rice『Re:birth It Cool sounds Evolution』@Shibuya O-WEST

Filed under: LIVE REPORT — タグ: — LUCK'A @ 2008.09.04

『Re:birth It Cool sounds Evolution』
2008.07.30
@Shibuya O-WEST

この日はO-WESTでrice久々のワンマンライブ。ここO-WESTはriceにとってはホームグラウンドのようなもので、約5ヶ月前のワンマンライブも、ここで満員の中行われた。
彼ら久々のライブという以上に会場は開演前からちょっとした緊張感が漂っている。映像シューティング用のカメラクルーの姿がチラホラ見えるからだ。そう、今日のワンマンライブはシューティングされ、後日映像作品として発売する予定となっている。それを知ってか知らずか、ライブが始まる前からいつもよりも多少のワクワクドキドキが入り交じる中、ライブの開始を待つ僕も含む会場中、それをごまかすかのようにザワつくオーディエンス。
そんな中、急に客電が落ち、彼らの登場SEが流れ出す。今までザワついていた会場が嘘のように一瞬にして静かになり、息を飲むようにメンバーの登場を待つ。

メンバーがステージに登場する。いなや、その静寂が一瞬にして一斉に嬌声に変わる。ドラムのHIRO、キーボード、ベース、チェロ、ギターが順に登場し、所定のポジションに着く。そして、白いシャツに黒いパンツ姿のボーカルYUKIが登場。”おおーっ、沢山お客さんが入ったなぁ…””みんなよく来てくれた”的な表情を浮かべ、ゆっくりと会場全体を見回す。その表情が、”よおーし行くか!!”に変わると同時に1曲目の「to you」からライブはスタート。ビブラートを巧に使った、深みと伸びのあるYUKIの歌声と、広がりのある、まるで「大丈夫」と言われている安堵感を感じる、聴き手に続くかのようなこの曲は、まさにオープニングにはピッタリ。続いて間髪置かずにギターリフから疾走感のあるストレートで盛り上がるナンバー「ちかり」に突入。お客さんの大合唱から入り、そこからバンドにスイッチされる連携と一体感にゾクッとさせられる。コブシとレスポンスで盛り上げ、応戦するオーディエンス。その合間を縫う様に、チェロのソロが荘厳さを煽る。3曲目は赤い照明が似合うスリリングな面と歌謡性が一体化したナンバー「矛と盾」。中間部はオーディエンスの大合唱により曲を成立させ、YUKIの深みのある歌声と、オーディエンスの歌声が上手く融合。会場中にさらなる一体感を作り出す。そして、ミディアムで始まりながらも、サビの部分ではとてつもない広がりを見せる、ドラムのHIROが人生初めて作詞を担当したという「Word」。YUKIの美しい歌声と荘厳さが同居した「はるか」。タイトルとは裏腹、哀愁性と切なさで胸がいっぱいになる「Sunny Side Up」が始まり、しばし聴き入るようにライヴを観る。時に物悲しく、時に壮大で雄大に響くチェロ。それにしてもこのグループはチェロを実に効果的に使っている。そしてHIROのシンプルなドラムキットから無尽に叩き出されるさまざまなビート。的確にしっかりとバンドのボトムを支えている。

7曲目、その静寂を切り裂くように、ラウドなドラムが会場中に鳴り響く。そして、また切なく哀愁性のある雰囲気に戻っていくかのように「Rain」が始まる。体全体で感情移入するYUKIのボーカル。一度ブレイクし、再び楽曲に戻ってくるところでは、”キタ−!!”的な気分になった。続いて、重いギターカッティングから入る、YUKIのハイトーン・ボーカルが活きる「Crunch」。「この世界の終わりまで〜」と歌われる箇所には、オーディエンスのひとりひとりがまるで自分のことのように心に響かせていたことだろう。そして、そこまで続いた哀愁性のある雰囲気を変えるように、アップテンポで疾走感のある曲「余韻」が始まると、”待ってました!”とオーディエンスも大ノリ。 自然と客席からもコブシが上がる。HIROのコーラスも映える、このナンバーのラストに向け駆け抜けていくスピード感には毎度ゾクッとさせられる。
そして、不穏なベースラインとインダストリアルチックな硬質に打ちならされるスネアが印象的な「ソクラテス」。その加速を増々上げていくかのように、アップテンポで勢いのある、ハードロック・テイストのナンバー「FakeStar」に突入する際には、その加速に振り落とされるどころか、逆にステージのメンバーに向け、熱狂の煽りを入れるオーディエンス。しかし、壮大なある種組曲的な要素もあるこの曲は、中盤部のハイライトである途中の美しい旋律のピアノソロ、その後のピアノとYUKIによるアリア的な歌へと流れ、オーディエンスを一つの大きな物語の中へと誘っていった。


ようやくここで一息。一旦、YUKIとHIROはステージからはけ、アコースティックのセットの準備が始まる。そう、今夜は大きく別けて2部構成。ここからは、新し目の曲や、逆にすごく懐かしい曲をあえてアコースティック・タッチのアレンジでプレイするコーナーが始まる。とは言え、それらは決してアンプラグド・タイプのまったりとしたアレンジではなく、伝えるメゾッドが作品とは違っているだけで、曲の持っている本来の良さがまた違った角度から楽しめたと称した方が良いアレンジに各曲リメイクされていた。そんなこのコーナーではお客さんもちょっとリラックス。アコギとエレピの音色が映える「Still」、柔らかく優しい雰囲気に包まれる「さなぎ」と懐かしいナンバーや、19歳の時、仲間を憶い作ったという「Days」も、よりYUKIの声が活き、アコギの凛とした勢いを生んでいた。一声一声を確かめるように歌われる、今日会えたひとりひとりに向けて捧げられた「Lovers」、”アナタに届きますように”との願いが込められた感動的でドラマティックな「紡ぎ歌」では、YUKIの意志のある力強い歌が印象的だった。そして、ステージが明るくなり、ドラミングに合わせ手拍子が起る。それにより、メンバー紹介と軽いそれぞれのソロ回しが始まり、そのまま「Re:Bye」へと突入。本編のラストは、ベースとキーボードとギターがステージから去り、YUKIがベースを弾きながらボーカルをとり、HIRO、チェロの3人で「Air」をプレイ。とは言えこの歌、当のYUKIはメロディをハミングしているだけなのだが、そこに無いはずの情景や歌を感じたのは決して僕だけではなかったはずだ。

一旦ステージからはけるメンバーたち。鳴り止まぬアンコールの中、再度メンバーがステージに戻る。アンコールの1曲目は、9月3日に発売されるニューシングル「BraveStory」を一足先に、この会場のみんなに初披露。勢いと疾走感と力強さが印象的なナンバーだ。「欲しいのは形じゃない本質」と歌われるこの曲には、心の中で何度もうなずき、勇気づけられたオーディエンスも多かったはずだ。そして、アンコール2曲目は「心はいつもアナタの側にいる」と歌われるように響く、フライアウェイ感とどことなく青空を思い浮かばせる「Heart is always」をプレイ。聴き入りながらも、心がどこか浄化され、清々しい気分に変わっていく自分に気づく。それはオーディエンス全員がそうだったようで、フロアが一体となり楽曲に呼応。まさしくこの日の盛り上がりのクライマックスとなった。
続いて、今日この日この時を最後まで支えてくれた集まったファンとメンバーに感謝の意も込めて、もう一度メンバー紹介が一人一人に行われる。そして、正真正銘のラストは、フロアの大合唱からスタート。そこにノンマイクのYUKIの朗々とした歌声が乗った「STAY」。この盛り上がるナンバーに、まるで最後の力の一滴までもふり絞るようにコブシを上げ、力の限り呼応するオーディエンス。その歌声と心の一体感は、いつまでも余韻のようにライブが終わっても会場中に残り続けた。

いつまでもいつまでもみんなの心に居続けるであろう素晴らしいライブを展開した、この日のrice。この日シューティングされたライブ映像が作品化され、観返す度にこの日の興奮を呼び起こさせるのだろう。それもまた今から楽しみだ。


【SET LIST】
1.to you
2.ちかり
3.矛と盾
4.Word
5.はるか
6.Sunny Side Up
7.Rain
8.Crunch
9.余韻
10.ソクラテス
11.FakeStar
12.Still
13.さなぎ
14.Days
15.Lovers
16.紡ぎ歌
17 .Re:Bye
18.Air
Encore
En-1.BraveStory
En-2.Heart is always
En-3.STAY


【MEMBER】
Vo. YUKI(櫻井有紀 )
生年月日 : 1981.07.11 生
血液型 : B
出身 : 神奈川県横浜市

Dr. HIRO(村田一弘 )
生年月日 : 1981.11.17
血液型 : B
出身 : 神奈川県川崎市


【PROFILE】
奥深い朗々とした独特の歌唱力を持つボーカルYUKIと、数多くのアーティストのバック・ドラマーとしても活躍している、タイトさとキレを持ったドラマーHIROとで結成されたユニット。
チェロ等を取り入れた、ヨーロッパ風クラシック的様式美と欧米のロック、そこに日本の歌謡的メロディをそこはかとなく融合させた独自の音楽性を有し、現在までに9枚のシングル、3枚のアルバム、2本の映像作品をリリースしていきている。


【RELEASE ITEM】
2008.09.03 ON SALE
NEWEST SINGLE
「Brave Story」
POCS-5024
¥1,050-(Tax in)
【収録曲】
M-1.Brave Story
M-2.Still

2008.03.26 ON SALE
NEW SINGLE
「heart is always」
EXCR-1003(yuro-009)
¥1,260-(Tax in)
【収録曲】
M-1.to you
M-2.Word
M-3.Heart is always…
「今回のライブ映像DVDは、弊社LUCK’Aが制作に携わっております。
発売日はまだ未定ですが、楽しみにお待ちくださいっ!」


【Live Information】
2008.09.23(Tue)
『NEO HARD Rock’n Roll WAVE “WE ROCK!!”』
w / CANTA、BIG BITES
@サンフォニックスホール(旧:新横浜アリーナサウンドホール)

2008.11.01(Sat)
Shibuya O-WEST


【OFFICIAL HOME PAGE】
http://rice.secret.jp/

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