。
レポート : 池田スカオ和宏
【グッズ】
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【セットリスト】
1.とびらをあける
2.YOU
3.new song
4.ハローグッバイ
5.NIGHTSWIMMING
6.ネオンBOYS
7.クラッシュ
8.HOPE
9.理由なき反抗
10.クラシック
11.コトバとコトバ
12.スマイル
13.boys don’t cry
14.火星
15.星に願いを
16.俺達に明日は無い
17.KIDS
18.GALAXY
19.青春
20.FESTIVAL EXPRESS
Encore
En-1.WHITE SONG
En-2.パレード
En-3.FUNCLUB
【MEMBER】
有馬和樹(Vo.& Gr.) 81年生まれ 横浜市出身
風間洋隆(B.) 81年生まれ 新潟県三条市出身
牛尾健太(G.&Cho.) 83年生まれ 広島市南区出身
前越啓輔(Dr.&Cho.) 81年生まれ 石川県白山市(旧松任市)出身
【プロフィール】
2000年春、全ての作詞作曲を手がける有馬(vo,天然パーマ,横浜出身)が明治学院大学
で出会った風間君(b,新潟出身)と「おとぎ話」を結成。その後、牛尾君(g、広島出身)、前越君(dr,石川出身)が加入。
東京のオルタナの総本山的な東高円寺UFO CLUBを中心にライブ活動をしていたが、
勇気を出して銀杏BOYZの峯田さんに渡したデモテープがきっかけとなり、
2005年7月、銀杏BOYZの世界ツアーいわきclubSONICで夢の狂演。
それから満を持して2007年1月1stシングル「KIDS / クラッシュ」、9月1stアルバム「SALE」をリリース。
11月に行われた、おとぎ話初のワンマンライブ@下北沢CLUB Queはチケット完売。大盛況の内に終わる。
大阪での夏フェス「RUSH BALL07」、東京幕張での「カウントダウンジャパン07/08」への出演などでも話題を集める。
2008年3月名曲SMILEの収録された「Hello Goodbye ep.」リリース。
2008年10月2ndアルバム「理由なき反抗」をリリース。
POPの端っこにいながら、ROCKのド真ん中」を目指して、今日も元気に演奏中。つづく…..
【NEW ITEM】
3rdEP
「青春 GALAXY ep.」
UKFT-005
¥1,260円(Tax in)
NOW ON SALE
1. GALAXY
2. 青春
3. YOU
4. 火星
【LIVE SCHEDULE】
2009/6/20(土)@郡山CLUB#9
w / UNISON SQUARE GARDEN / Dirty Old Men
2009/6/21(日)@下北沢GARDEN
w / QUATTRO / THE BEACHES
2009/6/23(火)@名古屋・池下CLUB UP SET
w / QUATTRO / THE BEACHES
2009/6/29(月)@大阪・梅田シャングリラ
w / QUATTRO / THE BEACHES
2009/6/30(火)@岡山CRAZY MAMA 2nd Room
w / QUATTRO / THE BEACHES
2009/7/1(水)@福岡・天神VIVRE HALL
w / QUATTRO / THE BEACHES
2009/7/4(土)@仙台PARK SQUARE
w / QUATTRO / THE BEACHES
2009/7/12(日)@HEAVEN’S ROCK さいたま新都心VJ-3
w / Qomolangma Tomato、THE NOVEMBERS
2009/7/25(土) @広島国営備北丘陵公園
「SETSTOCK’09 」
2009/7/31(金)@茨城・国営ひたち海浜公園
「ROCK IN JAPAN FES.2009」
【ARTIST HOMEPAGE】
http://otgbanashi.com/