Hellosleepwalkers 剥がされたマスクの下には楽し気な笑顔があった
この日の会場は、渋谷クラブクアトロ。Hello Sleepwalkersにとって、初めてとなったワンマンツアー「Hello Sleepwalkers 2014 “TAKE YOUR MASK OFF”」のファイナルでした。
名古屋、大阪と回ってきての今回の同会場。名阪がソールドアウトを記録する中、彼らの単独ライヴとしては最大級のこの会場も、負けず劣らずの超満員を記録!! ニューアルバム『Masked Monkey Awakening』の曲を中心に、しっかりと約2時間。お客さんとの数々の共有場面を生んでいきました。
こちらが今回のツアーグッズたちです。
その中のツアーTシャツ「“TAKE YOUR MASK OFF”ツアーTシャツ」のデザインは、LUCKON GRAPHICSの乗松が担当しました。
「“TAKE YOUR MASK OFF”ツアーのTシャツという事で名前の通り、マスクを脱いだようなビジュアルをデザインしました。『Masked Monkey Awakening』の一曲目、「猿は木から何処へ落ちる」からもイメージを膨らませ、マスクを取っている手が実は“猿”の手になっています」(LUCKON GRAPHICS 乗松)
剥がされたマスクの下には楽し気な笑顔があった
Hello Sleepwalkers
Hello Sleepwalkers 2014 “TAKE YOUR MASK OFF”
2014.5.18.@渋谷CLUB QUATTRO
“ここまで共有性のあるバンドだったっけ…?”
これがこの日、久しぶりに、Hello Sleepwalkersのライヴを観た私の感想だ。
彼らのライヴは過去何度も観てきた。ライヴレポートをしたこともある。もちろん当時から体感性を擁しているバンドではあった。しかしそれは、バンドのプレイだけによるものではなく、ライティング等も手伝った総合演出を経ての体感性のような気がしていた。そしてそれは、私に、”演出や雰囲気込みで楽しむバンド…”、そんなイメージを持たせるに至らせた。しかし、この日見せた彼らのライヴは違っていた。全く小細工の必要がなく、過度な演出も雰囲気作りも不要。”うぉーっ、ライヴって楽しい!!””このエネルギーを受けてみろ!!””うわーっ、スゲえエネルギーが返ってきた。負けてられるか、これでも喰らえ~!!”。なんかそんなパワーの交歓が終始繰り広げられたのだった。
このツアーのセットリストの中心となったのは、今冬にリリースされた2枚目のアルバム『Masked Monkey Awakening』であった。このアルバムは、より聴き手の共有感に委ねる作品であった。従来の小手先での難解さや、ギターが3本あることでの有効性の見い出し方から解放され、自分たちが気持ち良かったり、楽しかったりしたらいいじゃん。そんな出口をやっと見つけられたかのような作品であった。そして、まさにそれを体現してくれたのが、この日の渋谷クアトロでのライヴに他ならない。
大阪、名古屋と初のワンマンライヴツアーを行ってきた彼ら。この東京は、そのツアーファイナルであった。場所は渋谷クラブクアトロ。名古屋、大阪とソールドアウトさせてきた5人だったが、ワンマンライヴとしては過去最大級となる、この会場も前述の二カ所に負けず劣らず超満員を記録していた。
レイヴライクなSEに乗り5人がステージに現われる。オオォ~の大歓声。そしてクラップ。ライヴへの臨戦態勢がバッチリなことを誇示しているかのように、”いつでもぶち込んで来いや!!”的な空気がフロアに漂っている。
そんな期待値たっぷりの満場のフロアを指さし、その火に油を注ぐようにボーカル&ギターのシュンタロウが、「こんばんわ。Hello Sleepwalkersです。行くぜ~!渋谷~!! 一緒に遊ぼうぜ!!!」と煽る。そう、一緒に遊ぶ。まさにその感覚だ。ステージから放たれる音や歌を一方的に受け止めているだけでなく、その受け手も身体全体で反応し、逆にステージにエネルギーをブツけ返す。まさにここからの1時間半は、そんな光景が数多く見られ、それはある種逞しく映った。
1曲目は「Bloody Mary」。シュンタロウと女性ボ―カルでありギターのナルミによるツインボーカル性も光る同曲で、いきなり自分たちの真骨頂を魅せつけてくる。同曲に合わせて早くも会場がバウンスを始め、ギターのタソコも、お得意のシンセ的な音色をライトハンドで表してくる。続いてニューアルバムのトップを飾っていた「猿は木から何処へ落ちる」のイントロに入ると会場は更に驚喜。シュンタロウが「OK! クアトロ!全力でかかって来いよ~!」と煽りの上乗せを始める。同曲ではファットで躍動感のあるマコトのベースがグイグイと楽曲を引っ張っていく。先ほどのダンサブルさとはまた違った躍動感が会場に満ちてくる。そして、サビのストレートな部分が来ると、今度は会場が、”待ってました!俺たちの出番だ!!”とばかりに楽曲に合わせて声を上げる。会場中からの呼応が雄々しい。そう、彼らのニューアルバムで決定的にこれまでと違ったのは、この辺り。初見の人でもパッと聴き、次にこのタイミングが来ると一緒に合わせられるし、歌うことが出来るところだ。そして、それがピタッと決まった時の快感といったら…きっと、フロア中の多くの者がこの瞬間、そんなエクスタシーを味わったに違いない。
間髪置かずライヴは進んでいく。「こんばんはHello Sleepwalkersです。今日は来てくれて本当にありがとうございます」「それはさておき…」と、喋っているのももったいないと言わんばかりに、次に入った曲は、1stアルバムから「五次元少女リア」であった。各人それぞれがファンキーなソロでつなぎ、そこから入った同曲。ユウキのドラミングにもフロアタムが交わり、それが楽曲に土着さと生命力を寄与していく。そのビートに合わせ、これまでのノリが縦から横へと変わっていく。この辺りはマコト、ユウキのリズム隊の面目躍如。会場を横に揺らせたり、縦に弾ませたりと自由自在にフロアのノリを支配していく。同曲ではシュンタロウの哀愁を帯びた歌声も印象深かった。
「まだまだこんなもんじゃねぇだろ!全力で来いよ~」とシュンタロウ。続く「越境」では、ギターをナルミとタソコに任せ、ハンドマイクでジェスチャーを交え彼が歌う。スリリングさを基調にシンフォニックな同期が楽曲のドラマティックさを、なおのこと引き上げていく。
ここのMCはナルミが務める。「全力で最後まで突っ走っていきますけど、みなさんまだまだついてこれますか? みんなで最高の夜を作って行きましょう!!」と告げ、ニューアルバムの手ごたえの話を続けるも、「次の曲は1stアルバムから…(笑)」と、「センチメンタル症候群」に入る。不思議な浮遊感の漂う曲で、ウェットなボーカルと対照的に張って歌う部分の交互性が、この曲のポイント。それらを使い分け、追いかけるように加わるナルミのコーラスも秀逸な楽曲だ。そして、サビの部分で現れるツインボーカルが、これがまたたまらない。加え、ラストに飛び出すはユウキによるツインペダル。これが会場に地響きを起こす。同曲を始め、このゾーンでは1stアルバムの曲が立て続けに鳴らされた。続く「惑星Qのランドマーク」では、変拍子が楽曲に交わり出し、「月面歩行」では、2本のギターによるユニゾン弾きも披露し、ダイナミズムを溢れ出させつつも、どこか神秘性を湛えた曲が会場を覆っていく。
ここでMC。「楽しすぎてどうしよう」とはシュンタロウ。彼のこれまでのステージングや表情やアクションを見る限り、それは偽らざる事実に映った。ここからは、それもあってのことだろう。結成からここまでの道のりが、思い入れと想い出たっぷりに語られた。
「ここまで来れたのが夢みたいです。嬉しいです。ありがとう」と一度締め。「1年前に東京に引っ越してきて、環境も変わり、音楽への向き合い方も変わった。その上京して書いた当時の気持ちを綴った曲です」と、「23」に入る。ミディアムで聴かせるナンバーの登場に、聴き手も同様に楽曲のなか自分を佇ませ、主人公と想いを重ねていく。
この曲を機に、ここからはニューアルバムからの曲が立て続けに鳴らされる。とは言え、続いてもウェットなナンバー「天地創造」。5拍子の同曲。フロントの3人による3声のハーモニーが印象的だ。感情の起伏がドラマ性を生み、シュンタロウ、ナルミの2人のボーカルによる2人格も楽しむことが出来た。
「大阪・名古屋とワンマンツアーをしてきたんだけど、来てくれた人の数が凄かった。”どこにそんなに人が居たの?”って思うぐらい。無事チケットもソールドアウトして、大勢の方に会うことが出来ました。大阪や名古屋でもらった沢山の笑顔やパワーを、今日は音や歌を通して、みなさんに伝えられました。今日、またみなさんから沢山のエネルギーをもらって、また私たちは歌えます。本当にありがとう」とナルミ。
シュンタロウが続ける。「始めた頃は、この個性のある5人でどう実力者たちをぶっ倒してやろうか?ってところから始めたけど、こうやってみんなの顔を見ていると、沢山の人の心を掴むことが出来たのかなと思います。みんなが来てくれるから、自分たちはステージができるし、ありがたいし、素敵だなと。ありがとう。今日はツアーファイナル。ってことはここでぶっ倒れても問題ないってことなんじゃないの!? 俺たち全力で行くけど、みんなも全力で来れますか!? 今までで一番いいライヴにしたいんですけど、どうですか!! 俺らの歴史を塗り替えてみませんか!!!」と飛び込んだ怒涛のラストスパートが凄かった。やってきた「Comic Relief」では、ラップ調の歌い方とダンサブルなナンバーが会場の起爆の導火線の口火を切る。この曲の魅力はやはり大サビ。その場面が来ると会場も、”待ってました!!”と、更にダンスを激しくしていく。そして、ナルミがメインボーカルを務める「砂漠」にインすると勢いが更に走り出す。グイグイ煽るように同曲が会場中を惹きこんでいく。同曲で起こった大合唱が、この日一番のシンガロングを見せ、ステージとフロアで楽曲を作り上げていく。グングン会場が一つになり、とてつもないエネルギーをはらんでいくのが分かる。気持ちいい…。
「次が最後だ。ぶっ倒れて帰れよ!!」とシュンタロウ。ラストは「円盤飛来」。スラップを交えたマコトのベースとラテンポップも交えたユウキのビートに合わせて会場中がバウンスを起こす。ストロボが点滅する中、ギターをぶん回すシュンタロウ。後半はハンドマイクで歌い、ラストはグロウルに感情を込めてシャウト。凄かったとの印象と、やり切ったといった表情を残し、5人は一旦ステージを下りた。
アンコールは1曲。「ミッドナイトにグッドナイト」が放たれた。とその前に、ラッカ制作の今回のツアーTシャツに着替えたナルミから、「予定より汗をかいたんで、思わず着替えて来ちゃったよ(笑)」と、一言が。
ここでは特別にメンバー一人ひとりから、この日の感想が述べられる。「これからも、みんなとバカをやっていけたらなと」とシュンタロウが締め、楽曲に。正真正銘のラストは「ミッドナイトにグッドナイト」だった。おやすみ、そしてありがとうの気持ちが力いっぱいフロアに向けて放たれる。前向き、明日向きの歌が、会場に集まった人々への次に向かう活力となっていった。
エネルギーの交歓と、一緒に気持ちを重ね、想いを重ね、歌や声を重ねることによって、この日のライヴは成立していた。”やっぱりライヴっていいな…”、きっと5人は、そんなことをこの日のステージ上で何度も思ったことだろう。ラスト曲を演り終え、ちょっと名残惜しそうにステージから去って行くキラキラとした各人の表情がそれを物語っていた。
Report 池田スカオ和宏
【SETLIST】
1. Bloody Mary
2. 猿は木から何処へ落ちる
3. 五次元少女リア
4. 越境
5. センチメンタル症候群
6. 惑星Qのランドマーク
7. 月面歩行
8. 23
9. 天地創造
10. Comic Relief
11. 砂漠
12. 午夜の待ち合わせ
13. 円盤飛来
Encore
En-1. ミッドナイトにグッドナイト
【MEMBER】
Vo.&G. シュンタロウ
G.& Vo. ナルミ
G. タソコ
B. マコト
Dr. ユウキ
【PROFILE】
沖縄を拠点に活動している3本のギターを含む5人組ロックバンド。2008年結成。2011年10月、タワーレコード限定でシングル「センチメンタル症候群」を発表。タワーレコード・インディーズチャート1位を獲得。2012年1月、A-Sketchよりデビューアルバム「マジルヨル:ネムラナイワクセイ」を発表。2012年6月、2ndシングル「円盤飛来」発売。以後、各種フェスやイベントに出演。2014年1月、3rdシングル「午夜の待ち合わせ」発売。2014年2月、2ndアルバム『Masked Monkey Awakening』を発売。これを引っ提げての東名阪に於ける初のワンマンライヴツアーを敢行。大成功に収める。
【NEW ITEM】
SECOND ALBUM
『Masked Monkey Awakening』
AZCS-1027
\2,300(Without Tax)
[Aer-born/A-Sketch]
NOW ON SALE
1猿は木から何処へ落ちる
2午夜の待ち合わせ
3 Bloody Mary
4 Comic Relief
5砂漠
6天地創造
7 23
8越境
9 Countdown
10円盤飛来
【ARTIST HOMEPAGE】
http://www.hellosleepwalkers.com