a flood of circle「“AFOC THE MIX”דGetting Roll” W Release Party Tour」
a flood of circle
「“AFOC THE MIX”דGetting Roll” W Release Party Tour」
@渋谷CLUB QUATTRO
2011.7.13(wed)
「やっぱ、ロッカーは止まってらんないっすから」。
これは今回の「“AFOC THE MIX”דGetting Roll” W Release Party Tour」ファイナルの渋谷クアトロでのライヴ終了後の楽屋にて、afocのボーカル&ギターの佐々木が私にくれた言葉だ。前後は脈絡もない会話だったので省くが、この言葉は、今回の彼らのミックスCDの内容、翻弄される運命に抗いながら、躊躇する余儀なく進んできたこと、そして、これからもノンストップで転がり続けていく決意のようにもうかがえた。
結成からこの5年。彼らはもがくように、抗うように、カルマを振り払い、その悲観の運命から逃げ切るかの如く、信じた未来へと手を伸ばしながら、ノンストップでここまで走り続けてきた。そして、この日のライブは、この5年を総括するように、新曲以外、誕生時とはメンバーを違えながらも、現行の彼らならではの<最新のブルースロック>を展開。逞しく転がり続ける今のafocを、しっかりと我々に誇示してくれた。
a flood of circleのこの5年間の軌跡をMIX CD化した『AFOC THE MIX』の発売と、そのMixを手掛けたDJ片平実によるMIX CD『Getting Roll』のダブル発売記念リリース・パーティーであった、今回のツアー。各地、DJ片平とゲスト1バンドと共に展開され、この7月13日の渋谷クアトロでファイナルを迎えた。この日のゲストはDOES。この組み合わせは、両ボーカルの顔が似ているだけでなく(笑)、ストイックなロックンロールを展開する等、近似点も多い。
今回、AFOCの大文字表記による新しいバンドロゴの登場に伴い、多数のオフィシャルグッズを製作させてもらうことになった我がラッカ。そのMD(マーチャンダイザー)であるkAtoは、単純なモノ創りでは終わらせず、アイテムの統一感、バンドロゴの存在感を活かしたあらゆる加工を施したアイテムを世に送り出した。そんな彼らの今回の物販売り場は、まさに黒一色! 現在のafocの雰囲気が上手く醸し出されたものとなっていた。
DOESのライヴが終わり、その熱気を更に引き上げるように、片平のDJが日本語ロックのアンセムたちをガシガシにノンストップで繋いていく。曲がチェンジする度に驚喜&歓喜を上げるフロア。20時30分を回った辺り、その片平がマイクを片手に、「最高にかっこいいロックンロールバンドを紹介していいですか?」とフロアを煽る。一際、驚喜と歓喜が上がる会場に、「a flood of circleの登場です!!」とのイントロデュースが放たれ、会場にSEが轟く。ベースのHISAYO、ドラムの渡邊、サポートギターの曽根が順にステージに現れ、少し遅れて佐々木が登場。愛器のブラックファルコンを高々と掲げ、”行くゾ!!”と臨戦ポーズをとる。ブルージーでダルな雰囲気を持つ、「Hide & Seek Blues」のイントロが会場に溢れると、乾いた赤茶けた風景が眼前に広がる。佐々木のしゃがれたブルース声がフロアを震わせ、中盤からのテンポアップが早くも客席に火を点ける。ブルージーとハードさを織り交ぜ、会場を揺らせ、ノらせる同曲。その相互性を交互に楽しめ、会場も嬉しそうに振り回される。そして、同曲のラストに残されたブルージーな余韻を引き剥がすように、聴き覚えのあるフレーズが会場に轟き、フロアも喜悦。続いては、前回のワンマンではおあずけをくった「泥水のメロディー」だ。「渋谷、ついて来いよ!!」と佐々木。いきなりシフトをトップに引き上げ、それまでクールに弾いていたHISAYOもアクションを交えプレイ。曽根もワイルドでダイナミックなフレーズを連射する。サビにくると、渡邊も裏打ちのリズムを叩き、タイトさと軽快さの融合を味合わせる。そして、その渡邊がバスドラとハイハットで繋ぐ中、「a flood of circleです、ようこそ」と佐々木。黄金のギターイントロ曲は続く。続いての「シーガル」では、シフトがもう一段引き上がり、フロアの熱狂度も更に上がる。曽根もHISAYOも薄くコーラスを加え、佐々木のブルース声にマイルドさと包容力を加える。曽根がエロティックで艶めかしいギターフレーズを会場に向けると、早くもフロアからはクラウドサーフが起こる。ノンストップで更に興奮度を上げる彼ら。9月に発売される1コインシングル収録の「Blood Red Shoes」では、HISAYOの歪んだベースがグイグイと会場を引っ張る。モーターサイクルナンバーの出現に、会場もライドオン。曽根もアンプの調子の悪さをものともせずにソロを弾き押す。この曲での見どころは、ブレイク前のブリブリのHISAYOのベースと、佐々木、曽根によるツインリード、そこに渡邊のドラムがダイナミクスを加えるところだろう。2マン=長丁場。とは言え、当の本人たちは、まるで”そんなこと関係ねぇ!”とばかりに生き急ぎ、ラストの怒涛感が会場をグイグイと惹き込む。
ここでMC。「東京、調子どう? 飲んだくれ仲間の片平さんとのリリースパーティだけど、ステージで皮ジャンを着ているヤツが他人のパーティお祝いするなんて柄じゃない。取りあえず、俺たちは俺たちのブルースロックを歌って帰るんで、今日はよろしく」と佐々木。
ライブに戻ると、2本のギターのシンクロ性を活かしたイントロから、これまた過去の代表ナンバー「ブラックバード」にイン。気づいたら、先ほどまで黒のシャツを着ていた渡邊は、早くも上半身裸だ。”あれっ、聴き進んでいるうちに、いつの間にか「博士の異常な愛情」に変わってるゾ”。同曲のソロ部では、佐々木もモニターに片足をかけ、誇らしげにギターを掲げながら弾く。しばらく曲が進むも、気づくといつの間にか、「ブラックバード」に戻ってる。同曲サビの「未来」の連呼には、会場も合わせて大合唱だ。
ドラムソロでつなぎ、その後、「Sweet Home Battle Field」に入ると、珍しく佐々木がギターを弾かず、タンバリンを刻む。「渋谷楽しんでるか?」の一言と、その後の会場を渾然とバトルフィールドへと惹き込むさまがたまらない。フロアタムを活かした渡邊のドラミングが、会場にブレイブ感と躍動感を与える。このまま沸点を更に上げるように、「Chameleon Baby」に突入するも、佐々木は引き続き立ちボーカルでマイクスタンドを相棒に歌う。2ビートの性急さとサビのダンサブルでポップな展開にフロアも楽しそう。間ではHISAYOも跳ねながらベースを弾き、しゃがれ声をシャウトさせ、ステージ際で佐々木も歌う。そこに向けフロアから無数の手が伸びる。
ここでMC。佐々木がこの日のゲストバンドDOESへの出演の感謝と、そのボーカルのワタルと自身の顔が似ていることに言及。続いて、その佐々木から、これまでクールビューティ然としたプレイで艶やかさを保っていたHISAYOがステージ上で、お酒にまつわるあれやこれやを突っ込まれ、いじられる。”へーっ、そんな一面もあるんだ…”と、やや嬉しい(笑)。
話をライヴに戻そう(笑)。佐々木も再びギターを持ちながら、今回は打ち上げを全箇所やりきったことを報告。続けて「もうすぐライヴは終わるんで、全部置いていこうと思うけど、受け取ってくれますか! ついてこれますか?渋谷! 行くゾ!!」と後半戦の火ぶたを切る。現れた「Human License」の前のめりでラテンのりのビートが会場にカーニバルを生んでいく。HISAYOもステップを踏み、弾みながらも安定した低音を供給。ギターソロでは曽根もステージの際まで寄り、弾き倒す。かつては過去メンバーによるサンバホイッスルが呼び起こしていた狂乱も、今やそれがなくてもシッカリと狂騒を成立させている。フロアから土煙が上がってくるかのようなナンバーは続く。次の「Buffalo Dance」に突入すると、フロア全体がステージに向かってまっしぐらに突進してくる。サビの4つ打ち16ビートでは会場もダンス全開。フロア前方の密度もグッと上がる。曽根と佐々木によるギターバトルのようなリレーションと、その後の雄たけびが場内の興奮度を上げていく。同曲のアウトロからフロントの3人がドラムを中心に向き合い、ドラマー渡邊のカウントから「プシケ」にイン。掛け声と共に再度3人が己のフォーメーションに散るさまは鳥肌。フロントの3人が最前に踊り出し、HISAYOもベースで場内を煽る。うーん、決まってるぅ!!当然、同曲の間には、恒例のメンバー紹介も。
ここで佐々木がMC。「僕とあなたはつながっており、ロックンロールにはそのマジックがある。その思いを最後に託したい」と告げ、「ノック」を始める。彼らの中では珍しく優しげなアルペジオで始まる同曲。ゆっくりと確実に光が広がり、会場がそれに包まれていく。同曲に乗せ、私を含む多くの人がその最後に託された答えを探り、それを手繰り寄せれた気分に浸る。最後にノンマイクで佐々木が「ありがとう!!」とシャウト。彼らはステージを降りる。
ここからはアンコール。今回のグッズを身につけ、メンバーが登場する。渡邊はキャップをしっかりとかぶり、白のTシャツを。また、曽根は黒のTシャツ、佐々木はバスタオルを肩にかけている。「相変わらず、宣伝しちゃって悪いんだけど…」と、苦笑いをしながら佐々木がしっかりと物販の宣伝を(笑)。そう、この日のステージで彼らが言ったとおり、物販での利益は、次の地への宿代やガソリン代、高速代にしっかりと補てんされているのだ。
そして、「下半期は、新しい曲をババーンと出す」と9月にメジャーとインディーズで500円シングルを2枚同時に出すことを報告。「一番新しい俺たちの大好きなロックンロールが入っている作品」と繋げ、「俺たちはロックンロールバンドなんで、最後は全部をエレクトリックに染めて帰る」と「エレクトリックストーン」を始める。刹那感溢れる曲に、会場も、”このまま、この時よ終わらないでくれ”と願う。同曲ではHISAYOもファンキーなフレーズを披露。曽根の金属色をしたブルースフレーズが会場を切り裂く。そして、正真正銘のラストは、これも彼らの初期からの代表ナンバー「ロシナンテ」。同曲では会場全体が全身で呼応。ステージもフロアも渾然一体だ。ラストのサビでは会場中も大合唱。微かな光が歌われていたはずの同曲が、今、このメンバーたちとこの場所に於いて、確かな光にしっかり包まれていく瞬間を見た。
ライヴ中に、何度も垣間見れた、「俺たちはもう止まらない」の意気込みや、「後半戦は突っ走っていく」との力強い宣言。そして、冒頭での楽屋にて僕に告げた言葉等を振り返ってみるに、今回のミックスCDという手法は、実に彼らにピッタリな表現だったと思う。選曲や繋ぎ等、客観性に任せ、委ね、マテリアルに徹しながらも、完全にafocの作品として成立せしめていた『AFOC THE MIX』。彼らの勢いや、止まらずに次から次へと巻き込んで行くトルネード力、色々なタイプを擁しながらも、どの曲からもそこはかとなくきっちり漂う、ブルーズフィール。それらが、これでもか、これでもかと聴き進める毎に表れていた同作品と、終始ダブって映った、この日のライヴ。かつての曲もしっかりと現行の彼らのスタイルにて表現し、今後の次から次へとを期待させる一夜であった。
Report : 池田スカオ和宏
【SET LIST】
M-1.Hide & Seek Blues
M-2.泥水のメロディー
M-3.シーガル
M-4.Blood Red Shoes
M-5.ブラックバード
M-6.博士の異常な愛情~ブラックバード
M-7.Sweet Home Battle Field
M-8.Chameleon Baby
M-9.Human License
M-10.Buffalo Dance
M-11.プシケ
M-12.ノック
Encore
EN-1.エレクトリックストーン
EN-2.ロシナンテ
【MEMBER】
Vocal & Guitar 佐々木 亮介
Bass HISAYO
Drums 渡邊 一丘
That Evening Support Guitar 曽根巧(from talk to me)
【PROFILE】
2006年結成。ライヴ活動を開始。2007年7月、1stミニアルバム『a flood of circle』を発表。当時弱冠20歳とは思えないその音楽観と卓越したライブパフォーマンスに注目が集まり「FUJI ROCK FESTIVAL’07」に出演。
2008年5月、2ndミニアルバム『泥水のメロディー』を、さらに3ヶ月連続でライブ音源をリリース。同年末には「COUNTDOWN JAPAN 08/09」に出演を果たす。
2009年1月、初のワンマンライブを新宿ロフトで開催(ソールドアウト)。3月、インディーズラストシングル「Buffalo Dance / Thunderbolt」発売。同年4月、1stフルアルバム『BUFFALO SOUL』をメジャーよりリリース。全国ツアーを各地で満杯にする。同年7月、代官山UNITでのツアーファイナル自主企画直前にギタリストが失踪。バンドは入魂のパフォーマンスを披露し乗り切る。夏には「FUJI ROCK FESTIVAL’09」「ROCK IN JAPAN FES. 2009」にも出演。大絶賛を受ける。10月、失踪したメンバーの脱退を正式発表し、新たなスタートを切る。11月、メジャー2ndフルアルバム『PARADOX PARADE』発表。
2010年2月~同アルバムを引っ提げ、東名阪のワンマンライヴを含む全国7箇所のツアーを行い、大成功に納める。
2010年7月初のシングル「Human License」を発売。大型夏フェスにも出演。同年9月15日3rdアルバム『ZOOMANITY』リリース。発売後、10月15日~は6箇所のワンマンを含む全国17箇所にも及ぶツアー『Tour ZOOMANITY~天晴全国百鬼夜行~』を敢行。全箇所大成功を収める。
12月14日のライブをもって、ベースが石井康崇からHISAYOに交代。
2011年1月26日、デジタルシングル「Miss X DAY」配信。2月9日、TOWER RECORDS限定3rdライヴシングル「Miss X DAY ~Before the flood six」発売。6月22日には、5周年記念ミックスCD『AFOC THE MIX』をリリース。発売記念ツアーを大成功に収める。
【NEW ITEM】
5th anniversary memorial mix cd
『AFOC THE MIX』
VICL-63749
5th anniv.price:\1,555(tax in)
mix by 片平実
1. ブラックバード
2. 博士の異常な愛情
3. 泥水のメロディー
4. シーガル
5. Miss X DAY
6. Ghost
7. ロシナンテ
8. エレクトリック ストーン
9. Buffalo Dance
10. Quiz Show
11. Human License
12. Sweet Home Battle Field
13. Chameleon Baby
14. Blood Red Shoes
15. Hide & Seek Blues
16. 水の泡
17. ノック
New Single
「I LOVE YOU」
※他収録曲未定
¥500(tax in)
2011.9.21 ON SALE
【Victor Speedstar】
New Single
「Blood Red Shoes」
※他収録曲未定
¥500(tax in)
【CRUX】
2011.6.22 ON SALE
【LIVE SCHEDULE】
http://afloodofcircle.com/live.html