音楽を始めデザイン、グッズに見る、キドリキドリの進化

Filed under: LIVE REPORT — タグ: — LUCK'A @ 2012.11.09

キドリキドリ

Goods

今回、我がラッカは、Tシャツ、タオルを制作。デザインはデザイナーの河本さんがメンバーの意向を伺いつつ進行。
Tシャツ制作に関しては、イラストの丸く柔らかい雰囲気を活かす為に柔らかい素材のボディを起用。再現で気を使ったのは、細かいドットがあしらわれたデザインの為、それを潰さないようにしたところ。細心の注意が払われ、作業は進められました。
またタオルでは、おばけの絵の目が凄く細かった為、それがつぶれないように注意を払い、デザイナーさんとキャッチボールをしながら進められました。また、タオルの端でデザインが切れてしまっていたので、それを綺麗に再現すめ為に、デザインも何度かのキャッチボールを経、完成を見ました。
また、これらを踏襲した缶バッヂも彼らのライヴ会場にて絶賛発売中! こちらもよろしく。

Designer

今回のグッズのデザインを担当したのは、河本さん。キドリキドリの初期よりデザインに関わり、グッズを始め、これまでのCDジャケットも手がけてきた、メンバーからも厚い信頼を持たれているデザイナーだ。他にもHINTOのグッズのデザインも手がけている。

Display

この日の物販の風景です。テーブルに敷かれた彼らのトレードマークのドッドのテーブルクロスの上、Tシャツ、タオル、缶バッヂ、iphoneケースの見本等が綺麗に並べられ、後ろの壁には、Tシャツもかかっており、終始大賑わい。ここでもキャラクターのおばけは大人気でした。

Decoration

場内には彼らのトレードマークとも言えるドッド模様のものや、キャラクターのおばけを立体的に模したお手製のカラフルな風船類を会場各所に設置。いい装飾具合を醸し出していました。

Fashion

さすがはワンマン。この日は、彼らを目当てのお客さんたちが集まっただけあり、会場はキドリキドリのグッズを身にした方々が多数。そんな中、上から下、そしてタオルまで、全身キドリキドリ仕様の2人を2組発見。見切れてしまったのですが、ショートカットの女の子のスカートは、ドット柄のサルエルパンツを着用。おしゃれでした。

Live Report

キドリキドリ
『La Primera』Release Tour
ONEMAN LIVE
2012.09.19(Wed)@新代田FEVER

 この1年で、とてつもない成長と飛躍を見せたキドリキドリ。それを改めて目の当たりにし、実感したライブだった。
 この1年の彼らの成長は著しい。こと、楽曲の構成力とエフェクターの使い方、そして、ドラムの川元の伸長には目を見張るものがあった。と、同時にそれらは、以前とは比べものにならないほどの安定感と自由さ、それらを得たが故の自信やステージ映え、より大きく映ることにも結びついていった。
 それらは彼らのニューアルバム『La Primera』然り。一見、スッと耳馴染んで聴こえるが、その実もの凄く複雑な展開や構成。そこはかとなく蠢く、各曲毎に詰め込まれた様々な感情。また、各楽曲には色々なファクトやフックが仕掛けられ、驚くべきは、それらに全くの難しさを感じさせないところだ。知的でアカデミックなんだけど、決してそれが難しく響かない。彼らがそこを目指していたのか?いないのか?は定かではないが、なんかそんな作品に結実しているように感じた。しかも、相変わらず1曲3分台以内の曲の長さの中で…。かくして、それを更にダイナミックに、ワイドに広げて表しているのが、昨今の彼らのライブと言えるだろう。

 この日、キドリキドリはニューアルバム『La Primera』のレコ初記念ライヴツアーの東京編を新代田のFEVERにて行った。しかも、この日は初のワンマンライヴ。ニューアルバムでファンになった人も多いのだろう。この日のFEVERは、お客さんでいっぱいであった。
 場内に入ると、ボーカル&ギターのマッシュが、DJをしているではないか。ワンマンライヴで自身の出番直前まで本人がDJをしている光景を初めて見た(笑)。しかも、悠々と次々に彼のフェイバリットを繋いでみせている。ちなみに、その際の選曲は、以下の通り(後日、本人のツイートより)。RANCID「Time Bomb」、Hi-STANDARD「New life」、Ken Yokoyama「Believer」、チャットモンチー「とび魚のバタフライ」、Earth, Wind & Fire「Fantasy」、The Strokes「Hard To Explain」、Red Hot Chili Peppers「Give It Away」、Czecho No Republic「DINOSAUR」。そう、次々とかけられるそれらの音は、ある意味、来てくれた人たちへのおもてなしのようでもあった。

 ステージには、おなじみのアクリル板に「キドリキドリ」の文字がぼんやりと発光するボードが、フロアに集まった多くのファンと共に、彼らの登場を待っている。
 いつものスペインのミクスチャーバンドによる高揚感溢れるアジテートミュージックが登場SEとして場内に鳴り響く。それに乗り、ドラムの川元がタオルを掲げながら現れるのを筆頭に、3人のメンバーが順にステージに登場する。鳴り響くSEの中、慎重にチューニングやセッティングを確認するメンバーたち。SEがクライマックスを迎えるのに合わせ、その高揚感を更に煽るようにマッシュがフィードバックの靄(もや)を作り出す。その中を、ンヌゥのベースラインがくっきりとラインを作り、そこに川元のドラムが絡み始め、マッシュのギターがループ感も顕わに、その上に乗り、ニューアルバムのトップを飾っていた「HHH」が完成されていく。同曲の輪郭がはっきりし出すと、それまでの高揚感が一気に爆発する。川元の生み出す、4つ打ち16分のハイハットが、ダンサブルにそこに至福感を加えていく。サビの「♪Hey hey hey♪」の部分では、会場全体も合わせて呼応。一緒に楽曲を作り上げていく。ラストはラウドからファスト、そして曲のテーマに戻り、その箇所は、この日も変わらず私に鳥肌を立たせた。

 キラキラさを有したフランジャーの効いたイントロから「I’m being a fool again」に。この流れはニューアルバムの中でも秀逸だったが、この日のライヴでは、その辺りも全く損なわれてはいない。いや、むしろもっと興奮させられた。疾走感がたまらない同曲。川元がシャープに、タイトにドラムを叩けば、ベースのンヌゥも普通ならピッキング弾きをしそうなところを、あえて指弾きさせることにより、楽曲に弾力性を加えていく。この曲では3声によるコーラスワークも聴きどころ。アウトロではギターソロ、そして、ンヌゥのベースラインを挟み、再びテーマに戻る場面が会場を聴き入らせる。この辺りの構成力のアップが、前述の1stアルバムから2ndアルバムへの大きな飛躍の一つと言えよう。と同時に、やはりマッシュのエフェクター類の使い方のセンスのアップが目を見張る。楽曲毎に表情を替える、そのギターの音色たちは、曲毎に様々な背景や演出を寄与し、全く飽きさせない。

 ライヴに戻る。続いては、マッシュが朗々気味に歌う「浮世ヴェイナー」。間のギターソロが雄大に景色を広げていき、ラストに向かうに連れ、まるで這い上がっていくかのように徐々に高揚感が引き上っていく。

 ここでMC。マッシュが「初めてのワンマンです。ありがとうございます。”9月19日は、キドリキドリのライヴやったなぁ…”と、後々までも思い出してもらえるようなライヴを今日は演ります。次はそんな曲です」と、<この日を最高にする!!>とのマニフェストにも変えて、次の曲へのイントロデュースが成される。そして、鳴らされたのは、1stアルバムから「5/10」。彼らの中でも珍しい日本語ナンバーに一際会場も盛り上がる。サビではフロア一体となっての大合唱。この曲も、以前とは比べものにならないぐらいの安定感と演奏力の格差を見せつけてくれた。そうそう、ンヌゥのベースの弦は緑色。この辺りにも、シャツもいれば、パーカーもいるといった、3人の衣装の違いや、ドットで統一されながらも、そのそれぞれの大きさが違うアイデンティティ等、彼らのライヴに対しての、魅せる、楽しませる意識の高さを感じる。いや、これはちと褒めすぎか(笑)。

 短く「ありがとうございました」と告げ、次の「What You Have to Do Is」のイントロに。彼らの中では比較的伸びやかでワイドな曲の登場に会場もしばし浸る。大サビへの転調がぐっとくる。
 テンポ良くスピーディにライブは進んでいく。続くは「Finally Found」だ。Aメロ、Bメロがギュッと詰まっている分、サビでのカウンターのような伸びやかさと開放感がたまらない。ラストに向け、一直線にバーっと進んでいく同曲。グイグイと会場を高みへと引き上げていく。
 「ライブで演るのはこれが2回目」という「Mental Slavery」では、マッシュもサビではとびっきりのエモさで歌う。平行感とドライブ感がありながらも、着然としたダイナミズムを持った同曲。ラストに向け駆け出していく感じがたまらない。ンヌゥも左足を一歩前に出し、前傾姿勢でグルーブをキープしていく。
 次に鳴らされた、弾んだファンキーなナンバー「La Policia」では、合わせて会場も弾む。サビの「♪NO NO NO♪」では、”待ってました!”と、会場中も一緒に歌う。サビでは、ことさら会場も弾み、会場全体の大合唱後、再び楽曲に戻るかっこよさにブルっとくる。川元のスティックカウントから「Nerd In The Room」に入ると、GO-GO的ギターリフが場内を踊らせる。4つ打ちハイハットがフロアの高揚感とダンサブルさを引き上げていく。


 
 ここで2度目の本格的なMC。「初めてのワンマンなので何をやっていいかわからないから、いろいろと今日は演る。その施策の一つとして、今日はンヌゥも歌います」と、マッシュ。続いてのスラップベースの効いたサイコビリー調の「Mojo」ではンヌゥが歌う。本格的に彼の歌を聴いたのは今日が初めて。甘い歌声でなかなか良いではないか。ボーカルを任せたが故の安心感からか、マッシュもギターを弾きまくり。いつもよりオブリを入れたギターを披露する。
 続いての試みはカバー。WEEZERの「No one else」だ。とは言え、歌うマッシュは歌詞を完璧には把握しておらず、カンペを見ながら歌う(笑)。そして、Czecho No Republicの「Don’t cry, Forest Boy」もカバー。日本語詞を日本語詞として歌う光景もどことなく新鮮であった。
 そして、ここからはマッシュの弾き語りゾーンへ。イスが用意され、それに座り、用意されたアコギをつま弾き出す。ンヌゥと川元は対照的な場所で体育座りで、それを眺めるも、どうにもそれが軽いプレッシャーのよう。マッシュが集中出来ない(笑)。遂には「普通のポジションからさり気なく見ていてくれ」とのお願いが。気を取り直して、タワーレコードの特典でつけられていたというDVDに入っている「トロピカル マンデー」を始める。が、歌が入るところで、”あれっ!?”。しばしのフリーズ状態が。「あかん。歌詞がトンでもうた(笑)」。そこに、他のメンバーのソロ曲にも関わらず、その歌詞を覚えていたンヌゥがすかさず、冒頭部分を教示。再び歌い出す。2フィンガーによる牧歌性溢れる同曲。日本語というのがまたいいし、曲にマッチしている。続いては、タイトル未定の新曲。こちらは3フィンガーのアルペジオナンバーで英語詞曲。いつの日にかの作品化も楽しみだ。

 ここからは中盤戦。ロックバンド、キドリキドリがステージに再び帰ってくる。デモンストレーション的なサウンドが会場をグワッと襲い、そこから一拍置き、スリリングで緊張感溢れる「The Song Of New Age Rock’n’Roll」に。同曲では川元のスネアさばきも冴える、冴える。ギターソロの際には、マッシュもステージの前方にせり出てプレイ。そこにフロア前方のファンが群がり、ステージに向かい、無数のコブシが挙がる。そうそう。最近マッシュが使っているビザールギター。ちょっと特殊な形で、あまり見ないメーカーなのだが、このギターは、airlineという会社のeastwood、coronado。選んだ理由は、ずばり直感で、しかも、これが生まれて初めて買ったギターだそうだ。確か以前、「ギターはもらいものばかり」と言っていたっけ。この「The Song Of New Age Rock’n’Roll」では、短いながらも、マッシュとンヌゥによるソロのリレーションも挟み、各人が高いプレイヤビリティを見せつける。間髪置かず、マッシュのシャウトから「Shine,Shine」に。会場/ステージのエモ度もグングン上がっていく。間ではクラップも起こり、それが盛り上がりに更なる加速をつける。

 続いての「This Ocean Is Killing Me」は、ミディアムナンバー。どっしりとしながらもマッシュのアルペジオがまどろみのような物語を広げていく。ジワジワとゆっくり景色を広げていくような同曲に、フロアもこれまでに無かった至福の顔だちを見せる。

 ライヴ告知を挟み、ここからは後半戦。
 「目を背けたいことから、目を背けてはいけない。そんな曲を演ります」との言葉の後、放たれたのは、「NUKE?」。マッシュらしいポリティカルなナンバーだ。一際怒りがプレイにも音にも楽曲にも憑依した同曲。ここではマッシュのギターソロがことさら雄弁に語り、ンヌゥのベースと川元のドラムが楽曲を走らせる。ノンストップで「Stand Up! People!!」に。加速度を増々上げ、楽曲が会場を駆け抜けていく。同曲では転調の時の川元のトリッキーなドラミングにも注目。いやー、難しい展開だったが、よく演り切った。この辺りの難易度の高いドラミングも、昨年は全くと言って良いほど出来ていなかったはずだ。続く「Say Hello!(I’m not a slave)」では、緊張感のある曲に、ポップなコーラスでバランスが取られる。この曲ではンヌゥもステージのヘリに立ち、ベースをプレイ。みんなの注目が彼に集まる。メドレーで「Everytime I see you」に入ると、”これでもか!!”と言わんばかりのぐいぐいとした熱狂度が会場を強襲していく。

 もう、ラスト。気づけばここまで23曲もプレイされている。しかしながら、時間の感覚的には、文字通りアッという間だ。 ラストの「Hug Me」に入る前に、マッシュが自分が昔、父親に捨てられたこと。だけど音楽に救われたこと。今度はその音楽を通じて誰かを救ってあげることが出来たらと語り、「これからも続いていく遠い遠い目標に、今日一歩近づけた」と続ける。そして、「いなくなってしまった友達に捧げる歌です」とのポツリとした言葉の後、「Hug Me」を始める。ミドルでどっしり、気持ちがゆっくりと広がっていくような同曲。ラストは、”この歌よ、いなくなってしまった友に届け!!”とばかりに、声を張り上げ、シャウト気味な歌が場内広がっていく。

 アンコールは2曲。まずはマッシュが一人ステージに現れ、エレキ弾き語りで、2ndアルバムに収録されている「Untitled」を歌い始める。そして、2曲目では、ンヌゥ、川元もステージに戻り、ソリッドでスリリングながら、日昇感のある「You Will Realize」がプレイされる。ミディアムを交えた雄大さ溢れる同曲。最後はやはりコレ!ダイナミックに締めてくれた。

 アンコールも含み全25曲。持ち曲のほとんどはおろか、カバーやソロ曲まで披露してくれた、この日。初ワンマンは大成功と言っても良いのではないだろうか。
 やり終え、ステージを去る時のマッシュのやり遂げた感溢れる満足そうな笑顔がそれを物語っていた。 彼らは今後もまだまだ成長し続けていく。 我がラッカは今後も一緒に、彼らと大きくなっていきたいと心から思った。

 
Report : 池田スカオ和宏


【SETLIST】

1 HHH
2 I’m being a fool again
3 浮世ヴェイナー
4 5/10
5 What You Have to Do Is
6 Finally Found
7 Mental Slavery
8 La Policia
9 Nerd In The Room
10 Mojo
11 No one else(cover)
12 Don’t cry, Forest Boy (cover)
13 トロピカル マンデー
14 新曲
15 The Song Of New Age Rock’n’Roll
16 2010
17 Shine,Shine
18 This Ocean Is Killing Me
19 NUKE?
20 Stand Up! People!!
21 Say Hello!(I’m not a slave)
22 Everytime I see you
23 Hug Me
Encore
EN-1 Untitled
EN-2 You Will Realize

ラッカ制作のTシャツにライヴ終演直後、サインを入れてくれている瞬間のマッシュと川元をパシャリ。ンヌゥは、当日配布開始音源のミックスダウン真っ最中だった為、遠慮しておきました。残念。


                             With ハルヒサカトー

Information

【MEMBER】

Vox&G. マッシュ
B.&Cho. ンヌゥ
Dr.&Cho. 川元直樹


【PROFILE】

UKロック、パンク、ハードコア、ジャズ、ファンク、プログレ、テクノ、J-POP、さらにはワールドまで、一見バラバラともとれる音楽性を見事に昇華し、独自の音楽として再構築した楽曲は、地元大阪にとどまらず全国規模でも話題になり、要注目バンドとして急速に認知を広めている。

超英文学的に世の中への批判を散りばめた歌詞を早口に歌い上げるイギリスはウェールズ出身のギターボーカル、ニコニコ動画にて10万回も再生されたほどのテクニックを持つガチヲタニートベーシスト、そしてオニギリ大好き好青年ドラムによるスリーピースバンド。
バンド名は村上春樹作『ねじまき鳥クロニクル』から。
2008年9月より本格的に活動を開始し、2011年7月に初の全国流通盤となる『El Primero』を自主レーベル「Polka Dot records」よりリリースし、各地でロングセールスとなる。
2012年8月に待望の2nd Album『La Primera』をリリース。
底知れぬ音楽への探究心と、進化を見せつける作品となる。
脈々と時代ごとに受け継がれてきた英語のロックを、2010年代で担っていく重要な存在となるにちがいない。


【NEW ITEM】

SECOND ALBUM
『La Primera』
PDRD-1002
¥2,000 (Tax in)
NOW ON SALE
[Polka Dot records / HIP LAND MUSIC]

01. HHH
02. I’m being a fool again
03. NUKE?
04. Hug Me
05. Untitled
06. 浮世ヴェイナー
07. Stand Up! People!!
08. Shine, Shine
09. This Ocean Is Killing Me
10. Nerd In The Room


【ARTIST HOMEPAGE】

http://kidorikidori.jp/


【LIVE INFORMATION】

http://kidorikidori.jp/live/

【LUCKON】を開く 【LUCK'A PLANET】を開く
aquarifa PLAYBUTTON 発売中” title= LOVEHUMAN

ENTRIES

LIVE REPORT」カテゴリの記事

ARCHIVES

TAGS

SEARCH