a flood of circle 1st single release ONE MAN「DUO no CARNIVAL」
a flood of circle
1st single release ONE MAN「DUO no CARNIVAL」
@渋谷DUO Music Exchange
2010.7.26
彼ら初となるシングル「Human License」のレコ発ワンマン・ライヴが渋谷のDUOミュージック・エクスチェンジにて7月26日に行われた。DUOとRIOを掛け、「DUO no CARNIVAL」と銘打たれたこの日のライヴ。既に完成したと聞く9月15日発売予定の3rdアルバム『ZOOMANITY』からの曲を一足早く体感出来そうな期待を胸に会場に入った。
この日のオープニング&グローズドDJを務めた片平実が、英米邦のロックナンバーを新旧織り交ぜガシガシに繋ぐ中、彼らの登場を待つ我ラッカ。今回のライヴを狼煙に各夏フェスへの参戦を援護をすべく、この日販売が開始されたニューデザインのフォトTシャツ、マフラータオルに加え、当日入場者全員に配られた告知類も兼ねたウチワ等、今回も新たに色々なグッズを制作させてもらった。
赤いライトがなまめかしく回る中、ダイナミックでどっしりとした彼らのインストナンバー「SESSION」が登場SEとして場内に流れ、サポートギタリストの曽根巧を含むメンバー4人が現れる。佐々木のギターはいつものテレキャスターではなく、意外にもグレッチのブラックファルコンだ。各人がフォーメーションに就くと、そのSEに合わせ各人が音を乗せ、「SESSION」をプレイし始める。そして、10からのカウントダウンと「問題です」との佐々木の言葉の後、1曲目の「Quiz Show」が放たれた。躍動感とダンサブルさが場内に起爆を生み、カウントダウンでは場内が一斉に呼応。曽根のギターもフリーキーに泳ぎ回り、早くもフロア前方は騒乱のダンスパーティ状態に。佐々木の歌う「最後の問題です この世で壊れないものは何でしょう?」の最後の問いの先を考える間もなく、石井のサンバホイッスルと生命力溢れる土着的な渡邊の叩き出すリズム、佐々木の場内への煽りから、シングル曲「Human License」にイン。場内のジャンプ度は更に上昇し、ラテン/アフロ・トライバルビートに、各人の演奏と佐々木のしゃがれたブルース声、そして時折りの石井のサンバ・ホイッスルによる扇動が場内を情熱のサバトへと変貌させる。そのまま「おはようございます。a flood of circleです」と、いつもの佐々木の挨拶に続いては、ニューアルバムからの「Chameleon Baby」を一足早く披露。前のめりな2ビートとグリグリくる石井のベース、性急さと横ノリが合わさった、抜き差しが活かされた新曲の登場に場内は大盛り上がり。渡邊が4つ打ちで繋ぐ中、「エレクトリックストーン」に突入すると、スリリングさに油が注がれ、緊張感と緊迫感の分だけ、サビでの解放感や起爆さが活きる。更にライヴは進みゆく。続いて、昔からお馴染みのイントロが場内に轟き渡り、会場中が驚喜する。続いては「ロシナンテ」だ。ワンマンでの前半登場も珍しい同曲。疾走感とブチ壊し感は以前にも増し、言いようのない光が楽曲を包む。後半での石井のコーラスが楽曲にふくよかさと安堵感を加える。
佐々木によるMC。「勢いで『DUO no CARNIVAL』 とつけたけど、特にサンバのダンサーは出てきません。僕たちがただ一つ演ることはブルースだけ」と改めて自己のアイデンティティを言明。「俺たちもついていくゾ!!」と場内も呼応する。
ここで次の「session」が始まる。ムーディで艶めかしい4ビートの上、佐々木がブルース・マナーたっぷりにギターソロを弾き倒す。
続く「Forest Walker」に入ると、石井のベースも指弾きになり、より雄弁に低音を語り出す。間には渡邊の独壇場ドラミングも交え、各人の持ち味を見せつける場面も。まるでゲリラな落雷や雷鳴のようなナンバー「博士の異常な愛情」に入ると、佐々木の「狂っている」の歌での問いかけに、場内も必死に呼応する。
ここからは、ジャストな8ビートに南部臭のあるギター、メロディアスな歌から一変サビでは16ビートのダンサブルさと展開も多い「夜はけむり」と、この曲を作った頃に住んでいた号室をタイトルに、その頃の日常見えた世界や夢見た世界は、しっかりと今に繋がり、今後どう広がっていくか?曲が進むに連れ、徐々に明るくなっていく会場と、佐々木のシャウトに、その答えが見えた気がした「308」の昔からのナンバー2曲が続けてプレイされる。
そうそう。今回のライヴでは佐々木は、それまでのちょっとストラップを短めに構えたテレキャスターではなく、終始グレッチのブラックファルコンを使用していた。テレキャス特有の乾いたシングルコイル特有の音と違い、妖艶さやウエッティさも加わったそのギター音は、もう一人のギタリストの曽根のフリーキーさを安定して支え、絶妙なマッチ感を生んでいた。
ここでニューアルバム発売告知と、その中から勢いのある曲として「フェルディナン・グリフォン・サーカス」が紹介される。マカロニ・ウェスタン・チックな雰囲気と裏打ちのスカ、そこはかとない歌謡性を有している印象の同曲。それでいてしっかりダイナミズムも交えており、各人のソロパートもしっかりと盛り込み、場内の盛り上がりにいっそうの火をつける。ノンストップでお馴染みの「泥水のメロディー」のイントロが響き渡ると、合わせて、”待ってました!!”と、場内前方の密度も上がり、騒乱度もアップする。渡邊がアッパーな4つ打ちでつなぎ、合わせて会場もクラップで応戦。そんな中、現れた「シーガル」では、サビの部分でのありえないほどの騒乱はハイライトのひとつとも言えた。ノンストップで「Buffalo Dance」にインすると、バッファローの雄たけびと突進が雄々しく土煙を上げフロアに猛突してくる。場内はその突進を受け止めるどころか上手くロデオ。逆にステージへと向き返す。同曲の後は、彼らのメンバー紹介的なナンバー「プシケ」が現れる。「『DUO no CARNIVAL』にお越しの親愛なるみなさんに、俺の大事なメンバーを紹介します」との常套句の後、いつものごとく、熱く、濃く、親愛さを込めて、メンバーの名がそれぞれ告げられる。
ここでチューニングタイム。今までの反動のようにシーンと場内が静まる。その光景はさながら、彼らからの次の一撃を用心深く待っているが如く。ここで佐々木がMC。「自分たちの歌はちっぽけで、自分の身近なところから生まれたものばかり」と自嘲気味に語る。しかし、その小さな世界だからこそ共感する想いがある。彼らは自分を歌い、自分を問い、周りを問う。答えなんて見つからないし、出ないことを知っているくせに…。
再びライブに話を戻そう。ここからはラストに向け、光を感じさせる曲が続く。まずは今まで以上に優しく、包み込むように響いた「月に吠える」。そして、明るめなビートとラストはこれからの明かりを多大に感じる「象のブルース」だ。彼らのルーツやフェイバリットがしっかりと楽曲の間に盛り込まれ、佐々木と曽根のツインギターの掛け合いには、ゾクッとさせられる。佐々木の歌う「君も知っているだろう。だからヤメないのさ」のフレーズに多くの人がうなずいたことだろう。
ここからはアンコール。まずは「バンドを始めた頃からセンターを取りたかった」と石井がうそぶきながら登場。続いて渡邊もステージに呼び込まれ、物販の告知を始める。この日より販売された白ボディ、黒ボディにギターを弾く姿の載ったフォトT。実はこの写真のモデルは佐々木なのだが、そのギター(ギブソンES-335)は曽根から借りたものであったと告発。続けて、佐々木がラッカ制作のウチワ裏面に掲載してあった9/15のアルバム発売、秋~冬の全国ツアーと、そのツアーファイナルが赤坂ブリッツでワンマンで行われる旨を読み上げる。
アンコールは2曲。明るさとこれから、そして力強さを感じるサンライズ的な「プリズム」がサビでの上昇感と多幸感にて会場を包む。そして、<これはハズせない!!>とばかりに曲のイントロが佐々木、曽根のツインギターから放たれる。最初期から大切に何度もプレイされてきた「ブラックバード」だ。この曲が泥臭さや土臭さを落とさず、垢ぬけることなく、しかし確実に最新鋭のブルースとして今場内を支配している。
「下半期、動き出します。良かったら一緒に未来を見に行きましょう」と佐々木。その言葉に、「ブラックバード」中に何度も連呼される「未来」という不確かだったフレーズが、その向こうに眺めの良い景色が広がっていることを確約してくれているように頼もしく響いた。
ダブルアンコールにも応えてくれた彼ら。アルバムの特典用のDVDの収録も兼ね、もう一度、「Human Licence」が鳴らされる。「せっかくのDUOのカーニバルだから、踊ってくれ!!」とは佐々木。最後は場内一体となったブルース・カーニバルにて幕を閉じた。
佐々木はよく自分たちの音楽性を「最新型のブルース」と称する。もちろん、彼らのどこか埃っぽい、乾いた感じやしゃがれ、やさぐれたところは、一般的な認識としてのブルースに充分に当てはまる。しかし、僕はそのサウンドや表層的な部分よりもむしろ、佐々木の歌、歌内容、歌から醸し出される雰囲気こそがブルースだと思う。ブルーズの起源とも言える、自身や自身の周りの身近の出来事を、問い、嘆き、時に笑い飛ばす…。そのアティトュードこそがブルースであると。この日、先行で何曲か放たれた9月15日に発売となるニューアルバム『ZOOMANITY』からの曲からは、わりとその辺りを強く感じた。彼らは今後も、自身の嘆きや問い、そして笑い飛ばしを、最新鋭のサウンドに乗せて放つことだろう。そして、彼らは今後もそれを高々とこう称するにちがいない。「これが最新鋭のブルースだ」と。
Report : 池田スカオ和宏
【SET LIST】
session~
1.Quiz Show
2.Human license
3.Chameleon Baby
4.エレクトリックストーン
5.ロシナンテ
session~
6.Forest Walker
7.博士の異常な愛情
8.夜はけむり
9.308
10.フェルディナン・グリフォン・サーカス
11.泥水のメロディー
12.シーガル
13.Buffalo Dance
14.プシケ
15.月に吠える
16.象のブルース
Encore
En-1.プリズム
En-2.ブラックバード
W-Encore
W-En-1 Human license
【MEMBER】
Vocal & Guitar 佐々木 亮介
Bass 石井 康崇
Drums 渡邊 一丘
That Evening Support Guitar 曽根巧(from talk to me)
【PROFILE】
2006年結成。ライヴ活動を開始。2007年7月、1stミニアルバム『a flood of circle』を発表。当時弱冠20歳とは思えないその音楽観と卓越したライブパフォーマンスに注目が集まり「FUJI ROCK FESTIVAL’07」に出演。
2008年5月、2ndミニアルバム『泥水のメロディー』を、さらに3ヶ月連続でライブ音源をリリース。同年末には「COUNTDOWN JAPAN 08/09」に出演を果たす。
2009年1月、初のワンマンライブを新宿ロフトで開催(ソールドアウト)。3月、インディーズラストシングル「Buffalo Dance / Thunderbolt」発売。同年4月、1stフルアルバム『BUFFALO SOUL』をメジャーよりリリース。全国ツアーを各地で満杯にする。同年7月、代官山UNITでのツアーファイナル自主企画直前にギタリストが失踪。バンドは入魂のパフォーマンスを披露し乗り切る。夏には「FUJI ROCK FESTIVAL’09」「ROCK IN JAPAN FES. 2009」にも出演。大絶賛を受ける。10月、失踪したメンバーの脱退を正式発表し、新たなスタートを切る。11月、メジャー2ndフルアルバム『PARADOX PARADE』発表。
2010年2月~同アルバムを引っ提げ、東名阪のワンマンライヴを含む全国7箇所のツアーを行い、大成功に納める。
2010年7月初のシングル「Human License」を発売。大型夏フェスにも出演。同年9月15日3rdアルバム『ZOOMANITY』リリース。発売後、10月15日~は6箇所を含む全国17箇所にも及ぶツアー『Tour ZOOMANITY~天晴全国百鬼夜行~』を敢行する。
【NEW ITEM】
First Single
「Human License」
VICL-36602
¥1,260(Tax in)
【Speedstar Records】
NOW ON SALE
M-1.Human License
M-2.Quiz Show
M-3.Before the flood four(on 5th, March 2010 at ebisu LIQUIDROOM)
Forest Walker~博士の異常な愛情~Ghost~Paradox~春の嵐~水の泡~プシケ~月に吠える
初回限定盤(CD+DVD)
VIZL-397
¥3,150(Tax in)
通常盤(CD ONLY)
VICL-63657
¥2,800(Tax in)
【Speedstar Records】
2010.9.15 ON SALE
M-1.Open The Gate -session #4-
M-2.百鬼夜行
M-3.フェルディナン・グリフォン・サーカス
M-4.Silent Noise=Avante-gard Punk
M-5.Black Magic Fun Club
M-6.Chameleon Baby
M-7.Human License
M-8.ロストワールド・エレジー
M-9.コインランドリー・ブルース
M-10.最後の晩餐
M-11.(Don’t)Close The Gate -session #5-
【LIVE SCHEDULE】
http://afloodofcircle.com/live.html