凛として時雨 『 FIGHTING G 』@新木場 STUDIO COAST

Filed under: LIVE REPORT — タグ: — LUCK'A @ 2008.07.07

凛として時雨
ONEMAN TOUR 08
「FIGHTING G」
2008.5.31
@新木場 STUDIO COAST

いやー、ギリギリだ。急がなきゃ。
5月31日18時15分頃。新木場駅から本日の「凛として時雨」のワンマンライヴの会場であるSTUDIO COASTに向かって急いでいる途中だ。
通常、他のライヴであるなら、この時間からそんなに急いで会場入りすることもないのだが、彼らの場合は、ちょっと違う。毎回、ほぼ定刻通りにワンマンライヴがスタートしてしまうからだ。

本日はソールドアウト。聞くところによると、かなりの早期に完売したらしい。
18時30分頃ようやく場内にイン。不穏なBGMが場内に流れている中、まだライヴは始まっていない。どうやら間に合ったようだ。
用意してもらった席に座ると同時に場内が暗転する。電話の呼び出し音やベルやノイズがカオスに渦巻くSEが流れる中、3人のメンバーがステージに登場。ドラムのピエールがデモンストレーション的にドラムを叩き、お客さんを煽る。
ベースをつま弾くと同時に発せられる緑色のレーザー光線。鋭角でヒステリックなギターがかき鳴らされる。いよいよ本日のライヴのスタートだ。1曲目は「DISCO FLIGHT」。当然客席は頭から大盛り上がり。ソロの部分では無数のレーザー光線が飛び交い、本日のライヴの光による演出面の狼煙を上げる。重いビートを叩き出す、ズッシリとくるが軽やかに伝わってくるピエールのドラムと、ラストのツインペダルとボーカル&ギターのTKの絶叫は、何度体験しても震えがくる。

続いて、メロウなイントロから幾何学的に放射される音の中、ベースの345が深いエコーの中、歌う「Sadistic Summer」。ピエールはスネアの一打ごとにスティックを回して魅せている。そして、引っ掻き出すようにギターのイントロが響き出し「テレキャスターの真実」が飛び込んでくる。お客さんも呼応し、途中からのテンポアップ部分では、さらにヒートアップ。終いにはダイブも飛び出していた、まさに「蜂の巣をつついたような」騒ぎが起こる。
ちょっとした間を置き、疾走感のあるイントロが響き渡る。4曲目は「CRAZY 感情 STYLE」だ。時々恐ろしいぐらいの甘美さと美しさを醸し出し、そしてそれを突き破るかのように突如現れるカオス。例えるなら、〈気持ち良くゆられてまどろんでいたハンモックからいきなり下の茨に落ちた感じ〉って、例えが悪いか(笑)。

そして、ここでMC。ドラムのピエールが「あらためまして、はじめまして、ミドリです」と茶目っ気たっぷりにまずはカマす。X JAPANをパロったMC等、次から次へと飛び出してくるコミカルなピエールのMC。そして、それに反して、フロントの2人が我関せずな態度で、MCの終わりを待っている光景は、いつも通り(笑)。
緊張感タップリのライヴのバランスを取るかのような和やかなMCの後。その雰囲気をまたもや緊張感タップリにグイッと引き戻すかのように、最新シングル曲「Telecastic fake show」が飛び出す。変則に目まぐるしく動き回るビートと、幾何学に動き回る音。特にギター音に関しては、テレキャスターを使って、こんな音や世界観を描き出せる者は、TKの他にはいないだろう。
続いて、きらびやかなギターのイントロと、メランコリックなナンバーが切なく響き渡って行く「ターボチャージャーON」。345の歌い出しから始まる「秋の気配のアルペジオ」を連射。そして、イントロが変わっていて歌が入るまで気がつかなかったが、僕が彼らを知るキッカケとなった、ライヴ会場で手売りしていたデモCD-Rを買ったのがまるで昨日のことのように思い返される、大好きな曲「鮮やかな殺人」をプレイ。闇雲にギャーギャーとしていた昔と違い、メリハリの付け方も展開や流れ、曲の構成も数段成長。流れやドラマティックさはさらにアップし、今の彼らならではのアレンジとなっていた。

そして、深いエコーとディレイの中、ギターから始まる「RE:automatic」。メンバー越しのバックに映像が流れる「24REVERSE」と、最新シングルのカップリング曲2曲を立続けにプレイ。視覚、聴覚共に絶妙なサイケ感を生み出していく。
続いて、スモークが炊かれ、緑色のレーザー光線の帯がゆっくりと広がっていく中、ゆったりとした歌が広がっていく。穏やかでまどろむような曲調が彼らの中でも珍しい(新曲)だ。上から見ていると、雲海の底で彼らがプレイしているみたいなファンタジックな世界の展開を味合わせてくれた。
そうそう。ここまで観ていて気がついたのだが、彼らはスタートからここまで楽器を一度も交換していない。通常ワンマンライヴとなると、MCや一息ごとにギターを変えたり、ベースを代えたりしながら進めていくものだが、彼らは終始チューニングをし直す程度で、ずっと同じ楽器でプレイ。そして、結局それは最後まで徹底された。

突然の歌い出しから始まる「ラストダンスレボリューション」では、ミラーボールも回り出す。照明のコントラストとスイッチングが、歌とマッチしていて素晴らしかった。それにしてもピエールのドラムは、 硬く腹に響く。手数も多いし、ズッシリ。”そりゃ痔にもなるわ…”、というのも、今回のツアータイトルの「FIGHTING G」の意味は、中野があまりにハードに叩き、バスドラを踏み過ぎて、痔になった為、「痔と闘う」といった意味で付けられたという。うーん、由来を言わなきゃ分からないのに(笑)。
ここで再びMCコーナー。担当のピエールによる、多少のセクハラチックな行き当りばったりなコール&レスポンスにも見事についてくるオーディエンス。このCDとライヴでのMCとの見事なギャップこそが、彼らがライヴでの緊張感を常に保ちながらも、一方的でトゥ−マッチにならず、且つ長丁場でもシッカリとオーディエンスが緊張感と対峙出来る要因なのだろう。
続いて、映像と演奏とのシンクロが印象的。時雨史上もっともファストなナンバー「nakano kill you」。残響音とそれを切り裂くギターのカッティングから入る「COOL J」。ラストに向かっていく疾走感もたまらない「感覚UFO」等、怒濤のナンバーを連発。天井も高く、会場も広いので、エコーやディレイといった余韻や残響音も綺麗に響き、それがより効果的にライヴを演出している。

ここでようやくベースの345がたどだとしく物販の告知と、秋にはさらに拡大したワンマンライヴツアーに出ることを宣言。TKも夏の『FUJI ROCK FES.』への出演決定を伝達。会場中のファンから祝福の拍手が彼らに送られた。
そして、本編のラストは穏やかな曲ながら、そこはかとなく秘めた残酷性を有した「傍観」。世界観タップリな、彼らの叫びや一打一打が会場中に響き渡り、その圧倒的な孤高さと存在感に、なすがままでいるしかなかった、僕も含む多くの観客。ギターのフィードバック音を残し、ステージを去るメンバー。アンコールを求める声も空しく、彼らは再びステージに現れることはなかった。まるで置いてけぼりで、ポツンと1人取り残されたような孤独感だけがジワジワと身体を包んでいく。そして、毎回彼らのライヴが終わった後に、身体に残るこの孤独感こそが恍惚感やカタルシスだったりもする。そう、このライヴが終わった時に身体に残る感覚を再び、いや何度も味わいたくて、僕は彼らのライヴに今までも、そしてこれからも足を運んでいくにちがいない。
(レポート : 池田スカオ和宏)


【グッズとおまけ】


【SET LIST】
1. DISCO FLIGHT
2. Sadistic Summer
3. テレキャスターの真実
4. CRAZY 感情 STYLE
5. Telecastic fake show
6. ターボチャージャーON
7. 秋の気配のアルペジオ
8. 鮮やかな殺人
9. RE:automatic
10. 24REVERSE
11. 新曲
12. ラストダンスレボリューション
13. nakano kill you
14. COOL J
15. 想像のSecurity
16. 感覚UFO
17. 傍観


【MEMBER】Vo.&G. TK
B.&Vo. 345
Dr. ピエール


【PROFILE】
鋭く変態的な曲、ツインボーカルから生まれる切なく切り裂くようなメロディは唯一無二。そのサディスティカルに尖った音の中に共存するポップな一面が、中毒性を生み、まるで楽器の如く放たれるその歌声は、鼓膜の中を不安定なバランスで突き破り、時に見せる冷たく透明な歌声が記憶の中に入り込む、3ピーズ・バンド。
2002年 埼玉にて結成。その後、メンバーチェンジを経て現メンバー編成となる。2004年3月初の全国ツアーを経て、DEMO音源を2000枚以上売り上げる。 2005年11月 自身のレーベル「中野Records」を立ち上げ、待望の1st album「#4」(ナンバーフォー)を全国リリース。2006年7月 2nd Mini Album「Feeling your UFO」を発売。9月28日から全国ツアー「NAKANO Inspiration」が始まり、全国18箇所を回り各所大成功をおさめ、11月11日ツアーファイナル渋谷AXはソールドアウトを記録する。2008年4月、1stシングル「Telecastic fake show」をリリース。オリコンシングルチャート初登場17位を記録。5月からは全国9箇所に渡るワンマンライヴツアー「FIGHTING G」敢行。各地でソールドアウトを記録。大盛況収める。
この夏は、各地夏フェスに参戦。10月28日からは、全国23箇所にてワンマンライヴツアー「P-Rhythm Autumn」を行う。


【RELEASE ITEM】
FIRST SINGLE
「Telecastic fake show」
ANTX-1011
¥1,000[Tax in]
【中野レコード】
NOW ON SALE

M-1 Telecastic fake show
M-2 Re:automation
M-3 24REVERSE


【LIVE INFORMATION】
2008.7.1.(Tue)
赤坂BLITZ2008.7.4.(Fri)
福岡 DRUM Be-1
w/ ミドリ

2008.7.5.(Sat)
大分 T.O.P.S
w/ ミドリ

2008.7.7.(Mon)
熊本 DRUM Be-9
w/ ミドリ

2008.7.9.(Wed)
長崎 DRUM Be-7
w/ ミドリ

2008.7.26(Sat)
【FUJI ROCK FESTIVAL ’08】
新潟県苗場スキー場

2008.8.16(Sat)
【RISING SUN ROCK FESTIVAL 】
石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ

2008.8.24(Sun)
【MONSTER baSH 2008】
国営讃岐まんのう公園内 芝生広場

2008.9.7(Sun)
【OTODAMA ’08】
大阪・泉大津フェニックス

凛として時雨 ONEMAN TOUR 2008“P-Rhythm Autumn”

2008.10.28.(tue)
HEAVEN’S ROCK さいたま新都心 VJ-3

2008.10.31.(Fri)
札幌BESSIE HALL

2008.11.1.(Sat)
旭川CASINO DRIVE

2008.11.3.(Mon)
盛岡CLUB CHANGE WAVE

2008.11.4.(tue)
仙台JUNK BOX

2008.11.8.(Sat)
高崎CLUB FLEEZ

2008.11.9.(Sun)
松本ALECX

2008.11.11.(tue)
金沢vanvan V4

2008.11.12.(Wed)
新潟JUNK BOX MINI

2008.11.16.(Sun)
HEAVEN’S ROCK 宇都宮 VJ-2

2008.11.17.(Mon)
水戸LIGHT HOUSE

2008.11.22.(Sat)
福岡BEAT STATION

2008.11.24.(Mon)
鹿児島SRホール

2008.11.26.(Wed)
広島CLUB QUATTRO

2008.11.27.(tue)
大阪BIG CAT

2008.11.29.(Sat)
神戸VARIT

2008.11.30.(Sun)
京都MUSE HALL

2008.12.4.(tue)
名古屋ダイアモンドホール

2008.12.6.(Sat)
岡山CRAZYMAMA 2nd Room

2008.12.7.(Sun)
高松DIME

2008.12.9.(tue)
静岡Sunash

2008.12.18.(Thu)
赤坂BLITZ

2008.12.20.(Sat)
横浜BLITZ


【ARTIST HOMEPAGE】
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