TK新たなる開花

Filed under: LIVE REPORT — タグ: , , — LUCK'A @ 2012.10.11

TK from 凛として時雨

flowering T-Shirt with Luckand

昨年夏にLuckandにて、「film A moment展」を行った流れから、今回「flowering」に際する活動を行うにあたり、Luckand shop & galleryにてTKのソログッズの先行販売を行いました。それと同時に今回はラカンド店舗限定のTシャツも販売。また、Luckand On Line Shopのみで、モデル着用の写真も展示。こちらのモデルは、高山都さん、Neat’sこと新津由衣さん、そして、トデイこと戸高賢史さんがモデルを務めてくれました。今ならまだご覧&ご購入になれます。是非。


*Luckand Shop限定カラーTシャツ 
model:高山都(たかやまみやこ)
TOKYO FM(RADIO DRAGON)のパーソナリティを担当。モデル、女優、タレントとしても活躍中。


model:Neat’s 
新津由衣のソロプロジェクト。Neat’s(ニーツ)として活動中のシンガーソングライター。


Flowering Basil Sparkling

CAFÉ Luckand Et cetera【カフェ ラカンド エトセトラ】では、TK from凛と時雨 “flowering” Goods発売を記念して”flowering”をイメージしたドリンク、その名も「Flowering Basil Sparkling」を期間限定にて発売しました。ライムやバジル、トニックなど多彩な音色を組み込んだとってもスッキリとした、ノンアルコールカクテル。とても、好評で、期間中、リピーターさんも数多くおられました。


TK's New Logotype

今回、ソロ活動を行うに当たり、Yukiyo Japanデザインによる、TKとしては初の正式なアーティストロゴを発表。今回のグッズは、全アイテムがLuckand Madeとなっています。

また、イベント物販ならびに、当ショップ先行販売でも完売となった、これらのTKソロアイテム。特にご要望の多かった「小物」アイテムに関して、現在、Luckand On Line Shopにて絶賛販売中。当サイトのみの販売となりますので、是非ご覧下さい。

現在フジテレビ系「ノイタミナ」枠にて放送されるアニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」のオープニングテーマとして新曲「abnormalize」が起用されている凛として時雨。この「PSYCHO-PASS サイコパス」は「踊る大捜査線シリーズ」の本広克行を総監督に迎え、「魔法少女まどか☆マギカ」の虚淵玄がストーリー原案/脚本、人気漫画作家の天野明がキャラクター原案を担当。更に「機動警察パトレイバー2 the Movie」や「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」を手掛けるProduction I.Gがアニメーションを制作する、近未来を舞台とした警察機構の物語。
同アニメの放送に際し、我がラッカのアニメチームは、その「PSYCHO-PASS サイコパス」の描き出している世界観を最大限に活かした告知物や販売促進グッズの数々をデザイン&制作しました。


番組HP http://psycho-pass.com/
©サイコパス製作委員会

TK from 凛として時雨
FLY LIKE AN EAGLE
2012.8.30 @渋谷公会堂
W / 初恋の嵐、ストレイテナー

 「荘厳な建築物」
 そんな言葉を想起したライヴであった。
 スペインのサグラダ・ファミリアしかり、フランスのモンサンミッシェルしかり…。
 そう、そこでは、絵画でもなく、映像でもなく、あくまでも計算され、構築的でありながら、あくまでも人間が生み出し、描(びょう)するが故の深淵性や尊さをきちんと持った、まるで建築物のような、芸術性を帯びながらも実存性溢れる音楽が鳴らされていた。
 圧倒的に芸術性の高い建築物を見た時、我々はそこに魅入るように立ち尽くしてしまう。そして、魅入るうちに、それに包み込まれたり、時に襲いかかられるような錯覚さえ覚える。まさに、そこに横たわっていたのは、例えようのない美。それが音となって展開されたような50分だった。
 
 この日、私を含むほとんどの観客は、終始座って彼のライヴを体感した。しかし、それは「鑑賞」や「観賞」といった類とは多少趣きが異なるもの。ノったり、踊ったりしたい気持ちを制するぐらいの圧倒的な厳かさがそこにはあった。もちろん作品同様の躍動感は、全体を通しこの日のライヴでもしっかりとあった。ダンサブルと形容しても良いほどのダイナミズムと、高揚感を掻き立てるビートが、”さぁ、立ち上がって、踊れ!暴れろ!!”と、全身を襲ってくる瞬間も多々あった。しかし、不思議とライヴ全体を覆っていた孤高にも似た美しさや芸術性、気高さの前では、どこか躊躇してしまう自分がいた。”立ち上がって踊ったり、ノッたりすることは、この神聖な場を侵したり、汚したり、冒涜してしまう行為なのではないか?”そんな自制心が自身をその場に留めさせていた。そして、色々な思いを巡らせながら、終始グワッと襲いかかってくる、その高揚感と戦いながら、あえて体感という体を取り、そのステージから放たれる得体のしれない芸術を身体全体で受け止め、その建築物の中、自分を佇まさせていた。

 この日はイベントライヴだった。共演はストレイテナーと初恋の嵐。ストレイテナーとは昨年の2マンツアー以来の共演となった。会場は渋谷公会堂。意外でもあったが、スタンディングよりもこのようなホールの方が、あの作品の再演には似合うのかもしれない。そんなことを考えながら、自分の席につき開演時間を待っていた。

 1番手はストレイテナー。とは言え、この日は通例のバンドスタイルとは異なり、この初夏にリリースしたアコースティック・アルバム『SOFT』と共に、今夏全国を回ってきたアコースティックスタイルでのプレイであった。終始厳かで、そこはかとないアダルティな雰囲気が会場を包んでいた、彼らのステージ。メロディメーカーして卓越したセンスを持つボーカル&ギター/鍵盤のホリエアツシの歌声と、そのメロディの秀逸さや美しさがより際立ったスタイルでのプレイが印象的だった。アンサンブルが観る者を果てしない高見へと引き上げてくれた「Sad Code」、アコースティックらしからぬスリリングなサウンドの上、ホリエのシリアスなポエトリーリーディングが会場に緊迫感を寄与した「LIVES」、優しく柔らか、それでいてどこか懐かしさを有した「シンクロ」、そして、エバーグリーンに響く、美しい情景を会場に広げてくれた「Melodic Storm」等を披露。椅子に座って、それらにゆっくりと耳を傾ける、そんな楽しみ方の似合うライヴであった。

 続いては、昨年より復活ライヴを不定期に行ってきた初恋の嵐。今回のメンバーは、初恋の嵐の現在の2人に、ゲストミュージシャンとしてギターに木暮晋也(HICKSVILLE)と玉川裕高(赤い夕陽)、キーボードに高野勲、パーカッションに朝倉真司(ヨシンバ)と、彼らの1stフルアルバム『初恋に捧ぐ』のトラック作りを務めた面々がバックを固めている。その強力な布陣の上を、ゲストボーカルの岩崎慧(セカイイチ)、クボケンジ(メレンゲ)、菅原卓郎(9mm Parabellum Bullet)、堂島孝平が、2002年3月、メジャーデビュー直前に惜しくも亡くなってしまったボーカリスト西山に代わり、心を込めてそれぞれが歌う初恋の嵐の歌を乗せていく。
 情熱を込めてトップの堂島孝平が「罪の意識」を歌えば、2本のギターとオルガン、パーカッションが力強く景色を切り開いていった、2番手クボケンジの歌った「Untitled」、3番手の岩崎が楽しそうに「初恋に捧ぐ」にて、その思いを歌に込めて歌い繋げば、最後の菅原は力強い歌声で「君の名前を呼べば」で会場を惹き込んでいった。

 そして、お待ちかねのTK from 凛として時雨が登場する。BGMが「film A moment」の「introduction」に変わり、厳かな雰囲気とぴりっとした緊張感が会場を覆う。明らかに前出の2アーティストの出番待ちの際の雰囲気とは違う。背筋をピンと伸ばし、固唾を飲んで、その登場を慎重に待っているというか。”どのように彼の1stソロアルバム『flowering』での作品性の高い、あの世界観がこのステージ上で再現/展開されていくのか?”。不安と興味、そして、”これからこの場がどうなっていくんだろう?”との想いが、胸を去来する。
 
 客電がゆっくりと落ちていく。真っ暗な中、ステージ上の各機材のインジケートランプだけが赤く灯ってる。青白く浮かび上がっていくステージにメンバーが登場する。拍手だけで歓声はない。少し遅れてTKが登場。拍手が更に大きくなっていく。センターに立つと、アルバムの1曲目を飾っていた「Abnormal trick」のバンド音がコラージュされていくように、コンクレートされていく。高速モントゥーノピアノの音色に乗り、ライヴが走り出す。うーん、完璧だ。再現、再演、いや、それ+αの生の人間による魂や人力、感覚が兼ね備わったアンサンブルが作品以上の何かを確実に寄与し、単なる再演のみにたらしめていない。その証拠に、作品では感じられなかった、ぞわっとした感覚や目を見開かせるような美しさ、そして、背筋をピンとさせられる場面と何度も遭遇した。大古晴菜のピアノが楽曲にエレガントさを加え、橋本歩のチャロが厳かさを与え、佐藤帆乃佳のバイオリンが楽曲に優雅さを注いでいく。TKも作品以上にウィスパーボーカルを基調に、激しさを交え歌を紡いでいく。そして時折現れる、はっと息を飲むぐらいの美しさ。それをアンダーカバーするように激しさを再びかぶせていくところも、なんだか彼らしい。

 念入りなサウンドチェックを終えると、ギターと共に続く「12th laser」をTKが歌い出す。BOBOのドラミングがダンサブルさと躍動感を、日向秀和のスラップを交えたベースがグルーヴをグイグイ引っ張っていく。ダンサブルながら哀愁性を多分に湛えている同曲。ここでは佐藤のバイオリンが扇動的な役割を見せていた。
 ここでも曲間はシーンとしている。TKがギターを持ち替え、3曲目の「phase to phrase」に。流麗でクラシカルなピアノにてループさせた旋律に、深くリバーブのかかったTKの歌声が浸透していく。バックから激しく当てられる白色のライトが心を走らせる。
 TKがアコギに持ち替える。戸高賢史との美しいギターアルペジオによるアンサンブルがことさら次曲の「flower」を高宗に演出する。TKのかき鳴らすスパニッシュテイストのあるカッティングが哀愁と情熱を楽曲に寄与し、日向のノイジーなベースがそこに音の爪を立てる。間にはTKの歌とピアノだけになる場面も現れ、その美しさに一瞬ドキっ。そこからフロアタムを活かしたBOBOのドラムが再び加わり、再度高揚感をグワッと引き上げにかかる。ギターを弾かず、リズムに乗り、ブームマイクを掴み、歌い、シャウトするTK。そこから再び何事もなかったかのように楽曲のモチーフに戻るところもスムーズだ。以後、同曲はラストまでは再び焦燥感を煽るように走り続けていく。


 
 激しい曲は、終わった後、その分の余韻も深い。ことさら先の「flower」を終えた後の沈黙は深く、冷んやりとした空気感と静けさを感じた。その反面、次のピアノから始まった「haze」では、そのピアノのブレイブな音色が尚のこと明るさを強調していた。そこはかとない上昇感を有した同曲。BOBOの踏むバスドラが前進感を生み、チェロが深みを楽曲に加える。戸高のギターがノイズの壁を作り出し、BOBOがスネアとバスドラでその壁がドンドン崩していく。それに対し優しいウィスパーで歌われるTKの歌がより優しく温かく、柔らかく感じる。
 
 TKがギターの爪弾きと共に「fourth」を歌い出す。TKと戸高がギター2本によるアンサンブルを聴かせる。TKの前にはランプが一つ。どれが楽曲にポッとした優しさを演出していく。バイオリンが優雅さを、それを引き継ぐようにチェロが厳かさを楽曲にブレンドしていく。最後には微かだがTKが笑っているようにも見えた。
 エレガントさとスリリングさを同居させた音色を鍵盤が誘う。ラストは「film A moment」だ。戸高もギターを再びエレキに持ち替え、くぐもった歪みを楽曲にプラスしていく。何故にTKの歌声はこんなにも物悲しくも諦念を帯びていているのだろう。しかも、”それだけど生きなきゃ”とまで思わせるのだろう。中間部以降、歌が外に向けグワッと広がっていき、我々を更なる高見へと引き上げにくる。ガリンガリンに歪ませた日向のベースが痛い。そこに包帯でも巻くようにピアノと弦楽団が、優しくも狂おしく絡んでいく。ヒステリック度を上げていくTKの歌。「♪僕は時間になってみたいな 誰か僕を戻すんでしょうか♪」の問いが会場に広がっていく。そして、「ありがとうございました」の一言を残し、TKとメンバーはステージを去る。
 
 終演を告げるBGMが流れても、誰一人帰ろうとせず、アンコールを求める拍手が続く。しばらくの間、暗いままの会場。”凛として時雨ではありえないアンコールが、もしかしたら行われるかもしれない…”。そんな淡い期待を胸に、なおもアンコールを欲する拍手は続いていく。
 ステージがやおら明るくなり、TKが一人で現れる。まさかとは思ったが、アンコールに応えてくれるようだ。
「こうやってアンコールに応えて出てくるのは、何年かぶりなんだけど、せっかくなので1曲だけ演らせてもらいます」と、アコギを持ち座る。「あまりカバーは演らないのですが、初恋の嵐の曲を1曲だけ」と、ギターを爪弾きながら、初恋の嵐の「涙の旅路」を歌い始める。会場中が全神経を彼のギターと歌に集中させ聴き入る。あの諦念を帯びた、ハイトーンのボーカルが、ことさら優しげに響く。まるできらきら光ってるような歌と歌声を残し、彼はステージを去っていった。

 正直、当初はてっきり作品だけで完結すると思っていた。人に向けて発信する音楽というよりも、自分の中で完成させ、ひっそりと箱の中に入れ、一人で時々その箱を開け、聴く為の音楽だと思っていたから。一緒に聴くとか、共に体感/体験するというよりは、自分一人の中に浮かび上がってくる情景や光景を楽しむ音楽だと勝手ながら思っていた。もちろんライブ向けの音も多いし、ライブはライブで違った甘受がありそうなことも想像できた。しかし、あの構築感やコンクレート感、芸術とも呼べそうなあの現代音楽感は、なおのことあの作品だけで完結し、ライブによる再構築への疑問を募らせた。
 しかし、この日のライヴを観て納得した。いや、考え方が変わった。そこで展開された、完璧に近い作品の再現と、ライブならではの臨場感やリアルな感情移入は、作品以上のエモーショナルさやデリケートさまでも我々に伝えてくれた。そして、思っていた以上に、聴き手に考える余地や入り込む隙間があり、そこからオーディエンスたちは、自分の物語を展開。いわゆる一体感や一丸性とは、違ったタイプの共有感を得ることが出来た。そう、だからこそ彼は、”ライブをする”という発表/発信メゾッドをあえて選んだのではないだろうか?と今になって思う。
 再構築でも再演でもトレースでもない、その場を作り上げていた、この日のライヴ。帰路、何かとてつもない荘厳な建築物を見た後のような残像感を身体に残したまま、その建築物をもう一度見上げるように、彼らのライヴを頭の中で何度も再生してみた。

 
Report : 池田スカオ和宏


【SETLIST】

1. Abnormal trick
2. 12th laser
3. phase to phrase
4. flower
5. haze
6. fourth
7. film A moment
Encore
涙の旅路(初恋の嵐)

【MEMBER】

Vocal&Guitar: TK 
That Evening Support Member
Guitar: 戸高賢史(ART-SCHOOL)
Bass: 日向秀和(ストレイテナー、Nothing’s Carved In Stone) 
Drums: BOBO 
Violin: 佐藤帆乃佳 
Cello: 橋本歩 
Piano: 大古晴菜


【PROFILE】

TK(Toru Kitajima)
凛として時雨Vocal&Guitar
同バンドにおいては全作曲、作詞、エンジニアを担当し鋭く独創的な視点で自らの音楽を表現する。
ソロ名義での処女作となったPHOTO BOOK + DVD「film A moment」は海外で撮り溜めた写真、日記、8mm映像といったあらゆる「瞬間」を基に制作され、まるで脳内を映し出したかの様な繊細で美しい世界観を新しい形で表現したプロダクトとなった。
1st solo album「flowering」では、スリーピースバンド=時雨の枠から自らを意識的に解き放ち、ジャンルを超越した類い稀な音を生み出している。


【NEW ITEM】

flowering
2012. 06. 27 release
¥3,059 (Tax in)
AICL-2392
Sony Music Associated Records Inc.

1. flower
2. Abnormal trick
3. haze
4. phase to phrase
5. white silence (album version)
6. 12th laser
7. film A moment (album version)
8. daylily
9. fourth


【ARTIST HOMEPAGE】

http://sigure.jp/tk/

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