門田匡陽 1stソロアルバム 「Nobody Knows My Name」レコ発ワンマンライブ

Filed under: LIVE REPORT — タグ: — LUCK'A @ 2011.07.15

門田匡陽
1stソロアルバム 「Nobody Knows My Name」レコ発ワンマンライブ
2011.7.2(Sat)
@新代田 LIVEHOUSE FEVER

この日のライヴ終了後、「お疲れさま」の挨拶をしに楽屋の門田をたずねた。ライヴの感想などをつらつらと伝えている中、この日のライブで感じられた、彼のソロ活動での目指しているところを、自分の推測の伝達も交え聞いてみた。その推測は、一部では当たってはいるが、けっしてそれが全てではない。そんな類だった。そして、その会話の中、彼が発した、「僕の歌を一人ひとりが独自に楽しみ、その先に偶然に同じ光景が広がっているのが理想ですね」の言葉は、とても興味深く、印象的であった。
退廃且つ内省的なデカダンスの匂い漂う、緊張感が張り詰めていたBURGER NUDS時代。対照的に、怖さとおとぎ性を併せ持った童話や寓話にも似た物語性を、軽快さやブレイブ性、畏怖を用い、楽曲と共に放っていたGood Dog Happy Men時代。そして、その両方を内包しながらも、拭えないものや抗えないもの、そして、その向こう側に広がっている目指すべきものの両成を確立したがっているように映る、今春発売されたソロ作品…。先述の門田の言葉こそが、彼がこの10年の間歩き、辿りついた現時点のような気がした。
そして、7月2日東京・新代田FEVERにて行われた、1stソロアルバム 「Nobody Knows My Name」レコ発ワンマンライブは、BURGER NUDS、Good Dog Happy Men、そして門田ソロと、当時とは違う心境やサウンドスタイルを交えながらも、彼が歩いてきたこの10年を総括するような1夜であった。


「入場時に全員に配布されたリーフレット」

我がラッカは、Good Dog Happy Men時代より引き続き、門田ソロでもグッズ制作を担当。今回のワンマン用に「Nobody Knows My NameロボコTシャツ」「オリジナルコインケース」を制作した。

定刻を15分ほど過ぎた辺り。まだ場内のBGMが流れたままの中、客電がふっと消え、ステージにふらりとまずはバックを務めるメンバーが登場。そして、彼らがスタンバイの準備を始める中、門田もステージに現れる。ロングサスティーンのフィードバック音が場内に溢れ、極めて緊張感漂う雰囲気の中、まだメンバー全員後ろを向いたまま。門田のギターに、アンサンブルのように河相のギターが重なり、そこからソロアルバムでもトップを飾っていたブレイブ感溢れる「Blue Moon Shadow」にイン。河相、ベースの菅原も前に向き直り、冒険心に満ちた、力強い発進的な音楽を放つ。河相と菅原による重厚なコーラスが楽曲に更なるふくよかさを与え、楽曲全体に満ちた力強さやブレイブ感が会場を惹き込んでいく。うーん、これから始まる物語の序章にはぴったりのナンバーだ。アイリッシュトラッド&スコティッシュな雰囲気を持った同曲から、続いては、これもソロアルバムの曲順通り「Alice」に突入。菅原のベースがグイグイと楽曲を引っ張っていく。そして、リバースを効かせたギター音から「Ghost」に。浮遊感漂うギターサウンドと、それとは対照的にタイトな伊藤のドラムが楽曲を引き締める。浮遊感とソリッドさが合わさった不思議な曲だ。加え、荘厳さと幻想さも併せ持っている楽曲の登場に、会場もその世界観にどっぷり浸る。そのまま次の「I LOVE YOU」に入ると、3連のベースとシンプルなドラムの上、河相のギターが自由に泳ぎ回り、飛び回る。「久々にときめいた」と歌う門田。”こっちはこの曲を聴く度にときめくよ”と会場の多くが、心の中でステージへと返す。この曲では、フロントの3人によるトリッキーなハーモニーやコーラスも聴きどころ。アウトロもしっかりと3声のハーモニーで締めくくってくれた。
ときめきナンバーは続く。次はGood Dog Happy Men時代のナンバー「Music From Twilight」だ。この曲の聴きどころは途中門田のイントロデュースから突入するめまぐるしいまでの曲展開。それらはまさに次々に表情を変えフロアを襲ってくるが如くであった。

ここで門田がMC。「こんなにライブを待ち続けたのは、俺の生涯でも初めてです。みなさん最後まで楽しんで下さい」と短く伝える。

ライヴに戻ろう。続いては、ブルーのライトが似合う、深淵を感じるナンバー「埋立地」だ。門田の叫ぶ「ゆるさない」のグサリと刺さるフレーズと共に、バンドサウンドも解放と自暴自棄へと走り出す。この曲では珍しく門田もエモ―ショナルにシャウト。その一句一句が会場をグサグサつき刺す。アヴァンギャルドなドラムソロから「Dear My Teacher」にイン。ポストロックやマスロックのエッセンスを感じさせつつも、そのブログレ度はキチンと歌に寄りそったもの。そこがいかにも今の彼ららしい伝達方法と言える。
ダークでパラノイアチックなナンバーは続く。次の「ネギ」では、歌内容とアンバランスな牧歌的であり、陽気で前のめりなカントリーサウンドのミスマッチが、楽しいどころか逆に痛々しさを生む。ここでは門田もギターソロを披露。歌物語の世界観に浸り過ぎ、本来なら身体を動かすであろう曲ながら、会場も微動だにできず聴き入っている光景も、いかにも彼ららしいと言えよう(笑)。
ノイジ―なフィードバックサスティーンの上、門田の詩の朗読からスリリングな「hostia」に入ると、門田のボーカルにもエフェクティブに歪みが加わる。ベースがグイグイと惹き込み、ドラムがタイトさと叩き散らしを交え、楽曲のドラマを更に深くしていく。曲が進むに連れ、その歌物語にみるみる惹き込まれていく自分がいる。
門田のギターカッティングと歌い出しに会場から嬌声が上がる。ここでBURGER NUDS時代の代表的ナンバー「指輪」が鳴らされる。同じ曲ながら、明らかにあの頃とスケール感が違う。オリジナルの絶望ぶりを活かしつつ、原曲の無機質感から、より人間味を帯びた印象を受けた同曲。感情移入やエモ―ショナルさの楽曲への加えは、今の彼ならではだ。

これまで起用していたストラトからリッケンバッカ―にギターを代える門田。「長らくやってこなかった曲です」の一言のあと、3声の美しいハーモニーが会場を包み、Good Dog Happy Menの「Perfect nervous」が始まる。多分に空を感じさせる同曲に、会場が各々自らの空を思い描く。
ギターをストラトに持ち直した門田。菅原のベースフレーズからBURGER NUDSの「Normal Abnormal」に。曲が始まるも、独特のギターフレーズと歌い出すまではそれが同曲だとは分からなかった。失礼(笑)。オリジナルより絶望的というか、人の深層心理に迫ったというか。この数年の間の彼の成長や黙考が、この曲を今、このような表現へと変化させたとみた。そして、打って変わって、BURGER NUDS時代の曲ながら、思わず駆け出したくなる「boys In blue」に。ボーカルメロディに合わせたギターフレーズはそのままに、2本のギターによるユニゾンは、このメンバーならでは。4つ打ちハイハットが会場に躍動感を生んでいき、サビでの適度な上昇感がたまらない。この曲から会場にも動きが見え始める。続いてのGood Dog Happy Menの「慰霊堂清掃奉仕(Happy Birthday!)」では、アップ気味のサウンドが会場を明るくし、躍動感とウキウキ感がフロアに生まれる。ここでも河相と菅原による重厚なハーモニーが大活躍だ。

ここからはゲストドラムに大浪彰仁を迎え、伊藤とツインドラム体制にて数曲プレイ。Good Dog Happy Men時代の曲が立て続けに3曲鳴らされる。まずは、タイトさとラウドさが会い交わった「Apple star storyS」。ここでは見せどころは、間のスイング感~ジャジーで4ビートの世界への誘いだ。フロアを躍らせる曲は続く。ここでポップでキャッチーな「Bit by Bit」が飛び出し、熱狂に油を注ぐように、ノンストップで「そして列車は行く」に突入。伊藤のドラムソロでは、会場もクラップを交え大合唱で呼応。光と希望に会場が包まれる。そして、リンク・レイばりのサーフギターから「後夜祭」へ。サーフインスト的要素も高い同曲。キーボードの高野もスペ―シ―な電子音を加え、演出を図る。ラストへの会場、ステージ一丸となった巻き込み感がたまらない。

ここで、「最高に楽しいです。今日は来てくれてどうもありがとう」と門田。彼の歌い出しとギターからBURGER NUDSの「Candle for minority」を始める。ラストに向け、希望と明るい伴侶感が場内に満ちていく。高野によるオルガンが楽曲に更なる広がりを生んでいく。本編ラストは穏やかで優しげな「暗証番号」。「暗証番号→君の誕生日→すなわち僕の(君への愛の)生まれた日でもある」の図式に、会場共々嬉しくなる。ゆっくり広がっていくマージービートと、ラストのロングのアウトロ、そして、その中での門田と河相が向かい合って弾いたツインリードが会場に響く。

ここからはアンコール。まずは門田が物販グッズの説明を行う。ありがとう!!そして、会場に向け、本日来てくれたことへの感謝の意を述べ、「これからも一緒によろしくね」の言葉のあと、Good Dog Happy Menの「Sweet heart of moon」を始める。久々に披露された同曲は、今回、過去の曲をプレイするにあたり、色々な曲を発掘し、聴き返し、色々な発見をしたと語り、そんな中、選ばれた曲だと言う。独特さのある3拍子がゆっくりと会場に広がっていく。中盤ではミラーボールも回り出し、優しく幻想的な雰囲気が会場を包む。そして、正真正銘のラストは、浸らせるかのような「ドーナツ」。世界観と圧巻に浸らせる同曲が、大らかにゆったりと会場に広がっていく。次の大海原へ、次の航海へと会場中の期待を乗せ、彼らはステージを去った。

これまで直接的に口には出さずとも、その音楽性や滲み出る姿勢から伺える標榜を、時間軸をパラレルにしながらも、世界観や本質を色あせさせず、逆に今ならではの成長や深みを交え表わした、この日の門田。”分かる人にだけ分かればいい”との姿勢に映っていたBURGER時代。聴き手をそこから次の冒険へと誘うように、ハメル―ンの笛吹きの如く先導し始めたGood Dog時代。その表も裏も、緊張も弛緩も、正直も虚実も含め、より人間味を帯びてきた感もあるソロ時代。彼の1stソロアルバム『Nobody Knows My Name』は、一般的に思うところの<人間味>とは違うが、<門田匡陽という人間味>に満ちた作品だったんだな…と、遅ればせながら、この日のライヴの帰路、改めて思った。

Report : 池田スカオ和宏


【SET LIST】

M-1 Blue Moon Shadow
M-2 Alice
M-3 Ghost
M-4 I LOVE YOU
M-5 Music From Twilight (Good Dog Happy Men)
M-6 埋立地
M-7 Dear My Teacher
M-8 ネギ
M-9 hostia
M-10 指輪 (BURGER NUDS)
M-11 Perfect nervous (Good Dog Happy Men)
M-12 Normal Abnormal (BURGER NUDS)
M-13 boys In blue (BURGER NUDS)
M-14 慰霊堂清掃奉仕(Happy Birthday!) (Good Dog Happy Men)
M-15 Apple star storyS (Good Dog Happy Men)
M-16 Bit by Bit (Good Dog Happy Men)
M-17 そして列車は行く (Good Dog Happy Men)
M-18 後夜祭
M-19 Candle for minority (BURGER NUDS)
M-20 暗証番号
Encore
En-1 Sweet heart of moon (Good Dog Happy Men)
En-2ドーナツ


【MEMBER】

Vo.&G. 門田匡陽
That Evening Support
G.&Cho. 河相巧矢 (ex.センチライン)
B.&Cho. 菅原将之
Dr.&Cho. 伊藤大地 (SAKEROCK/ex.Good Dog Happy Men)
Dr. 大浪彰仁 (today is the day/ロザンナ)
Key.&Cho. 高野勲


【PROFILE】


Good Dog Happy Men、ex.BURGER NUDSのフロントマン、門田匡陽のソロプロジェクトを昨年6月から始動。1st ソロアルバム「Nobody Knows My Name」を6/2(木)にリリースし、7/2にはレコ発ワンマンライブを開催し大盛況に納める。注目を集める中2年振りにap bank FES.kotimarketにも出演。音楽に対する志しの高さ故、かもしだされるその楽曲のクオリティーの高さは郡を抜いて注目を集めている。


【NEW ITEM】


門田匡陽
SOLO FIRST ALBUM
『Nobody Knows My Name』
POPTOP-0099
¥2,300(Tax in)
NOW ON SALE
【POPTOP】

M-1. Blue Moon Shadow
M-2. Alice
M-3. I LOVE YOU
M-4. Ghost
M-5. hostia
M-6. 埋立地
M-7. Dear My Teacher
M-8. 暗証番号
M-9. 後夜祭
M-10. ドーナツ


【LIVE SCHEDULE】

http://monden-masaaki.com/shows.html


【ARIST HOMEPAGE】

http://monden-masaaki.com/

【LUCKON】を開く 【LUCK'A PLANET】を開く
aquarifa PLAYBUTTON 発売中” title= LOVEHUMAN

ENTRIES

LIVE REPORT」カテゴリの記事

ARCHIVES

TAGS

SEARCH