目を見、胸ぐらを掴みながら愛を伝える THEラブ人間1stシングル『砂男・東京』

Filed under: BLOG — タグ: — ikeda @ 2011.05.11


THEラブ人間
FIRST SINGLE
「砂男・東京」
PTA-0001
¥500(Tax in)
【SOLID BOND / 喫茶恋愛至上主義】
NOW ON SALE

 ”まるでガンでもつけられているように、目と目を合わせて歌を伝えてくるグループだなぁ…”
 これが昨年秋口に初めてTHEラブ人間のライブに<出会った>時の最初の感想だ。まさしくそれは、そらしても、そらしても、執拗に真っ正面から見返してくるように伝わってくる歌たち。<目撃した>とか<体験した>といった類ではなく、<出会った>。彼らに言わせると<邂逅>、まさしくそんなライブであった。

 ラブ人間の曲は、時折りとても痛く感じる。しかし、その痛さは、じんわりとした温もりや、ぽっとした暖かさを宿したもの。
 ラブ人間の唄は、愛情と慈しみに満ちている。しかし、その愛情は、けっして甘く包み込んでくれるものとは違う。どちらかといったら、直接胸元目がけて全力で放り投げられるものばかり。とは言え、キチンと胸元目がけてストレートに投げてくるところに、甘くはない優しさや伝えたい気持ちや想いを感じる。
 ラブ人間の音楽は、けっして聴く者の感受性に委ねられたりはしない。どの曲も、”これだろ!””これなんだろ!!”と、描かれる情景豊かな歌世界の中、ズバッと真理や心情が描かれている。ディテールの拙さを、”その辺りは聴き手が自由にとって欲しい”なんて不親切な放り出し方は、彼らにとって不要なようだ。

 THEラブ人間は2009年1月、金田康平を中心に下北沢にて結成。以来、ライヴを中心に活動。現在までに2枚のEP、1枚のスプリット盤を自主制作にて発表。昨年8月には、SUMMER SONICにも、一般公募で出演経験も持つ(出れんの!?サマソニ!?ステージ)。都内を中心に活動をしていながらも、関東周辺、関西、中部にも熱狂的なファンが多い。

 彼らの魅力は、歌い手金田の描く歌世界と感性豊かに表される説得力たっぷりな歌。そして、それをしっかりと広げ、惹き込むように情景や物語をより明確にし、まるでその場に居合わせているような演出を施す演奏。それは、流麗でありながらも、儚さや美しさを加えるモリサワの鍵盤であり、優雅さと哀愁、叙情性を添加する谷崎のバイオリンであり、女性コーラスによる幅やふくよかさ、そして、プレイでも安定した低音を供与するおかもとのベースであり、楽曲にダイナミズムや躍動感、生命力を与える服部のドラムであったりする。また一見、70年代のフォーク/ニューミュージックのオマージュ的な印象を受けるかもしれない彼らの音楽性にしても、彼らがそれらと決定的に違うのは、その先達に加え、THA BLUE HERBの<時代は変わる>との信念と確信、eastern youthのような自分の足元をキチンと見続ける強さ、銀杏峯田のように、信じるものに対して猪突に進み続ける気骨を経た、この時代ならではの符号性を有した歌として謳われ、鳴らされているところにある。

 そんな彼らの今を切り取るように、グイッと胸元に押しつけてきたのが、今回のこの1stシングル「砂男・東京」だ。
 差し出すのではなく、ボソッとした小声の「ありがとう」と共に、グイッと胸に押しつけてくる、我々への感謝のプレゼントのような、この盤。
 まず、M-1の「砂男」は、沢山の感謝や加護に支えられ、後押しされながらも、それに”俺節””俺流”でしか応えられない真摯さがヒシヒシと伝わってくるナンバー。彼らの今後の代表曲の1曲になりそうな、長い時間をかけ、ライヴを通し歌い続け、プレイされ続けていくべき楽曲だ。前のめりのシャッフル気味のリズムにグイグイ煽られるように、さまざまなものを巻き込み、ラストには例えようのない昇華へと持っていくさまは、まさしく彼らの面目躍如。ラストの「なりたくな~い」のフレーズは、きっと永年に渡り、みんなに大合唱されるにちがいない。
 そして、M-2の「東京」は、東京とタイトルされ、歌内容もそれを彷彿させるものの、聴いてみればお分かりのとおり、そこで展開されている物語や想いは、あなたの暮らしている街や部屋に置き換えても充分に物語が成立するほど、通底なナンバー。金田とおかもとによるデュオ部分と、間の金田のポエトリーリーディングもアクセントに、曲全体に漂うちょっとした諦念やその向こうの微かな光、しかし、最終的に現れ、聴く者を巻き込む”でも、やるんだよ!!”感がたまらない。ちなみに、この”でも、やるんだよ!!”的要素。これもラブ人間の歌の幾つかにとっては、不可欠なバイタリティだったりする。

 ぶっきらぼうに、独白的に、一人称で放たれながらも、突き放すどころか、ぐいっと抱き寄せ、愛を伝えるこの2曲。
 3/11以降、ポンと軽く背中を押される歌や、柔らかさに包まれた優しい励ましに、何か物足りなさや空寒さを覚えている方も多く現れ出している今、まさに求められている歌は、きっと、いや絶対にこんな歌たちなのだ。
 まさに突き飛ばすぐらいの後押しと、胸ぐらを掴み、引っ張ってでも聴かせる強引さと真摯さに満ちた今作。「腑抜けたラップを聴くヒマがあったら俺は真っ先にSIONを聴く」といったのは、BOSS THE MCだが、僕は最後に「腑抜けたJ-POPを聴くヒマがあったら俺は真っ先にTHEラブ人間を聴く」の言葉で、この文章を締めたい。

【池田スカオ和宏】


【SONG LIST】

M-1. 砂男
M-2. 東京


【THEラブ人間のグッズは、ライヴ会場及びLUCK’A PLANETにて絶賛販売中!! メランジレッドカラーのTシャツは、LUCK’A PLANETのみの限定発売商品です。是非ご覧ください】

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