SISTER JET「DECEMBER’S JETBOY TOUR(AND EVERYBODY’S)」
SISTER JET
「DECEMBER’S JETBOY TOUR(AND EVERYBODY’S)」
FINAL
ONEMAN LIVE
@日本青年館
2010.12.15(Wed)
”えっ、日本青年館でライヴ!?”
今夏の日比谷野音でのSISTER JETのワンマンライヴの際に、ボーカル&ギターのワタルのMCにて、次のワンマンの場所が、この日本青年館であることが告げられて、その場に居た多くのファンは、そう思ったことだろう。”えっ、あそこってロックバンドも演るの?””へーっ、次はあんな大きなホールで演るんだ”、中には、”なんか似合わないなぁ…”や”今の時代に、あのホールを!?”なんて思った人も居たかもしれない。
しかし、その場にいた、業界関係者やJロックのこれまでの系譜を色々と知っている方は、逆にニヤリとしたことだろう。このニヤリこそ、”こうきたか!?””勝負に出たな”のニヤリであり、かく言う僕も、その一人であった。
ちょっと昔話をさせて欲しい。20年近く前、僕がまだ学生だった頃。日本青年館でライブを行うというのは、次のステップに向かうための重要な試金石であり、登竜門であった。今みたいにBLITZだ、AXだ、LIQUID ROOMだ、と1000~2000人規模のキャパのオールスタンディングの会場なんて、クラブチッタ以外なかった頃。このホールを契機に次のステップへと進む、当時にすると渋谷公会堂→中野サンプラザ→NHKホール→日比谷野音→日本武道館への道の第一歩であり、ここで弾みをつけて大きくなっていったロックバンドは数知れない。いわば、このホールはロックバンドにとって一つの鬼門であり、ステイタスなのだ。ひいては多少順序は前後するが、今夏の野音の際の告知は、<あえてこの時代に感>や<俺達はここでステップアップして次に進むんだ!>、そんな所信表明や気概にも映った。そう、ホールの割にはあまり音響も良くないし、築も古い、しかし、綿々と語り継がれるブレイクへの段階として重要なポジションを担ってきた由緒正きこのホールでワンマンライブを行うというのは、彼らにとってとても有意義で潔い行動に僕には映った。
”この日は、きっと彼らにとってジャイアントステップ的なライブになる!!”。そんな予感を胸に、既に多数のJETSが集っている、この日本青年館に我々もやってきた。
今回のラッカは、円形エナメルポーチ、ト―トバッグ、缶バッヂ2個セット、フェイスタオル2種を、新たなグッズ・アイテムとして作成させてもらった。
SEと共に、今回のツアータイトルのバックドロップがせり上がる。3人がステージに現れ、「SISTER JET」の大フラッグがドラムのケンスケによって、”やって来たぜ!”とばかりに、誇らしげに一振りされる。で、いつものフォーメーションにつくかと思いきや、サカベはモニターに座り、タンバリンを叩き、ボーカル&ギターのワタルが軽いストロークのギターに合わせ「オーロラチャンネル」をスイート感たっぷりに歌い始める。ドラムのケンスケは、触れる程度のドラミングだ。「歌いにきたよ。君たちの声を聞かせておくれよ」とあくまでも、甘く優しく伝えるワタル。そして、その雰囲気をガラリと変えるように、「クレイジーにパーティを始めようぜ」のワタルの一言と、ケンスケのダンダンビートが会場をクレイジーなパーティへと引き込む。続いては、「恋してクレイジー」だ。曲が始まると同時に、彼らのトレードマークとも言える、「JISTER JET」と荒々しく力強く書かれたいつものフラッグにバックドロップが差し変わる。ケンスケのブリティッシュビートを基調としたタイトなドラミングの上、ワタルの甘いボーカルが乗る。「青年館~!!」と曲中、シャウトするサカベ。椅子席なのに、心が前傾姿勢になっていくのが分かる。みな同じ心持ちなのだろう。ステージに向けて無数の呼応のコブシが上がる。更に突き進むようにダンダンビートは続く。続いては「ラブコメ」だ。通例のダンサブルなパートに、この日の会場は前に押し寄せるのではなく、その場のダンスにて呼応。絶望の中のロマンティシズムに会場も主人公になったかのように、歌の世界へと加わっていく。
「イスがあるからって遠慮しないで、なんなら床を抜かしてもいいんだぜ」とワタルが会場を煽る。ライヴは続き、更に加速度を上げるように「さよならポケット」にイン。サビのストレートさの上昇感と高揚感がたまらない。「全てを愛することができる」のリリックも、この日はより信憑性高く聞こえる。加え、ホールらしくライティングも今日はより効果的&ドラマティック。演者、演奏、演出と、今日はいつもより三味一体感も増している気がする。
ここでMC。ワタルが「今日は俺は朝から調子が良い。乗り遅れてるんじゃないの?ついに来たツアーファイナル」の後、「フロアを揺らせ!」との扇動的な一言の後、「DJ SONG」に突入。サカベの高速ダウンピッキングが電気を浴びているようなビリビリ感を会場に与える。合わせてグイグイと曲がフロアの胸ぐらを掴む。曲の間にはスピーディにメンバー紹介を交え、「もっとイケるか?青年館」とワタル。その勢いは止まることを知らず「8ビートはパンク少年のもの」に突入し、アッパーな8ビートが会場の高揚感と興奮度を引き上げる。この曲では、みんな心の中で精一杯にポゴダンスをしていたことだろう。
そして、「1stCDに入っていた大切な曲を演ります」のワタルの一言の後、「I.L.U(Ilove you)」がプレイされる。まるで吐き出されるように「I love you」が連呼される同曲。彼らの中では珍しくサイケ感の混じった曲だったりもする。間には、オルタナ気味のギターソロも挟み、彼らのアナザ-サイドがここで現れる。
ワタルの「こんなに集まってくれて。今世紀最大の恋をしそうですよ」とのMCの後には、スイートで刹那、ボニ-&クライド的なナンバー「キャラメルフレーバー」が始まる。ようやくやってきたミディアムなナンバーと、場面場面がすっと浮かんでくる、その歌物語に会場も聴き浸る。ラストの転調して大サビに入るところは、新しい味付けであり、曲のドラマティックさと、ちょっとした切なさを更にアップさせていた。そして、来年1月発売のニューアルバム『LONELY PLANET BOY』から、前曲「キャラメルフレーバー」の続編とも言える「LOVE SONG(ON THE AIR)」が会場に放たれる。先ほどのミディアム調に比べ、こちらは抜き差しを活かしたダイナミックなアレンジの曲。後半に広がるアウトロが、会場にこの歌われている後の主人公の2人の行方を気にさせる。続いてもニューアルバムから、小さな港町で夢ばかり見ているが、けっして叶わない女の子の物語「マギーメイブルース」が歌われる。この海の向こうへと、想いを馳せさせるようなワイルドなギターソロも会場に響き渡り、シーンの演出を更に盛り立てる。
ここでMC。サカベが担当し、メンバーを再度紹介し、一度はやってみたかった、この青年館で昔よく収録を行っていた、ドリフタ―ズのバラエティ番組「8時だよ!全員集合」の再現とばかりに、いかりや長介の常套フレーズであった「オイーッス」や「8時だよ」「全員集合」のコール&レスポンスで会場を和ませる。
再びライヴに戻る。タイトでシャープなケンスケのドラムと、ソリッドな演奏による「I my ガール Romantic ボーイ」では、ワタルもステージ前方でギターをプレイ。会場を沸せ、サビのドリーミ-な部分では、会場も大合唱を見せる。一拍置いて、続く「I Know」にイン。サカベのベースもガリンガリンな音で骨格を作り、コーラスでは曲にふくよかさを交えるハーモニーを加える。そして、16分のガリンガリンなベースピッキングと、タムとフロアタムによる重いダンスビートがカッコ良く会場を更に深部へと誘った「to you」では、スイートでソフィスティケイトされた歌声が会場中に響く。続いて、中学時代にワタルが、ビートルズの「悲しみはぶっとばせ」のその邦題に感銘を受け、以後、自身の人生にも大きくその言葉が寄与したことを告げられ、「今、一番みんなに聴いてもらいたい曲」との紹介の後、こちらもニューアルバムから「SAY YES」が放たれる。ストレート中のストレート。彼らの初期衝動性を思わせる、”これからも行くぞ!ついて来い!!”と響いてくるナンバーだ。そして、ワタルのギターと歌い出しから始まった「ナミダあふれても」では、ミディアムながらダイナミックなプレイが会場を聴き入らせ、会場全体を、ここではないどこか、今ではないいつかへと誘う。
「躍ろうぜ、青年館」とワタル。続いては、これまでと雰囲気がガラリと変わり、「hello goodbye days」が会場を揺らせる。まるで雨上がりのクリアスカイのようなサビの部分では、会場全体がステージに向けて呼応する。会場もステージもそのサビの部分では一緒に歌い、本日一番の一体感を見せる。ラストは、なじみのあるギターリフから「MR.LONELY」に突入。ケンスケのタイトなビートと、ドライヴ感のあるサカベのベースが三位一体感を持って会場をノらせる。歌われている内容とは裏腹に、会場に満ちている、この一体感や一緒感は何だろう?ラストは怒濤性も交え、会場全体を一気に眺めの良い場所へと引き上げる。うーん、この会場ではけっして、人はみなロンリーではなかったぜ、ワタル君。
アンコールのためにメンバーが再度ステージに現れる。その締めとして<2011年は音楽でロックしていく!!>との力強い宣言が。そして、心がポッと温かくなるクリスマスソング「ニューヨークのクリスマスツリー」、適度な上昇感がたまらない「カウント2」、ラストは客席に無数のカラフルな風船が飛び交う中で歌われた「LaLa Dance」。もちろん、サビでは会場中がクラップと大合唱で応酬。大パーティと化した会場は多幸感溢れる一体感で大団円を迎えた。
客電が全開となった会場にジョン・レノンの「Happy Xmas (War Is Over)」が流れ出し、ショーはエンド。その「Happy Xmas (War Is Over)」を聴きながら、”そう言えば、今日は演らなかったが、彼らの「ONO WAY」という曲は、ONO YOKOのアティトュードに感銘を受け、ワタルが書いた曲だったっけ…”と思い出し、なんだか彼らの本質が更に垣間見れた気がした。
Report : 池田スカオ和宏
【SET LIST】
1.オープニング~オーロラチャンネル
2.恋してクレイジー
3.ラブコメ
4.さよならポケット
5.DJ SONG
6.8ビートはパンク少年のもの
7.I.L.U(I love you)
8.キャラメルフレーバー
9.LOVE SONG(ON THE AIR)
10.マギーメイブルース
11.I my ガール Romantic ボーイ
12.I Know
13.to you
14.SAY YES
15.ナミダあふれても
16.hello goodbye days
17.MR.LONELY
Encore
En-1.ニューヨークのクリスマスツリー
En-2.カウント2
En-3.LaLa Dance
【MEMBER】
Vo.&G. ワタルS
B.&Cho. ショウサカベ
Dr/&Cho.ケンスケアオキ
【PROFILE】
東京ニュービートジェネレーション代表の3ピースロック・バンド。適度なヤンチャ性と海外と同時進行のガレージ・リバイバル、そして躍動感溢れるダンスビートを融合させた音楽性が話題に。2009年春、1stミニアルバム『三次元ダンスLP』をリリース。クールなロックとエバーグリーンな胸キュンものの歌は多くの人の目や耳を捕える。2009年11月発売の「ジェットボーイ・ジェットガール」では、彼らならではのパーティロックの真骨頂が大展開された。世界をキュンとさせ、宇宙をグッとこさせることを使命に日夜色々なことに取り組んでいる彼ら。その一環で制作された2010年2月3日にはシングル「MR.LONERY」を、6月2日にはニューシングル「キャラメルフレーバー」を。そして、6月6日には日比谷野外音楽堂でチャ―ジ\1000 にてワンマンライヴを行い大成功をおさめる
2010年11月~は、SISTER JET DECEMBER’S JETBOY TOUR (AND EVERYBODY’S)を敢行。2011年1月12日、ニューアルバム『LONELY PLANET BOY』発売。3月12日~千葉LOOKを皮切りに全国ツアー「LONELY PLANET BOY TOUR」が決定している。
【NEW ITEM】
NEW ALBUM
『LONELY PLANET BOY』
PECF-1024
¥2.500(Tax in)
【felicity】
2011.01.12 ON SALE
M-1.SAY YES
M-2.ナミダあふれても
M-3.8ビートはパンク少年のもの
M-4.MR.LONELY
M-5.キャラメルフレーバー
M-6.LOVE SONG(ON THE AIR)
M-7.マギーメイブルース
M-8.わらえないぜ
M-9.かもめのジョナサン
M-10.シュガーベイビーブルー
M-11.さよならポケット(再録音)
M-12.アディオス・アミーゴ