LITE「For all the innocence tour」

Filed under: LIVE REPORT — タグ: , , , — LUCK'A @ 2011.09.08

LITE「For all the innocence tour」

LITE
「For all the innocence tour」
ONE MAN LIVE
@Shiibuya WWW
2011.8.26(Fri)
スペシャルゲスト: アチコ,DE DE MOUSE,avengers in sci-fi

 「明日に迫りました渋谷WWWのLITEワンマン、新旧織り交ぜたセットリストで行います。またLITEの曲にゲストとしてアチコさん、DE DE MOUSE、avengers in sci-fiが数曲参加します。この日限りのスペシャルライブとなりますのでお見逃しなく!」
 8月26日にLITEの公式ツイッターから上記がツイートされた。
 まさにこの予告通り、7月に発売されたニューアルバム『For all the innocence』の収録曲を中心にセットされながらも、昔の曲から最近の曲まで幅広く、しかし、そこにキチンと流れや意味、意義を持っていた選曲やステージ内容であった、この日のライヴ。以前の曲にしてもけっして単にトレースされるに終わらず、現在のLITEとしてしっかりと見せてくれ、新旧関わらずどの曲も、現行の彼ららしさがキチンと表れるものであった。加え、興味深いのは今回のゲスト陣。DE DE MOUSEが他のアーティストと共にステージ上でプレイするなんて、ちょっと想像出来ないし。アチコはご存じのとおり神秘性や奥深さを有したボーカリスト。そして、LITEの演奏がどちらかといったら大地的であったり、感情、生命力や人間の深層に訴えかけてくるスタイルなのに対し、avengers in sci-fi(以下、アヴェンズ)は、どちらかといったら、スペ―シ―でアウター、上昇感が特徴のグループだ。”一体それらのアーティストたちと、どう合体するのだろう? “。そんな興味も募らせながら会場である、渋谷WWWに足を運んだ。そして、その結果は…。いや、その辺りは後ほど下記に詳しく記すとしよう。

 静かなるざわめきといったところか? チケットも無事(笑)完売し、ライヴ開始を目前に控えた満員の会場には、ちょっとした緊張感が漂っている。
 ご存じの方もいるとは思うが、今回の会場である渋谷WWWは、以前そこで営業していた映画館を上手く利用した作り。客席は後ろに行くに連れ段々と上がっているため、どこからでも比較的キチンとライヴの全貌が見え、しかも天井も高い。彼らの繊細な音も豪気なカタストロフィ音も思う存分、輪郭を崩さずに響かせるにはもってこいのスタンディング・ライヴスペースと言えるだろう。

 かく言う我がラッカは、今回このLITEのニューTシャツの制作を行った。今回の彼らのTシャツは、ニューアルバムのジャケットに使用されているバンドロゴを全面に配したものであったのだが、それに際し、MD(マーチャンダイザー)kAtoは、本人たちの意向を吸い上げ、ロゴは大きく配置しつつも、主張しすぎないように、インクの色味と質感に気をつけ、Tシャツのボディに馴染むプリントを心がけたという。

 流れていたBGMがそのまま大きくなり、場内が暗転。青白くボーッと浮かび上がるステージにメンバーが現れる。各々のセッティングとデモンストレーションが終わると、ステージ中央に配置された楠本によるシンセから浮遊感漂うスペ-シーな音が現れ、そこにメンバー各人が自身の音を乗せていく。1曲目はニューアルバムの冒頭を飾っていた、序章のようなナンバー「Another World」だ。同曲の盛り上がりに合わせ、徐々にステージからのライトの発光量が増していく。その前曲での雰囲気を撃ち破るように、そのままニューアルバムの流れ同様、山本の放つ土着気味のビートに分厚いオーケストレーションも印象的な「Red Horse in Blue」にイン。井澤が躍動的なフレーズを放ち、そこに武田の豪気なギターと楠本の繊細なギターが混じり合い、ポリリズムなビートに各人のアクションも交わり、楽曲が彩っていく。間に静部を挟み、再びテーマに戻るところは鳥肌ものであった。武田のテレキャスターが強靭なフレーズを放ち、次の「Human Gift」が客席に襲いかかる。ディストーションの効いたガリンガリンな井澤のベースが楽曲を引っ張っていく。振り回されながらも、一瞬ふっと美しさを感じさせる部分が楽曲にアクセントを加えている同曲。後半に向け、上昇感を増加させながら、武田のギターアクションも曲の激しさのアップに合わせアクティブになっていく。そんな中でも繊細さを紡ぎ続けているのは、楠本のギターだ。ラストに向かうに連れ、増していく高揚感がたまらない。

 楠本がシンセでミニマルなフレーズを繰り返す。続いては「Rabbit」だ。ループするそのピアノ音と、武田のギターによるアンサンブルが会場に広がっていき、そこに武田が伸びやかなディスト―ションギターを加えると、タイム感のあるガリンガリンなベースと、山本はヘッドバンキングをしながら4つ打ちを刻み、16ビートとフィルを交えたドラムで楽曲にアクセントをつける。同曲での美しさと深淵性、そして狂暴さの同居は、まさしく彼らの真骨頂と言えるだろう。

 ここで武田がMC。一週間前はチケットの売れ具合にハラハラしていたが、結局駆け込みでソールドアウトしたことに、ホッとした表情で言及。「みなさん計画的な行動を頼みます(笑)」と、楽曲から与えていた緊迫感を和らげ、場をなごませるMCを続ける。
そして、「今日はたっぷり演りますから。お楽しみに」とライヴ本編に戻る。

 山本が途中で一拍多い変拍子的なスネアリングを見せ、3/2小節とでも称せそうな幾何学な小節割で合わせつつも、実はほのかな抒情性も漂わせている「The Sun Sank」に入る。同曲の後半はシンセ音が徐々に大きくなり、会場を包んでいく。間には武田もマニュアルでエフェクターをコントロール。フィードバック音が狂暴なのだが、どこか優しさも擁しながら会場を包んでいく。武田、楠本による2本のギターのアンサンブルとリレーションから、The Sun Sank繋がりで、次の「Pelican Watched As The Sun Sank」にイン。この曲で魅せるのは、武田のギターソロだ。とは言え、ファンキーなベースや、ふっと現れる歌謡曲的メロディも、この曲に特徴を加えていく。山本がシェイカーでつなぎ、続いての「Duck Follows an Eccentric」では、トロピカルなギターフレーズが現れるも、一変、重厚な70’sロックの世界へ。山本がカウベルを交え、間には、武田による怒涛のギターソロと井澤によるロングスケールを活かしたベースソロも。青い照明が似合っていたはずが、気づけば赤い照明に似合っているような物語の移り変わりには感心させられた。

 ここでゲストの第一弾。avengers in sci-fiとアチコがステージに呼び込まれる。2台のシンセと数本のマイクスタンド、そしてパーカッションがセッティングされ、一気にステージには8人の大所帯に。そのままステージも客席もハンズクラップをしながら「Pirates and Parakeets」に突入。”ここでは、もしや歌が…”と思うも、アヴェンズのボーカル木幡も、アチコもその歌声はあえてボイス的な起用に留まる。しかし、その2人による優しく柔らかく、それでいてブレイブ感をしっかりと持ったボイスは、不思議なカリビアン性やトロピカル性を有した同曲とベストマッチ。まさに、マーティン・デ二―もびっくりのLITE流エキゾチック・サウンドを生み出す。”うーん、宇宙的なアヴェンズとアチコを擁しながらも、それらとは違った音楽性として、このようなサウンドを生みだすとは…”と、その意外性や意図、そして良い意味での予想の裏切りが嬉しくなる。土着的でトライバルなナンバーは続く。山本のドラムとアヴェンズのドラマー長谷川のパーカッションによるツインドラミングが会場を揺らし、そのまま「Ghost Dance」に突入すると、会場も更に驚喜の声を上げる。アヴェンズのボーカル木幡は、自身の声をリアルでサンプリング。それをアジテートマシーンと化させ、場内に放つ。怒涛さと狂暴性と共に、アチコの神秘さを帯びたオペラ唱法が会場を惹き込み、包んでいく。

 激しいストームから突如解放され、放心しているかのように静かにMCを待つ会場。
 先程のセッションを振り返り、「最高のグル―ヴが生まれた」とは武田の発言だ。続けて、「ちょっと古い曲でも聴きたくないですか?」と尋ねると、約3年半前に発表した2ndアルバムから「Ef」「Infinite Mirror」が連続で放たれ、都度会場からも多くの歓声が。抜き差しを上手く活かした「Ef」では、山本は髪を振り乱し叩きまくり、そこからノンストップでインした「Infinite Mirror」では、2本のギターとベースによる音のシンクロやユニゾンが気持ち良い。場内を巻き込んでのそのグル―ヴ感は、まるで3本の弦楽器が太い一本の糸になっていくような怒涛感と巻き込み具合を会場に巻き起こしていた。

「今の2曲で体力を奪われた」と笑いながら武田が客席に告げる。そのMCの間にステージには、今日のゲスト第2弾のDE DE MOUSEの機材がセッティングされていく。DE DE MOUSEとLITEの合体。しかも、それがリミックスではなく共演とくれば、チャームに転ぶのか?ダンサブルに転ぶのか?も楽しみなところ。で、その結果、「Image Game」は、かなり扇動的なステージを展開。ラストは極度のカタルシスを場内に与えてくれた。とは言え、そこにしっかりと幻想性を残していたのは、やはり2組の組み合わせならでは。続く、「Flim」では、美しさと激しさをよりデフォルメ、そして、DE DE MOUSEの「Baby’s Star Jam」では、DE DE MOUSEのシンセにLITEの面々が絡み、そこから生まれた躍動感もこの上ない。楽曲のラストに向かうに連れ、その波紋は広がるように会場を包んでいった。

 間に武田による今日この会場に集まってくれたことへの感謝を伝えるMCを経、ここからは後半戦。彼らもラストスパートを見せる。井澤がパーカッションを叩き、その後、スラップを交えベースを弾いた「On The Mountain Path」では、ギターとシェイカー、ドラムとパーカッションが躍動感と生命力を会場に与え、山本が16分のリムショットが繋いだ後に再びテーマに戻るところでは、グワッとした高揚感が全身を包む。軽いチューニングを挟み、「Phantasia」に入る。より各人の技巧の見せどころでもあった同曲。武田のギターカッティングが鋭いファンキーさを生み、曲が進んで行くに連れ、会場をグワッと巻き込んでいく。合わせてベースの井澤のアクションも激しくなっていく。
武田により、来年2月に恵比寿リキッドルームにて次のワンマンライヴを行うことが告げられた後、本編ラストは、変則な3拍子が妙に気持ち良い、ニューアルバムからのナンバー「7day Cicada」がならされる。グワッとではなく、ジワジワと広がっていく同曲。最後は美しさと孤高さを残して、メンバーは一旦ステージを去った。

ここからはアンコール。「みんな、激しい(曲)のは欲しくないですか?」とは武田。激しいイントロの後、山本が”行くゾ!!”のポーズ。アンコール1曲目の「Tomorrow」では、ベースのループの上、2本のギターが泳ぎ回る。続いて、シンセによるミニマルループの上、ドラムが嵐を呼ぶように叩きまくる、ストロボライトが似合う「100 Million Rainbow」が飛び出すと、会場も楽曲に合わせ、激しく全身を揺らす。ベースとギターのフレーズが繰り返される毎に強くなっていく。強靭な音の紡ぎに、会場全体がグイグイと惹き込まれ、巻き込まれていくのが分かる。

ダブルアンコールにも答えてくれた彼ら。「じゃあ、あと1曲だけ。では、用意していたやつを」と武田が笑って語り、「Contemporary Disease」が始まる。激しいイントロから本編に入ると、一際歓声が上がる。ここでの聴きどころは、ベースと2本のギターによるフレーズのリレーションだ。そこで抒情的ゾーンを作っておいて、後半のこれでもかとばかりのカタストロフ的な激しい音壁は圧巻。最後は、征服感にも似た、やり終えた感たっぷりの誇らし気な表情を残し、4人はステージを去った。あんなに激しかったライヴだったのに、最後は気持ちがすっきり浄化され、デト化された気分になった、この日のライヴ。会場を後にする人たちの顔を見る限り、そんな気持ちになったのはきっと僕だけではなかった確信を得た。

 
Report : 池田スカオ和宏


【SET LIST】

1. Another World
2. Red Horse in Blue
3. Human Gift
4. Rabbit
5. The Sun Sank
6. Pelican Watched As The Sun Sank
7. Duck Follows an Eccentric
8. Pirates and Parakeets
9. Ghost Dance
10. Ef
11. Infinite Mirror
12. Image Game
13. Flim
14. Baby’s Star Jam(DE DE MOUSEのカバー)
15. On The Mountain Path
16. Phantasia
17. 7day Cicada
Encore
En-1. Tomorrow
En-2. 100 Million Rainbow
Double Encore
W-En-1. Contemporary Disease


【MEMBER】

G. 武田信幸
G. 楠本構造
B. 井澤惇
Dr. 山本晃紀


【Profile】

2003年に結成された、4人組インストロックバンド。今までに2枚のフルアルバムと2枚のEP、1 枚のスプリットCDをリリース。独自のプログレッシブで鋭角的なリフやリズムからなる、 エモーショナルでスリリングな楽曲は瞬く間に話題となり、また同時にヨーロッパのレーベルからもリリースし、ヨーロッパ、US、アジアツアーなどを成功させるなど国内外で注目される。
2010年7月には、自主レーベル【I Want The Moon】より、音響系/ポストロックの巨匠で、TORTOISE,The Sea and CakeのJohn McEntireを迎え、5曲入りミニアルバム「Illuminate」を発表。2度目となるFUJI ROCK FESTIVAL’10へ出演。2011年7月には、BOOM BOOM SATELLITES/DJ BAKUなどを手掛けるの三浦カオル氏をエンジニア/共同プロデューサー迎えて、待望の3年2ヶ月ぶりの3rdアルバム「For all the innocence」を発表。近年盛り上がりを見せているインストロック・シーンの中でも、最も注目すべき存在のひとつである。


【NEW ITEM】

『For all the innocence』
IWTM-1001
¥2,000(Tax in)
NOW ON SALE
[I Want The Moon]

01.Another World
02.Red Horse in Blue
03.Rabbit
04.Pelican Watched As The Sun Sank
05.Rebirth
06.Pirates and Parakeets
07.Chameleon Eyes
08.Cat Cat Cat
09.Duck Follows an Eccentric
10.7day Cicada
11.Mute Whale


【LIVE SCHEDULE】

http://lite-web.com/shows/


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