おとぎ話「SUPER!ULTRA!BIG BANG ATTACK!TOURファイナル!」

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おとぎ話「SUPER!ULTRA!BIG BANG ATTACK!TOURファイナル!」

おとぎ話
「SUPER!ULTRA!BIG BANG ATTACK!TOURファイナル!」
ゲスト:前野健太
@渋谷クラブクアトロ
2011.12.27(Tue)

2007年のこのHPの開設以来かれこれ丸4年。我々は年末必ず、おとぎ話のライヴレポートをしている。そして毎年、タフで力強くなっている、彼らの姿を目の当たりにする。出逢った頃に感じた、背伸びや強がり、開き直りで発していた言動も、いつの間にかしっくり。気づけばスタンドアローンにて、それらを実現してたり、実行してたりしていた彼ら。そのDIY度は年を追う毎に高くなり、その信念の強度もアップ。その姿には、逞しさや頼もしささえ覚える。
毎年、”今年が最強だろう”と思いながら見ているのだが、一周回った次の年の暮れには、それを飛び越えたライヴを展開。キラキラの輝度を上げながらも、純度の高い内容を提供してくれる彼ら。しかも、毎度3時間に渡ってみっちりとだ(笑)。
そしてそれは、この晩も然り。お客さんの反応や欲しているものを察し、自身の止められない勢いや流れから、”今ここで出さなくちゃ!!”の使命と共に、当初のセットリストには無かった2曲を放ち、アンコールでは朋友前野健太を迎え、彼の歌のバックを務めた4曲を含む全29曲が、この年末押し迫った渋谷クラブクアトロにて3時間超に渡り繰り広げられた。

今回、我がラッカは、彼らのニューグッズとして、「メタルTシャツ」「こあくま有馬 シュシュ」「こあくま有馬 缶ミラー」を制作した。【ライヴ会場及びLUCK’A PLANETにて絶賛販売中!!⇒LUCK’A PLANET

いつものように各所に電飾が飾られたステージの真ん中には、サンプラーがセッティングされ、メンバーの登場を待っている。
開演予定から10分程過ぎ。ロマンティックでスィートなSEに乗り、真っ暗になった会場に、ファンタスティックな電飾の光でステージが浮かび上がる。そこに、まずはベレー帽をかぶったドラムの前越が客席を煽りながら登場。続いてベースの風間、前髪をオールバックにさせたギターの牛尾、ボーカル&ギターの有馬もいつものシガ―ロスのヨンシーライクに顔にラメを塗った顔をニコニコさせながら登場する。
メンバーそれぞれがフォーメーションにつき、スタンバイすると、有馬のア―シ―なギターリフに牛尾のギターがかぶる。そこに加わる前越のどっしりとしたドラムに風間のベース。それをイントロに1曲目の「1981」が、ワイドにダイナミックに開けて行く。前越、風間のリズム隊ががっしりと支える中、音数少なくも、存在感たっぷりのギターを乗せていく牛尾。ウエットでジワジワとしたトーンを有する有馬の歌声が染みる。歌詞の「1人ぼっちの夜を壊してくれたらいいな」のフレーズが、会場に流布していく。続いて「未来の乗り物」のイントロが始まると、”待ってました!!”とフロアもハネる。と同時にライヴもキラキラ感を有し転がり始める。牛尾のギターがワイルドなカッティングと浮遊感を使い分け、前越もドラムを叩きながら会場を煽り、絶叫を放つ。そう、この日は、今までにない程に前越の暴発キャラが目立ち、これまで以上の危うさと、エンタテインメントぶりを各所で発していた。

そして、適度な上昇感がたまらない「HISTORY」では、有馬の「笑い声のする丘を目指したら ほら 涙が出た」の歌詞が会場にセンチメンタルさを誘う。前越が味のあるコーラスを加え、それがアクセントとなっていく。続く、明るさとワイドさを伴った「また、よろしく!」に入ると、有馬も風間もフロアを煽り、ポップ感やワイド感に伴い、フロア前方の密度もグッと上がる。そして、風間が手拍子を煽り、その中、「ネオンBOYS」に突入すると、アップテンポな曲の登場にフロアに立てノリが生まれる。もちろん、「WE ARE THE BAND OF THE NEON BOYS」の箇所では、会場も合わせて大合唱。みんなキラキラした笑顔で呼応している。「THANK YOU WE ARE おとぎ話~!」と前越が叫び、そのまま「思春期」にイン。「30歳になりました!」と前越がアドリブで、がなりで応え、有馬も遊びを幾つも交え歌う。4つ打ちで繋ぐ中、有馬がサンタ帽をカブり、前進感のある「SUN(12月)」が始まる。「僕が生まれた日 君と出逢えた日」のフレーズが現れると会場の各々がその場面を思い返し、これまでの色々な日々を楽曲に乗せ、頭の中に広げていく。
牛尾がファンタジーなアルペジオを響かせ、それに乗せ、ベースボールキャップをかぶった有馬がシェイカーを振りながら、「今日来ている人の中で、おとぎ話がスーパースターと思っている人に捧げます」と「スーパースター」を始める。牛尾の爪弾くアルペジオに乗り、有馬はほぼギターを弾かずに歌う。シャワーのようでいて、刺すようなギターソロが会場に炸裂する反面、サビでは開放的で伸びやかなギターが会場に響き渡る。

まだまだノンストップでライヴは進み行く。「E.T.M」の強くもモーターサイクル的な曲が登場した際には、会場にドライヴ感が満ちる。巻き込むようにグォーッと進む楽曲にフロアも合わせて盛り上がる。
風間がサンプラーで繋ぎ、前越の力強いスティックカウントから「空想からの革命」に突入。ポップで弾んだ雰囲気が会場に広がり、「わすれちゃだめだよ。」の有馬の最後のフレーズを受け継ぐように、前越が何度も「そうだよ!」「忘れちゃだめだよ!!」と連呼。それに改めて気づいたように、会場も深くうなづく。
不穏で浮遊感のある繋ぎの後、そのまま有馬のギターの弾き語りから「小悪魔ソング#2」に突入。深いエコーの中、牛尾のギターも響き渡る。ジワジワゆったりとした心地よい上昇感を有しながらも、この曲は後半が怒涛に急変。有馬、牛尾がノイジ―でカオスな世界を作り出し、風間、前越のリズム隊がループ性のあるミッドとローを楽曲に交える。その混沌としたアシッドさとサイケデリックっぷりがたまらない。深くかけられたエフェクトの中、”これでもか!!”と弾きまくる有馬と牛尾。会場全体が大きくうねり、カタルシスが場内を包む。その圧倒さに成す術もなく立ち尽くし、全てを享受する場内。この場面は何度体感しても凄い!!グイグイと楽曲に惹き込まれていく自分が分かる。そして、前越のどなり声交じりのカウントから「Boy’s don’t cry」に入ると、いきなり会場が少年時代へと引き戻る。途中ではメンバー間でのしりとりもアドリブで交え、再び曲に戻り、盛り上がる。続く、「SATELLITE LEAGUE」では、間に前越も怒涛のドラムソロを披露。会場をカオスへと巻き込む。

ここでMC。この前の大阪でのワンマンライヴの打ち上げの際を振り返りながら、「今日のライヴはお風呂に入っているように気持ち良い」とは有馬。その後、風間と俳優の斉藤洋介が似ている説が会場を和ませ、気づけばフロントの3人はもとより、スタッフもカメラマンもサンタ帽をかぶっている。そんな中、「おとぎ話はクリスマスを延長しています」と有馬。その一言の後、新曲のクリスマスソング「Chanmery」が始まる。明るくもホロッとする昔のおとぎ話っぽいナンバーに、牛尾、有馬のツインリードも冴える。前越の鳴らす鈴の音も雰囲気抜群。日付をぐっと12月24日に引き戻す。後半はミラーボールも回り出し、ファンタジーな世界へと会場を誘う。
ミディアムで福音のようなギターフレーズの中、「THANK YOU」が始まる。後半のテンポアップしていくところでの高揚感がたまらない同曲。それがジワジワグイグイと会場の興奮度を上げていく。ノンストップで「ピーターラビット」に入ると、風間、有馬も跳ねながらそれぞれの楽器をプレイ。変わらずクールにフレーズをはじき出す牛尾とのコントラストが面白い(笑)。同曲に合わせ、みんなが同じ空を見上げ、ドキドキする光景を思い浮かべる。ラストはフロントの3人が弾みながらプレイ。一緒にフロア全体もハネる。風間は何度もガッツポーズを繰り返している。この日は、特に前越の暴走気味の絶叫の嵐と、風間が煽り役や盛り上げ役として前に出てきた印象を受けた。これまでもそれぞれの個性を放っていたメンバーたちではあったが、特にこの日はそれぞれのキャラが確立。それはライヴ後半でも所々伺えた。

有馬のギター1本によるイントロの向こう「WHITE SONG」が現れる。スイートホーム感溢れる同曲に、会場の多くが故郷に想いを馳せる。「0h,まだ見ぬ君にこの歌が届けばいいな」の歌詞に、会場の多くが自身の愛しい人を思い浮かべる。

牛尾のギターフィードバックの中、「ロードムービー」に入ると、有馬の奏でるイントロに牛尾のボトルネックスライドが浮遊感と揺らぎを加える。まことに郷愁感溢れる同曲。牛尾による哀愁性溢れるギターが場内にこだまする。「俺は思っていますよ! 今日来てくれたみなさんが一番美しいんです」とは同曲最後の前越の言葉だ。

「先日解散した仲の良い友達のバンドのボーカルを始め、そのメンバー全員を泣かせた曲です」とのイントロデュースの後、「Festival Express」に入る。サビでは会場中が大合唱。それはまだまだ彼らのフェスティバルエクスプレスは進み、戦いは続いて行くことを指し示しているようであった。
ここで有馬が勢いに乗じて「1曲追加しようゼ!!」と発言。当初予定に無かった「GALAXY」を突然始める。粗野でワイルド、それでいて気持ちの良い解放感と爽快感のあるナンバーが会場の勢いに更なる火を点ける。そして本編最後は、明るく少し牧歌性な「This is juat a Healing Song」が放たれる。ライジングサンっぽさを保ち、確実に明日や次へ向かっているところを感じさせる同曲。それは会場もステージも一緒のようで、ラストにあがった大合唱からも、それらはありありと受け取れた。

ここからはアンコール。ステージにもう一本マイクスタンドが用意される。ここからは、この日のゲスト、彼らの昔からの朋友前野健太がステージ呼び込まれ、彼の曲がおとぎ話をバックに4曲ほどプレイされる。「世界中の恋が息を止めたら、こんな曲が出来ました」の言葉の後、放たれた「ファックミー」では、一番は前野の弾き語り、2番からはおとぎ話が絡み、楽曲にダイナミックさを加わえていく。クールに始まりながらも進みゆくに連れ、とてつもないエモ―ショナルさを宿していったのが印象的であった。続いて、ブルージーでア―シ―なサウンドに、気だるい前野の歌がマッチした「チョコレート・ファッション・ブルース」、歌はもとよりアウトロでの牛尾のギターソロと、そこから有馬も絡み、ツインリードが会場に響き渡った「東京の空」、風間の手拍子に先導され、その歌声が会場に刺さった「天気予報」が次々と歌われ、前野はステージを降りた。

続いて、再びおとぎ話の4人だけがステージに残る。今まで彼らのライヴは何度となく観てきたが、その中でも、ここからの4曲は、これまでで最も自由で奔放、各人の本領を発揮しながらも、それがチグハグとならずにキチンとまとまったステージを展開した。
まずはDJ SMILEこと、前越がスタンディングでバスドラ叩きながら、そのビートに乗せアドリブでラップ。そこから「SMILE」にインすると笑顔が場内に広がっていき、こちらも当初はセットリストが無かったが、お客さんからのリクエストに応える形で急遽盛り込まれ、会場に阿鼻叫喚を呼び込んだ、おとぎ話中、最もカロリーを消費するナンバー「パレード」、そして、ブレイブなロックナンバー「コスモス」や、正真正銘のラストは、NIRVANAのようなザラッとしたオルタナさを有しながらも、活かした抜き差しが逆に起爆力を生んだ「AMAZING LIGHT」が炸裂。ここでは前越の怒鳴りボーカルも暴発し、最後にはとてつもない刺激と嵐を巻き起こした。

気づけは、開始から3時間超。とは思えないほど、あっと言う間に感じた、この日のライヴ。そしてその間中、彼らは終始その歌たち同様にキラキラとした表情でプレイしていた。もしかしたらこの日は、僕が観たこれまでの彼らのライヴの中でも最も無邪気にプレイされていたかもしれない。個人的には、再び自由度や奔放さ、無邪気さや天衣無縫っぷりを取り戻した感のある、この日。成長と言うのは、決して次から次へと大きくなっていくことだけではなく、しっかりと自分自身を見つめ、得たり、取り戻したり、拾ったりしながら、それらを一つづつ自分の糧にしていき、内面的に豊かにしていくことなのかもしれないな…。などと、おとぎ話から改めて教わった気がした。
やっぱ、おとぎ話はこうでなくっちゃ! ね!!

 
Report : 池田スカオ和宏


【SET LIST】

1. 1981
2. 未来の乗り物
3. HISTORY
4. また、よろしく!
05. ネオンBOYS
06. 思春期
07. SUN(12月)
08. superstar
09. E.T.M.
10. 空想からの革命
11. 小悪魔ソング#2
12. Boy’s don’t cry
13. SATELLITE LEAGUE
14. Chanmery
15. THANK YOU
16. ピーターラビット
17. WHITE SONG
18. ロードムービー
19. Festival Express
20. GALAXY
21. This is juat a Healing Song
Encore
前野健太 with おとぎ話
En-1. ファックミー
En-2. チョコレート・ファッション・ブルース
En-3. 東京の空
En-4. 天気予報
おとぎ話Only
En-5. SMILE
En-6. パレード
En-7. コスモス
En-8. AMAZING LIGHT


【MEMBER】

Vo.&G. 有馬和樹
B. 風間洋隆
G.&Cho. 牛尾健太
Dr.&Cho. 前越啓輔


【PROFILE】

2000年に結成。以後、独自の表現と音楽の可能性に研究を重ねる4人組。UK.PROJECTより焦燥と少年性の同居した1stアルバム「SALE!」、絆と赤い情熱を描いた2ndアルバム「理由なき反抗」、日々の不安と感謝の季節を綴った3rdアルバム「FAIRYTALE」、そして、おとぎ話を語る上で重要な曲が収録された2枚のEP「ハローグッバイep」、「青春 GALAXYep」を現在までに発表。2010年で結成10周年。おとぎ話メンバーのみでレコーディングに臨み、いち早く声を掛けてくれた曽我部恵一氏との共同作業の末、4thアルバム「HOKORI」をROSE RECORDSよりリリース。そのアルバムリリースツアー会場で限定発売した7inchレコードも完売するなど、音楽マニアの心をくすぐるDIYな活動にシフトしていく。
2011年10月12日には、5枚目のアルバム『BIG BANG ATTACK』をリリース。同年12月27日には、前年同様渋谷CLUB QUATTROにて「おとぎ話Presents SUPER!ULTRA!BIG BANG ATTACK!」を開催。ますますオリジナリティを増したその音楽性は、より自由に、大きく羽ばたこうとしている。


【NEW ITEM】

5th ALBUM
『BIG BANG ATTACK』
ROSE-124
¥2,100(Tax in)
2011.10.12 ON SALE
[ROSE RECORDS]

1.未来の乗り物
2.HISTORY
3.思春期
4.SUN (12月)
5.ロボットの夢
6.空想からの革命
7.小悪魔ソング #2
8.SATELLITE LEAGUE
9.ネムイ x 眠くない
10.ピーターラビット
11.THANK YOU
12.This is just a Healing Song
13.1981


【LIVE SCHEDULE】

http://otgbanashi.com/blog/category/coming-live/


【ARTIST HOMEPAGE】

http://otgbanashi.com/


【おとぎ話のグッズは…】

ライヴ会場及びLUCK’A PLANETにて絶賛販売中!!⇒LUCK’A PLANET

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