「確か、人々は11月に連ドラを演ズル」

Filed under: LIVE REPORT — タグ: , , , — LUCK'A @ 2008.10.22

2008.9.20(Sat)
@SHIBUYA CLUB QUATTRO
「確か、人々は11月に連ドラを演ズル」東京編

People In The Box / THE NOVEMBERS / tacica / serial TV drama

今年6月〜7月にかけてtacicaの全国ツアーを一緒に回ったTHE NOVEMBERS 、People In The Box。この3バンドに、serial TV dramaを加えたメンツによるtacicaのツアーファイナルが去る7月6日に代官山UNITにて行われた。その日のライブは当然のソールドアウト。会場には「チケットを譲ってください」のプラカードを持った人たちが大勢いた。
その4バンドが再び集結。今回各バンド名を文字り『確か、人々は11月に連ドラを演ズル』とタイトルされたイベントツアーを9/13名古屋、9/14大阪、9/20東京の各クラブクアトロにて行った。偶然にも今回出演の4バンド中、tacica、THE NOVEMBERS 、People In The Boxの3バンドの物販物一式を制作している我がLUCK’A。当然今回のイベントT-シャツも制作した。おかげさまで3会場共全てソールドアウトを記録したこのT-シャツ。東京会場では他のバンドの物販コーナーに並び、我々も机を出してそのTーシャツを販売したのだった。
いやいや、そんなことをメインで書こうとしていたんじゃない。今回はそのイベント・レポを行うんだった(笑)。
そう、今回はそんな『確か、人々は11月に連ドラを演ズル』ツアーの最終日。9/20の渋谷クアトロでの同イベントをレポートいたします。

前日は強烈な台風11号が関東に接近。当日朝まで豪風&猛雨だったのだが、イベント開始頃にはそれらもすっかり止み、逆に穏やかな土曜の夕刻となったこの日。今回も当然のソールドアウトを記録した渋谷クアトロは、土曜の渋谷センター街を遥かに凌ぐ高い密集率を誇っていた。

まずはPeople In The Box。ギター&ボーカルの波多野のギターがエコーの中鳴り響き、3人が一斉に音を放つ。1曲目は、「はじまりの国」だ。途中からのエモーショナルさと後半に向かうに連れての温度の上昇感がたまらない。波多野の声の伸びも良い感じだし、ベースの福井とドラムの山口のリズム隊の連繋、そして波多野のギターとのアンサンブルや呼吸もバッチリだ。2曲目は重さと疾走感がほとばしる「失業クイーン」。そして、ポストロック的な冷ややかなアンサンブル・アプローチと中盤の怒濤のバンド・クラッシュ、そしてそこからヒラ歌に戻ったときの安堵感もグッとくる「6月の空を照らす」。ボーカルの波多野も裸足でステージの振動を直に確かめるように歌っている。そして山口のスクエアで表情豊かなドラミングが心地よい「月曜日消失」。濃密度の高い、めまぐるしい楽曲展開も印象的な「完璧な庭」。間には山口の相変わらずの毒舌MCにて「12/3に2nd Mini Albumが発売される」ことが告げられる。そして、再び彼らの世界観に引き戻すように、ミディアムと疾走感、間の3拍子のブレンドもたまらない「ユリイカ」。そして、彼らの代表曲「She hares December」では一段と客席も盛り上がる。サビの部分で歌われるフレーズはこの日もハッキリと会場中に響き渡っていた。ラストは激し目な「ペーパートリップ」を叩きつけるようにプレイ。いやー、一発目から濃いわ。

そして、ステージ上に無数のエフェクターが並べられる。続いてはTHE NOVEMBERSだ。SEに乗り登場と同時に一発シャウト。あれ、ボーカル&ギターの小林の髪型がストレートに戻っている。そして、手に持つギターは、いつも見なれているサンバーストのジャガーではなく、今日は白いジャガーだ。
まずはゆったりとたゆたいながらも、それでいて時おりガツンとくる「chernobyl」からプレイ。続いてそのまどろみを突き破るように鋭角なイントロに突入。赤いライトも映える「こわれる」。重さとスリリングさの交互にやってくる快楽もたまらない「Arlequin」を立続けにプレイ。ここでチューニングタイム。激しい轟音に支配されていたぶん、逆にこの静寂さがなおさら静かに感じる。そして、「優しい曲を聴いて下さい」との小林のMCの後、穏やかな新曲「ブルックリン」。打って変わり、激しい「ewe」。ギターのケンゴもここでようやく暴れ始める。そして、再びのチューニングタイムを経てラスト3曲は、サビの部分の心からの叫びのような歌が会場中に響き渡る、激しさとたおやかさが同居した「ガムシロップ」。カタストロフィ的ノイジーギターとその中から現れる歌。会場中を一瞬にして異空間に落とし込む「白痴」。そしてラストは優しくも残酷的に響くナンバー「最近あなたの暮らしはどう」で締め。何度も歌われる「最近あなたの暮らしはどう」のリフレインが、彼らのプレイ後も聴いた者の胸でしばらくの間こだましていたであろう。

続いて3番手はtacicaだ。「tacicaです。よろしくお願いします」のボーカル&ギターの猪狩の一言の後、鳴らされた「ゼンマイ」から彼らのライヴはスタート。ダイナミズムのあるイントロと太く伸びる猪狩の声。的確に8ビートを刻む坂井のドラム。歌詞の内省さと、それに反するダイナミックなサウンドと声。歌声と歌世界、そして独特の佇まいで彼らはステージを引っ張る。続いて小西のベースが他の楽器に絡みつくグルーヴィ−さが印象的、彼らの中では比較的ダンサブルなナンバー「コオロギ」。「今回も倒れる気で演ってるからよろしく」と短いMCの後、3曲目は「人間1/2」をプレイ。しっかりとお客さんの方を見据えて踏みしめるように歌う猪狩。いつも思うのだが、彼らには生命力という言葉が似合う。そして4曲目は心情をナチュラルに吐き出すかのような「黄色いカラス」。彼らの持つさまざまな側面を1曲にギュッと詰め込んだかのような新曲。大地を感じさせる雄大なスケールと、聴いているうちにどこか果てしない世界へと誘ってくれる「アースコード」。そしてラストは、彼らの存在を世に知らしめた代表曲「HERO」で締め。「そうだろう?」との歌詞中での問いかけに、コブシで応えるオーディエンス。次のフィールドへと向かう心に秘めた闘志を、この曲を通してなおさら強く感じたのは、けっして僕だけではなかっただろう。

そしてこの日のトリはserial TV drama。5人が現れ、新井と稲増 の2人のギタリストが交互にリレーションでリフを発する。一発目は1stアルバム『シリアルキラー』1曲目収録の「ガーネット」だ。彼ら独特のハーモニーとサビの部分のパーッとなる広がりがたまらない。続いて青空感を味あわせてくれる「まえぶれ」。こちらもボーカル伊藤とベースの近藤、ギターの新井の3声のハーモニーが冴えている。そしてここでの出色は稲増のライトハンド奏法。いやー冴えてたなぁ。3曲目はミディアムで独特のゆるやかな世界観に誘うストーリー性の高い「フィクサー」。続いての「ginger」は、導入こそしっとりなれど、感情性溢れるサビの部分がカウンターとなり、より伝わってくるものに。そして、「The Dance」では、きたぞ!きたぞ!!中間部での、もはや恒例なドラム岡田のキャブ・キャロウェイばりのジャイブによるコール&レスポンスと、稲増のギターやお客さんとの掛け合いがインサート。この光景は、ここ最近何度も観ているが、その度にワクワクさせられる。そして、暴走気味のギターの稲増を尻目に(笑)、ラストはビシッと、4つ打ちと8ビートが良い感じにブレンド。70年代性溢れるインタールードも味な「赤いパーカー」をキメる。そして、アンコールは明るい曲ということで、ドライヴ感と広がりのあるナンバー「哀愁の逃走劇(カーチェイス)」をプレイ。清清しい気持ちにさせてくれた。そして、最後まで稲増はハイテンションだったことを付け加えておこう(笑)。

各バンド多種多様な音楽性を放ち、近しい音楽性でもないのにどこか不思議な共通項や連帯感を感じた今回のイベント。そう、互いの音楽性や人間性へのシンパシーが結びついた結果、イベントとしてこんなにも凄い相互性を生んだのだ。そして、このイベントにLUCK’Aがたずさわれたのも改めて嬉しく思った。
(池田スカオ和宏)


【セットリスト】
People In The Box
1.はじまりの国
2.失業クイーン
3.6月の空を照らす
4.月曜日消失
5.完璧な庭
6.ユリイカ
7.She hares December
8.ペーパートリップ

THE NOVEMBERS
1.chernoby1
2.こわれる
3.Arlequin
4.ブルックリン
5.ewe
6ガムシロップ
7.白痴
8.最近あなたの暮らしはどう

tacica
1.ゼンマイ
2.コオロギ
3.人間1/2
4.黄色いカラス
5.人鳥哀歌
6. アースコード
7.HERO

serial TV drama
1.ガーネット
2.まえぶれ
3. フィクサー
4.ginger
5.The Dance
6.赤いパーカー
en. 哀愁の逃走劇(カーチェイス)

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