T.S.R.T.S『CAMP』×カフカ『空に継ぐものたちへ』DOUBLE RELEASE 2MAN LIVE「わたしのテントにおいでよツアー!」

Filed under: LIVE REPORT — タグ: , — LUCK'A @ 2012.09.17

T.S.R.T.S『CAMP』×カフカ『空に継ぐものたちへ』DOUBLE RELEASE 2MAN LIVE「わたしのテントにおいでよツアー!」

T.S.R.T.S
T.S.R.T.S『CAMP』×カフカ『空に継ぐものたちへ』DOUBLE RELEASE 2MAN LIVE
「わたしのテントにおいでよツアー!」
2012.8.10 (Fri) @ 渋谷O-CREST

 「まさか結成4ヶ月でCDが出せるとは思ってなかったんで、自分たちでも驚いています。これもみなさんのおかげです」と、この日のライヴ中盤のMCで、ボーカル&ギターの鴇崎さとしは語った。その言葉に、自分を含め会場中が深くうなづく。みんながこの日の彼らの雄姿と、ここに来るまでに数え切れない程繰り返し聞いてきたであろう、7月に発売された彼らの1stミニアルバム『CAMP』を振り返り、同じ思いを持ったに違いない。
 このT.S.R.T.S(ティー・エス・アール・ティー・エス)のメンバーの鴇崎、ギターの稲増五生、ドラムの岡田翔太朗が在籍していたバンド、serial TV dramaが解散したのが、この3月。その直後から、このT.S.R.T.Sはライヴを行なってきた。ベーシストに女性のカワイリエを迎えて。
 LED ZEPPELINの楽曲「The song remains the same」から、その名がとられたという、このT.S.R.T.S。その始動とラインナップを初めて聞いた時、正直2つの意外さがあった。一つは鴇崎がバンド解散後、ソロで活動するのではなく、違った音楽性とは言え、再びバンドを組んだこと。そして、もう一つは、女性をメンバーに選んだことだ。
 まずは前者から。楽曲制作、ライヴでのステージングやパフォーマンス、そして全体を引っ張っていきたがりそうな性格や、キチンと自分の世界観を持ったその佇まいを持っている彼にとってserialの後期は、少々窮屈さを覚えているように、私には見えた。「やっぱり俺は1/5じゃなく、もっと自分を上手く表現出来る方法を選ぶよ」なんてことを言いながら、てっきりソロで活動していくと思っていた。しかし、実際はそうではなかった。彼は再びバンドを選び、楽曲制作はもとより、メンバーのひとりであることを選んだ。しかも、1/4でありながらも、キチンとバンドを引っ張っていく、フロントマンとして気高く。
 そして続いては、女性をメンバーに加えたことだ。聴くところによると、これはギターの稲増が既にserial時代からの知り合いであり、その佇まいやプレイを見、その頃より、”いつか一緒に演りたい”と目を付けていたらしい。しかも、その時点では、こんなにしっかりと歌を歌えることすら知らなかったという。果たして、この強者3人衆の中で、彼女はやっていけるのだろうか?そして、<華>という以外に、<女性>という特性が、このグループでどのように活き、アクセントとなっていくのか?そんな懸念と、逆におぼろげながらの期待があった。そして懸念の方は、彼らの作品を聴き、更にステージを観ることで解消され、逆に期待の方は、ぐんぐん膨らんでいった。そう、彼らの作品やステージからは、この4人が一緒にバンドを組み、これから一緒に演っていく、その意義や方向性、そして必然性がありありと現れていたのだ。
 
 この日の共演は、8月1日に初のミニアルバム『空に継ぐものたちへ』をリリースしたばかりのカフカ。そう、この日は、そのカフカと、発売したばかりの、こちらも初のミニアルバムとなった、T.S.R.T.S『CAMP』のダブルレコ発ライヴであった。この組み合わせは、この日を皮切りに、8月中を通し、名古屋、大阪でも行われた。
 そして、この日の渋谷O-CRESTは、そんな2組のレコ発2マンライヴを楽しみに集まったファンでいっぱいであった。


 
 我がラッカは、そんなT.S.R.T.Sの記念すべき初グッズとなった、今回のツアーグッズを制作させてもらった。
 まずは、今回のミニアルバム『CAMP』のジャケットにあった、肉のイメージを踏襲した絵をモチーフに、その霜降りをリアルに再現したく採用した2種の霜降りボディからなる「何かを肉みながらもTシャツ」、ロゴを強調するためのベーシックなフェイスタオルに、アクセントとしてレーベル名を上手くあしらって入れ込んだ「T.S.R.T.S ロゴタオル」、そして、それをアレンジし、珍しい横長の缶バッヂに落とし込んだ「スクエア缶バッヂ」を制作した。


 
 青白く浮かび上がったステージに4人のメンバーが現れる。各人がセッティングを終え、思い思いにデモンストレーション的に自身の音を出していく。一通り音の壁を作り出すと、稲増のギターリフがその中から現れ、そこに岡田の4つ打ちのバスドラが力強く加わっていく。「『わたしのテントにおいでよツアー!』にようこそ! 渋谷O-CREST、行くゼ!」と鴇崎。ダンサブルだけどどっしりしている「ヴェロニカ」から、彼らのライヴは幕を開けた。楽しく歌を楽曲に乗せていく鴇崎。カワイのコーラスがその上に乗り、楽曲にさらなるふくよかさや柔らかさ、温かさなんてものが加わっていく。サビに上昇感や開放感を有した同曲。間奏部分では、まず稲増がギターソロを炸裂させ、「次は俺の番だよ」と言わんばかりに、鴇崎がギターソロを引き継ぎ、合わせてステージ前へと赴き、そのままソロを炸裂させる。

 重目のドラミングで岡田が繋ぐ中、ドライヴ感のあるカワイのベースがそこに乗っていく。2曲目は「WORLD IS OVER」だ。楽し気でありながら、しっかりキャッチーさを有した同曲。ラストは鴇崎がアドリブでソウルフルなフェイクをキメる。そして、岡田の4カウントから鴇崎がギターと共に歌い出す。「TSRTS」だ。稲増のギターが自由に泳ぎ回り、間にはマッドな部分を持ち込み、楽曲にメリハリとドラマ性をつけていく。
 間に重目のバスドラとスネアにアクセントをつけたドラミングで岡田がつなぐ。「今日は、せっかくなので新曲も持ってきました。聴いて下さい」との鴇崎の言葉の後、「ウルトラ」が放たれる。少ないコード数でミニマルにしっとりとゆっくり同曲が景色を広げていく。この曲は、鴇崎とカワイの2声で歌う箇所も。この辺りで、カワイの加入後に判明した新たな付加価値を感じる。稲増も陶酔気味にギターを弾き、最初から最後まで彼らの新しい武器とも言える、2声による歌声が会場に響いていく。

 続いての「シュガーコーン」では、まずは4人でちょっと長目の不穏な雰囲気を作っていく。ウェットな鴇崎の歌い方と、ちょっと変態性の入ったサウンドが会場に特異性をもたらせていく。同曲で、稲増もアクティブなアクションを交えてギターをプレイ。アウトロでのカワイの優し気なボーカルが会場を深みへと誘う。同曲を終えると、実はこの曲が「CAMP」のタイトルの予定だったと鴇崎が告白。その雰囲気の違いに、みんなが驚く。

 「この曲の後にMCをするのは、やりにくい」と鴇崎。「今日はカフカとの2マン。ギターもリッケンバッカー(ザ・ビートルズも使用していたイギリスの楽器ブランド)同士というブリティッシュ色の強い1日。今日は2マンだけど、出し切っていくから、みんなもそのつもりで楽しんでくれ。たぶんカフカも同じ気持ちで臨むだろうから」と締め、続いて明るく楽し気な新曲「ライラック」を始める。「光を探している」のフレーズも印象的な同曲。岡田のドラミングが楽曲に弾んだ感じを与え、その岡田を交えた3声のコーラスがポップで軽快さを演出していく。
 いつもは短パン姿の岡田が今日は見なれないジーンズ姿。そんな彼のドラムスティックによる4カウントから「衝突」に。カワイのボーカルも加わり、ツインボーカルでドリーミーな世界へと会場を誘う。プリセットされたシンセの単音と共に、稲増のギターも浮遊感のあるフレーズを乗せていく。この辺りは、sereal TV Dramaでは見ることの出来なかった新しい要素と言えるだろう。フワフワとさせながらもサビではしっかりと会場を眺めの良い場所へと着地させる。前曲の余韻の中、鴇崎がマイクスタンドを掴み、「ゼロ」を歌い始める。サビに入ると一瞬舞台がバーッと明るくなり、楽曲と照明演出とのベストマッチを見せる。切なさを擁し、鴇崎もこれまでとは違った秘めたエモさを醸し出し、より感情を込めて歌う。同曲を会場にパーッと広げた後、トツが11月11日に自主企画「SOUP」を行なうことを告知。稲増が「ファイナルの無いレコ発ツアーにようこそ来てくれた」と、感謝の意を加えて述べる。

 鴇崎がLED ZEPPELINの「天国の階段」のイントロフレーズを奏で、その上に乗せ、ついでに1フレーズを歌ってくれたのだが、これがソウルフルで実に上手い。続いて、今回の物販のタオルを掲げ、バッヂについても説明を入れてくれる。

 「俺たちは俺たちなりに楽しむので、みんなはみんななりに楽しんで下さい」と鴇崎。4人がそれぞれ再びデモンストレーション的な音を放ち、それを撃ち破るかのように「GUILTY」が飛び出す。サビでは楽しく、上昇感のある4つ打ちが光り、それに合わせ会場中も呼応。パーティさ溢れる一緒にキャッチーとパーティーさ溢れる同曲を歌う。一瞬2本のギターがユニゾンを作り、それがグッと会場を魅了する。そして、そのままラストの「going in the sun」にイン。ミッドテンポな同曲。カワイも魅力のキャンディボーカルを交えていく。間のカオス部を挟み、もう一度テーマに戻っていく様は鳥肌もの。ラストは、まるで太陽に向かっていくごとくステージの光量も上がっていき、例えようのない一体感にて会場を包んでいった。
「T.R.S.T.Sでした、またどこかでお会いしましょう」と締め、演り終えたといった表情と共に4人はステージを去った。

 ライヴを観終わった後、凄く感じたことがある。それは、”自由だなぁ”というのと、”楽しそうだなぁ”ということ。その時、このバンドのキャッチフレーズをふっと思い出した。
<"男と女。甘さとヘヴィネス。爆発するような歓びを讃えながら、力を合わせて果たす、楽しい計画。We are T.S.R.T.S">
 うん。なんだ、そのまんまじゃないか。
 とにかく彼らは走り出した。そして、どんどん膨らんでいく可能性と共に、やりたいこと、やれることもどんどん膨らんでいく。今後も我がラッカは彼らをサポートしていく。さぁ、夢よ、もっともっと膨らんでいけ!!

 
Report : 池田スカオ和宏


【SETLIST】

1. ヴェロニカ
2. WORLD IS OVER
3. TSRTS [初期曲]
4. ウルトラ [新曲]
5. シュガーコーン
6. ライラック [新曲]
7. 衝突
8. ゼロ [初期曲]
9. GUILTY
10. going in the sun


【MEMBER】

Vo.&G. : 鴇崎さとし
G. : 稲増五生
B.&Cho : カワイリエ
Dr.&Cho. : 岡田翔太朗


【PROFILE】

バンド名は、Led Zeppelinの楽曲「The song remains the same」に由来。
2012年3月結成、ライブ活動を開始。
初音源となる、ミニアルバム『CAMP』を7月にリリース。
8月にはカフカとWレコ発ツアーを東名阪にて行い、各所大成功をおさめる。
11月には初の自主企画「SOUP」を渋谷O-CRESTにて行う。


【NEW ITEM】

1st mini album
『CAMP』
UXCL-0050
¥1,500(tax in)
タワーレコード限定発売
NOW ON SALE
【SUMANAI Records】

1.ヴェロニカ
2.衝突
3.GUILTY
4.WORLD IS OVER
5.シュガーコーン
6.going in the sun


【ARTIST HOMEPAGE】

http://t-s-r-t-s.net/


【LIVE SCHEDULE】

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