並び違いにはご用心(中学編)

Filed under: BLOG — ikeda @ 2008.04.05

 では、今回は前回の予告通り、昔遭った並び違いの話を。

 あれはまだ僕が中学一年の時の事。ある夏前の日曜日に、僕は友人と連れ立って、当時話題となっていた映画『エレファントマン』を観に、電車に乗り、あえて県内最大の映画館に向かった時の出来事でした。

「何上演か待ちで、ようやく観れる程のすごい人気の映画」
と、映画館の前に出来たその長い列を写した写真と共に、その映画の人気の高さの前情報が入ってきており、当日はかなりの覚悟を決め、朝の9時ぐらい着で、その映画館を目指したのです。そう、当時は今のようなシネコンも無い時代。映画も待って並んで観てたんですね。今のせっかちな僕の性分ではありえません。

 目的の映画館に近づくと、既に長い列が見えるではないですか。”うわっ、ヤバい!!”と舞い上がってしまった僕達は、よく確かめもせず、即その列の最後尾にサッと並んだのでした。
「これじゃ一回目の上映は間に合わないかな?」
などと、ワクワク・ドキドキしながら、2人で待っていたのですが、待っている間も列にはドンドン人が並び、「早く来て良かったね」と優越感に浸りながら、自分達の順番がくるのを待っていたのです。と同時に、その時からその列に何か違和感的なものも感じていたのも事実で。というのも、この列、写真で見た若者達が並んでいる光景ではなく、逆に前方も後方も、おじさん、おばさん達ばかり。
 しかし、その覚えた違和感よりも、徐々に前に進んでいく列に、映画を並んで観るという行為のワクワク・ドキドキの方が上をいってしまうのが、子供。そんな不安や違和感も、ポジティヴな考えに即上書きされてしまったのです。今考えると、”何でチケットを買う為だけにこんなに並んでいるのか?”と訝しがるところですが、いかんせん当時はピュアな童心。そこが当日のチケット販売の箇所ではなかったと疑う余地も無かったのでした。

 そのうち段々と映画館のゲートが近づき、チケットを買おうとお金を用意しようと、ちょっと前方を見ると、映画館のゲートの奥から建物の壁に沿って横にずっと伸びている若者達の長い列が。”ええっ!?”と一瞬愕然としつつも、その友人と「チケットを買ったらあそこにまた並ぶんだね」などと話ながら、なおも並び続けていたのでした。
 そして、そのうち遂に僕達の並んでいるその窓口が見えたのです。

ガーン

そこに映ったのは、「ジャンボ宝くじ予約券と引き換え中」との派手な文字。
友達と唖然と顔を見合わせたのは言うまでもありません。
そう、我々は映画館ではなく、誤って宝くじ売り場の列にずっと並んでいたのでした。
その時間、約30分。

くよくよしていても仕方がありません。
「ううっ、急にお腹が痛くなった!!」と、訳の分からない言い訳けをして、その宝くじの列から外れた僕達は、改めて映画館のチケット売り場にてチケットを無事購入。再度、鑑賞待ちの列に並び直したのでした。
確か、その日は夕方近くには観れたと思います。
映画の内容はともかく、それ以上に、その時の想い出の方が鮮明だった、僕の「エレファントマン鑑賞」でした。

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