セカイイチ「新しい形で響き渡った、この10年」
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今年、結成10周年を迎えたセカイイチ。それを記念して、2月にはバンド仲間をゲストボーカルとして迎え制作された、セルフカバーベストアルバム『and10(アンドテン)2003~2013』を発売!
そのレコ初ライヴとして、東名阪の3箇所で『「and10」東名阪レコ発ツアー2013』を行いました。
グッズも充実です。
今回のツアーに於いてラッカは、Tシャツとボールペンを作りました。この4人としては最後のグッズとなる今回。フォトTにしても、4人のシルエットのタオルやボールペンにしても、ずっと思い出の品になりそうですね。
Tシャツ
「THE BEATLESの『Let It Be』のジャケット風デザイン。このメンバーでの最後のツアーに、あえてフォトTになりました。ファンの方はお気付きかもしれませんが、『and 10』のジャ ケットのインレイ裏にある写真を使っています」
フェイスタオル&ボールペン
「4人で歩み抜いた10年間”という意を込めて発売されたセルフカバーアルバム「and10」の裏ジャケットの、メンバー4人が歩いているシルエットがモチーフになっています」
LUCKON GRAPHICS談
この日は、3/22のクラブQueでのステージを最後に脱退する泉健太郎さんの、ラッカとして観れる最後のステージとなりました。ライヴ終了後の楽屋では、彼と感無量のハグを。ラッカ創設以来、長い間お世話になったアーティストの一人である泉さんとの別れはつらいですが、彼もこの先、自分の道を進むとのこと。ラッカは、そんな彼に心からエールを送ります。写真は、この日の楽屋入口に貼られていた、泉さんを含む、セカイイチの面々の写真類。ここからも4人が仲が良かったことがヒシヒシと伝わってきました。
2人が描いた違った歌世界
数多くのゲストボーカルをフィーチャリングした10周年記念のリメイクアルバム『and10(2003~2013)』にも参加したOverTheDogsの恒吉豊と、THE BACK HORNから山田将司がゲストボーカルとしてこの日のステージで共演しました。恒吉とはCDにも収録の「Step on」と、アルバム未収録の「あたり前の空」山田とは「虹」に加え、こちらもアルバム未収録の「美しき遠吠え」を歌いました。
セカイイチ
「and 10」レコ発ツアー
2013.3.13 @渋谷クラブクアトロ
もっと回顧的になると思っていた。もっと懐かしくて、同窓会的な感じになるものだと思い込んでいた。だって、結成10周年を記念してリリースしたセルフカバーアルバムのレコ発ライヴだぜ。そして、この翌週には脱退してしまう、ベーシスト泉のセミファイナルのライヴだぜ。しかし違った。この日の彼らは今の自分を音と歌で示すだけだった。これまでの自身の楽曲を用いながらも、キチンと今と、そしてこれからを指し示す、現行の彼らを魅せるライヴを終始展開するだけだった。
古いものを見返す時には2パターンある。一つは、あの日、あの時の懐かしさに改めて浸りたく、過去を思い返す時。もう一つは、あの時支えてくれた言葉や場面は、今でも色あせず、自身を奮わせてくれるのかを確認したい時だ。そして、この日のライヴは明らかに後者であった。あの日、あの時、聴き手に届け、伝え、放ち、贈った歌やサウンドたちが、その後の経験値やバイタリティ、人生や時間なんてものを経由して、今、自分たちはどの様に放てるのか。そして、それを受けた我々には、どう響き、感受するのか。そんな確認会でもあった。そして、彼らは、この10年を駆け足で紹介するようなセットリストを携え、各曲各場面で、色褪せるどころか、ますます活き活きとみずみずしさを持って、今の彼らの言葉やサウンドとして我々に提示してくれた。
この日のステージは、いつも通りの登場だったのだが、どことなくやはりベースの泉健太郎への声援が高いような気がした。そうだ、僕も彼のセカイイチでのベースプレイ姿を見るのはこれで最後だったんだ。遅ればせながら泉に向け、これまで送ったことのなかった声援を送ってみる。
「こんにちはセカイイチです。今日はよろしく」とボーカル&ギターの岩崎慧。1曲目は、「シルクハット」だった。珍しい出だしだ。「♪生まれたときにわかってる 死ぬことだけはわかってる♪」のフレーズが響く。そして、だからこそ謳歌し、一生懸命生きることも同曲は思い起こさせてくれる。このフレーズを聴いた瞬間に、この曲がこの日のトップを飾った理由が分かった。と同時に、シルクハットの中の宇宙が広がっていく。前傾姿勢で1曲目からベースを弾く泉。これもいつもの光景だ。ギターの中内正之がソロで景色を広げていき、ドラムの吉澤響が逆にどっしりと地に足を着かせる。吉澤がドラムでつなぐ中、そこに会場中の手拍子が集まってくる。その上を泉がスリリングさを導くかのようにベースを乗せていく。2曲目は「RAIN/THAT/SOMETHING」だ。先のスリリングさを超えた後にやってくる開放感と軽快さを有したサビが、ことさら気持ちいい。そこに挟まる6/8のリズムがよりドラマ性とこの歌の本質を歌う。吉澤の重いフロアタムのドラミングの上、泉が会場を煽る。次に飛び出したのは、岩崎と中内のギターのリレーション。そう、「グレースケリー」だ。タイトな吉澤のドラムと泉のダウンピッキングが疾走感を育んでいく。
「俺たちも既に(ビールを)飲みたいです。今日は色々な曲を沢山持ってきました。だって10周年だもん。ゆったりとした曲と激しい曲、そのギャップを持つ我々に常についてきてくれて、受け止めてくれる、なんてあなたたちは素晴らしいお客さんたちなんだ」と、ライブではなく、今度はお客さんをスイートに転がしていく。「振り落とされないように、自分なりの楽しみ方をしてください」と締め、ライブに戻ると、スリリングさが登っては下っての高揚感を煽る「Clockwork」が始まる。楽曲の後半に向かうに連れて、微妙にシフトアップしていく同曲。合わせて会場も徐々に前のめりになっていく。
中内のギターが夜から昼へと牧歌性を交え、会場中を己の少年/少女時代へと引き戻す。続いては「Kids Are Alright」だ。頭の中に、ペニーレインでストロベリーフィールズが広がり出す。昔の自分に言い聞かせるように響く同曲。懐かしい気持ちにさせながらも、これからも続くこの人生という名の道や、未来へと気持ちを会場中に馳せさせる。
続いての「ぷれぜんと」では歌われる歌内容同様に、「♪伝えたいことは一つだけ 愛しているよ♪」との優しく最高の言葉がゆったりと場内に広がっていく。
「久しぶりに演る曲を」(岩崎)の後に飛び出したのは、「今日あの橋の向こうまで」だった。帰りに回り道をしたくさせる曲だ。”自分は今日、どこまで進むことができたか?””これからどこまで行くことが出来るのか?”を優しく、目を細めながら振り返らせ、そして、ちょっぴり自分を褒めたくなる歌だ。アウトロでの中内のギターがより自分の今と過去、そして、これからを省みたり、思い返させたりさせる。
吉澤のロールから「ふりだしの歌」にイン。ふりだしとは決して、ゲームオーバーなどではなくリセットされた新たなるスタート、そんな風に伝わった。この歌も今日は今までとは違った響き方をした曲であった。「♪この道で今 勝負してる一人でも 一人でも 届け ふりだしの歌♪」。みんながこのフレーズを心に留めていた。
ここからはゲストボーカルコーナー。数多くのゲストボーカルをフィーチャリングした10周年記念のリメイクアルバム『and10(2003~2013)』にも参加したOverTheDogsの恒吉豊が拍手の中、ステージに迎え入れられる。恒吉に対して「妖精みたいやね」とちょっとウットリ気味の岩崎(笑)。彼らの力強い骨太な演奏に、センシティブでナイーブな恒吉の歌声がどう絡んでいくのか?を楽しみに待った。実際のマッチングはと言うと、不思議な甘さを有した恒吉の歌声が、柔らかさを楽曲に持ち込んだ感じ。彼独特の歌声は、むしろ優しさや包容力方向へと転がっていった。特に岩崎とのボーカルのリレーションとツインボーカル、ハーモニーはばっちり。岩崎のゴツゴツとした剥き出し感を上手く包み込んでいるようでもあった。そして、これまた恒吉と、先のCDでは共演していない「あたり前の空」に移る。もうすぐ訪れる春の桜の巨木が眼前に現れるような物語と共に広がっていった同曲。各人のプレイヤビリティが炸裂したアウトロも素晴らしい。会場もこれから咲くであろう桜の樹に想いを馳せていく。
続いて、THE BACK HORNから山田将司がゲストボーカルとして呼び込まれる。大阪に続き、今回が2度目のこのツアーの参加となる山田。「しっとり聴いてもらいます。大事な曲です」との岩崎のイントロデュースの下、「虹」に入る。岩崎のソウルフルさとは違った人間臭い山田の歌声が、生命力を伴って会場に染み渡っていく。続いて、これまたアルバム未収録。大阪では「井の中の~」をもう1曲として歌ったらしいが、それとも違った「美しき遠吠え」を歌い出す。過去に一度この曲でセッションをしたことがあり、勇気づけられた大好きな曲だったこともあり、今回、やらせてくれと山田が懇願し、3年半ぶりの再演が実現したと言う。ゆっくりと流れる平凡な暮らしの中の大事なもの、大切なものが溢れ出してきた同曲。不器用な、このメンツだからこそ心に染み入る曲だ。
ゲストボーカルコーナーはここまで。以降は再び、4人だけのライブが展開されていく。
「変わらないものを求めて」と岩崎が一言。次の「Nothing has changed」に入ると、サビの3声のコーラスがパッと会場の色を変える。変わったもの、変わらないものを会場の各々が思い浮かべる。
続いてのセカイイチ版「マイ・ウェイ」とも言える「真ん中の歌」、そして、「新曲を持ってきました」と短く伝え会場を沸かせ伝えた次曲「スーパーヒーロー」は、軽快なロックナンバーだった。特に「スーパーヒーロー」は、今後の作品化も楽しみだ。こんな時に新曲だなんて…。ここからも彼らのネバーストップの宣言が伺えた。
ちょっとしたギタートラブルの後、「♪ニューカマーになろうぜ いくつになったって構わない♪」の歌声に会場からは合わせて無数のコブシが挙がった「ニューカマー」、同曲が、「♪世界を変えるのは俺たちだと もう一度叫ぼう♪」と、もう一度走り出し、会場中の気持ちを一つにさせ、ラストに向け加速度がついていく。そして、それらをシフトアップさせるように、「井の中の世界」にイン。「♪越えてゆけ どうせ君が作った限界なんでしょ♪」とシャウトする同曲。吸い込まれていくように、ライブがどんどんスピードアップしていくのが分かる。次の会場中にジャンプと手拍子を巻き起こした「カプセル」では、ラストスパートでもかかったかのように、疾走感が会場に溢れ出す。「♪五年後 十年後 未来には何もなくて♪」の部分は会場も交えて大合唱。ラストは歌詞を「♪渋谷で~♪」「♪クアトロで~♪」と岩崎が変えてシャウト。盛り上がりに火をつける。
本編のラストは泉がベースで引っ張る「あかり」。終わりたくない気持ちが会場に満ちる中、岩崎が「今日は遊びに来てくれてありがとう。まだまだ遊ぼうぜ」とラストの誘いをかける。ギターをガットギターに持ち替え、スパニッシュとアフロポップの融合が会場をグワッと抱擁してくれる。
アンコールでは、全員がラッカが制作/デザインをしたフォトTシャツを着用してくれた。岩崎は、「ちょっと最近太り気味だ」と自らカミングアウト。みんなうすうす感づいてはいたが、”やっぱり!”といった表情になったのは笑えた。続けて、「僕はデビューの頃、実はメンバーの中で最も太っていた。だから、デビューの頃に戻って歌える歌もあるんじゃないかと」と告げ、デビュー曲であった「石コロブ」を始める。一周周り、更に力強くなった今だからこそ違った意味を帯び、持ち、噛み締める、なんて気高く、誇り高く、響く歌なんだろう。懐かしいどころか、色あせない。まったく新しい生命力を持って、逆に今では新鮮に聞こえるではないか。
次の「バンドマン」を始める前に岩崎が語る。「この10年色々な経験をしてきたからこそ、これをこれからもずっと鳴らしていかなくてはと思う。20年、30年と音を鳴らし続けていくバンドなんで、セカイイチは。なので、ドーンとついてきて欲しい」と力強く告げ、泉がここで挨拶。岩崎が継ぎ、「これまでこの曲は、世のバンドに向けて歌っていたのだが、今日は泉健太郎、そしてセカイイチに向けて歌わせてくれ」と同曲を始める。もちろん歌詞中に歌われる「♪歌ってよ♪」とねだる相手は、バンドマン、セカイイチ自身に向けてだ。涙が乾くような優しい歌が会場に満ちた瞬間を見た。ラストは泉が一人だけ残り、ひときわ大きく「ありがとう」の挨拶。会場もご苦労さまの温かい拍手を贈る。
ダブルアンコールに応えてくれた彼ら。ダブルアンコールは1曲。「素晴らしき世界」を歌う。これまで以上に力強く鳴り響いた同曲。「♪僕らが初めて出会った あの日のことを覚えているかい あの素晴らしい世界へジャンプ♪」の歌詞が染みる、と同時に気がついた。”そうか、これが歌いたかったのだ!””伝えたかったのだ!!”と。それは会場も一緒。何か大切なものを一つ一つ思い出し、懐かしんでいくように、素敵な気持ちが広がっていく。いつもよりも長めのアウトロ。きっと会場中がこのアウトロが鳴り終わらないで欲しいと願っていたことだろう。
最後は「大好きだ~!!!!」の言葉を残し、泉はステージを去った。
健ちゃん(泉)、お疲れ様。また、何処かで会おう。ほら、遠く離れていても、同じ空の下でつながっているからって、あれ、誰かこんな歌も歌ってなかったっけ。
ラッカはこれからも、泉健太郎、そしてセカイイチを変わらず応援し続けていきます。
【SET LIST】
1.シルクハット
2.RAIN/THAT/SOMETHING
3.グレースケリー
4.Clockwork
5.Kids Are Alright
6.ぷれぜんと
7.今日あの橋の向こうまで
8.ふりだしの歌
9.Step On
10.あたりまえの空
11.虹
12.美しき遠吠え
13.Nothing has changed
14.真ん中の歌
15.スーパーヒーロー
16.ニューカマー
17.井の中の世界
18.カプセル
19.あかり
Encore
En-1.石コロブ
En-2.バンドマン
Double Encore
W-En-1.素晴らしき世界
【MEMBER】
Vo.&G. 岩崎 慧
G.&Cho. 中内 正之
B.&Cho. 泉 健太郎
Dr.&Cho. 吉澤 響
【PROFILE】
2001年8月、ソロ活動をしていた真性唄歌いの岩崎が、前々から惚れ込んでいたドラマー吉澤を誘い結成。アコギボーカルとドラムという縦一列形態にてライヴを始める。
2002年10月、中内加入。4ピース体制となる。2003年3月、泉加入。現体制となる。同年12月、デビュー・アルバム『今日あの橋の向こうまで』をインディーズよりリリース。
2005年4月、トイズ・ファクトリーより2nd シングル「石コロブ」を発売。メジャーデビューを果たす。同年5月、1stアルバム『淡い赤ときれいな青と』を発売。
2006年6月、2ndアルバム『art in the EartH』発売。
2007年11月、 3rd アルバム『世界で一番嫌いなこと』発売。
2009年2月、4thアルバム『セカイイチ』発売。4月~5月 “Top Of The World Tour”大阪・名古屋・東京でのワンマンライブを含む、全国7ヶ所にて開催。
2010年3月~4月 自主企画イベント”光風動春” 大阪・仙台・名古屋・東京にて開催。11月 tearbridge recordsより、ニューシングル「Step On」を発売。
2011年1月、5thアルバム『folklore』を発売。4月2日からは同作品を引っ提げ「folklore tour 2011」を敢行。ワンマン3箇所を含む全箇所大成功を収める。
2011年11月、ニューミニアルバム『Another Second Hand』発売。
2012年3月、6thアルバム『The Band』発売。
2013年2月、10人のゲストボーカルを迎え制作されたセルフカバーアルバム『and10(2003~2013)』発売。
同年3月、東名阪でレコ発ライヴを各地にてゲストボーカルを交え敢行。3月22日のライヴを持って、ベースの泉健太郎が脱退。
【NEW ITEM】
「and10 (2003~2013)」
NFCD-27339
¥3,150(Tax in)
NOW ON SALE
【tearbridge records】
M-1. シルクハット “and”佐々木健太郎(アナログフィッシュ)
M-2. あかり “and”田中和将(GRAPEVINE)
M-3. Step On “and”恒吉豊(OverTheDogs)
M-4. RAIN/THAT/SOMETHING “and”オカモトショウ(OKAMOTO’S)
M-5. 虹 “and”山田将司(THE BACK HORN)
M-6. ニューカマー “and”宮田和弥(JUN SKY WALKER(S))
M-7. Kids Are Alright “and”Chage(CHAGEandASKA)
M-8. ぷれぜんと “and”小南泰葉
M-9. ふりだしの歌 “and”須藤寿(髭)
M-10. バンドマン “and”増子直純(怒髪天)
M-11. 真ん中の歌
【LIVE SCHEDULE】
http://www.sekaiichi.jp/live/live-sekaiichi/
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