SEBASTIAN X ワンマンライブ『俺たちFUTURES!』

Filed under: LIVE REPORT — タグ: — LUCK'A @ 2011.12.30

SEBASTIAN X ワンマンライブ『俺たちFUTURES!』

SEBASTIAN X
ワンマンライブ『俺たちFUTURES!』
@渋谷 CLUB QUATTRO
2011.12.08(Thu)

SEBASTIAN X(セバスチャンX)のニューアルバムは、生命力たっぷりの作品だった。なんか聴いているだけで、むくむくと元気になり、色々なものがキラキラと輝いて見える。そんな普段は目に見えないはずの力が、音に乗り、歌に乗り、見えてくるような楽曲群が立ち並んでいた。タイトルに『FUTURES』と付けたのも納得な同作品は、前向き、上向き、これからの自分に夢を馳せさせる1枚。加え、今までの大地的や土着的、どちらかといったら”地”的なイメージに、今回より加味された、無限感や宇宙観が、さらに新しい宝や武器として光り輝いており、ホントこのアルバムを聴いた後は、何でも出来るし、乗り越えられる気がした。それは、きっと彼らがあの盤に、音や歌の他に、”バイタリティ”までも詰め込み、それを我々が傍受したからにちがいない。

 なのでこの日、渋谷クアトロに集まった人々は、彼らにバイタリティを分けてもらいに来たのかもしれない。書く言う私もその1人。おかげさまで会場を出る頃には、すっかりとエネルギーを充填してもらい、何でも出来るし、どんなことでも乗り越えられる活力や生命力を授けてもらった。
 そんな”バイタリティ”を各地に送り込みに行ったかのような全国ツアーのファイナルのワンマンが、渋谷クラブクアトロにて行われた。ニューアルバム『FUTURES』からの楽曲を中心に、懐かしい曲も交えて行われたこの日は、ダブル・アンコールも含め全24曲をプレイ。アンコールの頃にはさすがにメンバーにも若干の疲れが見え、演奏も力技や気力で乗り切る場面も見受けられたが、それを遥かに上回る活力や生命力が、終始会場に漲り、何度も、”ああ、生きているって素晴らしい!!”、と思った。

 今回、我がラッカは、そんな彼らのニューグッズとして、『丸バッジと三角バッジとステッカーの3点セット』『ケース付きFUTURESミラー』『バラ・トートバッグ』『YES FUTURES Tシャツ』『バラTシャツ』と沢山のアイテムを制作した。中でも三角形缶バッヂは、まだ世にも珍しく、ミラーはオリジナルケース付き、トートバッグとTシャツに関しては、水彩画っぽいタッチの風合いを活かすための画像の加工に、かなり苦心したと、制作に携わったマーチャンダイザーのハルヒサカトーは語る。


 
 既に満員の会場に入ると、前回のワンマン同様ボーカルの真夏が描いた「開演までしばし待たれよ」と吹き出しのついたお馴染みの女の子の絵のチープ・アニメーションが映し出されている。どことなく和んだ雰囲気とワクワクした面持ちの人が多いのは、そのスライドのイラストの放つ雰囲気によるものだろうか。

 SEの「マイ・ガール」が会場に流れると、場内の手拍子の中、ドラムの沖山、その手拍子を促しながらベースの飯田、キーボードの工藤がステージに現れる。そして、自ら手拍子を取りながら、ドリーミーで、まるで妖精のような衣装を着たボーカルの真夏が登場。「よろしく~」の一言からライヴはスタートし、1曲目の「スピカ」を歌い始める。飯田はグルーヴィーなベースを乗せ、工藤もキラキラとした音色を放ち、3人のプレイが楽曲に合わさると、セバスチャンXの歌世界が転がり始める。2番に入ると楽曲は更に走り出し、一等星のようにピカピカに光り出す。間には、「みなさんこんばんは。ワンマンライヴにいらしてくれてありがとう。最後まで楽しんでいって下さい」「クアトロ元気~?」の言葉を交え歌う真夏。楽曲が進むに連れ、会場全体にぐんぐんと生命力が漲っていくのが分かる。飯田は早くも激しいアクションを交えベースをプレイ。楽曲に見た目でも活力を与える。そして、ノンストップで工藤がエレガントでキラキラとしたドリーミングなイントロを弾き出すと、今回のニューアルバムのパイロットソングであり、同作品の指針でもあった「光のたてがみ」に突入する。沖山が8ビートを力強くキープし、工藤の鍵盤もグルーヴィーにドリーミーに泳ぎ回る。疾走感を湛えながらも、楽曲がパーッと光に包まれていく。「どこへ行こう、何をしよう 何になろう」のフレーズでは会場も笑顔で大合唱。真夏もホント楽しそうに歌い、会場もそれに惹き込まれる。
 ホンキートンクなピアノのイントロから「FORTUNE RIVER」に入ると、サビの部分では早くも大合唱が起こる。”この境界線を笑い飛ばせるまで、我々の冒険は続いていく!!”、それを多くの人が心に思い、気持ちを同化させていく。続いては、グルーヴィーでアフロなビートが飛び出し「ASO」に。沖山のフロアタムが土着性を生み、工藤のお祭りフレーズが日本的な原風景を描き出す。それに合わせ、会場も楽しそうに風土感たっぷりに躍り始める。そして、急転。沖山の2ビートに工藤がアコーディオン的な音色を加え、次の「Sleeping Poor Anthem」に。同曲では、ケルティックさが醸し出され、場内に立てノリが生まれていく。狂想曲は続く。ノンストップで次の「恐竜と躍ろう」に入ると、沖山が叩き出す重いビートと、それを増幅させるかのように飯田のアクションも激しさを増していく。工藤もピアノを激しくグルーヴィに踊らせまくり、アウトロではテンポアップ。その怒涛さが会場をグイグイ惹き込む。ラストは真夏もビブラートも交えたハイトーンシャウトを放つ。

 「メンバーが揃った衣装で演るのは、初じゃない?」と真夏。確かに今回のメンバーの衣装は、多少のアレンジや着崩し感はあるものの、今回の『FUTURES』のジャケット同様、みんな白い衣装で統一している。
 ここからは長丁場のワンマンならでは。昔懐かしい、自主制作CDからのナンバーが立て続けにプレイされる。まずは「死ぬ間際には」とリフレインされるフレーズも印象的だった、ミディアムでウネリのある「LIFE PLEATS」、そして、まるでギターのように歪ませた音色も象徴的な飯田のベースも光る「高速眼鏡図鑑」が立て続けに鳴らされる。続いて、長いファンタジーなイントロの後、どこか日曜の午後、近所から聞こえてくるバイエルのような雰囲気を思い返させた「新世界によろしく」に突入。”人は迷ったり、間違ったりするけど、それでもいいんだ!!”と力強く思わせてくれる同曲。
「地球が丸くて良かったよ」のフレーズが飛び出すと、みんなが思い思いに心の中でうなづく。アウトロは反転。アヴァンギャルドにして怒涛な面を見せ、お客さんも喜んで、それに振り回される。次の「サファイアに告ぐ」に移ると、”待ってました!!”のナンバーの登場にフロアからは一段と嬌声があがる。同曲では、飯田も工藤もヘッドバンキング並に頭を振りながらプレイ。まるで夢のような心地に、目を閉じるだけでファンタジーさがぶわーっと広がっていく。後半は
フロアも無数の手を上げ呼応。それに応えるように真夏も合わせて、両手を誇らしげに掲げる。
シャングルビートから入った「TYPHOON」では、そのタイトルに相応しく、いきなり会場をストームへと巻き込む。同曲のラストのテンポアップは凄まじく、それはまさにタイフーン。一気に会場を歌世界の暴風雨へと惹き込んでいく。ラストはグルーヴィー且つ暴力的に会場を巻き込む、巻き込む。真夏もドラムスティックを持ち、反対側からシンバルを叩きまくっている。

 ここで一呼吸。一乱した空気感をもう一度落ち着かせるように、ここからは比較的ゆったりとしたナンバーが立て続けにプレイされる。まずは工藤の伴奏に乗り、「おまじない」が。音数が少ない分、よりジェスチャーを交え歌を伝える真夏。沖山もリコーダーを用い、楽曲に郷愁感を加える。静か目な曲は続く。次の「愛の跡地」では、真夏も通例の張った声ではなく、あえてウェットで、物憂さを擁した声で物語を広げていく。艶やかさを強調する同曲は、彼らのこれまでとは違った部分を広げてくれた。

 全国各地からこの日、この場所に集まったことを確認するかのようなステージと会場とのやり取りを経て、「次は明るい曲に行きたいと思うんですけど、どうですか?」と真夏。その言葉どおり、世界中の生き物におはようの挨拶を交わすかのような「GOODMORNING ORCHESTRA」がここで元気いっぱいに放たれる。”こんな素晴らしい世界なんだ。誰が今、あの世になんか行くもんか!!”と多くの人が同調。工藤の鍵盤もイキイキと楽曲の上を走り回る。続いて、真夏がハーモニカを吹き始め、彼らの中では珍しい裏打ちのレゲエ的なアプローチの「宮地くん」に入る。ここでは、飯田もファットで動
き回るベースラインを披露。これまでになかった横ノリがフロアに生まれる。不穏なトーンが場内を包むと、幻想的だけど、ちょっと重いトーンの「日向の国のユカ」が始まる。ボーカルにエフェクトをかけ歌う真夏。この辺りの冒険性も、ニューアルバム『FUTURES』から現れた、彼らの新しい要素やバリエーションだったりする。

 ここでMC。「ツアーファイナル。帰ってきました~」と真夏。「今回のアルバムは、聴き手の中で完成させていって欲しいし、それこそが作品の完成地点なのだ」というMCを続け、作品をライヴを通し、一緒に育み、成長させ、終わりなき完成へと導こうと、会場とステージとでしっかりとしたアライアンスが組まれる。
 彼らのアナザーサイドは続く。シャッフルのリズムから真夏が歌い出し、これも珍しいトーンの「若き日々よ」を。シックなトーンに会場が思いを寄せ、同曲では飯田も歪んだベースにてソロを披露。これまでとは少々トーンの違ったダイナミズムが会場に広がっていく。
 色をパーッと変え、会場に力強さを蘇らせるように、続く「ワンダフルワールド」が伸びやかに場内に広がっていく。この曲を機に会場に再び活力がみなぎっていくのが分かる。真夏も大風車ボーカリゼ―ションを見せ、工藤もグリッサンドを連発。それらが場内にとてつもない高揚感を生んでいく。

 ここでMC。まるで、ワクワクさが滲み出ているかのような表情で、会場に、「幾つものさよならを経てここに繋がっている」こと、「この出会いが、いつかどこかに繋がっていることを想像し、夢を馳せるワクワクさ」を伝え、「みんなはどうかな?」と尋ねる。そして、「ここに来た事実を盛大に楽しもう」と締め、もう一度ライヴへと走り出す。次の「F.U.T.U.R.E.」では、上昇感のある鍵盤が未来へと会場を誘っていく。グワーッと高いところまで我々を引き上げてくれるかの如くグリッサンドを繰り返す工藤。沖山のドラムも走り出し、同曲の「約束は生きる理由になった」のフレーズ箇所にくると、多くの人がその言葉に深い頷きを見せる。
そして、会場をより一体化させた「ROSE GARDEN, BABY BLUE」では、ニューアルバムのジャケットを飾っていたバラ一輪の絵が描かれたバスドラから繰り出されるキックの連射が会場を更に煽る。同曲では会場も大合唱。飯田もステージ狭しと、弾きながら動き回り、工藤もエレガントさと気高さを加えるように、激しく鍵盤を叩く。本編ラストは、ベースを持ち替えた飯田のダウンピッキングによるベースラインとダイナミックなサウンドながら、あえて音数少なく、みんな一緒に歌える「ロングロングジャーニー」が、ラストへの一体感を確認するような同曲。それはまるで、この日以降、また、自分たちそれぞれの生活という名の旅へ向かおうとしている応援歌の如く。

 アンコールに応えてくれた彼ら。飯田、沖山は今回のニューグッズのTシャツに着替えてくれ、真夏と工藤が小芝居を交え、今回のツアーグッズの紹介をする。毎度の光景ながら、いつも非常にそれが微笑ましく、多くの人が観後、”よし、帰りに買って帰ろう!!”と思ったことだろう(笑)。そして、4月30日に上野水上野外音楽堂にて、自主企画1Dayフェスを行うことを発表する。
ライヴに入ろう。続いては、この12月25日よりJACCSカードのキャンペーンソングになっている新曲がここで本邦初公開される。沖山のロールから始まる、疾走感のある、まるで走り回っているかのような「GO BACK TO MONSTER」とのタイトルが付けられた同新曲。夢という胸に引っかかったものを追っかけるかのような、ロマン溢れる楽曲だ。アンコール2曲目は「世界の果てまで連れてって!」。同曲が飛び出すと、会場中も嬉しそうに一緒に歌う。もう楽しくって、楽しくってしかたがないといった顔をしながら、みんなが一緒に歌っている中、ミラーボールも回り出し、会場中が至福に包まれる。

ダブルアンコールにも彼らは応えてくれた。メンバー紹介の後、ラストの「ツアー・スターピープル」が始まると、”どこにこんなパワーが残っているんだ?”ってぐらいのパワフルさを真夏が放出。沖山が放つ土着ビートに会場も一体感たっぷりで大ノリを見せ、飯田もステージの袖にあるスピーカーに乗り弾いている。

気づけば2時間半越。ラストまでその生命力溢れる伸びやかな歌声や、パワフルで活力に満ち溢れた演奏は留まることはなかった。”いゃー、楽しかった!!”。そんな表情と共に、”よし、明日からも前向き、上向きに生きて行くゾと!!”の気持ちを注入されたのは、会場を後にする多くの人の嬉しそうな顔が物語っていた。

ライヴ中のMCで「今回のアルバムは、聴き手の中で完成させていって欲しいし、それこそが作品の完成地点なのだ」と語った真夏。この日、この場所で、各楽曲に交えて捲かれた種たちは、きっとこれから個人個人が持ち帰り、色々な場面での糧になっていくことだろう。”これから、この楽曲たちは自分の中で、どう育まれ、成長していくのだろう…”。それを考えただけでなんだかワクワクする。そして、その楽曲の成長を確かめに、私はまたセバスチャンXのライヴに足を運ぶことだろう。そう、嬉しそうな表情をし、会場を後にしていた、みなさんと同様に。

 
Report : 池田スカオ和宏


【SET LIST】

1.スピカ
2.光のたてがみ
3.FORTUNE RIVER
4.ASO
5.Sleeping Poor Anthem
6.恐竜と踊ろう
7.LIFE PLEATS
8.高速眼鏡図鑑
9.新世界によろしく
10.サファイアに告ぐ
11.TYPHOON
12.おまじない
13.愛の跡地
14.GOODMORNING ORCHESTRA
15.宮地くん
16.日向の国のユカ
17.若き日々よ
18.ワンダフルワールド
19.F.U.T.U.R.E.
20.ROSE GARDEN, BABY BLUE
21.ロングロングジャーニー
Encore
En-1.GO BACK TO MONSTER
En-2.世界の果てまで連れてって!
Double Encore
ツアー・スターピープル


【MEMBER】

永原真夏(Vo.)
飯田裕(B.
沖山良太(Dr.)
工藤歩里(Key.)


【PROFILE】

08年2月結成の4人組。08年6月初ライブを行なう。
その後ハイペースなライブ活動を展開。 08年8月に完全自主制作盤『LIFE VS LIFE』リリース。新世代的な独特の切り口と文学性が魅力のVo.永原真夏の歌詞とギターレスとは思えない様々な/極端な楽曲の世界観が話題に。 グッチャグッチャだけどパワフルで唄心が伝わる、なんだか凄いことになってるインパクト大のパフォーマンスも相俟って、ライブハウス・シーンでも一際目立ちまくっている存在に。 09年11月6日、1stミニアルバム『ワンダフル・ワールド』をリリース。 2010年に入り、更に勢力的にライヴを展開し、VINTAGE LEAGUE 全国ツアーに参加。5月には大型ロック・フェス『ROCKS TOKYO』にも参加。 10年8月4日には2ndミニアルバム『僕らのファンタジー』をリリース。8月21日には初のワンマンライヴを敢行。チケットは即日ソールドアウトの大盛況を収める。10月からは「『僕らのファンタジー』リリース記念 寄り添って! ユニコーンツアー」を全国各地にて敢行。 11年1月26日、配信限定シングル「光のたてがみ」発売。それを引っ提げて、3月4日~『光のたてがみ』ツアーを行う。
同年10月、1st Full Album『FUTURES』をリリース。同作品を引っ提げ、「FUTURES TOUR」を開催。ファイナルの12月の渋谷クラブクアトロでのワンマンライヴは全24曲。2時間半にも及ぶライヴを敢行。大成功を収める。
2012年4月、主催のフェス『TOKYO 春告ジャンボリー』を上野 水上野外音楽堂にて開催予定。


【NEW ITEM】

1st FULL ALBUM
「FUTURES」
RDCA-1019
¥2,300(Tax in)
NOW ON SALE

1. ROSE GARDEN,BABY BLUE
2. スピカ
3. 光のたてがみ(Album ver.)
4. 日向の国のユカ
5. FORTUNE RIVER
6. Sleeping Poor Anthem
7. 恐竜と踊ろう
8. おまじない
9. TYPHOON
10. 愛の跡地
11. F.U.T.U.R.E.
12. ロングロングジャーニー


【LIVE SCHEDULE】

http://sebastianx.info/live/


【ARTIST HOMEPAGE】

http://sebastianx.info/
http://www.myspace.com/sebastianx2008
http://twitter.com/sebastianx.jp

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