after the greenroom「新たな緑の種がまかれた日」

Filed under: LIVE REPORT — タグ: , , — LUCK'A @ 2013.03.01

after the greenroom「新たな緑の種がまかれた日」



節分の日、下北沢ERAでは…
この日は、2月3日、節分でありました。みんな家で豆まきは済ませて会場に来たのかな? かく言うこの日の会場でも、一番手の「はなし」がライヴの途中に、豆まきの豆を会場に撒く大サービス。既に終えた人も、まだな人も、みんな楽しそうに撒かれた袋を拾っていました。
それに限らず、この日のライヴでは、各アーティストのステージから、<歌>という福が多く撒かれ、それをみなが耳や目でキャッチ。そのタイプは3種3様で、きっと今頃は、多くの方の胸の中で芽を出しているんじゃないかな。是非それを根づかせ、素敵な花を咲かせて下さいね。


緑に絡みつく様々なフェイバリット
今回ラッカは、after the greenroomのTシャツとバッヂをデザイン&制作。Tシャツは、意外にも物販物の販売ものとしては初めてとのことだったので、かなり気合を入れ、デザインにも素材やボディの色にもこだわりました。メンバーも非常に気に入ってくれたようなので、これからもがんばるゾ!!

「メンバーの皆さんから出た、バンドをイメージするもの、好きなものをかき集めて、after the greenroomを詰め込んだロゴにしました。缶バッヂはメンバーの皆さんの意見で、ロゴの中にある月を象徴するデザインになっています」
(LUCKON GRAPHICS 談)

「初めてのグッズを制作させてもらえることは、僕らにとってすごく光栄なことです。たくさん話をしましたね!そんな作品に仕上がっていると思います」(マーチャン加藤 談)


物販風景をパシャリ
この日は、物販物に交え、ジャケットの原画も設置。ボーカル&ギターやまみが手掛けた、その絵は、ぶわっと夜空に彼らの歌に乗せた想いが広がっていくようでした。


出会いはマジ!スカ・ナイト
そうそう。彼らとの付き合いは既に1年以上。1年半前に、スカオが偶然観たライヴで出会い、その後、彼主催のライヴ・イベント「マジ!スカ・ナイト」の2011年11月に行われた記念すべき第一回目に出演してもらい、そこから親睦を深めていきました。この日の彼らは一番手に出演。ここがライヴハウスであったことを忘れさせてしまうぐらい、スケール感の大きなライヴを展開し、初見の多くのお客さんを惹きつけていました。


豆ならぬ、幸がまかれたERA
after the greenroom
Like a Blanket リリースパーティー
2013.2.3@下北沢ERA
W / タテタカコ / はなし

この前、下の息子を寝かしつける時に、久々に枕元で童話を読み聞かせてあげた。彼からのリクエストは、これまでに何度となく読み聞かせてあげていた童話だった。読んでいるうちにいつに間にか眠ってしまっていた、その安らかな寝顔を眺めながら、ふと思い出したことがあった。それは自身がこの子ぐらいだった頃のこと。何度も読み聞かせられてきた本で、ストーリーも展開も知ってるくせに、寝る前は、その本を読んでもらわないと、安心して眠りに入れなかった時のこと。そして、それは不思議と毎度初めて読んでもらった話のように、都度違った景色を広がらせていったこと。加え、我々はその中を、旅をしたり、冒険をしたり、佇ませたり、振り返らせたりしながら、何時の間にか安心したかのように眠りに落ちていたことの類であった。
安堵感がありながらも、毎回何かしらのドキドキが味わえる。あれは一体何だったのか…? いや、待てよ。これって、なんかafter the greenroomの歌たちにも似てないか?どこかおとぎ話や童話、昔ばなしのような、絵本にでもなりそうな歌物語性。何度でも聴き返せ、どの曲からもそこはかとない安堵感を得れるところ。ちょっとした緊張感を擁しながらも、最後には途方もない開放感に辿り着く瞬間。そして、聴く毎に徐々に違った形で広がって行く場面場面。思い返せば思い返すほど、彼らの曲は、そんな幼い時に枕元で読み聞かされた絵本たちとリンクしてくる。

そんな要素をこれまでライブを中心に、手売りのCDを通して伝えてきた彼らが、この度、初の全国流通でCDを発表した。そして、そのレコ初ライブが下北沢ERAにて行われた。対バンは、はなしとタテタカコ。どちらも彼らが敬愛し、共演したくてたまらなかったアーティストたちだ。
そんなレコ発ライブを楽しもうと、会場は1バンド目が始まる頃には満員となっていた。

そんな中、まずは、はなしがステージに現れる。
6人組現代型お囃子ダブロック集団を名乗る彼ら。我がラッカにも若干ゆかりのあるグループで、ギターのヒロヒサカト―は、ラッカでもTシャツや四角い缶バッヂを制作した、あの「ひらくドア」のメンバー。また、ドラムの村山えりかも、ひらくドアの元メンバーだったりする。そして、after the greenroomのボーカル&ギターの山田も、このはなしの中に加わり、一緒にプレイしたこともある。ステージ後方に配された女性ドラムと女性パーカッションが生み出す生命力と土着性のあるビートと、その2人が発する丸みのある女性ならではのコーラス。そして、フロントのボーカル&ギターの青柳崇を含んだトリプルギターとスクエアなベースは、日本のお祭りやお囃子的な土着さに加え、各人のルーツ的な部分、特にソングライターの青柳の趣味性が多分に加味されたものであった。
彼らの特性さに加え、ニューウェーヴを感じさせる曲やヒップホップを思わせる曲も披露されたこの日。特に「久しぶりの新曲だ」とプレイされた曲は、70年代後期のニューウェーブを感じさせる音楽性で、ちょっとニヤリとさせられた。個人的には、頭にプレイされた曲とラストにプレイされた曲が好きで、ライヴ後に聞いたところ、この2曲は初期からの代表的な曲らしく、個人的には、この辺りの特異性を、さらに特化させていけば、面白いだろうな…などと思った。そうそう、この日の彼らは、節分だったこともあり、途中ステージからフロアに豆をまく用の豆を蒔くプレゼントも。私も2袋拾った(笑)。


続いては、シンガーソングライターのタテタカコが登場する。前出のはなしが6人という大所帯だったのに対して、こちらのタテは、キーボードの弾き語りスタイル。ピアノの音色に乗せ、after the greenroomへのレコ発を祝うコメントをメロディに乗せ歌われた楽曲からライヴは始まっていく。after the gteenroomへのお祝いの気持ちがたっぷりと込った50分間のライヴは、とこか凛としながらも優しく響く鍵盤を中心とした音色の上、”美しい”と思う瞬間を多々訪れさせる日本語の響きや、言葉の数々、描かれる多々の場面から、お客さん各人の光景へとつなげていかせるような楽曲たちを披露。時にポツンとした気持ちになったり、時に嬉しい気持ちにさせたり、時に不思議な気持ちに陥ったりと、楽曲毎に会場の気持ちも正直に動いていく。中でも、はっきりとストレートに響きわたっていく高音域の歌声は素晴らしく、それらに乗り、届けられる言葉や場面たちは、聴き手にいくつものオリジナルな物語を広げさせてくれた。そして、『みんなのうた』のようなテイストを多分に持っている楽曲たちは、明らかに後述のafter the greenroomと表現したいことの根底で通ずるものがあり、その発見も密かに嬉しかった。


そしていよいよ、この日のバトンを受け継ぎ、after the greenroomがステージに登場する。
すーっと場内が暗くなり、ステージの前の幕がゆっくりと上がっていく。フロア前方の密度も高くなり、会場中の気持ちがステージへと向かっていく。
徐々に上がっていく幕と共に、明確に現れてくる既にステージにスタンバイしているメンバーたち。ステージ後方より照らされる強い白色の照明がまぶしく、逆にそれが彼女たちを神々しく映し出す。合わせてステージに向けられる歓声。ボーカル&ギターの山田真未がそれに応えるように手を上げた。
幕が全て上がりきると、1曲目の「Like a Blanket」を愛用のテレキャスターと共に歌い出す山田。その声は、クールさを有しながらも、懐の深い暖かさを有している。
物語のプロローグ的なその小曲を歌い終えると、「ようこそレコ発ライヴへ。after the greenroomです」と一言。そのまま、「ようこそ」のダイナミズム溢れるギターカッティングに入る。聴き入っていた会場がハッと目を覚ますように、グッと前のめりになっていく。同時に「待ってました!」の気持ちの込もった無数の歓声がステージの3人に送られる。ぶわっと会場をライブハウスから深い森へと誘い出した同曲。乾いた山田のギターや逆にウェットでファットな日置亜由子のベースが楽曲に生命力を与え、躍動感溢れる細根雄一のドラムが軽やかさを加えていく。山田の存在感のある歌声に、あえて軽やかな演出を加えることで、楽曲に中和が現れ、早くもafter the greenroomらしい、夜の森を感じさせる息づかいと、明日に向けての息吹が会場を包んでいく。サビの部分では、これでもかと、山田の歌声が伸びやかに広がっていく。その声は、既にライヴハウスの天井を突き抜け、満天の星空を目指し一直線に伸びているかのようだ。


そして、細根のアヴァンギャルドさの混じった、フリージャズ的なドラミングを経て入った、次の「大行進」では、彼らの降り幅ともいえる、おどろおどろしさから、一気にそこを突き抜ける解放感を会場全体に響き渡らせる。ファルセットと力強い地声を歌い分けて表される山田の歌声。間には、細根によるボンゴが交わり、それがどこか村祭りの様相を広げていく。その後、現れたのは、まるで空間をねじ曲げるかのような、山田によるカタストロフィーギター。とは言え、日置の笑顔と、その後にやってくる突如の解放感が楽曲を通し、会場を深淵から開けた場所へと誘っていく。また、この曲では、日置もお得意の弾んだステップ交じりのベースアクションを魅せ、曲の重さを、見た目での軽やかさで、ちょうどよいバランスへと持っていく。この中和やバランスこそが、彼女たちが重いことをやろうが、おどろおどろしくやろうが、それをポップスとして成立せしめているポイントと言えよう。それは、この曲に限らず、彼らの曲の多くで見られ、合わせて時折見せるプレイ中の山田の笑顔もそれを加味させていた。


細根がドラムでつなぎ、ここで新曲「あみだくじ」が披露される。日置のベースラインも印象的な同曲。優しさから力強さまで、一気にブワッと持ち上げ、そこに合わさる、山田、日置による柔らかい2声のコーラスがたまらない。とは言え、比較的ストレートな印象も受けた同曲。「♪君は君のあみだくじを一人辿っていく♪」の歌詞が、初聴きながら今も頭に残っている。
日置のベースラインに山田のカラカラのリズムギターが絡み、次曲「太陽と月の恋」が始まる。細根が打つリムショットが軽快さを楽曲に寄与していく。ドラマ性溢れる歌物語に違ったトーンとふくよかさを与える細根のドラミング。そこに山田がギターソロを重ねていく。

ぱっと場内の雰囲気を変えるように、続く「おうちに帰ろう」に入ると、これまでのポツンとした孤独感から一気に親友感や子供の頃へと会場がトランスフォームしていく。照れくさいぬくもりが場内に広がり、観る者の胸に溢れていった同曲。好き嫌いがなくなっていくさまや、明日は今日起こしたことを謝ろうと、ちょっとした勇気を振り絞る佇まいがほほえましい。そして、ぐさっと届く、「♪僕らはいつまでも子供のままなんだぜ♪」の言葉に場内が強くうなずく。

MCを挟み、「夜の番人」に入ると、山田の歌い方にどこか物語を思い出しながらうっとり歌う表情が交っていく。ミュートした3拍子のギターカッティングと、添える程度のベースとドラミング。現れた日置のピアニカが、センチメンタルを育んでいく。

続いては、6/8のリズム、いわゆるロッカバラードのビートに乗った「魔女の夢」だった。このリズムになると、多くのアーティストが、そこに悲しみを乗せがちなところを、彼らは不思議な解放感とダイナミズムで対抗。楽曲の中で語られる、魔女のぽっとカオを赤らめたかのような恥じらいに、会場が同化を見せる。ノンストップで「寝台列車」に入ると、適度な重さが会場を支配し出す。しかし、それがけっして額面通りではなく、そこに若干の軽やかさを感じるのは、やはり3拍子と、ちょっとしたロマンティックさ、そして、ほのかな喜びを、この曲が有しているからなのだろう。また、同曲に於いてはバックからの白色ライトも神々しく彼らのプレイを演出。加え、細根もピアニカで哀愁さを付け加えていく。そして、ノンストップで「鈍行列車」へ。いわゆる列車流れだ。鈍行列車が光に向け、希望に向け、ゆっくりと力強く、切り裂き、切り開いていくようにしっかりと、<自分の行きたい方向><自分の生きたい方向>へと、オーディエンスを乗せて進んでいく。

ここでMC。山田が「ささやかな幸せが、大きな幸せにつながっていたらよいね」と語り、会場中が、自分にとっての大きな幸せと、それを組み上げていく小さな幸せたちを思い浮かべ、ほんのりとした幸せな気分が会場に満ちる。そして、会場を森へと誘うように「カラスが見たもの」に。3声のハーモニーコーラスが至福感を伴い会場の一人一人を包んでいく。ささやかな幸せが、かけがえのないもののように思わせてくれた同曲。それらがフロア各人の中で、先ほどの山田のMCと繋がっていく。
そして、本編のラストは、これまた新曲の「よだれ」。この曲がストーリー性も含め、よく出来ていた。Aメロは山田が歌い、Bメロは日置が歌う。そしてCメロは2人で歌うという、彼女たちの新しい方法論が楽しめた同曲。2声ならではの気持ちの合致が楽曲に込められた思いと共に会場の一人一人に染み込んでいく。山田がジェスチャー交じりで、歌い伝えた、<回り道は時間がかかるけど、その分、近道では見つからなかった大切なんものがある>に、多くの人がうなづいていた。

アンコールで再度ステージに現れた3人。Tシャツに着替え、細根が物販物の宣伝をしてくれる。「これを着て、これから始まる全国ツアーに出ます」の高らかな宣言には、心の中で拍手を送らせてもらった。それにしても、山田のステージ上でのTシャツ姿はレアだ。私も過去に一度しか見たことがない。そんなことをボーっと思い返していると、懐かしいナンバー「すみか」が始まる。やはりこの日は、昔から彼女たちを観に来ていた方も多数おられたのだろう。同曲に向けてフロア中から歓声が上がる。
そして、アンコール2曲目の「最初の晩餐」が始まると、会場中がこの日一番の歓声を上げる。私だけではなくやはりこの曲は、多くの人にとって大事な曲であり、大切な曲なのだろう。山田の歌声に合わせ、会場が大合唱している光景を見、改めて思った。例に漏れず、僕も大声で歌う。とてつもなく広がっていった同曲と共に、見ているこちら側も清々しい気持ちになっていく。何という大団円さと至福感。”これぞ、彼らの真骨頂であり、醍醐味である!!”と曲中、何度も思った。

“やり遂げた!”。そんな誇らしげな表情と高く掲げた山田の右腕の残像を残し、彼らはステージを降りた。その後、会場に残ったのは、やはり昔、寝る前に読み聞かされていた、あの絵本の読後のような空気だった。

冒頭の、<絵本を読み聞かせてもらっている時は、毎度新鮮に響きながらも、どうしてあんなに安心感に包まれていたのか?>をもう一度考えてみた。それは、もちろん物語の定番性もあるだろうが、やはり親しみのある読み手が近くにいること、その読み手から発せられるいつものあの声。それが、どんなに激しい展開や物語が訪れようとも、しっかりと自分の夢の中に辿り着けさせてくれていたような気がする。
あれ? これってやっぱりafter the greenroomの音楽と一緒じゃないか。

Report : 池田スカオ和宏

【SETLIST】

1.Like a Blanket
2.ようこそ
3.大行進
4.あみだくじ
5.太陽と月の恋
6.おうちへ帰ろう
7.夜の番人
8.魔女の夢
9.寝台列車
10.鈍行列車
11.カラスが見たもの
12.よだれ
en1.すみか
en2.最初の晩餐


「INFORMATION」

【MEMBER】

Vo.& G. 山田真未
B.&Cho. 日置亜由子
Dr. 細根雄一


【BIOGRAPHY】

2006年、10月 高校の同級生である山田と日置を中心に結成!、12月初ライブ。
2007年、同じく高校の同級生である現ドラマー細根雄一を迎える。8月2日、2曲入り『1st demo』完成(現在は廃盤)。
2008年2月、下北沢GARAGEにて、初自主企画”Like a Blanket vol.1″開催。8月、新宿NINE SPICESにて、レコ初自主企画”Like a Blanket vol.2″開催。3曲入り2nd demo完成(現在は廃盤)。
2009年10月、7曲入り『深海のスープ』発売(現在廃盤)。
2010年3月?4月、深海のスープtour決行!全国8カ所、いきあたりばったりストイックツアー実施。
2011年2月、4曲入り『命のなまえ』発売!、4月?5月 命のなまえtour決行!
2012年9月、吉祥寺WARPにて、収穫祭vol.2を開催!12月、1st album”Like a Blanket”発売!!
2013年2月、アルバムレコ発ライヴを下北沢ERAにて、タテタカコ、はなしを迎え敢行。大成功を収める。


【NEW ITEM】

Like a Blanket
¥1,890(Tax in)
DQC-966
NOW ON SALE
【Nomadic Records】

1. ようこそ
2. 大行進
3. 魔女の夢
4. 夜の番人
5. おうちへ帰ろう
6. 鈍行列車
7. ピクニック
8. 最初の晩餐


【LIVE SCHEDULE】

http://bigmama-web.com/#/schedule/


【ARIST HOMEPAGE】

http://afterthegreenroom.posterous.com

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