THE NOVEMBERS /『”picnic” release tour “kowarenai”』

Filed under: LIVE REPORT — タグ: — LUCK'A @ 2008.09.10

『”picnic” release tour “kowarenai”』
2008.07.31
@ SHIMOKITAZAWA SHELTER

いやー、時間的には”エッ!?”と言うぐらいアッと言う間だったのだが、その濃縮度と圧巻度、そしてあの世界観との対峙に於いて、全て観終わった後、良い意味でドッと疲れが出たライヴであった。7月30日の下北沢シェルターで行われたアルバム『picnic』のレコ発ツアーのラストを飾る、THE NOVEMBERSワンマンライヴのことだ。
この日のライヴはホント、スッと始まった。入場にも多少手惑い、更にハコの奥まで行くのに一苦労だったほど超満員だったこの日。その満員の会場をたゆたうように「cherunobyl」でライヴはスタートした。ゆるやかに穏やかに、なにやらその後の不穏を予感させるひんやりとした手触りの曲に、会場中もそこに身を預けるように前後に身体を揺らす反応を見せる。その後、ドラムのリズムキープの中、2曲目の「アマレット」にイン。ギターのメロディアスなアルペジオの中、ゆったりとドッシリとしたドラムの上をただようように歌う、ギター&ボーカルの小林と、全身その心地よさに身を委ねるように弾くケンゴマツモトのギター。そして、その心地よさを突如引き裂くように、グワッとした高波のようなノイジーの洪水を浴びせてくる、その気持ち良さ。続いてスリリングでドラマティックなギターリフと前のめりなビート、ベースの高松もレトリックなループを刻む「こわれる」をプレイ。暴れ回り、曲を乱しまくるかのように、まるでがなっているかのように弾かれるケンゴマツモトのギターに、さっきの冷ややかな雰囲気から体温も10度急上昇する。そして、間髪置かずスリリングな「Alrequin」に飛び込むと、今度はドラムの吉木のフロアタムが躍動感を生む。メリハリと緩急も徹底さが成され、静かな箇所と激しい箇所とが活かし合いを見せるナンバーだ。
ここで軽くMCが入る。今までステージ上ではあんなに激しい曲が、”これでもか!!”というぐらいプレイされていたのが信じられないぐらい、曲が終わると静けさと冷やり感に包まれるのも彼らのライヴの特徴。
再び、歪んだエコーのかかったギターイントロも印象的、呪術的な重いドラムと、穏やかながらまるで”空間をねじ曲げてしまうんではないか?”ぐらい暴力的なサイケデリック感に満ちた曲「アイラブユー」。フリーフォームなイントロの後、聴き覚えのあるギターイントロに突入。ディメンション性溢れるギターとベースラインが強調された、間の小林のスポークンワーズも冴える「ブルックリン」。サウンドに激しく呼応するギターと楽器のソロ部の波状攻撃がこれでもかとグイグイと煽る、彼らの中でも比較的ストレートなナンバー「ewe」とライヴは進む。

ここで再びしばしのチューニング・タイム。妙な静けさがまた会場全体を支配する。MCで小林も言っていたが、いつもならこの辺りでライヴが終了しているはずなのだが、今日はワンマンライヴ。まだまだライヴは続いていく。
聴き入りたくなるような優しい曲「ガムシロップ」。ボーカルの歌い出しと続くスリリングで狂気性をはらんだ演奏、ベースがリード楽器となる箇所とその後に、やってくる怒濤性によるカタルシスがたまらない「Exit」。冷たいんだか温かいんだか、いや、そのどちらでもある「僕らの悲鳴」。キャッチ−なギターリフとドライヴ感と上昇感、途中感極まってモニターの上でギターを弾く小林とケンゴマツモトの姿も印象的だった「she lab luck」と、休む間もなく続く、精神的にも肉体的にも消耗激しいナンバーたち。
ここで再度しばしのチューニング・タイム。あれだけ弾きまくればさぞかしチューニングも大変だろうに。そのチューニングの間に、メンバーはもとより会場の誰1人何も言わず、じっと待っているのも彼らのライヴならではだ。
そして、その若干のインターバルを経て、優しく柔らかいギターアルペジオのイントロと、そこから急転、叩きつけるような厳しさをはらんだ激しさが何度も波状攻撃のようにやってくる「バースデイ」。そして、ディレイをマニュアルでいじり、ノイズの洪水を生み出し、それが止んだ静けさの中、美しいギターアルペジオとリズムキープに、その後2本のギターのアンサンブルが重なっていく、ラスト「picnic」。力強く叩く吉木のドラムに、夜明けを思わせるジワジワと明るくなっていくような安堵を感じる。と思っていると、半ば痙攣気味に性急的にギターを弾くケンゴマツモト。そんな激しさを有しながらも、不思議と最後はほのかに温かさに包まれる自分が居たのが不思議だった。

本編が終わり、アンコールで再びステージに現れた彼ら。小林の「優しい曲を演ります」のMCの直後、その言葉とは裏腹に飛び出してきた激しく叩き付けるような轟音。間違いなくここにきてこの日一番の激しさを見せつけた彼ら。一瞬のブレイクの後には、それこそ全てを波のようにさらっていくかのような轟音さに今日一番のカタルシスを覚える。ラストは小林が愛用のジャズマスターを投げ捨てて終了。
2度目のアンコールは、やはり先程投げ捨てたギターの修復から(笑)。無事、再び音の出るようになりプレイされた曲は、美しい狂気とも言える「holy」。後半部はダイナミックに広がっていき、誰もがちょっとした至福感に浸っていた。
アンコールも入れて時間にして1時間20分ぐらいだろうか? 決して長いとは言えないそのライヴ時間のわりには、ライヴハウスを出る時に身体を包んでいたのは、非常に濃いものを観た後に残る心地よい疲れ。最初に彼らを観た時の、”なんじゃこりゃ!?”的な衝動は、あれから何度も彼らのライヴを観た今ではあまり無くなったが、その逆にライヴを観終わる度に、”やっぱりヤツらは凄い!!”的な感想は増々強くなっていく。そして、それが最も強かったのが、この日のライヴを観終わった後だったことを声を大にして言いたい。
レポート : 池田スカオ和宏


【SET LIST】
1.cherunobyl
2.アマレット
3.こわれる
4.Alrequin
5.アイラブユー
6.ブルックリン
7.ewe
8.ガムシロップ
9.Exit
10.僕らの悲鳴
11.she lab luck
12.バースデイ
13.picnic
Encore
En1.白痴
En2.holy


【MEMBER】
Vo.&G. 小林祐介
G. ケンゴマツモト
B. 高松浩史
Dr. 吉木諒祐


【PLOFILE】
2002年、高校の同級生だった小林祐介(vo,g)、高松浩史(b)により前身バンドが活動開始。2005年 前身バンドを解散し、THE NOVEMBERSとしての活動が始まる。夏にメンバー脱退。サポートドラマーとして吉木諒祐を迎え、そのまま正式加入。秋にはケンゴマツモト(g)が加入し現メンバーが揃う。昨年11月に発売したミニアルバム 『THE NOVEMBERS』が大ヒットした、ライヴハウスシーン話題の大本命。激しい衝動の中に垣間見えるロマンティシズムで、多くの者を虜にしている。6月4日、1stフルアルバム『picnic』をリリース。それを引っ提げた全国ツアーを全国15箇所で行い各所大盛況におさめる。この夏には各所夏フェスにも出演、大反響を得る。


【商品スペック】
1st full album
「picnic」
UKDZ-0070
¥2,310(Tax in)
2008.6.2
【DAIZAWA RECORDS/UK PROJECT inc.】
1.こわれる
2.Arlequin
3.chernobyl
4.アマレット
5.ewe
6.僕らの悲鳴
7.ガムシロップ
8.アイラブユー
9.白痴
10.picnic


【Live Information】
「確か、人々は11月に連ドラを演ズル」
08/09/13(sat) 名古屋CLUB QUATTRO
08/09/14(sun)心斎橋CLUB QUATTRO
08/09/20(sat) 渋谷CLUB QUATTRO

08/10/05(sun) 渋谷O-nest
mudy on the 昨晩ツアー「F-R」tour final
w / mudy on the 昨晩 、Luminous Orange、toddle

10/08(web) F.A.D横浜
「S.T.T. 〜すごく楽しいツアー〜」
w/STAN、FoZZtone

08/10/10(fri) 赤坂BLITZ
「 KINOSHITA NIGHT Vol.16 〜fuck you! art-school〜」
w/ART-SCHOOL、凛として時雨、the telephones、OGRE YOU ASSHOLE

08/11/3(mon) CLUB Que / SHELTER / GARAGE / CLUB251 / 440 / mona records
「 shimokita round up 」

08/10/30〜11/3
「MINAMI WHEEL 2008」


【アーティストホームページ】
http://the-novembers.cure.to/

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