People In The Box / 『Bird Hotel リリースツアー』

Filed under: LIVE REPORT — タグ: — LUCK'A @ 2009.03.19

People In The Box
「Bird Hotel リリースツアー」
2009.2.14
@渋谷 CLUB QUATTRO

昨年12月に発売したニューアルバム『Bird Hotel』のインタヴュー時に、ヴォーカル&ギターの波多野くんは、「自分勝手に楽しんでやろうと思っています。この作品をライヴでどう表現し、それをどう体感してもらえるかを期待していて下さい」とコメントしてくれた。
その言葉を楽しみに足を運んだ今回のPeople In The Boxのワンマンライヴ。『Bird Hotelリリースツアー』のファイナルとなった今回のライヴ。前売りチケットは既にソールド・アウトだと聞き、さぞかしの混雑を予想しつつ、多少早めに会場に入る。
入ると同時に目にした物販購入に並ぶ長蛇の列と、そのお客さんの真剣な目。そう、今回のT-シャツ、タオル、キーホルダー、携帯ストラップ等々、物販物一式の制作はうちLUCK’Aが担当、一部のデザインも請負ったのだ。その物販の列や購入するお客さんの必死さ(失礼)、手にした人たちの嬉しそうな表情から今回の物販の量販を確信する。うっしゃー!!

会場に入ると開演20分前とは言え、既に会場はパンパン。通常より前方までお客さんを入れている。待つことしばし。ポスト・エレクトロニカなSEに乗りメンバーが登場した。ドラムの山口が前っつらまで赴き会場に一発カマす。続いてベースの福井、少し遅れてボーカル&ギターの波多野が現れる。軽い挨拶のあと、緊張感漂う中、最初の一音を会場中が待つ。ギターを一音だけ鳴らし、それをエフェクターでリバースさせ、ハイハットやシンバルがアクセントをつける中、波多野が自作の現代詩の朗読を始める。聴き入る会場中。「ぼんやりとあったらよい」との最後の1フレーズが繰り返され、読み終えると「ありがとう」の言葉を一言。若干の間の後、波多野のジャズマスターからガツンとした一音が会場に放たれる。1曲目は「完璧な庭」だ。ドライヴ感とダイナミズムを生む福井のベースが少しづつ会場の温度を上げていく。続いて歌い出しから勢いと弾みをつける2曲目「ユリイカ」に突入。歌での聴かせどころとサビでのノらせどころに、”待ってました!!”のリアクションが会場中から送られる。ラストのブロックの一音づつ上がっていく箇所は鳥肌ものだ。間髪置かず福井のプレシジョン・ベースがスリリングなリフを放つ。そこに山口のドラムがラウドさを付け加え、「見えない警察のための」が始まる。Bメロでの柔らかさからストレートなサビに移る部分がたまらない。この曲では波多野もギターソロに高じる。一拍置いてギターのフレーズにドラムがイン。続いては赤系のライトが似合う曲「レントゲン」がプレイされる。エコーの効いたギターの一音一音にガツンとさせられつつも、逆にサビの部分では冷ややかにさせられる箇所もユニークだ。途中でストロボが焚かれ、それがカオス感を煽る。それに加え、アウトロの音の洪水感は圧巻。何もかもを砂の荒らしに巻き込んでいく。まさに歌詞に出てくる「白昼夢が続きますように」と会場の全てが思ったにちがいない。
そして、会場を白昼夢から現実に引き戻すかのように、ここでMCが入る。「Bird Hotelツアーにようこそ。今日は気のすむまで演るから覚悟してくれ」と、波多野から力強いマニュフェストが告げられる。

そして、チューニングが終わるとすぐさまフィル入りのスネアの音も印象的、音の抜き差しとカウンターがたまらない「海抜0m」に突入。作品とは全然違ったライヴならではのアレンジだ。作品以上にサビの部分がガツンとくる。波多野があまり動かない分、福井がアクションをつけベースをプレイ。ステージ上での役割分担を見せる。不穏なベースのイントロから「昏睡クラブ」に入ると、激しさを激しさで上書きしていくナンバーの登場に、お客さんも一段とグイッと前に乗り出す。とは言え、この曲のハイライトは間に入る穏やかな三拍子。これが起爆剤となり、後半の緊張感がさらに活きるのだ。場合場合の展開の変化の土台を山口のドラムが引き受ける。彼らが1曲の中に様々な拍子や展開を加えようとも、チグハグに聴こえないのは、このトライアングルの信頼感によるものだ。
続いて、サビの部分のパーッとなるところや間奏で打ち鳴らされるフロアタムが会場を沸せた「6月の空を照らす」。そして、長いイントロの後に歌に入るというライヴならではのアレンジも光る「She Hates December」。サビの部分にハッとさせられ、急に目の中に何かが飛び込んでくるような錯覚を覚える。

ここで2回目のMC&チューニング・タイム。花粉症に対して山口がいつものごとく毒づく。いくら毒づかれても会場がにこやかに受け止める光景もいつもどおり(笑)。痛快&コミカルな山口のMCにより、さっきまで充満していた緊張感が和んでいく。それを引き継ぎ福井がグッズの告知を始める。彼の丁寧な紹介に、「みんな買ってくれ~」の祈りを込める。いや、これはLUCK’Aスタッフである、僕の心境(笑)。
続いて、チューニングを終えた波多野から「古い曲を演ります」のMCが入るも、ベースがトラブル。波多野がMCで繋ごうとするも繋がるはずもなく(笑)、手持ちぶさたの中、波多野と山口の二人で、サービスに「一度だけ」をプレイする。
そして、ベースも立ち直り気を取り直し、深海を漂い、彷徨っているかのようなナンバー「ブリキの夜明け」を始める。他の曲ほど激変やメリハリがないぶん、ずっしりどっしりとくる楽曲だ。そして、そのままギター弾きながら「サイレン」に突入。フロアタムやタムを多用したドラミングが、ズンズンした感じを生みつつ、ラウドさと昇天さを交互に生み出していく。そして、ギターのカッティングとほぼ同時に歌い出す「犬猫芝居」。この曲もどっしり&ラウド感が大事な曲だ。波多野も二面性を歌い分ける。続いて、ニューアルバムでも聴き覚えのあるギターフレーズが飛び出す。「月曜日消失」だ。波多野のハミングも飛び出す。ハイハットの刻みとバスドラでつなげつつ、その上に波多野の歌が乗る「泥の中の生活」では、瞬間グワッと音の壁が眼前に現れる。穏やかさと衝撃が、ありえないコントラストを生む同曲。今まで比較的大人しかった波多野がギターを床にこすりつけ、丸腰でお客さんを煽る。その間もリズム隊はアヴァンギャルドに演奏を続けている。圧巻だ。お客さんもじっとそのアクションを成す術もなく魅入っている光景が印象的であった。
独特の緊張感が会場に残る中、山口が再びライヴ告知等をコミカルに伝える。一気に会場に和みムードが戻ってくる。

さあ、ここからは後半だ。再び会場を彼らの世界観に引き戻すかのように、比較的ストレートでストップ&ゴーが印象的な「水面上のアリア」。勢いにさらに輪をかけるように「はじまりの国」を立続けにプレイ。福井のアクションや指の動きも激しくなっていく。ダイナミックに広がっていきつつも、返拍子にドライヴ感が加わっていく。激しい曲はまだまだ続く。イントロが鳴り、お客さんも盛り上がる。続いては「ペーパートリップ」だ。波多野の動きも激しくなっていく。怒濤性が増す反面、フッとなるところが余計美しさを生む。怒濤に駆け抜けつつ、曲の最後ではそのままカオスでアヴァンギャルドに突入。本編ラストは穏やかな「ヨーロッパ」。ニューアルバムでもラストを飾っている同曲。作品同様詩の朗読が聴く者の胸に突き刺さる。会場中がまるで発光していくかのように、白いライトに包まれ、「君の胸騒ぎが本当になるといいな」とのフレーズが繰り替えされ、会場中が大きな光に包まれていく。

アンコールで再び登場した3人。それぞれからの感謝のMCの後、新曲がプレイされる。ロック的ストイックさにピープル的繊細さの両極を有した同曲。大袈裟な展開に頼らないドラマティックさやストーリーの流れに彼らの次が見えてくる。そして、アンコール2曲目は「Alice」。「まっさかさまさ」のフレーズも印象的、分かりやすく伝わりやすいこのナンバーに、なんとなくの明るさを見い出した。
再度はけるもダブル・アンコールに応え再度ステージに現れる3人。「僕は音楽の力を信じている。ありがとう」と波多野。「『Bird Hotelツアー』を完結させてくれ」と山口がMC。正真正銘のラストは「鍵盤のない、」だ。解き放たれた感じのナンバーに会場中が色づく。途中で詩の朗読を挟み、アヴァンギャルドに攻めつつ、最後はパーッとしたところに連れていってくれたのだった。

出口に向かうも、入場以上に物販場には長蛇の列。LUCK’A制作のT-シャツに既に着替えタオルを首にかけている人も多数見受けられ。彼らの愛されっぷりを確認し、帰路についたのだった。

Report : 池田スカオ和宏


【グッズ】

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【SET LIST】
朗読
1. 完璧な庭
2. ユリイカ
3. 見えない警察のための
4. レントゲン
5. 海抜0m
6. 昏睡クラブ
7. 6月の空を照らす
8. She Hates December
9.ブリキの夜明け
10. サイレン
11. 犬猫芝居
12. 月曜日消失
13. 泥の中の生活
14. 水面上のアリア
15. はじまりの国
16. ペーパートリップ
17. ヨーロッパ

Encore
En-1. 新曲
En-2. Alice

DOUBLE-Encore
W-En-1.鍵盤のない、


【MEMBER】
Vo.&G. 波多野裕文
B. 福井健太
Dr. 山口大吾


【PROFILE】
しなやかなドラム、力強いペース、青白い和音を奏でるギターのスリーピース編成を生かしたスマートなサウンド、複合的なリズムにポップな歌のメロディー。イノセントな声が、不思議な世界観をともなって耳に飛び込んでくる。2008年12月に3作目となる2nd mini album「Bird Hotel」をリリース。2009年1~2月には全国5箇所のワンマンツアーを各ケ所にて大成功を収める。


【LIVE INFORMATION】
5/6(wed) 新木場STUDIO COAST
残響5th & VINTAGE ROCK 10th presents 心響(HIBIKI)ROCK FES. 2009
w / 9mm Parabellum Bullet / GRAPEVINE / POLYSICS / te’ / avengers in sci-fi / and more…5/21(thu) 渋谷DUO MUSIC EXCHANGE
スペースシャワー列伝~第七十六巻 ~海底3マイルの宴~
w / sleepy.ab /SPANK PAGE / and more…

5/24(sun) 宇都宮HEAVEN’S ROCK VJ-2
TOUR2009 “UNISON SQUARE GARDEN”
w / UNISON SQUARE GARDEN / and more…


【ARTIST HOMEPAGE】
http://peopleinthebox.com/

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