アナログフィッシュ 10周年記念祭り『10×10×10』
アナログフィッシュ
10周年記念祭り『10×10×10』
2009.10.10.(Sat)
@新木場STUDIO COAST
結成10周年を迎えたアナログフィッシュが10月10日に『10×10×10』とタイトルされたライヴを新木場コーストにて行った。10周年の10、この日10月10日の10、そして、療養のため昨年3月よりバンドを離脱していたドラムの斉藤州一郎の復帰の意味も含まれての10の3乗…。そう、この日より、あの鉄壁の3ピースが蘇るのだ。
フロアの中心にステージが組まれ、その上にボーカル&ベースの佐々木用とボーカル&ギターの下岡用のエフェクター、そして斉藤のドラムキットがセッティングされている。そのステージを囲むように鉄柵と、そこを中心にぐるりと360C゜取り囲み、彼らの登場を待つお客さんたち。場内はお祭り&お祝いムードが漂っている。
今回、我LUCK’Aはアナログフィッシュのこの10周年を祝い、特製の物販物を制作。10周年特製Tシャツを始め、携帯ストラップやサコッシュ・バッグ、ニューバージョンのタオルのデザインやグッズの制作を行った。
客電が落ち、場内が暗くなる。映像にイントロデュースされ、3人のメンバーがメインステージに登場。ドラムの斉藤が登場した際には場内の歓声も一際強まっていた。3人が並び、満員の場内に向け、まずは挨拶。そこからフロア中央のステージへと進む。
3人が向かい合いスタンバイはOK。斉藤の力強いカウントにて1曲目の「白黒ック」がスタートした。このメンバーであることを再び確かめ合うように、円を描き向かい合い音を放つ3人。その姿はまるで練習スタジオの光景さながら。<この3人でプレイ出来ることの喜び>に浸っているかのようだ。下岡がメインを取りながらも、ツインボーカルに近い下岡、佐々木によるハーモニー性溢れるボーカルに、ブランクを全く感じさせないタイトで力強い斉藤の暴発ドラムが絡む。”これだよ、これ!これ!!”と、会場中の誰もが思ったにちがいない。
続いては佐々木がメインの「LOW」。サビの3人によるハーモニーが会場に響き渡る。アウトロの暴走性が会場の温度をグッと上げ、会場中をステージに近づける。続く、疾走性と暴発性の目まぐるしさもたまらない、会場中でのこぶしの呼応も誘った「確信なんかなくてもいいよ」では、難しいシフト・チェンジのタイミングもバッチリ。ブランクの間でも、心のつながりがしっかりあったことを立証する。続くストレートな「スピード」では、ひときわコブシも上がり、フラッシュライト&ミラーボールも楽曲を盛りたてる。
激しいドラミングですっ飛んだメガネを曲間で拾いに行く斉藤(笑)。「気持ちが良いから、次の曲では写メを撮っても良い」との、寛大な奨励が下岡から発せられ、続いて「Do You Still Need BGM?」の会場への問いかけが。会場中から「No Thank You!」の力強いアンサーが返る。続くは「BGM」だ。ポリティカルさとノンポリの正反対の気質の同居に彼ららしさを感じる。そして、センターステージでのラストは、「この曲を演るのを心待ちにしていた」と下岡が語り始まった「出かけた」。アルバムよりダイナミックでどっしり、しかしマイペースな倦怠感と、時折りのガツンとしたあの感じが、この3人で蘇る。
同曲を終えると、ようやくお客さんの方を向き、挨拶する3人。「またあとで」の言葉を残し、一旦ステージを後にする。
その直後、斉藤からのお客さんへのメッセージがスクリーンに映し出され、会場中から、それに対する拍手が送られる。
アナログフィッシュの気に入ったバンドとの共演も見どころであった、この日。まずは、「10年後も必ず聴き続け、輝き続けているバンド」と、下岡のお墨付きでステージに現れたSorrys!!がプレイを始める。ドラム、ギター&ボーカル、ベースが横一列に並び、ガレージ・リバイバル性のある、ノイジ―でアグレッシヴ、時にシンセも交えた3ピース・バンドだ。
そして、藤子不二雄の「まんが道」のオマージュ感たっぷりな、アナログフィッシュの立身出世マンガ「さかな道」の映像を挟み、「上京して間もなく、5人のお客さんの中、前身バンドと対バン。ライヴ後に彼らがまだ当時高校生だったことを知り、愕然とした」との佐々木からのイントロデュースにより登場したSister Jetがプレイを始める。ダンサブルさに適度なヤンチャ性、甘さと時折りのアグレシヴさが魅力のステージは、この日初見のお客さんにも充分にアピールしていた。
続いて、「さかな道」の後編の映像が流れ、そのエンディングを見ながら、”やっぱりこの3人でなくちゃ…”と思いながら余韻に浸るも、そのエンディングと共に、アナログの3人とサポート・キーボードの木村ひさしがメインステージに現れる。ステージ上にて円陣を組み、気合いを入れ、通常ライヴのフォーメーションに立つ4人。「二度とない今日、戻らない昨日」の下岡のサンプリング・ボイスによるリフレインの中、そのまま新曲「NOW」に突入。力強いインスト主体の曲に、先の下岡のフレーズが呪術的に絡み、神々しさと感動性を生む。そして、会場を温めるが如く長いイントロの後「Hello」が始まり、会場中がテーマの「Hello」に呼応する。「こんな素敵な夜は手を叩いて踊ろうぜ」との佐々木からの要請に、会場中にクラップハンドを沸き起した続く「Clap Your Hands!」では、佐々木の歌声に鉄壁の3人のコーラスが絡む。
ここでMCが。「今日はたっぷり演るんで、楽しんで下さい」との下岡の言葉の後、メンバー紹介が。ここでも斉藤の名前が告げられた際には、”おかえり”的に一際大きな拍手が起こる。続いて、豊かなハーモニーワークが冴える「ガールフレンド」、深海をたゆたうような雰囲気から一気に浮上、地上を走りぬけている開放感も格別な「平行」。街並を映した映像に乗せ、下岡が歌う「TOWN」では、しっとりと始まりながらも、サビでの上昇感と多福感、間に加わる暴発感に、その都度会場全体が浸る。「すげえいい『TOWN』でした」とは下岡の演り終わった際の弁だ。
この日に備えながらも、新曲作りにも余念がなかったと噂聞いていたが、この日はそれらの幾つかも披露。続く「Light Bright」もその中の一つだ。ラストに向け、まるで暗闇を駆け抜けていくかのように徐々に光に包まれ、最後にはとてつもない光に満ちた明るい世界へと誘ってくれるナンバーであった。
ここでMC。この日の模様が後日DVD作品として発表されることが告げられる。
後半戦は佐々木の「踊ろうぜ!!」の誘呼の後、ミラーボールも回り、ダンサブルなナンバー「ダンスホール」から始まった。佐々木、下岡のボーカル・リレーションも冴え、会場中がダンスホールに一変する。勢いのある曲は続く、9曲目は「アンセム」だ。迷いながら行くその末にたどり着いた光を感じさせる同曲。ステージとフロアとのコール&レスポンスが会場を包む。続いての「Sayonara 90’s」では、会場中にLOVEの雰囲気が満ちる。作品同様、90’sのオマージュ感たっぷりのフレーズも飛び交い、ラストまで「LOVE」の一体感が会場いっぱいに広がる。”この瞬間がずっと続けば良いのに…”。来ていた人の多くがそう思ったことだろう。そして、その雰囲気を引き裂くようなアウトロでの怒涛性は、いかにもひねくれ者の彼ららしい(笑)。
「何も思いつくことがない 楽しい」と下岡。
「10周年。長いようであっと言う間。もう10周年か!?って感じ」とは佐々木。
そして、本編のラストは「ハローグッバイ」。まるでこの日のために作られたかのように響いた同新曲。ポップさと甘酸っぱさを有し、徐々に景色が開けていくような曲展開に、今後のアナログのつけていくべき足跡が見えた。
ここからはアンコール。「初心忘れるべからずで、この曲を演ります」との下岡のMCの後に飛び出したのは、彼らのインディーズ時代からの代表的なナンバー「夕暮れ」。「夕暮れです」の美しい3声によるコーラスから、彼ら本来の変態性に突入。変態性と美しさの同居に、この10年の彼らの変わらなさを感じる。
「ここに居る人たちが僕たちのこの10年の誇りです。ありがとう」との下岡のMCの後、正真正銘のラスト「Life Goes On」が始まる。「遠回りじゃないよ 真っ直ぐな道を蛇行しているだけ 楽しいことをしよう また悲しい出来事に出会ってしまうとしても」。まさに彼らのこの10年はこの歌詞の通りではないか!!と思った。
彼らはこれからもあらゆることを通り過ぎていく。そして、それを糧に歌を作る。しかし、拭っても拭えない、その美しさと、それを突如に打ち壊す暴発性、そしてそこはかとない匂いや変態性はいつまでも消えることはないだろう。この日のライヴを最後まで見終わり、そう心に強く思った。
Live Report :池田スカオ和宏
【グッズ】
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【SET LIST】
centre stage(16:00〜)
1.白黒ック
2.LOW
3.確信なんかなくてもいいよ
4.スピード
5.BGM
6.出かけた
Far-end-stage(18:30〜)
1.NOW
2.Hello
3.Clap Your Hands!
4.ガールフレンド
5.平行
6.TOWN
7.Light Bright
8.ダンスホール
9.アンセム
10.Sayonara 90’s
11.ハローグッバイ
Encore
En-1.夕暮れ
En-2.Life Goes On
【MEMBER】
Vo.&B. 佐々木 健太郎
Vo.&G. 下岡 晃
Dr. 斉藤州一郎
【SUPPORT MEMBER】
Key. 木村ひさし
【PROFILE】
1999年、中学の同級生であった佐々木、下岡がデモテープ創りを開始。アナログフィッシュを名乗り始める。
2001年、都内でライブを開始。
2002年、斉藤合流。佐々木、下岡の二人のメインボーカルに斉藤のコーラスが加わる現在の重声大音量の形態に。
2003年6月、インディーズより1stアルバム『世界は幻』発売。7月ライヴサーキットツアーを敢行。
2004年6月、『世界は幻』『日曜日の夜みたいだ』を完全コンパイル+リマスタリングしたリイシューアルバム『アナログフィッシュ』をエピックレコードよりリリース。アルバム・レコ発イベント、FUJI ROCK FESTIVALをはじめ、各地のイベントに出演。9月、メジャー移籍後初音源『Hello Hello Hello』をリ リース。その後、全国ツアーを敢行。
2007年までにコンスタントな全国ツアーや各フェスへの出演、4枚のアルバム、4枚のシングル、2枚のミニアルバムを発売。
2008年3月、ドラム斉藤州一郎が病気療養のため脱退。佐々木、下岡の2人体制で新アナログフィッシュスタート。7月、総勢7人のゲストドラマーを迎えアルバム「Fish My Life」をリリース。11月”Fish Your Vibe! TOUR”を敢行。
2009年4月、サポートドラムに菱谷昌弘、キーボードに木村ひさしを加え、4人体制でのニューアルバムの制作に取り掛かる。8月、オリジナルドラマー斉藤州一郎の復帰を電撃発表。10月、10周年記念祭り”10×10×10″を新木場スタジオコーストにて開催。 この日より斉藤がドラムに復帰。再び3ピースバンドとなる。
【LIVE SCHEDULE】
11/15(Sun) shimokita round up2
「Pre tour 2009」
11/23(Mon・祝) 仙台PARK SQUARE
11/26(Thu)福岡DRUM SON
11/28(Sat)心斎橋CLUB QUATTRO
11/29(Sun)名古屋CLUB QUATTRO
12/5(Sat)渋谷CLUB QUATTRO
12/13(Sun) Zepp Sendai
「ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2009 〜酔杯リターンズ〜」
w / ASIAN KUNG-FU GENERATION
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