a flood of circle「X DAY 20110406 : 単独極東上陸作戦決行日」

Filed under: LIVE REPORT — タグ: — LUCK'A @ 2011.04.24

a flood of circle
「X DAY 20110406 : 単独極東上陸作戦決行日」
2011.04.06
@SHIBUYA O-EAST

 この日は、a flood of circle(以下 : afoc)にとって、X-DAY(エックス・デイ)であったのと同時に、D-DAY(ディー・デイ)でもあった。X-DAYとは、いわずもがな「ことさら重大な日」「大きな事件が起こる日」の意。そして、D-DAYとは、「戦略上重要な攻撃を仕掛ける日」「次の作戦開始日」の意を持つ。そう、昨年末にベースがHISAYOにチェンジしてから初となるこの日のワンマンライヴは、この新体制での次のアクションを起こす狼煙と公開宣言。さしずめ我々はその後見人であったと言えよう。そして、その上陸作戦は、楽曲によっては気負いによる多少のチグハグさは見受けられたにせよ、全体的に”これから、このメンバーでafocの新章を築き上げてやる!!”的な勢いや決意、これからも幾多の試練が待っていようが、抗っていく覚悟を会場中に放っていた。

 ここにきて新体制になった彼らをようやく観れた自分的には、新ベースのHISAYOの佇まいはまさにクールビューティ!!いい意味でのストイックさとクールさを醸し出し、コーラスには女性ならではのふくよかさが加わり、それがこれまでのafocには見られなかった絶妙のブレンド感を生んでいた。

 今回、我がラッカは、このX-DAY用のTシャツのデザインと制作、そして彼らの新しい試みであったカレンダーポスターのデザインと制作を受け持った。

 会場BGMにはモダンブルーズやフォークロックの類が流れている。それが止むとSEが流れ出し、真っ暗になった場内に青白く浮かび上がるステージに、まずはドラムの渡邊が登場。フロアタムを活かした生命力あふれる土着的なビートを叩き出す。続いてベースのHISAYOが登場し、そこにベースを乗せ、その力強さにクールさを加える。そして、サポートギターの曽根が、そこにブルージーでウェスタンなギターフレーズを絡め、最後はボーカル&ギターの佐々木が登場。愛器であるブラックファルコンを掲げ、そのまま軽いセッションへと飛び込む。そして、それをイントロに最新配信曲「Miss X DAY」にイン。タイトなビートにドライヴ感のあるベースがフロアを引っ張り、独特のしゃがれてブルージーな佐々木の歌声にHISAYOと曽根がコーラス加える。そして、サビがくると会場中が合唱と共にコブシを掲げ呼応。実に男らしく勇ましい光景だ。曲には「Miss」がつくのに(笑)。続いて、佐々木のウィスパーボーカルとギターのカッティングから始まりつつ、そこにバンドサウンドが加わっていく形で「Ghost」に突入。この曲では、前曲で見せたストイックさに多少の色気が加わる。「闇を抜けろ」とアジるように歌う佐々木に、”そこに続け!”とばかりに会場中から大合唱が起こる。間には曽根のブルージーなギターソロも炸裂。サビの部分の解放感が暗中模索の中、一筋の光を見つけ、そこに走り出して行く感を生み出す。そして、スパークするライトの中、ノンストップで「博士の異常な愛情」にイン。異常な愛が会場に放たれる。以前よりも更にワイルドでストイック、しかし、ハーモニーに幅が加わった印象を受けた。

 ここで、恒例の「おはようございます。a flood of circleです。ぶっとばしていきますんで、よろしく」と佐々木が軽くMC。気づけば、渡邊は羽織っていた上着を脱ぎ、いつもの如く上半身裸だ。そして、「フェルディナン・グリフォン・サーカス」が始まると、荒野感を帯びながらも、サビの裏打ちのスカ的なダンスビートが場内に驚喜を生む。イントロとブリッジでのブレイブ感溢れるマカロニウェスタンっぷりに血沸き、肉踊る。そして、HISAYOの歪んだベースから、新曲「Blood Red Shoes」に入ると、場内に更なるスリリングさが加わる。追いかけるコーラスも印象的な、グイグイと場内を引っ張っていくナンバーだ。続いても新曲。「ミッドナイト・サンシャイン」が飛び出す。彼らの曲中最速では?なイントロから裏打ちのビートにスライド。そして、再びグイグイと惹き込んで行くような高速性への突入が、場内を踊らせたり、ノらせたと引っかき回す。とは言え、同曲の基本は3コード。繰り返し歌われる「ミッドナイト・サンシャイン」のフレーズも耳に残る。
 渡邊によるキックの4つ打ちに乗せ、佐々木が歌い出し、そして特徴的なギターリフから「Sweet Home Battle Field」に入る。この曲もそうだが、以前よりも抜き差しやオチを交えることでのドラマティックさづけが増えた印象を受けた。

 「久々のワンマンで気合いを入れ過ぎて新曲が3曲もできてしまった。今後も変わらなく、俺らは泥臭くいきたい。それじゃ、みんなが引くような泥くさい曲を演ります」と佐々木。これまた新曲の「Hide & Seek Blues」を始める。どブルーズマナーながら、間にはキチンとフロアを盛り上げる部分も存在し、どブルーズに終わらない同曲。ここでは彼らの代表曲「ブラックバード」にも表れていたフレーズ、「未来未来未来未来」を交え歌われる。同曲ではこれまでクールビューティ―な佇まいを見せていたHISAYOにもアクションがプラス。そして、ラストへの疾走感とシフトアップさが場内の高揚感を煽る。とは言え、最後もしっかりブルーズマナーで締めてくれるところは、いかにも彼ららしい。そして、そこからノンストップで「Forest Walker」に突入。この曲では渡邊のダイナミックなドラムソロとそこからの曽根の哀愁性を帯びたギターソロが会場中に響き渡る。

 ここでMC。佐々木が「5年やっているとバンドがどんどん自分のものになっていき、それこそそれは、職業欄に『ロック』って書いてもよいほど」「何を信じていいのか? 信じ抜くって難しい。俺たちが信じているロックはこれで、それを演るだけ」「俺の持っているものは、ロックと、この仲間だけ。みなさんの信じているものの糧になれたらなと、特にこの日のために作ったわけじゃないけど、この曲を演ります」と、「水の泡」を始める。これまで何度も挫折しかけ、幾度も水の泡になりかけた危機を乗り越えてきた彼らだからこその、”だけど、それでも行かなくちゃ”感が会場を支配し、その歌に合わせ、場内がそれぞれ自身の信じているものを思い浮かべる。そして、それを歌い終わるやいなや、「ロシナンテ」にイン。HISAYOのベースも躍動感と共に、アクションやステップも華麗に加わっていく。サビの疾走感が会場を煽り、ギターソロでは曽根も佐々木もステージのへりまで赴き、弾きまくる。そして、ノンストップで渡邊の前のめりなドラムに乗せ、「渋谷!ついてこれますか!!」と佐々木。情熱的なビートに躍動感や生命力を灼熱にブレンドした「Human License」が飛び出す。溢れる土着的なビートに、フロアも負けてたまるかと呼応。ステージとフロアが共闘を見せる。アウトロでは、佐々木、曽根の両ギタリストが、それぞれ舞台の両袖にてギターをプレイ。熱狂度を更に上げ、フロアに狂乱を起こす。次の「Chameleon Baby」が、更に場内のボルテージをグイグイ上げる。同曲でのサビの2ビートでは場内も阿鼻叫喚。加え、渡邊の力強いカウントと共に「プシケ」に入ると、途中、佐々木より、これまた”待ってました!”のメンバー紹介も交えられ、熱狂度もピークに。同曲の後半では、佐々木もフロア前方の柵の上にまたがってギタープレイ。それに群がるように、オーディエンスも彼めがけて押し寄せる。

そして、ここで本編最後のMCが。「これからのために俺たちは、できることやるだけ。これからのために歌うんで聴いて下さい」と、本編最後に「ノック」をプレイする。前半部はノンマイクで歌い出し、そこにバンドサウンドが加わり、神々しさを会場中に放つ。「虫けらのような俺たちにも明日は待っている」と歌われる同曲。この歌がafocの今後の扉や、自身の明日への扉をノックしているかのように響いたのはけっして僕だけではなかっただろう。

 ここからはアンコール。まずは、メンバーが一人ひとり出てきて挨拶。そして、「一時は今回のワンマンを取りやめようかとも思った。だけど、いつもどおりライヴを演っていくことが、やがて何かの力になるのではないかと思い、決行した。今日は演れて本当に良かった。みなさんに感謝しています」と佐々木。その後、6月22日にミックスCDがリリースされ、afoc分の印税は義援金として寄付されることが告げられる。そして、ここでようやく新ベーシスト、HASAYOの会場に向けての正式な紹介が(笑)。
「最後は愉快に演りたいんで、ついてきて下さい」の佐々木の言葉の後、「最後の晩餐」が放たれる。間では、曽根、佐々木の両ギタリストが、向かい合ってツインリードを弾く。うーん、カッコイイ。そしてラストは、サビをミドルで歌うイントロから「春の嵐」をプレイ。これまでには無かった明るさと、上昇感、そしてポップ感が会場を包む。なんとなく春の嵐を抜けた穏やかさを得た気になったのは、僕だけではないだろう。いやいや、彼らには大団円は似合わない。今後もっと精進してもらうためにも、これからもその運命に抗いつづけてもらわなくちゃ(笑)。だって、それがきっと彼らが自身のブルーズを体現していく方法なのだろうから。

 僕はこの4年間、彼らのワンマンは全て観てきたのだが、その毎に必ず歌われ、ずっと歌い続けていくものと思われた、彼らの代名詞的ナンバー、「泥水のメロディー」も、「ブラックバード」も、この日はプレイされなかった。それこそがこの新生afocの高らかな宣言であると同時に、このX-DAYを皮切りに、このメンバーで、このスタイルで、今まで以上に、世の中に上陸/征服してやるとの意気込みにも取れた。そう、このライヴの終了時には、僕の頭の中では、この会場を征服した証に打ち立てられるafocのフラッグが、誇らしく雄々しくしっかりとはためいているのが見えた気がした。

Report : 池田スカオ和宏


【SET LIST】

M-1.Miss X DAY
M-2.Ghost
M-3.博士の異常な愛情
M-4.フェルディナン・グリフォン・サーカス
M-5.<新曲>Blood Red Shoes
M-6.<新曲>ミッドナイト・サンシャイン
M-7.Sweet Home Battle Field
M-8.<新曲>Hide & Seek Blues
M-9.Forest Walker
M-10.水の泡
M-11.ロシナンテ
M-12.Human License
M-13.Chameleon Baby
M-14.プシケ
M-15.ノック
Encore
EN-1.最後の晩餐
EN-2.春の嵐


【MEMBER】

Vocal & Guitar 佐々木 亮介
Bass HISAYO
Drums 渡邊 一丘
That Evening Support Guitar 曽根巧(from talk to me)


【PROFILE】

2006年結成。ライヴ活動を開始。2007年7月、1stミニアルバム『a flood of circle』を発表。当時弱冠20歳とは思えないその音楽観と卓越したライブパフォーマンスに注目が集まり「FUJI ROCK FESTIVAL’07」に出演。
2008年5月、2ndミニアルバム『泥水のメロディー』を、さらに3ヶ月連続でライブ音源をリリース。同年末には「COUNTDOWN JAPAN 08/09」に出演を果たす。
2009年1月、初のワンマンライブを新宿ロフトで開催(ソールドアウト)。3月、インディーズラストシングル「Buffalo Dance / Thunderbolt」発売。同年4月、1stフルアルバム『BUFFALO SOUL』をメジャーよりリリース。全国ツアーを各地で満杯にする。同年7月、代官山UNITでのツアーファイナル自主企画直前にギタリストが失踪。バンドは入魂のパフォーマンスを披露し乗り切る。夏には「FUJI ROCK FESTIVAL’09」「ROCK IN JAPAN FES. 2009」にも出演。大絶賛を受ける。10月、失踪したメンバーの脱退を正式発表し、新たなスタートを切る。11月、メジャー2ndフルアルバム『PARADOX PARADE』発表。
2010年2月~同アルバムを引っ提げ、東名阪のワンマンライヴを含む全国7箇所のツアーを行い、大成功に納める。
2010年7月初のシングル「Human License」を発売。大型夏フェスにも出演。同年9月15日3rdアルバム『ZOOMANITY』リリース。発売後、10月15日~は6箇所のワンマンを含む全国17箇所にも及ぶツアー『Tour ZOOMANITY~天晴全国百鬼夜行~』を敢行。全箇所大成功を収める。
12月14日のライブをもって、ベースが石井康崇からHISAYOに交代。
2011年1月26日、デジタルシングル「Miss X DAY」配信。2月9日、TOWER RECORDS限定3rdライヴシングル「Miss X DAY ~Before the flood six」発売。6月22日には、5周年記念ミックスCD『AFOC THE MIX』をリリース。発売記念ツアーも予定されている。


【NEW ITEM】

5th anniversary memorial mix cd
『AFOC THE MIX』
VICL-63749
5th anniv.price:¥1,555(tax in)
mix by 片平実
初回生産分:シリアルナンバー入り


【LIVE SCHEDULE】

http://afloodofcircle.com/live.html


【ARIST HOME PAGE】

http://afloodofcircle.com/

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