cinema staff 『Tour AMK trip』
2009/9/5 (sat)
cinema staff
『Tour AMK trip』
@ 渋谷O-nest
w/perfect piano lesson, susquatch
今年6月に発表された2ndミニアルバム『Symmetoronica』と共に、「Tour AMK trip」と銘打ち、全国14箇所を回ったcinema staff。今回初めて回った土地も含め、どの箇所でも非常に確かな反響があったと伝え聞く。
そんな同ツアーのセミファイナルが、Perfect piano lesson、susquatchといった朋友的な先輩バンドを迎え、ここ渋谷O-nestにて行われた。もちろんこの日は超満員。開演時間ちょっと前ながら、既にライヴハウスの入口まで人が溢れていた。
cinema staffと我がLUCK’Aの付き合いはと言うと、彼らのTーシャツやタオル、バッヂ&シールセットのデザインから制作まで請け負っている仲。彼らが音で表わしている世界観を、ビジョン的に表わすことを心がけ、一緒にタッグを組んできた。当然、この日も一行でお邪魔。人の波をかき分け、2番手のsusquatchのプレイが終わる頃に、ようやくステージの前方までたどり着けた。
SEに乗り4人が現れ、そのSEを彼らの放つノイズの壁が切り裂き、「cinema staff演奏を開始します」との宣言の後、ライヴはスタート。一発目はニューアルバムの1曲目を飾っていた「チェンジアップ」だ。メローさとダイナミズムの交互性がたまらない同曲。1曲目からギターの辻は、なりふりかまわず暴れ、ベースの三島も長い髪を振り乱しながら激しいプレイで応戦する。ギター&ボーカルの飯田による存在感とキチンと伝える歌も伸びやかに響き渡る。そして、三島による「よろしく」の一言を待ち、そのまま2曲目の「AMKHOLLIC」に突入。ポップさと激しさのコントラストが魅力の曲だ。メローな歌い上げから一変。アヴァンギャルドに突入するところは毎度ゾクッとさせられ、会場中もそれと同様のように歌に合わせ無数のコブシが上がる。いやー、サビの部分のストレートになるところの気持ち良いこと、気持ち良いこと。
ゆっくりと波紋が広がっていくようなニューアルバム3曲目に収まっていた「妄想回路」が始まると、ジワジワしつつも、突如現れる三島のデスボイスが会場をカオスの渦に引き込む。間にはミラーボールも回り出し、幻想さを醸し出す。ラストに向かうに連れ、情景感を増していく辻のギターも聴きどころであった。
「どうも名古屋のcinema staffです。新曲演ります」の三島による簡単なMCの後、ポップ性とドラムの久野の生み出す変拍子、「計画を狂わせて欲しい」とのリフレインも印象的な新曲「君になりたい」をプレイ。ハーモ二―性やそこはかとない歌謡性も良い感じの曲だ。その新曲のラストに醸し出していた抒情性や哀愁性をいきなり掻き破るかのように、ガツンとした音塊が飛び込んでくる。5曲目はこれもニューアルバムからのナンバー「Boys will be scrap」だ。久野は間にロールや三拍子を含み、楽曲に膨らみやアクセントをもたらせる。
ギターによるイントロが会場を一層盛り上げる。6曲目は「第12感」だ。性急性とロマンティシズムのコントラストもたまらない同曲。ここでテンポやリズムをつかさどるのは、三島のベースと久野のドラムだ。ボーカルの飯田の歌声と共に色々な場面へと誘う。ここでいっそう辻のギタープレイやパフォーマンスも激しくなっていく。視覚的にも、聴覚的にもまったく目まぐるしいバンドだ(笑)。
ここで三島によるMCが。この日、来てくれたお客さんや共演バンドに感謝の意や物販物の告知(素晴らしい!!)、11月15日に東京は代官山UNITにて行う自主企画のアナウンスがされる。
再びカッコいいイントロが彼らの世界へと引き戻す。前のめりで疾走感のあるサウンドが、フロアを波打たたせる。7曲目は、これもニューアルバムからのナンバー「シンメトリズム」だ。哀愁性のあるボーカルが会場中に響き渡り、辻もギターをかき鳴らしながら激しく動き回る。続いては、緊迫感のあるストロボ・フラッシュの中、放たれた「優しくしないで」。久野によるアグレッシヴなドラムが響き渡り、激しいイントロが席巻。フロアも全身で呼応する。カタストロフィーな面とダンサブルな面、そしてドロッとした面が互いにぶつかり合うことなく、スムーズに聴く者をそれぞれの世界へと引き込む。三島の放つデスボイスと飯田の透明感のあるボーカルのコントラストも面白い。
そして、本編ラストは、適度な上昇感や明るさ、ポップさや伸びやかさによる解放感もたまらない「KARAKURI In the skywalkers」。スカッとした爽快さを持ちながらも、ラストはそれらを全てプチ壊すかのごとく現れる暴れ師パフォーマンスには違った意味での爽快感やカタルシスを得る。辻はPAに乗ってプレイを始めるわ、三島はロング・ヘアを振り乱し、デスボイスを連発するわで、”どこをどう見て良いんだ?”状態に(笑)。とりあえずは満足そうにメンバーは一度ステージを降りる。
ここからはアンコール。まずは三島による、今回のツアーでのご当地グルメ順位の発表が。ちなみに3位は北海道海鮮丼、2位は福岡博多ラーメン、1位は香川県のさぬきうどんとの報告があり、ジャンクフードやコンビニ飯の報告じゃなかったところでも、このツアーのもう一つの充実度が伺える(笑)。そして、アンコールのサビの部分の広がりと緩やかな上昇感も印象的な「AIMAI VISION」が始まると嬌声が沸き起こる。辻と飯田による2本のギターが紡ぎ出す解放感と広がりを生み、それらに乗って飯田の歌も伸びやかに広がっていく。それにしても、この音の壁の中でも、しっかりと存在感たっぷりに通る声だ。
続いてダブル・アンコール。三島がつながりについてをMCする。また新たなる旅立ちの宣言の後は、激しさをフロアに叩きつけるように「GATE」のイントロに入る。三拍子と激しさ、高揚感と哀愁性が同居したナンバーの登場に会場も大興奮。途中ノンマイクによる会場中の大合唱には、この日最大のクライマックスであった。フィードバック音を残し、汗だく&満足そうな表情でステージを後にする4人。そして、会場に残ったのは、毎度のことながら”何だか凄いものを観ちゃった…”という感覚だけ。
ライヴが終わり、飯田にこの日の感想を聞いたところ、「非常に良いライヴだったけど、これに浮かれず、これからも一歩一歩確実にまい進していきたいです」と力強くも逞しい応えが。そう、これからの彼らはきっと本人の予想を超えたスピードで物事を成立させていくことだろう。しかし、彼らならではの確固たる音楽性や目指している場所がある限り、絶対にそれらに飲まれたり、浮足立ったりすることはないにちがいない。帰路の際、この日のライヴを思い返しながら、そんなことを思った。
Report : 池田スカオ和宏 Photo : 加藤晴久
【グッズ】
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【SET LIST】
M-1.チェンジアップ
M-2.AMKHOLLIC
M-3.妄想回路
M-4.君になりたい
M-5.Boys will be scrap
M-6.第12感
M-7.シンメトリズム
M-8.優しくしないで
M-9.KARAKURI In the skywalkers
Encore.AIMAI VISION
Double Encore.GATE
【MEMBER】
GUITAR : 辻友貴
GUITAR&VOCAL : 飯田瑞規
BASS : 三島想平
DRUMS : 久野洋平
【PROFILE】
2003年、辻、飯田、三島により前身バンド結成。2006年7月久野が加入し、現在のラインナップとなる。愛知/岐阜のライブハウスを中心に活動を開始し、リリース以前より「SAKAESPRING 2008」に出演するなど、名古屋を中心に各メディアから注目を受ける。その後もライヴを中心の活動を行いつつ、4枚のデモCD、2枚のライヴCDを発表。
2008年11月には1st mini ALBUM『document』発表。大きな反響を受ける。2009年6月、2nd mini ALBUM(CD+DVD)『Symmetoronica』を発表。それを受け、全国14箇所にて行われたレコ発ツアー「Tour AMK trip」は、幾つかのソールドアウトした箇所も含み、全個所大盛況の上、終了。
オルタナティブ、エモ、ポストロックに影響を受けたセンス溢れるポップなメロディと、それとは対照的な直情的で衝動性の強い攻撃性を持ち合わせたギターロックの新世代アーティスト。
【NEW ITEM】
2nd mini ALBUM(CD+DVD)
『Symmetoronica』
ZNR-068
\2,100(Tax in)
NOW ON SALE
<残響record>
CD
1.チェンジアップ
2.Boys Will Be Scrap
3.妄想回路
4.シンメトリズム
5.第12感
DVD – 09’3/21 渋谷O-nest –
1.AMK HOLLIC
2.チェンジアップ
3.第12感
4.部室にて
5.優しくしないで
6.KARAKURI in the skywalkers
【LIVE SCHEDULE】
10/15(thu)
at 渋谷CLUB QUATTRO
[スペースシャワー列伝 ~第七十八巻 Ne(ネオン)の宴~]
w/avengers in sci-fi, BIGMAMA, The Mirraz
10/16(fri)
at 今池HUCK FINN
[Joe Lally JAPAN TOUR 2009]
w/Joe Lally (Italy), the act we act, and more!
11/1(sun)
[MINAMI WHEEL 2009]
11/8(sun)
at 渋谷O-EAST
[音速ラインpresents”ビール☆ナイト2009″]
w/音速ライン, TRICERATOPS
11/15(sun)
at 代官山UNIT
[cinema staff presents “two strike to(2) night vol.5”]
w/後日発表
12/26(sat)
at 横浜F.A.D
[爆裂FxAxD ~THE REAL THINGS年末スペシャル!!~]
w/a flood of circle
【ARTIST HOMEPAGE】
http://www011.upp.so-net.ne.jp/cinemastaff/top.htm