airdrop 『クアトロカフェ vol.3〜お花見しようよ〜』
airdrop
2008.04.10
『クアトロカフェ vol.3〜お花見しようよ〜』
@渋谷CLUB QUATTRO
◆先日、「最近、休むことサボってない?」のメッセージと共に、airdropから彼女達主催のライヴイベント、「クアトロカフェ」の招待状が届いた。渋谷のクラブクアトロを一晩カフェ・スタイルにチェンジさせて、ゆったりのんびり座って、お気に入りの飲み物を飲みながらライヴを楽しむという、もはや恒例になっている、この企画。
普段のクアトロでのスタンディングにて、踊ったりノったりして楽しんだりする趣きとは逆の、ゆったり贅沢な気持ちで日常を忘れさせてくれる趣向も嬉しい企画だ。
そんなクアトロカフェの第3回目が、「お花見しようよ」のサブタイトルの下、この4月10日に行われた。
外はあいにくの雨。開演後少々遅れての入場となってしまい、大きな花瓶挿しされた存在感のある桜が中央奥に配置されたステージ上では、既に今回のゲストのDewがライヴを行っていた。
Dewはボーカルの清水悠さんとピアノ&ボーカルの大西春奈さんの2人による品の良い、清涼感のあるデュオ。今回はチェロとヴァイオリンを加えた編成でのライヴを展開し、会場を包み込むように暖かい楽曲の数々を届けてくれた。
次はいよいよairdrop。
と、その前に、せっかくなので転換中にこのクアトロカフェをグルリとひと回り。
フロア全体に机とイスが置かれ、その机の上には桜の花つきの枝が挿された小さい花瓶と、ほのかに炎を揺らすキャンドルが。いつもよりもゆったりのんびりした心持ちで、みんなairdropの登場を待っている。普段、この会場ではよく出ているビールやアルコールよりも、この日の為に特別に用意された、ホットレモネードやカフェオレ、チャイを飲んでいる人が多かったのも、この雰囲気なら納得。
そうこうしているうちに、当のairdropが登場。
キーボードでパートナーの荒木さんを始め、サポートメンバーにギターの時任さん、ベースのイチロウタさん、ドラムの片山さんの編成でのステージだった、この日。まずはアコギ、ベース、ドラム、キーボードの4人で1曲目の「ラブレター」のイントロを、いつもより長尺でプレイ。ボッサ風にリアレンジされたそのイントロに乗せて、ボーカルの大枝さんがフワリと登場し、歌を乗せる。ささいな日常のほのぼのとしたカップルの今とこれからが歌われている、この曲。大枝さんによる「今日はお花見です。思いっきり楽しんでね」のMCの後、2曲目ではギターもアコギからエレキに持ち替え、お客さんからの手拍子も飛び出し、ノリの良い「ミミ」がプレイされる。気紛れな猫のミミについてを歌いつつも、自由で素直でいたい気持ちが伝わってくる、この曲。続いては、照明も明るくなり、ギターのソロ・イントロから入る「GOING」。ズンズンと前に進んでいるかのような力強いサウンドと、”あの頃と同じ様に君らしくいれば良いんだ”のメッセージ。ピアノとボーカルだけになる箇所では、その歌のフレーズも合わさって、妙にハッとさせられた。
3曲目が終わり、「興奮している」と大枝さんがMCを始め、その後、ステージドリンク代わりに用意されたポットと、その中のカフェオレを演奏メンバーに配るもてなしが。しかし、カップが一つ足りない為、残念ながら荒木さんの分はナシ。とは言え、配った当の大枝さんはシッカリと自分の分はキープしていた(笑)。
サポートメンバーが休憩がてらそのカフェ・オレを飲んでいる間に、”せわしない毎日から解放。自分の時間を取り戻す”という、まさに今回のライヴの主旨そのままとも言える「HOT LEMONADE」を大枝さんと荒木さんの2人きりでプレイ。
再びバンドのメンバーも加わり、力強いバンド・サウンドに乗せられ「3月のM」を。続いて、ベースラインも印象的。こんなにもピッタリな2人は虹を見つけるように貴重だし、いつかは消えてしまうのかなと、2人を虹に例えた「虹」。雨の日の女の子を見ながら、かつての自分と今の自分を振り返り、得たもの、失ったものを聴き手にも思い返させる、途中のピアノのフレーズも象徴的な「skip」。
くつろいでゆったりとお茶を飲みながら、観るというよりは、眺め浸っているに近い楽しみ方をしているお客さん達。続いて、MCでは最近始めたというジムのジョギングを例えに、”これからは無理だと諦めていた事にも色々とチャレンジしていきたい”との意欲も込め、働く女性への応援歌「育てよ、私」をプレイ。聴いているうちに、”そうだ!!”と、元気にも似た気持ちにさせてくれた。続いて、間髪置かず軽快な鍵盤のイントロに乗せ、東京で歌うのは初めてという「HAPPY BIRTHDAY」を。
「年々桜が好きになっていくのは、そこに想い出が共に重なっていくからかも…」との、大枝さんの感動的なMC。とは言えこの話、「結局、その日はお花見で日本酒を飲み過ぎた」とのオチつき (笑)。
後半戦に入り「トンネルヲヌケテ」。打ち込みのループのテープが流れ、それに合わせてドラムから入る、聴く者の自分の一歩一歩の人生をダブらせる「リュック」。公園での子供達の遊ぶ声に乗せ、ピアノの旋律からバンドサウンドに突入。この改札を抜け、街を出て、知らない世界へと向かっていく君を歌う「改札」。この曲ではきっと、”その先に何が待っているのか?”を聴く者それぞれが思い描いたに違いない。
彼女達の原点である、〈お茶を飲みながら、くつろいでライヴを楽しむ〉。くり返される日常の中、忙しさに埋もれたり、見失ったりするささいな喜びや発見。それらにスポットやフォーカスを当て、歌にしているかのような彼女達の楽曲は、我々聴き手とリンクしたりシンクロしたり、まるで自分の事のように響いてくる。
そして、本編ラストは「チョコレート」。ジャジーでウォーミ−なギターが特徴的な、ささやかな喜びをチョコレートに例えた4ビートのナンバーだ。
本編終了後の温かい拍手がアンコールの手拍子に段々と代わっていく。
そんな温かいアンコールの手拍子の中、再度メンバーが登場。ピアノでしっとりと始まりながらも、優しく包んでくれるかのようなサウンドの上、一緒にいれることの幸せとこれからも一緒にいたいとの願いも込められた「休日」をプレイ。そしてラストは、まさに今日を終え、明日に向かっていくのにピッタリ。背中を押してくれるような優しさが、嬉しい気持ちにさせてくれる「蜜柑」で終了。
まさにホームメイドな手作り感覚が会場中に溢れ、終始アットホームな雰囲気が流れていた、この日のライヴ。花だけではなく、花も葉も枝も幹も含め、樹全体を楽しむ花見の様な、ほっこりとした気持ちにさせてくれたライヴだった。
レポート : 池田スカオ和宏
PHOTO : 加藤晴久、福岡嵐、Asako Natsui
【グッズ】
>>LUCK’A制作物へ
【セットリスト】
1. ラブレター
2. ミミ
3. GOING
4. HOT LEMONADE
5. 3月のM
6. 虹
7. skip
8. 育てよ、私
9. HAPPY BIRTHDAY
10. トンネルヲヌケテ
11. リュック
12. 改札
13. チョコレート
Encoal
en-1. 休日
en-2. 蜜柑
【メンバー】
Vo.:大枝 夏野子(おおえだ かのこ)
Key.:荒木健文(あらき たけふみ)
【プロフィール】
東京・代官山「eau cafe」や大阪・阿波座「martha」のカフェを拠点に活動をしている、Vo:大枝夏野子とKey:荒木健文の2人組。”忙しい毎日だからこそ、椅子に座って、ゆっくりと自分の事を考えながら音楽を聴いてほしい・・・”そんな気持ちで、カフェ・ライブにこだわってきた2人。
最新アルバム「育てよ、私」は、リアルに綴られている歌詞が20〜30代の女性から圧倒的な支持を受けている。
また、ライブハウスである渋谷クラブクアトロを1日だけカフェに変身させてしまうワンマンライブも恒例になって、2007年12月には大阪に初進出。4月10日には「クアトロカフェvol.3」を開催し、大成功を収める。
【商品スペック】
NEW ALBUM
『育てよ、私』
SD-12
¥2,625(Tax in)
[SEIMMY DISK]
M-1. チョコレート
M-2. 3月のM
M-3. 育てよ、私
M-4. 虹
M-5. リュック
M-6. ふとんの中から
M-7. 恋のチカラ
M-8. バス停
M-9. HAPPY BIRTHDAY
M-10.skip
M-11.改札
【Live Information】
6/15(日) emma LOUNGE / 東京・渋谷
「渋谷オーガニック vol.8」
open:18:30〜
w/扇谷一穂、club tea
【アーティスト・ホームページ】
http://www.airdrop.jp